●特集● 朝日新聞「NHK圧力」報道 【前編】

背景に中国の国際謀略、反日キャンペーン

極左記者、偏向プロデューサーが暗躍


左翼マスコミが暗躍している。朝日新聞はNHKが4年前の平成13年1月に放映した戦時中の慰安婦問題を扱った番組をめぐって、自民党の中川昭一、安倍晋三両代議士が「政治介入」し内容を改変させたとする謀略報道で「保守潰し」を仕掛けてきた。これにはNHKの現場プロデューサーも加担、海老沢会長に対する批判世論に乗じて局内の左翼勢力が編集権を握る「NHK乗っ取り」を企てたと言われる。今年に入って朝日新聞は「東アジア共同体」キャンペーンを張っているが、これは米国抜き=中国追従路線と言ってよい。日本共産党をはじめ国内の共産勢力も一斉に反米の「東アジア」を主張している。こうした動きの背景には「反日キャンペーン」を仕掛ける中国の対日工作が潜んでいる。〔別掲図参照〕

「保守潰し」狙い、北朝鮮工作員も関与

謀略報道のあらまし

問題の朝日新聞の謀略報道とは、1月12日付朝刊の1面肩で「NHK『慰安婦』番組改変/中川昭・安倍氏『内容偏り』/前日、幹部呼び指摘」との見出しで報じたものだ。社会面には解説を掲載し「NHK側の幹部の一人は『圧力と感じた』としており、この行為は、放送の自律を定めた放送法の精神に背くと言わざるを得ない」と、中川、安倍両氏に的を絞って批判している。
朝日記事は、NHKが四年前の平成13年1月に教育テレビで4回連続シリーズで放映した「戦争をどう裁くか」の第2回目「問われる戦時性暴力」(1月30日放映)が、放送前にNHK幹部が中川、安倍両代議士に呼び出され「政治圧力」によって内容を改変させられたとしている。
だが、中川氏は放送前に会っておらず、安倍氏は事前に会っているものの、それはNHK側から予算説明に訪れたものだった。安倍氏は16日のテレビ番組で「(朝日記事は)まったくの誤報で、悪意ある捏造だ。騒ぎを起こして(自分の)イメージを傷つけようということではないか」と痛烈に朝日を批判した。
これに対して番組を担当したNHKの長井暁チーフ・プロデューサーが13日、政治介入があったとする“告発”会見を開いたが、「介入」の核心部分になると「上司から聞いた」「直感した」と述べるだけで信憑性を著しく欠いた。中川、安倍両氏とNHKは朝日に抗議・謝罪を求めたが、朝日は逆に、18日付で反論を掲載した。
しかし、朝日に「圧力があった」と証言したとされた「NHK幹部」の松尾武氏(当時放送総局長、現NHK出版社長)は19日に記者会見し、「政治圧力はなかった。朝日記者はまったく逆のことを書いている」と報道を完全に否定、朝日の「虚偽報道」が浮き彫りになっている。

「圧力」報道の仕掛け人の正体

問題の番組「問われる戦時性暴力」は、12年12月に開かれた「日本軍性奴隷を裁く『女性国際戦犯法廷』」を取り上げたものだ。同法廷は元朝日新聞編集委員で「『戦争と女性への暴力』ネットワーク」(バウネットジャパン)代表を務めている松井やより氏(14年12月死亡)が主催、同番組の製作を下請けした「NHKエンタープライズ21」の池田恵理子プロデューサーが運営委員となって開催。最初から朝日とNHKの左翼関係者が関与していたとされる。
海外から反日学者らを判事や検事役として動員し、模擬法廷としながらも弁護役を置かず、会場で傍聴する人には裁判趣旨に賛同する誓約書まで書かせるという異様な「法廷」だった(産経新聞1月15日)。しかも北朝鮮代表団も招き鄭南用と黄虎男という2人の対日工作員を検事役に据えていた(日本政府はその後、この2人を工作員として入国拒否)。拉致とも関連する北朝鮮工作員までも加わった前代未聞の「捏造法廷」だったわけだ。法廷は昭和天皇に「強姦と性奴隷制」の罪で有罪判決を下すという異常ぶりで「左翼人民法廷」を思わせた。
番組製作はNHKからNHKエンタープライズ21、さらにドキュメンタリージャパンに下請けに出されたが、NHK幹部は「通常の編集」でこうした“判決”をカットし「法廷」に反論する識者のコメントを新たに加えて放送した(これを朝日は「圧力」と報じた)。
こんな異様な「捏造法廷」を公共機関、それも教育テレビで放映しようとしたのが長井プロデューサーである。彼は前述の池田プロデューサーの後輩で、彼こそ中国と深く関わる親中派。東京学芸大学教育学部出身(中国・東アジア現代史)でNHKに入局した後、中国番組を手がけ『毛沢東とその時代』という番組では毛沢東を礼賛し、中国側の政治方針に迎合したとしてNHK内でも批判を受けたという(『週刊新潮』1月27日号)。
NHKサイドが長井、池田の両プロデューサーで、朝日サイドが松井代表と今回の一連の「圧力」記事を書いた本田雅和記者と見られる。同記者は「極左記者」(前掲、週刊新潮)と呼べるほどの人物で、人権や安保問題を手がけた、朝日きっての左翼記者。この四人が「女性国際戦犯法廷」問題の仕掛け人と言ってよい。
放送で「判決文」がカットされたためか、13年5月には土井たか子社民党党首(当時)が、松井氏らを引き連れて川口外相に会い「判決文」を手渡している。共産党も同法廷を支援している。

なぜ中川、安倍両氏だったのか

中川氏(現経済産業相)と安倍氏(現自民党幹事長代理)はそろって対北朝鮮政策のタカ派。中川氏は拉致議連の前会長で、放送当時は「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」代表。安倍氏は当時、官房副長官で、現在は党拉致問題対策本部長として対北朝鮮経済制裁シミュレーションチームに北朝鮮への圧力強化策として「北朝鮮人権法」の制定などを検討させており、2人とも党内きってのタカ派として知られる。
安倍氏は「放送から四年も経って、なぜ今ごろ取り上げられるのか。北朝鮮に厳しい私と中川経済相を狙い撃ちにしており、何か意図を感じざるを得ない」(16日のテレビで)と述べている。この疑念は当然だ。海老沢会長問題でNHKの信用が失墜している時期に合わせて今回の「政治圧力」問題を浮上させ、両氏の信用も失墜させようとした意図は明白だろう。
同時にNHKの経営問題を利用し、NHK内部に巣くう左翼、親北・親中分子が「編集権」を握ろうと画策していることも見逃してはならない。

中国の対日工作の実態
「反日」扇動し覇権狙う
極左を使って世論作り

今回の「圧力」報道問題の背景に、中国の対日工作が潜んでいることを見逃してはならない。

KGBと北朝鮮「国際法廷」作る

NHKが扱った「国際法廷」は、1960年代にソ連のスパイ組織KGBによって作られた「国際人民法廷」の流れを汲む組織だ。国際人民法廷はベトナム戦争当時、「ベトナムに対するアメリカの戦争犯罪を裁く」との目的でヨーロッパで開催された「ラッセル法廷」(66年、哲学者バートランド・ラッセルによる提唱で設立)を継承したもので、北朝鮮の工作機関によって作られた朝鮮統一世界会議の国際委員会議長レリオ・バッソが79年3月に設立した。
ベトナム戦争終了後、日本では北朝鮮のテコ入れの下、専ら「韓国の朴政権下の圧政・人権抑圧」を取り上げ、ベ平連代表だった小田実ら極左グループが名を連ねていた。90年代に入りソ連が崩壊すると、各国で左翼勢力は「コリア国際戦犯法廷」(在韓米軍の“犯罪”を裁くと主張し、在韓・在日米軍基地撤廃要求)といった「国際法廷」を組織し、反米闘争を繰り広げてきた。「『戦争と女性への暴力』ネットワーク」(バウネットジャパン)もその一環で、従軍慰安婦や沖縄米軍の犯罪などを取り上げ「女性国際戦犯法廷」の名をもって反米・反日運動を展開している。極左勢力の残党グループと言ってよい。
こうしたグループが闘争の中心に据えているのが「反日」と「反米」。いずれも、中国共産党と北朝鮮の対日工作機関の主要な目標と合致することに注目しておく必要がある。中国にとって「反日」は単に歴史認識問題ではなく、共産党政権の「正統性」に関わる戦略的問題である。中国共産党政権は89年の天安門事件以降、国を挙げて「愛国主義教育」に取り組んできたが、それはソ連・東欧の崩壊、さらに市場経済化によって共産主義が精神的規範となり得なくなり、共産主義に代わる精神的基盤として「愛国主義」を据え「反日」を国是とした。
90年代以降、愛国主義教育拠点が200カ所以上も作られたが、それらの大半は北京の抗日戦争記念館(七三一部隊の人体実験の蝋人形設置)や南京の虐殺記念館(白骨を並べた「万人杭」の設置)といった「反日」がテーマだ。中国共産党は日本の「侵略」「虐待」への中国人の反感が高まれば高まるほど、抗日戦争を戦った共産党の正当性も高まると考えている。だから共産党政権下では「愛国主義」=「反日」にならざるを得ないのだ。
また中国民衆の政治的不満を共産党政権に向かうのを防ぐために「反日」を巧妙に利用。加えて将来に予想される日本との資源獲得戦争に備え、ことさら「反日」を煽ろうとしている。日本に対し「靖国参拝」を政治問題化しているように、対日外交の有効な手段として「反日」を位置づけているのだ。

反米基地運動にも取り組む

その手先になっているのが、今回のNHK問題を引き起こした左翼グループにほかならない。彼らは「反日」だけでなく反米軍基地運動も仕掛け、東アジアから米軍のプレゼンスを一掃しようと企てている。これも中国の狙いどおりである。
朝日新聞が今年の元旦社説で「アジアに夢を追い求め」と題して中国との融和を説き、“米国抜き東アジア共同体”を唱えるのも、中国の対日工作の一環と見てよい。
朝日とNHKの左翼記者らによる「政治介入」問題には中国の国際謀略が秘められていることを忘れてはならない。
(「思想新聞」2005年2月1日号 (c)IFVOC 2005)