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韓国の宗教家・文鮮明師が1981年の国際会議で表題の構想を発表してから30年。…続きを読む

この書評は2012年2月に投稿されました。

国際ハイウェイプロジェクト日韓トンネル

著/梶栗玄太郎 光言社 1785円

30年の実績踏まえ、未来へ

国際ハイウェイプロジェクト日韓トンネル韓国の宗教家・文鮮明師が1981年の国際会議で表題の構想を発表してから30年。その間の調査・研究や用地確保の進展が、ルート図まで付けて紹介されている。そこまで公開したのは、国民的な気運の盛り上がりで、日韓両国の国際プロジェクトに発展させたいとの熱い思いからだろう。
 驚かされるのは、青函トンネルを掘った最高の技術陣を擁して、日韓トンネルの出発点となる佐賀県呼子から壱岐、対馬の陸上部、玄界灘と対馬海峡の海底の地質・地層の調査を行ったことだ。その範囲は一部、韓国の研究者らの協力を得て、韓半島の上陸口が想定されている巨済島や、同島と対馬との間の海峡にも及んでいる。それだけ調査を行うには、陸上部であれば土地の確保が必要で、それもほぼ確保さ れている。つまり、この先どんな形で日韓トンネルが掘られようと、本書の資料は無視できないものだ。
 文師は統一教会の創設者であり、調査・土地購入の費用は、信徒らの浄財で賄われたという。一宗教団体が大きな公共事業を行うことに疑問の向きもあるだろうが、かつて行基や空海が橋や道路、池の建設、修築を行ったことを思えば、不思議ではない。さらに、調査の成果や用地は一般財団国際ハイウェイ財団の所有となっているので、公共に資する用意が整っている。
 70~80年代は、ローマクラブの「成長の限界」と共に、地球規模のインフラ整備が提唱された。その後、環境問題の高まりや世界経済の停滞から、あまり語られなくなったが、今こそ世界を元気にするような発想が必要なのではない か。文師は2005年にベーリング海峡を橋とトンネルで結ぶ構想を、国際ハイウェイの一環として発表している。
 大震災と津波、原発事故を経験して、日本はエネルギーの孤立を認識した。日韓トンネルがあればケーブルやパイプで大陸とつながり、日本の安定と東アジア経済の飛躍的な発展も期待されよう。まずは日韓が壮大な夢を共有できるようになりたい。