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勝共運動による救国救世

沖縄県石垣市の市議会議員らが12月10日、尖閣諸島に上陸─とのニュースが各メディアによって報道された。…続きを読む

水間氏の著書は、尖鰐諸島や竹島の領土問題について資料を駆使して論じながらも、…続きを読む

この書評は2011年2月に投稿されました。

日本人が行けない日本領土
北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記

著者/山本皓一 中央公論新社 1680円

知られざる日本の国境の島々

日本人が行けない日本領土沖縄県石垣市の市議会議員らが12月10日、尖閣諸島に上陸─とのニュースが各メディアによって報道された。だが「日本の領土」とは一言え、この市議らが海上保安庁の取り調べを受けたように、市井の民間人が自由に行き来できる場所となっていない。そのような意味で山本カメラマンの著書は、新著ではないが今こそ多くの日 本人が手にとって一読すべき書と言える。実効支配するロシアの国家元首と軍の最高幹部が上陸した北方領土の実相はどうなっているのか、当然ながら日本側からはほとんど情報が出てこない。
 外務省では、領土問題の解決していない島々への相手国経由の邦人渡航を、自粛するよう呼びかけている。著者はそれはもっともだとしながらも、それ以上に日本の「領土 問題の現実」を国民に知らせることが重要だとして、ロシアや韓国の人脈を用いて北方領土や竹島に足を踏み入れた。特に国後は元住民らが墓参等で行けるが、択捉は墓そのものが存在しないと元島民すら行けなかった。その意味で著者が撮影した択捉島の日本人墓碑の写真は大変貴重な 証拠である。
 竹島に関しては、竹島(韓国名・独島)だけではなく、周辺の島々との関係も含めて複雑で入りくんだ歴史的経緯を理解しなければならないが、これはほとんどの日本人が知らない。それを著者は韓国側のメンタリティも踏まえながら述べている。そもそも日本では現在の鬱陵島(うつりょう)を竹島と呼んでいて、当時は現在の竹島は「松島」と呼ばれていた。「倭冦」に悩む朝鮮政府が鬱陵島を無人化、そこに日本人が徳川幕府の許可を得て居住し諍いが起こった─だがそれは鬱陵島のことで、同島にある独島博物館では独島(つまり竹島)の出来事という。1904年に島根県への編入を決めた際に明治政府はなぜか「竹島」と記録。他に于山島などの名があり、錯綜しているのも事実というが、韓国の武装警察により実効支配される現在、日本人の手になる写真は貴重だ。
 その他、南鳥島や沖ノ鳥島もほとんどの日本人には馴染みがない。特異なキャラクターでブレークした戦場カメラマンの渡部陽一氏もそうだが、現場カメラマンとしての凄まじいまでの行動力には頭が下がる。その労苦は、貴重な記録─息を呑むような美しいグラビア写真の数々とし
て実を結んでいる。

この書評は2011年2月に投稿されました。

今こそ日本人が知っておくべき
「領土問題」の真実

著者/水間政憲 文藝春秋 1700円

ニッポンの領土問題の実像を読み解く

「領土問題」の真実水間氏の著書は、尖鰐諸島や竹島の領土問題について資料を駆使して論じながらも、最も説得力があるのは、ジャーナリストとして氏のライフワークの感がある、中国に対する「化学兵器遺棄」問題だ。
 氏の記述によれば、なんと外務省官僚(特にチャイナスクール)が国益を度外視しようとするのか、理解に苦しむ。もはや日本を上回る「経済大 国」と目される中国に対し、「ODA(政府開発援助)の増額」を主張する丹羽駐中国大使(産経新聞12月19日)も、「おかしい」ではすまされぬ。中国にとっては笑いが止まらぬ「敵失」(オウンゴール)ぶりである。
 水間氏の主張は、「尖閣諸島は日米安保の範囲内だ」としたクリントン米国務長官発言のように、有事には米軍が守ってくれるのか、というわけで、かつての満州での「失敗」を繰り返さぬよう、米国との「共同開発」を進めよ、と強調して提案している。確かに、中国がここまで経済大国になると、日本との諍いに目をつむるやもしれない。米国に実質的な利益があれば、本気で動くだろう。有事で自国の兵士の生命を徒に失うことは許されないからだ。
 だが喫緊の問題は、対中戦略の即刻立て直しだ。中国の言いなりでは国連の常任理事国など夢のまた夢である。