■ 共産主義の階級闘争史観

 「共産党の人は話が通じない」。皆さんはこんな思いを抱いたことはないでしょうか。話し合えば何でも反対。自分の言いたいことだけは主張する。人の話を聞く気はない。建設的な話になった試しがない。

 実はこれは、ほとんどの共産主義者、あるいは左翼と呼ばれる人たちに共通する傾向です。なぜそうなるかといえば、彼らの考え方の根底に、ある独特の価値観があるからです。

 

 その価値観とは、「階級闘争論」というものです。簡単に言えば、「社会は支配者と被支配者とに分けられ、その闘争によって発展する」というものです。

 普通に考えれば、たくさんの人が生活し、多様な立場で成り立つ社会がそんなに単純化されるはずはありません。しかし共産主義者らは、この「階級闘争論」に強い確信をもっています。また左翼活動家には、共産主義思想の詳細は知らないが、この「階級闘争論」の影響だけは強く受けているという人が多いのです。

 「階級」とは、支配者と被支配者のそれぞれのグループを指します。そしてこの二つの階級によって構成される社会を「階級社会」と呼びます。社会の本質は「階級社会」である。そしてその発展は支配者階級を倒したときにのみなされる。これが階級闘争論です。この理論について、マルクスは次のような例を挙げました。

 ニワトリが卵を産むと、中の胚(ヒヨコ)は厚い殻に覆われている。ヒヨコは外に出たがるが、殻は割られまいとする。やがてヒヨコが成長し、力をつけると殻を破って外に出る。このように、自然界のあらゆる事物の発展は対立物の闘争によってもたらされる(もちろんこの解釈は科学的に誤りです。詳細は唯物弁証法をご覧ください)。

 そしてこれはそのまま、社会の発展理論にあてはまる。支配者が作った「資本主義国家」という厚い殻の中に、労働者たちは閉じ込められている。しかし労働者らが団結し、力を合わせて殻を破れば(共産主義革命)、新しい社会を建設できる(社会主義社会)。これは自然科学の法則に基づいている。また過去の人類歴史は、すべてこの法則に基づいて発展してきた(詳しくは唯物史観をご覧ください)。

 

 この理論に基づけば、共産主義を信じる人々にとって、国家や資本家、あるいは共産党に反対する人々はすべて敵です。また、話し合いで国や社会の在り方が多少変わっても、支配構造そのものはなくならないと考えます。これは、「ヒヨコが殻の中に閉じ込められているという状況に変わりはない」というのと同じことです。

 ですから彼らにとっては、支配構造を終わらせるには、敵を倒し、社会を変えるしかありません。そもそも支配者階級は、支配を維持・強化することしか考えていないと捉えています。彼らに話し合う気がないのはこのためです。

 人間は戦争のような異常な状態に置かれると、暴力や殺人に対する抵抗がなくなりがちです。彼らは同様に、この社会は「異常な」支配状態にあると考えます。彼らはこの社会が闘争状態、あるいは不当な支配下の状態にあると捉えます。

 彼らが政権や国家権力に対し、時に暴力的な手段を用いるのはこのためです。国内外の脅威には目をつぶり、政権批判のためなら手段を択ばない。彼らのこうした言動は、この「階級闘争論」に基づいているのです。

 

 最後に、マルクスが「共産主義」をつくった動機に迫ります。

【第一章】共産主義とは何か 
(プロローグ) 
①資本主義との比較
…共産主義が実現すると国家が消滅する

共産主義の排他的暴力性
“暴力革命が唯一の選択肢だ! ”と訴え続けたマルクス

共産主義の人間観
働かざる者食うべからず!? 人間の本質は労働か

共産主義の階級闘争史観
なぜ共産党の人は話が通じないのか

マルクスの動機
神と社会への復讐を果たすまで闘争は終わらない

 

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【最終章】マルクスの動機に迫る

 

      

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