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勝共運動による救国救世

日本最西端の島である与那国島に、陸上自衛隊「沿岸監視隊」配備の賛否を問う住民投票が22日行われ、賛成数の632票が反対派の445票を187票上回った。…続きを読む

政府は1日の臨時閣議で、集団的自衛権の行使を限定的に容認することを決定した。…続きを読む

体調不良のために入院していた小松一郎内閣法制局長官が24日、職場復帰した。…続きを読む

政府は2月4日、武力攻撃に至らないような緊急事態でも自衛隊が対処できるよう、自衛隊法を改正する方針を固めた。…続きを読む

今後10年程度の外交・安全保障戦略の指針となる初の「国家安全保障戦略」と、同戦略に基づく「防衛計画の大綱」、来年度から5年間の防衛力整備を定める「中期防衛力整備計画」が閣議決定された。…続きを読む

安倍首相が設置した諮問機関である「安全保障と防衛力に関する懇談会」が21日、外交と安全保障の包括的な指針となる「国家安全保障戦略」の概要をまとめた。政府は今後、概要を基に最終案をつくり、12月に新防衛大綱とともに閣議決定する。…続きを読む

安全保障全般

この記事は2015年2月24日に投稿されました。

与那国住民投票、島民が賢明な判断

日本最西端の島である与那国島に、陸上自衛隊「沿岸監視隊」配備の賛否を問う住民投票が22日行われ、賛成数の632票が反対派の445票を187票上回った。来年3月に部隊配備を完了させる予定の防衛省にとって弾みがついた。
 投票資格は1284人で、選挙権のない中学生41人や永住外国人5人にも資格が与えられた。これは反対派の野党町議による働きかけで実現したものだったが、思惑が外れたかたちだ。むしろある賛成派は、「中学生や外国人を利用してまで誘致を潰そうとした反対派の工作が島民の反発を招いた可能性もある」(夕刊フジ2月23日)と語った。
 与那国島では平成21年と25年に町長選挙が行われたが、その際の最大の争点も陸自配備の是非だった。いずれも陸自を誘致した外間守吉町長が反対派を破っている。住民投票は賛成派にとって3度目の勝利にあたり、配備完了は住民の意志だ。反対派は今後、施設建設差し止め訴訟などを検討しているというが、政府は粛々と配備を進めてもらいたい。

配備反対に固執した偏向報道

沖縄のリベラル紙である琉球新報はこの結果について、「島を二分した住民投票について政府は重く受け止める必要がある」と述べた。賛成派が過半数を占めたにも関わらず、「半分近い人々は反対しているのだから、政府は配備を中止すべきではないのか」といいたいのである。さらに同紙は「住民の分断を深めた政府の罪は重い」とまで断じている。情報を正確に伝えるジャーナリズムとしての使命を果たしているとは到底言い難い。まさに「反対ありき」の報道姿勢である。
 そもそも住民投票には法的拘束力がない。それで中谷元・防衛相は投票前、「(結果に関わらず配備のための工事は)予定通り進めたい」と述べていた。同紙はこの発言に対しても「極めて遺憾だった」と批判している。住民が「反対票を投じても意味がない」と考えたのではないかというのだ。配備に責任をもつ防衛相が法律に即した判断を示すことに何ら問題はない。住民投票で反対派が敗北した事実は棚に上げ、その原因を防衛相の発言に責任転嫁する。極めて的外れな論理だ。

「防衛空白地帯」を埋めよ

与那国島は尖閣諸島に近く、日本の中でも中国船団の脅威に最も晒される島だ。二回の町長選に続き、今回の投票でも島民は賢明な判断を示した。沖縄本島では左翼系マスコミが住民の誘導に成功したが、危機に直面する与那国町民の扇動には失敗したのである。
 そもそも日本の本州が入るだけの距離がある南西諸島では現在、監視機能が非常に低い。広大な範囲を警戒するのは宮古島にある航空自衛隊のレーダーサイトだけだ。「防衛の空白地帯」と呼ばれるゆえんである。宮古島から200キロメートル西にある与那国島に陸自のレーダーが設置されれば、監視機能が大幅にあがる。運用が始まれば、さらに約100人の沿岸警備部隊と約50人の後方支援部隊が駐留することになる。これまでは国境沿いにある島でありながら、警察官2人が常駐するだけだった。中国が覇権の拡大を露わにする中、重要なのは抑止力を高め、隙をなくすことである。万全な体制を敷くことによって危機を未然に防ぐ「抑止」こそが、防衛の最大の武器となるのである。

この記事は2014年7月5日に投稿されました。

集団的自衛権閣議決定、日韓は大きな視野で連携を

政府は1日の臨時閣議で、集団的自衛権の行使を限定的に容認することを決定した。これまで日本の政府は、集団的自衛権を認めたことはなく、戦後日本の安保政策の大転換となった。
 集団的自衛権を行使するためには3つの要件を同時に満たすことが必要であるとした。①日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、②国民を守るためにほかに適当な手段がない、③必要最小限度の実力行使の三つである。
 その一方で、国連決議に基づく集団安全保障への参加に関しては、反発する公明党に配慮し明記されなかった。集団安全保障とは、平和侵略行為などが国連の安全保障理事会で認定された場合に、国連加盟国が集団で軍事措置などを行って平和を確保することだ。集団的自衛権及び個別的自衛権は、国連憲章では集団安全保障の措置がとられるまでの期間に認められている。日本は国連の加盟国でありながら、国連による平和維持のための枠組みである集団安全保障への参加も集団的自衛権も拒否してきた。国連を重視する日本であれば、国連決議にこそ協力すべきなのは言うまでもない。

感情的な批判を繰り返した韓国メディア

韓国のメディアでは日本の集団的自衛権に対して、これまで否定的な主張が繰り返されてきた。「三権分立の精神が失われた異常な国と言わざるを得ない」(朝鮮日報5月17日)「日本は今後、国際社会で民主主義国家あるいは法治国家とはみなされなくなるだろう」(同)「日帝侵略戦争の被害国が、日本の積極的な安保を憂慮するのは当然だ。安倍首相が日帝の軍国主義の象徴である靖国神社を参拝して歴史修正主義の動きを見せているのだから、なおさらだ」(中央日報5月16日)などだ。
 しかし韓国以外の地域では、こうした批判はほとんど見られない。集団的自衛権を認めない国など日本以外にはないからだ。たとえば米国のワシントン・ポストは社説で次のように述べている。
 「(もし北朝鮮が米軍の空母に向けてミサイルを撃ち、日本がそれを撃ち落とす能力があるのであれば、日本がそれを実行することに)乗組員たちは全員“イエス”と言うだろう」「(集団的自衛権行使は)戦後70年近くを経て日本を普通の国に変えるための、理にかなった道筋だ」(5月18日付)

積極的平和主義で日韓関係改善を

一方韓国政府は、公式には反対とも賛成とも明言していない。非常に難しい立場に立っていることが読み取れる。その最大の理由は、韓国自身が米国との間で集団的自衛権を行使できる状態にあるからだ。もし北朝鮮が韓国や在韓米軍を攻撃すれば、両国は集団的自衛権を行使して北朝鮮を攻撃することになる。これを否定すれば北朝鮮はすぐにでも韓国を攻撃するかもしれない。
 日本が近く集団的自衛権を行使できるようになるのは間違いない。それ自体を批判することに意味はない。むしろその後に、日韓両国がどう連携できるかを考えるべきだ。万が一北朝鮮が暴発すれば、在韓米軍だけでなく在日米軍も出動することになる。在韓邦人の救出も大きな問題になる。その際には日韓間の緊密な連携が必要となる。事態が生じてから仕方なしに連携の仕方を協議するのではなく、今から詳細な内容を詰めておくべきだ。
 日本は「一国平和主義」から「積極的平和主義」へと大きな一歩を踏み出した。この瞬間こそ日韓関係が見直されるべき大きなチャンスだ。
 韓国においては、表面的な日本脅威論は百害あって一利なしだ。両国が大きな視野をもって関係改善に向かうことを期待したい。

この記事は2014年2月25日に投稿されました。

小松長官復帰、集団的自衛権行使容認を急げ

体調不良のために入院していた小松一郎内閣法制局長官が24日、職場復帰した。今後も週1回程度通院するという。小松長官はかつて、国際法局長として集団的自衛権行使の「4類例」を発案した人物だ。安倍首相の集団的自衛権の行使容認の取り組みを、大きく後押しした提案だ。小松長官の復帰によって、政府は4月中の閣議決定を目指す。当初は国会終了後の夏過ぎの予定だったから、実現すれば大幅な期間短縮になる。
 閣議決定を急ぐ最大の理由は、年末に策定される日米防衛協力の指針(ガイドライン)にその内容を反映させるためだ。ガイドラインとは、自衛隊と米軍の役割分担を定めた指針で、今年の年末に17年ぶりの改定作業が行われる予定だ。
 現行のガイドラインでは、尖閣諸島など日本本土から遠く離れた島で紛争が起こった場合の対応は想定されていない。また、仮に「尖閣有事」が起きても、その際の具体的な規定はない。外交専門家の間では、「尖閣有事には米軍は出動しない」といった見方もあるほどだ。

日米の役割分担を機能させよ

とりわけ大きな問題が、集団的自衛権の行使容認だ。日本の政府高官の中には、「集団的自衛権の問題が決着しないと、日米の役割分担が詰められず、そもそも行使容認を反映しないガイドライン再改定は無意味だ」という声もある。
 自衛隊の出動命令が出されるためには、他国からの「組織的、計画的な武力の行使」が認められなければならない。たとえば武装した外国の特殊部隊が民間人になりすまして尖閣諸島に上陸しても、「組織的・計画的」だと認定されなければ自衛隊は出動できない。同様に、中国が尖閣諸島へ向けて軍事行動を開始しても、日本への攻撃が認められなければ自衛隊の出動は認められない。進行方向を変えて、他国への攻撃に向かう可能性もあるからだ。自衛隊が出動できなければ、米軍との役割分担を論じることさえできない。
 仮に中国によって、米軍艦船が公海上で攻撃されたと想定しよう。日本の領海内でなければ当然自衛隊は応戦できない。これでは米軍が動くのは容易ではない。米軍の出動そのものがためらわれるだろう。
 中国は昨年11月に東シナ海上に防空識別圏を設定し、今年の1月には南シナ海における外国船の操業を許可制にした。中国の膨張主義は加速している。しかも、中国が日本の体制の不備を熟知していることは間違いない。日本にとって、防衛体制の充実は焦眉の急だ。

安全保障問題を政争の具にするな

一部メディアは安倍首相の取り組みに対し、「前のめり」「危うい独走」などと批判しているが、筋違いだ。「立憲主義の否定」などという声すらある。
 そもそも憲法解釈は、法制局の助言を受けて、内閣全体で判断するものだ。「(憲法解釈の)最高責任者は私だ」と述べた安倍首相の発言は正しい。内閣が憲法解釈を示し、国会がそれを裏付ける法律を整備し、司法が違憲立法審査を行うのは、立憲主義に基づいている。
 国会議員とは、国家と国民の生命と財産を守ることが最大の職務だ。その国会議員が、安全保障の問題を政争の具にするのなら、それこそ本末転倒だ。みんなの党の渡辺代表が「政策実現のためには野党も与党もない」といったが、まさに正論といえる。各党の議員には、レッテル張りをしてイメージ戦略に出るような無意味な反論はやめて、より建設的な議論を進めてもらいたい。日本やアジアの安全保障のために何が必要であるかを真剣に検討すべきときがきている。

この記事は2014年2月5日に投稿されました。

「自衛隊の権限強化」方針を歓迎する

政府は2月4日、武力攻撃に至らないような緊急事態でも自衛隊が対処できるよう、自衛隊法を改正する方針を固めた。自衛隊に領域警備任務と武器使用の権限を付与するという。尖閣諸島の領有権を中国が不当に主張し、武力進攻の危険性が高まる中、自衛隊の権限を強化する意味は非常に大きい。
 中国が尖閣諸島への武力侵攻を行うと仮定したシミュレーションが各方面でなされているが、初めから本格的な軍事行動を起こすというシナリオはほぼ見られない。たいていは漁民に偽装した重武装集団がまず上陸し、その後に「民間人を守るため」と称して警察力、軍事力が侵攻するという想定だ。自衛隊が出動して武力行使を行うには「組織的・計画的な武力攻撃」が認められなければならず、中国もそれを熟知している。「警察力では防げず自衛隊は出動できない」というグレーゾーンを巧みに活用する可能性が極めて高いからだ。今回の政府の方針は、こうした隙を埋めるための実用的な案であり、評価できる。

隙間のない防衛力で抑止力を

安倍首相は4日、首相官邸で開かれた政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」に出席し、次のように挨拶した。
 「我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、このような法的な「隙間」があるとすれば、我が国に対する攻撃を未然に防ぐという「抑止」が機能しなくなります。それは国民を大きな危険にさらすということでもあります。こうした現状では、我が国の周辺の安全保障上の脅威に対応するために備えが十分とは言えません。我が国の安全保障に関する法的基盤をシームレスなものとし、あらゆる可能性について国民の生命と安全を考えた万全の体制を構築していくことが大切であります。」
 もっともな意見だ。これまで日本は、戦後70年近くの期間、一度も戦争を経験していない。もちろんその最大の原因は平和憲法にあるのではなく、米国の抑止力が強力だったからだ。ベトナムでは1974年に永興島を、フィリピンでは1995年にミスチーフ礁を中国に奪われた。いずれも米軍が撤退してすぐの事件だ。今や永興島には中国の軍事用の滑走路が建設され、ミスチーフ礁にはヘリポートなどの建造物が設置されている。日本はこれまで米国の傘によって守られてきたが、今後さらに中国の台頭が進み、米国の地位が低下すれば現状がいつまでも続くとは限らない。それに備え、隙間を埋めていく作業は着実に進められるべきである。

時代錯誤では国民を守れない

米国の「内向き」志向が目立っている。1月の一般教書演説では大半が国内経済について述べられ、外交や安全保障に触れたのは後半のごくわずかな部分だった。中国と北朝鮮の脅威については全く触れられなかった。これではオバマ大統領の「アジア重視」がどれほど本気なのか疑わしい。今後は、米国による抑止力が低下していく可能性も十分にある。安全保障政策を議論するうえでは、この大前提に対する理解が必要不可欠だ。
 昨年暮れの特定秘密保護法の制定に際して反対論者からは、「戦前の日本に戻そうとしている」「軍国主義にする気なのか」などと言った批判が見られた。時代錯誤も甚だしい。そもそも法令の内容に軍国主義化する可能性などないのだが、それにしてもなぜ今70年前の事象を持ち出さなければならないのか。昨年北朝鮮では穏健派の側近が粛清され、中国は日本の領土上空を含む防空識別圏を設定した。今我々が直視すべきは、「緊急事態」と言ってもいいほどに緊迫した「現在の」アジア情勢と国内体制である。
 安全保障ほどのリアリズムはない。対策を誤れば国民の生命や財産が失われていく。盲目的、センセーショナリズムな時代錯誤はやめ、いかに抑止力を効果的に高めていくか、建設的な議論を期待したい。

この記事は2013年12月25日に投稿されました。

安倍政権「三本の矢」は防衛政策の歴史的一歩だ

今後10年程度の外交・安全保障戦略の指針となる初の「国家安全保障戦略(安保戦略)」と、同戦略に基づく「防衛計画の大綱(防衛大綱)」、来年度から5年間の防衛力整備を定める「中期防衛力整備計画(中期防)」が閣議決定された。これらの三つは安倍政権による安全保障版「3本の矢」と言っていい。
 この3本の矢によって、日本の安保政策は戦後の一大転換を果たしたといえる。一部メディアは「憲法の平和主義を逸脱する危険な道」(北海道新聞)などと批判しているが全くの見当違いだ。日本の周辺では一方的に国際社会に挑戦を続ける中国や北朝鮮の危機が増大している。民主党政権時代に何ら有効な対応ができなかったことを考えると、むしろ遅すぎたぐらいだ。

安保戦略に積極的平和主義を明記

「国家安全保障戦略(安保戦略)」は、約10年先を見据えた最上位の戦略文書だ。安倍首相が提唱する「積極的平和主義」が基本理念に据えられている。これと対極の概念が「一国平和主義」だ。
 もはや日本が「一国平和主義」で国防を担うのは限界だ。日本は今やGDPで世界第三位の経済大国だ。これだけの国力を持ちながら「自国の平和だけを守る」という態度では国際社会の理解と協力は得られない。それが国際社会の常識だ。東日本大震災においても、米軍によるトモダチ作戦は、日本人の米軍に対する印象を好意的に変えた。海外の自衛隊に対する印象、日本の印象もしかりだ。
 安保戦略の基本理念には「国際社会の平和と安定、繁栄の確保に積極的に寄与する」と明記されている。大いに評価できる。安保戦略は他にも、平時でも有事でもないグレーゾーンへの対応や、武器輸出三原則の見直しなどにも言及している。いずれも早急に議論されるべき内容だ。

大改革で離島防衛に対応

安保戦略に基づいて改訂されたのが、長期的な防衛力整備に関する基本方針である「防衛計画の大綱(防衛大綱)」だ。今回の一番の特徴は、中国の海洋進出に対応し、最前線の南西諸島の防衛を固める路線を明確にしたことにある。
 日本の南西の島々を守ることは自衛隊にとっても難題だ。現在自衛隊では、離島の守りに必要な水陸両用の作戦を展開できる部隊(海兵隊的機能)は、西部方面普通科連隊の約700人だけ。海上の機動力も足りない。自衛隊は11月、離島防衛の大演習を行ったが、海の移動は民間船にも頼らざるを得なかった。
 昨年12月には中国機が領空侵犯したが、自衛隊はレーダーで捕捉できなかった。海上保安庁巡視船の通報で空自戦闘機が緊急発進(スクランブル)したが、すでに中国機は飛び去っていた。
 これに対して「中期防衛力整備計画(中期防)」では、能力の高い新型の早期警戒機などを4機取得するとした。5年以内に米軍の無人偵察機グローバルホークを導入することも決めた。陸上自衛隊においても、「創設以来の大改革」(産経新聞12月18日)を断行した。離島防衛では出番が限られる重くて運びにくい戦車を大幅に削減し、空輸ができる軌道戦闘車を戦車に変えて配置する。戦車のような火砲を備えながらタイヤで一般道を走行することもできる。今後5年間で99両導入する。
 また、輸送機のオスプレイを5年間で17機導入、水陸両用車も52両購入し、海兵隊的機能を持つ水陸起動団を数千人規模で新たに編成することも決めた。防衛大綱では、これらの陸海空の3自衛隊を一体運用する「統合軌道防衛力」構想が明記された。
 北東アジアの情勢は緊迫かつ複雑化している。その一因は、深刻な情勢を無視して「一国平和主義」に固執し続けてきた日本にもある。「積極的平和主義」を実現するのは今だ。

この記事は2013年10月25日に投稿されました。

武器輸出三原則の見直しは抑止力強化の必要条件だ

安倍首相が設置した諮問機関である「安全保障と防衛力に関する懇談会」が21日、外交と安全保障の包括的な指針となる「国家安全保障戦略」の概要をまとめた。政府は今後、概要を基に最終案をつくり、12月に新防衛大綱とともに閣議決定する。
 発表された戦略では、中国や北朝鮮の軍事力増強を「脅威」と位置付け、領域保全強化や海上安全保障の確保が打ち出されている。また、他国との防衛装備・技術協力を拡大する観点から、「武器輸出三原則」の見直しが明記された。

日米同盟に難題をもたらした武器輸出の全面禁止

武器輸出三原則は、1967年に佐藤首相が表明した政策だ。その内容は、①共産国、②国連決議により武器等の輸出が禁止されている国、③国際紛争の当事国又はそのおそれのある国に対する武器輸出を認めないとするものだ。
 しかしその後、三木首相はさらに、武器輸出の全面禁止を表明した。これによって日本は、多くの難題に直面することになる。
 「世界の警察」としての役割を果たさなければならない米国は、独自で軍事技術を開発することに限界を感じていた。特に技術レベルの高い日本に対しては、軍事技術の移転を盛んに求めた。三木首相の表明を守り続けるべきか、米国の要請にこたえるべきか。日本はその板挟みにあったのである。結局日本は、1983年に米国への武器技術供与を閣議で了解する。
 1990年代に入ると、北朝鮮のミサイル開発が深刻な問題となった。米国はミサイル防衛システムを早急に構築する必要に迫られたが、ここでも日本の技術は不可欠だった。日本はこの要請に応え、日米の共同研究を正式決定したが、米国はさらにこのシステムを国際的に展開すると決めた。
 日本が開発に携わった防衛システムが世界に輸出されるとなれば、武器輸出三原則に違反してしまう。しかし米国の要請を断ることもできない。結局日本は、ミサイル防衛の分野に関しては「武器輸出三原則等によらない」との決定を、官房長官談話の形で発表することにした。
 当時日本は、安全保障上の深刻な危機に瀕していたわけではなかった。しかし世界の紛争を収拾しなければならない米国の要請に、いかに応じるかという判断を迫られてきたのである。

日米同盟に難題をもたらした武器輸出の全面禁止

日本をとりまく安全保障環境はここ数年で激変した。その最大の原因は、中国の脅威が急速に高まっていることにある。これは米国からの要請ではなく、日本の防衛そのものの緊急的な課題である。
 中国の軍事的脅威に対抗するには、日本独自の防衛戦略の再構築が必要となった。現状の戦略では隙が多く、隙間のない対応を練り直さなければならない。しかしその実現には、日本の防衛産業による下支えがなければならない。ここで問題なのは、長年の武器輸出の全面禁止によって、肝心の防衛産業がすでに弱体化していることにある。
 日本国内では、縮小する装備品契約額を多くの企業が分け合っていた。採算は悪化し、多くの中小企業は撤退した。防衛産業基盤は、危機的な状況に陥っていたのである。
 世界では、拡大しつつあるテロや海賊行為の対策のために、装備品の開発強化が急がれている。しかし日本はこのニーズを取り込めない。まさに「ガラパゴス化」状態だ。
 日本の防衛を真剣に考えれば、武器輸出三原則の見直しは当然だ。防衛産業が衰退する中で、どうして防衛力を強化できるのか。また、安倍首相が打ち出している「積極的平和主義」の観点からも妥当だ。日本の高度な技術が世界の安全保障に貢献するのであれば、大いに奨励すべきである。

この記事は2013年10月4日に投稿されました。

日米2プラス2がガイドラインの改定を合意

日米両政府は3日、外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を東京都内で開いた。日本からは岸田外相と小野寺防衛相、米国からはケリー国務長官とヘーゲル国防長官が出席した。日米の4閣僚が日本で会談するのは初めてのことであり、安倍首相は「歴史的な意味がある」と強調した。
 会談では、自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力の指針(ガイドライン)を2014年末までに改定することで合意した。また会談後には、4閣僚が記者会見を開き、共同文書「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」を発表した。

中国に付けこまれているガイドラインの隙を埋めよ

日米同盟の強化を最も恐れるのが中国だ。現在中国は、尖閣諸島沖での領海侵犯を繰り返しているが、この原因の一つには、仮に尖閣諸島で紛争が起きても、日米の対応が明確になっていないことがある。
 現行のガイドラインでは、①平時、②日本に武力攻撃がなされた場合、③周辺事態における日米の対応が定められている。しかし、尖閣諸島など日本本土から遠く離れた島で紛争が起こった場合の対応は想定されていない。
 米国はこれまで、「尖閣諸島は日米同盟の適用対象にある」と繰り返し表明してきた。しかし実際に日米の行動や役割を決めるガイドラインには、「尖閣有事」の際の具体的な規定がない。外交専門家の間では、「尖閣有事には米軍は出動しない」といった見方もあるほどだ。
 中国がこの状態を熟知していることは間違いない。孫子の兵法には「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」とある。敵の弱点に付けこむのが中国の常套手段だ。残念だが、現在の日米同盟にはこうした中国が付けこむ隙が少なくない。むしろこの隙を利用し、日米の分断を図ろうとする動きすらある。
 その意味で、会談がガイドラインの改定を合意した意義は極めて大きい。その中身の中心が離島防衛の具体化にあるからだ。
 改定の作業は当初、数年はかかると見られたが、日本側の強い要請で2014年末までと期限が定められた。中国による挑発行為は急激に激化しており、賢明な判断だ。

集団的自衛権の行使容認が急務だ

しかし、ここには大きな問題が横たわっている。集団的自衛権の行使容認だ。政府高官は、「集団的自衛権の問題が決着しないと、日米の役割分担が詰められず、そもそも行使容認を反映しないガイドライン再改定は無意味だ」と指摘する。
 自衛隊の行動には制約が多く、自衛権を行使するには、他国からの「組織的、計画的な武力の行使」を受けることなど、厳しい条件がある。武装した外国人が離島に上陸して占拠しても、「組織的・計画的」だと認定されなければ、自衛隊は出動すらままならない。
 同様に、中国が明らかに尖閣強奪を目的とした軍事行動を開始しても、日本への攻撃が認められなければ自衛隊の出動は認められない。仮にこの段階で、米軍艦船が公海上で攻撃されればどうなるのか。集団的自衛権の行使が認められなければ、自衛隊は応戦することができない。これでは米軍が動くのは容易ではない。米軍の出動そのものがためらわれることになる。日米同盟が張り子の虎になってしまう。
 ガイドライン改定の合意について、ヘーゲル米国務長官は「意義深い一歩」と高く評価した。また、発表された共同文書には、安倍政権が進める集団的自衛権の行使容認や日本版NSC設置について、「米政府は、これらの取り組みを歓迎し、日本と緊密に連携していく」と明記した。
 今だ日本国内では、これらの動きに対する根強い反対論がある。毎日新聞などは、「集団的自衛権の行使容認には当の米国が懸念を示している」という論調だ。こうした中、共同文書が「歓迎」を明言した。反対論に与える影響は大きい。
 時間を遅らせるだけの不毛な議論は必要ない。安倍政権には「積極的平和主義」をぜひとも実現してもらいたい。

この記事は2013年9月25日に投稿されました。

集団的自衛権の行使容認、議論は年明け以降に延期

安倍政権は、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を来年春以降とする方針を固めた。
 首相は当初、早ければ年内に集団的自衛権の行使を容認したい考えだったが、経済最優先の意向とともに、連立を組む公明党が慎重姿勢を崩さなかったためだ。臨時国会では産業競争力強化法案や国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案、特定秘密保護法案など重要法案が多く、臨時国会後に本格的に取り組む方向だ。

「時代遅れの抑制」は取り除け

日本国内では「自衛隊は地球の裏側にまで言って戦争するのか」などの的外れな議論が盛り上がっているが、世界では常識的な権利である。
 国連憲章では、第51条で次のように明記されている。
「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」
 日本の同盟国は米国だから、集団的自衛権の行使とはすなわち、米国が攻撃を受けた際に日本が武力を行使することである。この状態について、当の米国はどのように考えているのだろうか。
 米連邦議員で、国防戦略の専門家であるアーミテージ氏らは、昨年「第三次アーミテージレポート」をまとめた。その中では、以下のような内容が指摘されている。(以下、海上自衛隊幹部学校HPより引用)

「中国の隆盛と不透明性、北朝鮮の核や敵対的活動、アジアのダイナミズムの兆候等、今目前にある情勢を踏まえつつ、世界で最も重要な同盟関係である『日米同盟』が瀕死の状態にある」
「力強くかつ対等な同盟の復活が要求されている」
「日本は今後とも『一流国』として国際社会で一定の役割を果たすべきである」
「自衛隊は日本で最も信頼に足る組織であるとの評価を明言する一方、『時代遅れの抑制』を解消することで、アジア太平洋地域における海洋安全保障上の戦略的均衡の要になり得る」
「『武器輸出三原則』緩和及び『集団的自衛権』容認の必要性等について言及している。」
「国連平和維持活動への参加については、(中略)派遣された部隊の法的権限の拡大(文民のみならず、他国のPKO要員、要すれば部隊の防護を可能とする権限付与)について言及している」

 すなわちこの報告書は、不安定化する東アジア情勢において日米同盟の強化こそが最大のカギであり、そのためには日本は武器輸出三原則や集団的自衛権を見直すべきだというのである。的確な情勢認識である。

包括的な容認が必要だ

ある自民党幹部は、「地球の裏側に行くようなことは許されない」などと主張したが、何が起きるかわからない軍事的な行動をあらかじめ縛ること自体がナンセンスだ。
 行使できるように憲法解釈を変えたら、必ず行使しなければならないというわけではない。米国の要請があったとしても、自衛隊を派遣するかどうかは政府がその都度判断するからだ。これは反対の立場でも同じことが言える。たとえば日本が他国から攻撃を受けた場合、原則的には米国は日本を守るが、そのためには日本が主体的な姿勢を示す必要がある。領土問題がからむ尖閣諸島への攻撃ならなおさらだ。シリア問題でも、国際法に反する化学兵器の使用という蛮行に対して、米国は武力攻撃を行わなかった。枠組みを変えただけで、即戦争が起きるというような無意味な論争はやめるべきだ。
 安保法制懇は、2008年に「4類型」については行使を容認すべきとの提言を行ったが、当時と比べても東アジア情勢はますます混迷の度合いを深めている。限定された事例に備えるだけでは平和は保てない。集団的自衛権行使は、「4類型」に限らず包括的に容認すべきだ。

この記事は2012年5月8日に投稿されました。

日韓防衛協定、ついに締結なるか

韓国国防部(日本では防衛省に相当)の金寛鎮(キム・グァンジン)長官が、早ければ今月末にも日本を訪問して田中直紀防衛相と会談し、日韓の間で軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジ・ソミア)と物品・役務相互提供協定(ACSA=アクサ)を締結すると発表した。日本側では、田中直紀防衛相が8日午前の記者会見で、これらの方針を明らかにした。この両協定は、日韓防衛協定と呼ばれている。
 日韓両国が正式に軍事協定を結ぶことになれば、1945年に韓国が独立して以来初めてのことになる。これまで日韓両国は、両軍事協定の必要性を十分に理解しつつも歴史認識や領土問題などが障壁となり、実現は難しいとされてきた。

日韓防衛協定とは

日本は米国との間に日米同盟を結び、韓国は韓米同盟を結んでいる。しかし、日本と韓国の間には軍事同盟は存在せず、これが安全保障において大きなネックになってきた。米国は、これまでに何度も、日韓両国が歴史認識問題や領土問題を乗り越え、軍事協定を結ぶべきだと提言をしてきた。これが実現すれば、中国や北朝鮮に対して非常に大きな抑止力になるからである。
 それでは、上にあげた二つの協定は具体的にどういう内容なのか、簡単に説明しよう。
 GSOMIA(ジ・ソミア)とは、二つの国が秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐための協定である。これが締結されれば、主に北朝鮮に関する軍事情報を日韓が共有できることになる。
 日本には、最先端の科学技術を駆使した情報収集システムがあり、韓国ではその情報を欲している。すなわちイージス艦や早期警戒機・空中警戒管制機などによる情報である。逆に韓国には、対北朝鮮HUMINT(ヒュ・ミント=スパイを含む人的ネットワークによって取得した情報)があり、日本はその情報を必要としている。これらの情報が日韓両国で共有されるようになれば、両国の安全保障は格段に強化されることになる。
 またACSA(アクサ)とは、同盟国の軍隊との間で物資や役務の相互利用を行う枠組みを定める二国間協定であり、国連平和維持活動(PKO)などで、後方支援面での協力ができるようになる。
 日本ではこれまでに米国と豪州との間にACSAを締結しており、韓国では、米国やニュージーランドなど約10カ国とACSAを締結している。

自由と民主主義を守るための日韓防衛協定を締結せよ

日韓では、昨年1月にソウルで両国の国防トップ会談が行われたときから締結を話し合ってきたが、実際には進展は見られなかった。その原因は、大半が韓国内における反日論によるものだったという。しかし、北朝鮮が人工衛星と称した事実上の弾道ミサイルを発射し、今後もさらなる威嚇攻撃を示唆するなどの不安定性が高まることによって情勢は一気に激変した。韓国内においても、早期にこれらの協定を締結することが望ましいというコンセンサスが形成されたというのだ。
 韓国内での議論は北朝鮮の不安定さによるものだが、日本としては今後の中国の軍事的脅威に対する備えとしての意味合いが非常に強い。もちろん日米同盟が今のところ中国に対する大きな抑止力になっているが、今後は日韓米の三か国同盟が結ばれなければ間違いなく軍事バランスが崩れることになる。
 中国の政治の核心には共産主義があり、共産主義には明確な覇権主義と世界制覇の意思がある。この野望を阻止するには、自由と民主主義を守る国家群が協力して中国に対する包囲網を築き、共産主義の脅威に対抗しなければならない。
 そのため国際勝共連合では、かねてから日韓防衛協定の締結を訴えてきた。そして、それがいよいよ締結される可能性が高まってきた。ぜひこれを実現させ、日韓米が自由と民主主義を守る世界的な砦となることを期待したい。

この記事は2011年9月16日に投稿されました。

米国危機と安保戦略の再構築

9・11同時多発テロ事件から10年。米国はテロとの戦いで、6000人の兵士を犠牲にし、1.3兆ドル(約100兆円)もの戦費を費やした。テロとの戦いが財政を悪化させ、2008年のリーマンショックへの対応が追い打ちをかけた。失業率は9%台で高止まり、景気も回復の兆しを見せない。今年8月5日には、史上初となる米国債の格下げを招いた。米国の財政危機は深刻な状況に陥っている。
 オバマ大統領は9月8日、上下両院合同会議での演説で「国家的危機」を訴え、総額4470億ドルの新たな景気雇用対策を打ち出した。

米国の国力低下と中国の国力上昇

世界経済に占める米国GDPの比率を見ても、9・11前年の2000年は31%、2010年は23%である。(ストックホルム国際研究所資料)国際競争力順位も2000年は1位、2010年は4位に下落している(スイスの世界経済フォーラムの判定)。
 クリントン元大統領が一般教書演説で「我が国は史上最強の状態にある」と宣言したのは2000年1月のことだが、この10年で、米国は「史上最強」の状態から「国家的危機」の状態へ移行したのだ。
 米国が国力を低下させたのに対し、この10年で国力を増強したのが中国だ。中国はこの10年でGDPの世界経済に占める比率を5%以上伸ばし、世界第2位の経済大国となった。
 米国の国力低下と中国の国力上昇、それを象徴していたのが、8月18日に北京で行われたバイデン米副大統領と周近平国家副主席との会談だった。中国は米国債を1兆1000億ドル以上保有する世界一の米国債保有国(債権国)だが、それを背景に周近平氏はバイデン氏に対して強気の外交姿勢を見せた。
 国営新華社通信は「中国は最大の債権国として、米国の構造的な債務問題への対処や中国のドル資産の安全確保を求める当然の権利を有する」と主張。その上で、巨額の軍事費と社会保障費を削減しなければ、さらなる国債の格下げを招く」と財政再建の一環として、米国に軍事費の削減を求めた。(8月19日 読売新聞)
 今後の米中関係は中国が米国と対等な立場で注文をつける場面が増えていくとみられている。

米国の軍事力削減を見据えた安全保障戦略の構築を

米国の国防予算削減という内政事情が、日本の安全保障にも直接的な影響を及ぼし始めている。米政府が沖縄に駐留する海兵隊8000人のグアム移転の内容を、司令部中心から戦闘部隊中心に切り替えるというのだ。司令部移転の場合には、家族住宅、医療施設、娯楽施設、下水道整備などで膨大な経費が必要だが、独身者が大部分を占める戦闘部隊を移転させれば、こうした施設を作らずに移転できるという理由からだ。当然、戦闘部隊が沖縄から減る分、抑止力が弱まるとの懸念も出ている。(9月15日 読売新聞)
 日米同盟が日本外交の基軸であり、日米同盟深化が現在の日本の安全保障政策の最優先事項であることに変わりはない。しかし、米国の軍事力削減を見据えた上で、長期の安全保障戦略も同時に構築していかなければならない。自由アジアの平和と安全はアジアの国々が結束して守っていく、そういう気概を持たなければならない。

この記事は2011年8月16日に投稿されました。

広島・長崎原爆忌─「核抑止力」こそ平和を守る

思想新聞8月15日号に掲載されている「主張」を紹介する。

広島は8月6日、長崎は9日に66回目の「原爆の日」を迎え、犠牲者に鎮魂の祈りが捧げられた。今年は福島第一原発事故で多くの人々が避難している最中の原爆忌である。広島と長崎の経験を収束・解決に役立ててもらいたい。一部に事故の脅威を煽り、それをもって「反核」に利用しようとする動きがあるが、乗じられてはならない。

日本への核脅威は中朝露3カ国から

核戦争の惨禍を招かない、招かせないために何が必要なのか、我々は世界の核を巡る現実を冷静に見ておかねばならない。
 世界の核保有国は米国、ロシア、英国、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエルの8カ国で、北朝鮮が核配備に動き、イランが核開発を進めている。世界の核弾頭数は冷戦末期の1980年代後半の6万9369発から今年1月段階で2万5300発にまで減少した。
 今年2月には米露間で新戦略兵器削減条約が発効した。これによって戦略核弾頭が3割削減される。とは言え、老朽化した核弾道を減らすだけとされ、お互いが何度も核兵器で破壊し合える「多すぎる上限」を下方に移したにすぎない。厳しい現実が続いている。
 では、わが国にとって核の脅威はどこからくるのか、このことを見据えておかねばならない。脅威とは意図と能力の総和である。したがって脅威を知るには、わが国に核攻撃を仕掛けようとする意図と能力を持つ国を知らねばならない。
 それは共産主義の中国と北朝鮮、強権国家ロシアの3カ国にほかならない。米英仏の自由諸国は価値観を共有する同盟・準同盟国であり、日本攻撃の意図を持っていない。これに対して中朝は日本を敵国と位置づけ、ロシアは北方衛士の不法占拠を続けようと、日本に核の矛先を向ける意図と能力を有する。だから脅威なのである。
 とりわけ軍拡著しい共産中国は、推定250発の核弾頭を保有し、自由諸国に照準を当てている。日本本土に対しては北朝鮮の国境に近い吉林省通化にミサイル基地を置き、車両で移動できる「東風21」(射程1800㌔)など24基の弾道ミサイルをもって日本の主要都市に狙いを定めている。
一方、核開発を進める北朝鮮は射程1300㌔の中距離ミサイル「ノドン」が日本全土を射程圏内に収めるほか、最近、射程3200㌔~5000㌔の新型ミサイル「ムスダン」を配備した。ミサイル搭載可能な核弾頭小型化に成功したとされ、核の脅威は一段と高まってきた。
それだけに中朝露の核兵器を使わせないことがわが国の安全保障の最重要課題になる。たとえ意図と能力があっても手出しできないようにしておくことが肝要なのだ。それが「核の傘」であり、「核抑止力」である。
遺憾ながら、世界は「相互確証被壊」で平和が保たれている。一方が核兵器を使えば報復され、最終的に双方が必ず破滅するという心理状態のもとで互いに核兵器の使用をためらわせるのが相互確証破壊である。したがって本革核の脅威に対抗するには核武装するのが理屈である。
しかし、戦後日本ではそれをやらず、日米同盟を結び、米国の「核の傘」のもとで中朝露(旧ソ連)の核使用を阻止してきた。非核三原則(作らず、持たず、持ち込まず)を掲げ、米国の「核の傘」に依存してきた。
だが、21世紀の今日、果たしてそれで十分だろうか。今、問われているのは米国の「核の傘」のへの信頼性である。日本に核の矛先を向けられようとした時、米本土への核攻撃を覚悟してでも「核の傘」を提供できるのかとの疑問である。
この疑問を解消するには、「持ち込まず」を改める必要がある。1960年の日米安保条約の改定の際、「核を積んだ米が艦船の寄港、領海通過や米軍機の飛来は事前協議の対象外とする」との密約があったとされるが(日本政府は否定)、寄港や通過を持ち込みの対象外とするのが当然で本来、「持ち込まず」の範疇に入らない。この際、正々堂々と認めるべきだ。自民党が寄航・通過を認める2・5原則を打ち出したのは正鵠を得ている。

「持ち込み」で有事に自国核に

だが、それだけでも足らない。「持ち込まず」をやめ「持ち込む」の政治決断を下し、確固たる核抑止力を示すべきである。有事に米国から核弾道の譲渡を受ける「核兵器共有政策」(独伊など欧州非核五カ国採用)の導入も検討すべきだ。そうすれば有事には日本の核となり、抑止力を確固たるものにできる。敵基地攻撃能力も保持しておくべきだ。
 同時に脅威の源泉である共産国の意図を消滅させる必要がある。それには共産主義を終焉させ、独裁覇権主義から民主主義に転換させることである。すなわち勝共こそ真の平和を構築する道である。このことを原爆忌に改めて想起しておきたい。

この記事は2011年8月1日に投稿されました。

米サイバー戦略─日本も安全保障の要に据えよ

思想新聞8月1日号に掲載されている「主張」を紹介する。

米国防省は7月14日、初のサイバー戦略を発表した。サイバー空間を陸、海、空、宇宙と並ぶ新たな「作戦領域」と位置付け、米軍のサイバー防衛能力を増強するもので、同盟国に対して共同監視システムの構築など連携強化を目指す。今やサイバー攻撃は安全保障を脅かす「軍事攻撃だ。わが国も安保戦略の要に据えるべきだ。

中国と北朝鮮が米日韓を標的に

サイバー攻撃は増加の一方だ。米連邦議会の政策諮問機関「米中経済・安全保障調査委員会」は昨年11月、中国当局が米国などへのサイバー攻撃を組織的に行っている実態を明らかにする対中年次報告書を発表したが、それによると中国政府や共産党、民間組織などが高度の方法で外国のシステムに侵入している。
 昨年初めには米国大手ネット企業グーグル社が「オーロラ作戦」と呼ばれるサイバー攻撃を受け、米国の金融、化学、メディアなど計33企業のグーグル系電子メールに侵入され、知的所有権を含む大量の秘密情報が中国側に盗まれた。今年3月には国防総省のネットワークに侵入され、国防関連のデータを含む2万4千個のファイルが盗まれた。その中には戦闘機や潜水艦などに関する機密情報も含まれており、リン米国防副長官は「国家による犯行だ」と断定している。
 こうした事態を受け米国は09年に国家サイバーセキュリティー・通信統合センターを設置、昨年5月には米軍コンピュータ網の防衛を任務とする「サイバー司令部」をワシントン近郊のフォートミード陸軍基地に約1000人規模で新たに設置した。加えて今回、「作戦領域」に格上げし、本格的な対サイバー戦略に乗り出すわけだ。
 新戦略は、サイバー空間を新たな作戦領域と規定し、センサーやソフトウエアを利用してサイバー攻撃を水際で防ぐシステムを導入するなど米軍ネットワークの防衛体制を強化、サイバー攻撃による障害が起きた場合の防衛力を高め、作戦への影響を防止するバックアップシステムも構築するとしている。
 さらに日本や北大西洋条約機構(NATO)などの同盟国とサイバー攻撃に対する共同警戒
システムを開発し、合同訓練を実施するなど共同防衛体制の構築を目指す。また兵器や防衛関連企業などのネットワークを守る民間協力も拡大。軍が電力の99%を依存する民間の電力会社なども防衛の対象に含む。
 サイバー攻撃の被害を受けているのは米国だけではない。韓国は今年3月、北朝鮮からのサイバー攻撃にさらされ、大統領府や外交通商笥国防省や韓国軍と在韓米軍、銀行など40ヵ所のウェブサイトが「DDoS攻撃」(分散型サービス拒否)を受け、一部の企業サイトが接続不能になった。また北朝鮮は韓国の衛星利用測位システム(GPS)をかく乱する電波を発射し、ソウル首都圏の西・北部地域で受信障害が発生した。
 わが国に対するサイバー攻撃は今のところ中国が主だ。昨年9月、尖閣諸島でわが国の巡視船に体当たりした中国漁船の船長が逮捕された直後には中国のハッカー集団が日本へのサイバー攻撃を呼び掛け、警察庁のホームページがダウンした。
 サイバー攻撃を甘くみてはならない。北朝鮮はGPSかく乱装置を使って米国製の巡航ミサイル「トマホーク」や韓国製の巡航ミサイル、統合直接攻撃弾(JDAM)などを標的にしている。03年のイラク戦争では、イラク軍が同装置を使ってGPSで誘導される米国の統合直接攻撃弾に電波妨害を起こし、民間市場を誤爆させ、多くの民間人死傷者が発生した例がある。サイバー攻撃は軍事攻撃そのものなのだ。
国際テロ集団によるサイバーテロも想起しておく必要がある。軍事関連施設だけでなく、重要インフラも狙われるからだ。

原発へのサイバー攻撃も危険度高い

とりわけ①情報通信②電力システム③ガス・石油備蓄運搬④金融機関⑤運輸交通機関⑥水道供給システム・医療・警察・消防・救助など緊急サービス⑦政府活動の8分野の危険度が高い。いずれもコンピュータ管理されており、データが破壊、改ざんされると国民生活が破壊されるからだ。
例えば原発の電力喪失がいかなる事態を招くかは福島第一原発事故で目の当たりにした。銀行や証券取引システムに侵入し、かく乱すれば、金融システムが崩壊し大混乱に陥るほか、航空管制システムのコンピュータ・システムに入り込みデータを改ざんすれば、民間航空機の衝突もあり得る。新幹線のコンピュータ・システムに入って速度を変更し、大事故を起こすことも考えられる。
 あらゆる事態を想定して国家安全保障に臨まねばならない。米国のサイバー戦略を座視せず、わが国もサイバー戦略を構築し国民の暮らしを守るべきだ。

この記事は2011年2月17日に投稿されました。

旧暦元旦、「北方領土の日」に新宿駅西口で遊説

国際勝共連合は国際共産主義や文化共産主義の攻勢に勝利すべく、各地で情宣活動を展開しているが、本部遊説隊は旧暦の元旦に当たる2月3日午後、東京・新宿駅西口において情宣カーから定例の遊説活動を実施した。中国をはじめアジアの人々にとって旧正月は新暦正月より祝賀する日であり、新宿駅界隈にも多数の在日中国人や観光客が祝っている。こうした人々に対して遊説隊は中国の覇権主義の脅威を指摘し、中国が共産主義の縄目から解放されて初めて真の日中友好が実現すると訴えた。
 翌週2月7日の「北方領土の日」においては同じく東京・新宿西口で、遊説テーマを北方領土のロシア不法占拠に絞り、北方領土の4島一括返還を強く訴えた。今回、遊説に立った東京都本部事務局メンバーは「昨年11月のメドベージェフ大統領の国後島訪問など、北方領土へのロシア側の実効支配は強まっている。このまま不法占拠の固定化を許すことはできない。我々日本人は北方領土の領有権を絶対にあきらめてはいけない」と強調した。駅前を行き交う人の中には立ち止まって聞き入り、拍手をして賛同の意を評する人もいた。戦後66年、旧ソ連の侵攻により北方4島から強制移住させられた1万7千人の元島民の高齢化が進み、問題の風化が危惧されている。北方領土問題の最大の敵は国民の無関心と政治の妥協である。国際勝共連合遊説隊は、我々の父祖が血と汗と涙で開拓した北方領土を取り戻すため、国民啓蒙活動を続け、政府の粘り強い対応を求めていくものである。

(写真)
東京・新宿西口にて遊説する本部遊説隊・情宣カー

2011年2月17日

この記事は2011年2月9日に投稿されました。

米国の「宇宙防衛戦略」に日本も参加せよ

米国防総省は2月4日、宇宙産業の合理化と開発支援強化を盛り込んだ初の「国家安全保障宇宙戦略」を発表した。中国の衛星攻撃能力を念頭に置いており、中長期の対処方針を示したもので、引き続き宇宙空間での軍事的優位を維持、拡大することが狙いだ。それによって米本土と日本など同盟国に対する防衛力向上を図っていくとしている(産経新聞2月6日付)。同戦略は、「仮想敵国が(ミサイル防衛計画や偵察衛星などに関する)米国の宇宙戦略の弱点を探っている」と指摘し、戦略環境と戦略目標、戦略アプローチの3点を強調、ロッキード・マーチン社やノースロップ・グラマン社など米宇宙・軍事産業に対して政府がテコ入れし、米国の宇宙開発能力を向上させていく。仮想敵国とは2007年1月にキラー衛星による撃墜実験を成功させた中国を指すことは論をまたない。同戦略は20世紀の「米ソ宇宙開発競争」に続く21世紀の「米中宇宙戦争」を想定しているのだ。日本は中国の宇宙覇権を阻止し、自国の平和と安全を守るために米国の宇宙防衛戦略に加わるべきである。

中国「キラー衛星」が米国や日本の衛星を狙っている

想起しておくべきは、中国が世界のタブーを破ってキラー衛星(衛星攻撃兵器)の実験を行い、宇宙戦争への軍拡姿勢を露わにしていることだ。1980年代にレーガン米政権が冷戦を勝ち抜くためSDI(戦略防衛構想)の中で「キラー衛星」の配備を検討したことがあるが、技術競争に敗北したソ連がペレストロイカ路線に転じて崩壊、それ以降、米国もSDIを中断し、宇宙軍拡はタブーとなっていた。それを中国は破った。中国がキラー衛星の実験を行なったのは2007年1月11日のことである。四川省西昌市にある宇宙センターから衛星破壊弾道弾を搭載した中距離弾道ミサイルを発射し、高度850キロにある自国の老朽気象衛星「風雲1号C」を破壊した。この打ち上げに使われたのは商業用ロケット「開拓1号」である。これは移動式中距離弾道ミサイル「東風21号」を商業用に転用した4段式ロケットで、中国が民間と軍を一体化させて宇宙軍拡に乗り出した証左とされた。米科学者団体によると、衛星破壊で他の衛星に危害を与える1ミリ以上の破片(宇宙ゴミ)が200万個発生し、今後10年間、宇宙空間を漂うとしている。中国は宇宙軍拡の脅威だけでなく宇宙の環境破壊にまで手を染めたのである。気象衛星やGPS(全地球測位システム)をはじめ、さまざまな衛星が日常生活に直結している。これを破壊するキラー衛星の脅威は想像に絶すると言うほかない。
 米連邦議会の諮問機関「米中経済・安全保障見直し委員会」の報告書によると、中国は秘密裏に開発した兵器システムで米衛星を奇襲する計画を持っており、ミサイルによる衛星破壊のほか、電話妨害や地上局破壊なども予想されるという。GPSも標的対象で「50基の衛星に対して攻撃を仕掛けられた場合、米国の市民経済にも壊滅的な悪影響を及ぼす」と指摘している(読売新聞2007年1月20日付夕刊)。とりわけ懸念されているのは米軍が目くらまし状態に陥ることである。米軍の軍事行動の大半が偵察衛星や通信衛星に依拠しているからだ。それは湾岸戦争やアフガニスタン戦争、イラク戦争で顕著に見られたもので、「ネットワーク・セントリック・ウォーフェア(NCW)」(ネットワーク中心戦争)と呼ばれるものである。さらに米軍は最新通信機器を駆使して無人兵器や精密誘導兵器による新たな攻撃システムの構築を目指している。それだけに中国のキラー衛星は米国の軍事機構の中核を破壊し、重大な脅威を与える。むろん、わが国の衛星も標的にされ、安全保障や日常生活に致命的打撃をこうむる。

ソ連そっくりの宇宙軍拡コースを歩む中国

中国の宇宙開発は有人宇宙船「神舟」を始め、すべて国防部門で進められていることを忘れてはならない。2006年版中国国防白書は「今世紀半ばまでの情報化された軍建設の完成」を掲げ、「宇宙を制し、情報で優位に立つ者が、主導権を握る」(党学校機関紙『学習時報』)とし「宇宙技術領域で絶対的な覇権国」(『環球時報』)を目指すとした。それ以降、宇宙軍拡にひた走っている。この姿は旧ソ連とそっくりである。ソ連は1957年に人類初の人工衛星「スプートニク1号」、61年に人類初の有人衛星「ボストーク1号」の打ち上げに成功すると、ただちに衛星攻撃兵器の開発に乗り出した。1968年10月に打ち上げたコスモス249は、周回軌道の2週目で前日に打ち上げたコスモス248に接近、爆発・消滅させた。同11月から12月にかけて同様の衛星破壊実験を7回も繰り返し「ソ連はキラー衛星を作っている」として西側諸国を震撼させた。さらに1970年代には地上から衛星を破壊するレーザービーム兵器の開発にも本格的に乗り出した。レーガン米政権のSDIはこれに対抗するものだった(SDI構想については1月27日付「オバマ一般教書演説」参照)。
 このソ連の宇宙軍拡を中国はそっくり辿っている。2003年10月に初の有人衛星「神舟5号」の打ち上げに成功すると、次にはキラー衛星実験を行った。06年秋には米国の軍事偵察衛星が中国領内からレーザー照射を受け、中国のレーザービーム兵器開発が確認されている。ソ連の場合はIT技術で米国に大きく遅れ結局、軍拡競争に敗れて崩壊した。だが中国の場合は、市場経済を背景にIT技術を西側諸国からそっくり移転(強盗だ)させている。中国の宇宙軍拡はソ連以上に危険なのである。

オバマは本気で宇宙戦略をやり遂げられるか

だから、オバマ政権が初の「国家安全保障宇宙戦略」を発表し、中国のキラー衛星対策に乗り出したのは当然のことだ。だが、問題はオバマ大統領がレーガン氏のように本気でやり遂げようとするかである。先の一般教書演説でオバマ大統領は「今は、私たちの世代にとって、スプートニクの時なのである」と訴え、そうした精神で米国経済危機を克服すると誓った。これに対して、言っていることと、やっていることがまったく違う、と保守言論界から痛烈な批判が浴びせられている。ワシントンタイムズは「オバマ大統領のとぼけた一般教書演説」(1月26日付社説)と皮肉る。「オバマ政権下で航空宇宙局(NASA)は、月に戻るための計画を打ち切り、その他の大部分のプログラムの規模を縮小した。しかし、宇宙における競争は生きているし、健在である。昨年10月、中国は無人探査機を着陸可能な地点を探るために月に送った。中国はこの10年以内に有人月面着陸を成功させようとしている。オバマ政府は中国政府のご機嫌取りに最善を尽くしたが、中国政府の方は、その見返りとして、米国の技術と自由市場をうまく利用した揚げ句、米国を尊大な態度であしらった。もしかすると、赤旗が月面にはためく時に、米国は真のスプートニクの時を迎え、ほかの人類が大きく飛躍しているのに、米国だけが、辛うじて遅々とした歩みに甘んじている、ということを悟って、衝撃を受けることになるのかもしれない」と述べている(世界日報2月2日付)。
 そればかりかオバマ政権はEU(欧州連合)と宇宙ゴミ対策を進めるために衛星破壊兵器の使用制限をめぐって交渉を進めており、国防総省に「宇宙活動に関する行動規範」への加入を求めている。宇宙ゴミを防ぐのは歓迎されるが、「行動規範」によって米国の軍事面の宇宙戦略に足かせがはめられる可能性がある。そうなれば米欧だけが行動規範を守り、中国は野放しとなる。それで「国家安全保障宇宙戦略」が推進できるのか、疑問を残す。

戦後体制の縛りから解放し宇宙防衛戦略の構築を

いずれにしても日本にとっても他人事ではない。宇宙の軍事利用に躊躇している時ではない。宇宙においても日米同盟を深化させねばならない。そのためには武器輸出3原則や集団的自衛権行使禁止といった、あほらしい縛りから日本を解き放たねばならない。わが国にも宇宙防衛戦略が不可欠だ。

2011年2月9日

この記事は2011年2月7日に投稿されました。

北方領土の日 ロシアは不法占拠認め即時返還せよ

2月7日は「北方領土の日」である。政府は昭和56年(1981年)に2月7日を「北方領土の日」とすることを閣議了解したものである。由来は安政元年(1855年)に日本とロシア(帝政ロシア)との間で日露和親条約(下田条約)が結ばれ、初めて国境の取り決めが行なわれた日だからだ。同条約によって北方4島は日本の固有の領土とロシアは正式に認めた。だが現在、わが国の北方領土返還の悲願と潰そうとばかりに、ロシアの北方領土への攻撃的姿勢が強まっている。昨年11月にメドベージェフ大統領が北方領土を訪問した後、シュワロフ第1副首相やバサルギン地域発展相らが相次いで訪問、今年1月にはブルガコフ国防次官が国後、択捉の両島を訪問し、駐留兵士の生活改善や燃料補給の増強を表明した。そして2月4日にはセルジュコフ国防相が北方領土の択捉島、国後島を訪問、現地に駐留する機関銃・砲兵師団を視察した。択捉、国後、色丹の各島には戦車や装甲車などで重武装する約3千人の機関銃・砲兵師団が駐留している。ロシアが政府一丸で北方領土の実効支配を進めようとしているのだ。日本国民はいかなる実効支配も容認しない。日本固有の北方領土の即時返還を強く要求するものである。
 北方領土は過去に一度足りとも外国に侵害されたことのない、わが国固有の領土であることは自明のことである。以下にそのポイントを示しておこう。

江戸期から日本の固有の領土であり、ロシアもそれを認識していた

正保元(1644)年に徳川幕府が作成した正保年度日本全図には松前藩が提出した自藩領地図が掲載されており、それには千島列島と北方領土39島の島名が刻明に書きこまれている。ロシアが同地域に始めて接触したのは1713年のことで、日本人船乗りを案内人とした探検家ゴジレフスキーが北千島に住む日本商人から金属を入手したと報告書に記載しており、それまでロシアは千島、北方領土、樺太と一切関わっていない。ロシアは北方4島を日本領と認識した。

下田条約(日本・魯西亜通好条約=いわゆる日露和親条約)でロシアは北方領土を日本固有の領土と正式に認めた。

安政元(1855)年、日本・魯西亜通好条約(下田条約)が締結されたが、同条約2条において「日本国と魯西亜との境を『エトロフ』島と『ウルップ』島との間に在るべし、『エトロフ』全島は日本に属し『ウルップ』全島より北の方『クリル』諸島は魯西亜に属す、『カラフト』島にいたりては日本国と魯西亜との間に界を分たす是迄の仕来の通たるべし」と明記し、得撫(ウルップ)島以北の千島諸島はロシア領、樺太は境を決めず日露の混在地とした。北方4島が日本の固有の領土であることをロシアが正式に認めたのである。

樺太・千島交換条約でも北方領土が日本固有の領土であることは不変だった。

江戸幕府は樺太の境界談判を行ったが、ロシアは強硬に拒否。明治政府はこれを引き継ぎ、結局、全樺太と全千島列島交換を合意。明治8(1875)年5月、交換条約が成立した。これで下田条約によって失った千島諸島を取り戻せたが、樺太を放棄する代価を支払った。北方4島は日本固有の領土なのでまったく交渉の対象になっていない。

ポーツマス条約で樺太の北緯50度以南が日本領土になった。北方4島は日本の固有領土なので交渉の対象外だった。

明治38(1905)年9月、米国ポーツマスにおいて日露戦争の講和条約が小村寿太郎とセルゲイ・ウィッテの間で調印された。「ロシアは樺太の北緯50度以南の領土を永久に日本へ譲渡する」とした。これによって樺太南部が日本に復帰した。千島列島と北方領土は日本領であることに変化はなかった。

カイロ宣言とヤルタ協定は日本には何ら関係ない他国の秘密協定で、わが国はそれを根拠に領土を略奪される謂れはない。

1943年11月、ルーズベルト米大統領、チャーチル英首相、蒋介石中華民国総統の3首脳がカイロで会談、領土不拡大の原則に立って戦争や力を背景に獲得した領土を認めないとともに領土を拡大する意志がないことを明らかにした(カイロ宣言)。宣言は日本が第1次大戦後に得た領土についての処理方針を示した。したがって第1次大戦以前に日本領であった南樺太・千島はその領有が暴力や貪欲でなく宣言に該当しない。日本に対する降伏の勧告としてのポツダム宣言では「カイロ宣言の条項は履行せらるべく」と明記されており、ソ連はカイロ宣言には参加しなかったが、スターリンはこの主旨を全面賛成した上でポツダム宣言に加わっているので当然、ソ連も拘束する。戦勝国だからといって領土拡大は断じて許されないところである。
 ところが1945年2月、クリミヤ半島のヤルタにルーズベルト、チャーチル、スターリン・ソ連首相がヤルタ協定と呼ばれる密約を結んだ。ドイツが降伏しヨーロッパにおける戦争が終結した後、ソ連が2、3カ月経て日本に参戦する条件として①1904年の日本の背信攻撃によって侵害された樺太南部、及びこれに隣接する全ての島嶼はソ連に返還される②千島列島は「ソヴィエト」連邦に引渡される-とした。ソ連は満州におけるさまざまな権益も要求した。ヤルタ協定でのソ連の要求は領土不拡大とした大西洋憲章やカイロ宣言の原則を踏みにじるものであり、幕末期の列強諸国の帝国主義そのものである。同協定は各国が批准していない個人的密約であり、国際法上、何ら正当性が認められない無効のものである。

北方領土はポツダム宣言受諾によっても放棄していない。ソ連は国際法を破って不法・蛮行で北方領土を略奪した。

1945年8月、日本はポツダム宣官を受諾した。同8条は「カイロ宣言の条項は履行されるべき。また日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに吾等の決定する諸小島に限られなければならない」とした。当宣言によってわが国は4島とその周辺の小島のみの国土となり、琉球列島、小笠原群島等は米国の信托統治になった。千島・南樺太も当然、同様になるべきものであるが、ソ連はただちに国内法のもとに沿海州に組み入れてしまった。そもそもロシア革命後、ソ連政府は1924年5月に国際連盟に対して「1904年、日本の水雷艇が旅順のロシア艦隊を攻撃したことは法律的見地からは明らかに侵略的行為であるが、政治的にいえば、それは帝政ロシアの日本に対する侵略政策によって引き起こされた行為である。日本としては予め危険を避けるがため、その反対者に最初の一撃を加えたのである」との通告を行った。さらに1925年1月、北京で日ソ基本条約を結び、同2条においてポーツマス条約の効力が継続していることを認め、帝政ロシアが南樺太を日本に返したことを正当な行為として認めた。
 1941年には日ソ中立条約を締結し相互不可侵を取り決めたが、広島に原爆が落とされた直後の1945年8月8日深夜、ソ連はいまだ有効であった同条約を一方的に蹂躙し、翌8月9日未明に南樺太の国境を突破して侵略を開始した。わが国がポツダム宣言を受諾し、武装解除を受け入れた8月15日以降も武力行使を続け、8月22日に樺太全島を占領。千島には8月18日に侵入し得撫島まで一挙に占拠した。択捉島以南の北方領土に米軍がいないことを確認すると、8月28日に択捉島に上陸、4島を武装占領した。わが国は9月2日、東京湾上のミズリー号において降伏文書に調印したが、すでにポツダム宣言受諾をもって8月15日に終戦となっていた。にもかかわらずソ連及びロシアは9月2日を「第2次大戦終結の日」とし、この間の蛮行を正当化しようとしている。何を言おうが領土不拡大とした大西洋憲章やカイロ宣言の原則を踏みにじった蛮行は消せない。

サンフランシスコ講和条約でも北方領土は日本の固有の領土であり、けっして放棄していない。南樺太・千島列島は放棄したが、ソ連は同条約に加わっておらず、同地域の占領は国際法上、まったく根拠のない不法占拠であり、わが国はその帰属先について国際社会に問題提起すべきである。

降伏後、わが国は連合国の支配に置かれたが、1946年9月、連合国との間でサンフランシスコ講和条約を結び独立を果たした。条約には49カ国が署名した。同条約によってわが国は「主権を持っていた千島列島・南樺太の権利、権原及び請求権」を放棄した(同2条)。北方4島は歴史的かつ日露間の過去の条約からも明らかなように千島列島には入っておらず、わが国固有の領土であり、放棄した島々では決してない。ソ連は同講和会議において「日本における外国軍の条約締結後即時撤退」「日本が外国と安全保障条約を結ばない」「日本の防衛力に制限を加える」「中共を連合国が承認する」等の条件を呑まない限り日本の独立を認めないとして会議の無効を唱え署名しなかった。同条約はソ連が3年以内であれは同条約に参加し、同一内容の条件で2国間の平和条約を結ぶことができるとしたが、ソ連は先の主張に固執し3年が経過した後も2国間条約を結ぼうとしなかった。従ってソ連は千島列島・南樺太に対する権限を一切失ったことになる。
 わが国はサンフランシスコ講和条約において帰属先未決定のまま千島列島・南樺太を放棄したのである。同条約に署名しなかったソ連には何ら権限はない。ソ連はマッカーサー連合軍総司令官がソ連に日本軍の降伏受理をまかせた「一般命令第一号」を占有の根拠を置いているが、このことは自ら「戦時占領」を認めていることを示している。千島・南樺太の帰属先についてもわが国は国際社会に問題提起すべきである。

日ソ共同宣言で領土問題が存在していることを認め、歯舞群島と色丹島の2島を平和条約締結後に返還するとした。

講和条約を結ばず戦争状態にある日ソ両国は1955年10月、日ソ共同宣言を結び、「日ソ両国間の戦争状態は、この宣言が効力を生ずる日に終了し、両国間に平和及び友好善隣関係が回復」するとし、戦争の終結と国交回復を行った。だが、懸案の国境画定(領土)問題は残され、「日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」とした。この約束も1960年の日米安保条約の改定交渉期に入ると、「ソ連邦は、極東における平和機構を阻害し、ソ日関係の発展にとって支障となる新しい軍事条約が日本によって締結されるような措置を黙過することはもちろんできない」として、日本に外国軍隊が駐留する限り先の歯舞、色丹も返すことができなくなったと言い始めた。日ソ共同宣言が締結された当時もすでに日米安保条約は存在し、米軍も駐留していたのだから、全く矛盾した論理である。以降、冷戦下で条約締結・領土交渉はまったく進まなかった。

ソ連崩壊後にエリツィン大統領は領土問題の交渉を進めることで合意し、プーチン大統領も日ソ共同宣言の有効性を表明した。

ソ連崩壊後の1993年にエリツィン大統領が来日し、「日露間に関する東京宣言」が発せられた。同宣言は「(日露首脳は)困難な過去の遺産は克服されなければならないとの認識を共有し、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題について真剣な交渉を行った。双方は、この問題を歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決することにより平和条約を早期に締結するよう交渉を継続し、もって両国間の関係を完全に正常化すべきことに合意する」とし、日ソ共同宣言を認め領土問題を話し合う考えを鮮明にした。また2000年にプーチン大統領が来日した際、「56年宣言(日ソ共同宣言)は有効であると考える」と発言した。2001年の日露間の「イルクーツク声明」では日ソ共同宣言の法的有効性が文書で確認された。2009年2月にはメドベージェフ大統領が麻生首相と会談した際、「型にはまらない独創的アプローチで領土問題解決を目指す」と表明し、独創的アプローチの中身は明らかにしなかったが、領土問題解決と言及することによって領土問題が存在していることを認めた。

ロシアは共産主義から解放され民主化されたというなら、共産政権時の蛮行を認め直ちに領土返還交渉のテーブルにつくべきである。

メドベージェフ大統領は2010年11月1日、電撃的に北方領土の国後島を訪問、占領を恒久化するかのような発言を行い、さらに今日の実効支配アピールを行っている。ロシアはソ連共産主義から解放され民主化したとするなら、なぜソ連の蛮行に組みし、それを継承するような態度をとっているのか。そういう欺瞞的態度を改め、北方領土返還をもって真の民主主義国であることを世界に示すべきである。

以上から北方領土がわが国固有の領土であることは明白である。日本国民は4島返還の要求を決して放棄しない。北方領土の日に当たって我々は改めてロシアに北方領土の返還を強く要求するものである。

2011年2月7日

この記事は2011年1月12日に投稿されました。

『世界思想』2月号の読み方―編集部だより

『世界思想』2月号が発行されました。今号の特集は「防衛ビッグバン 日本を守る10の誓い」です。昨年12月に民主党政権初の「防衛計画の大綱」が発表され、中国の軍拡を踏まえて南西シフトを重視する「動的防衛力」が打ち出されました。尖閣諸島をはじめ手薄な南西諸島を守るのは当然のことで、部隊配備などについては私たちも評価します。しかし、防衛力の全体像で見れば、陸上兵力の1千人削減など相変わらずの縮小路線です。また何よりも気がかりなのは、集団的自衛権行使や武器輸出三原則の見直しを棚上げするなど、日米同盟の深化に逆行する施策が少なくないことです。

日本を守る10の誓いとは―

こうした現状を踏まえ、私たちは日本を守るための10の政策を提言します。本来は憲法9条を改め、軍事力の保持、国防義務を憲法で明示し抜本的に対応すべきですが、憲法を変えなくても、とりあえず現時点で可能な施策をあげてみました。
それは以下の10政策です。

日本版NSC(国家安全保障会議)を設置する
スパイ防止法を制定する
集団的自衛権行使を認める
非核三原則を改める
武器輸出三原則を撤廃する
「専守防衛」の拘束を解く
防衛産業を経済成長戦略に据える
宇宙の軍事利用を推進する
自衛隊海外派遣恒久法を制定する
民間防衛組織を整備する

このほかにも自衛隊が領海防衛や臨検に当たれる法整備なども必要とおもわれますが、とりあえず緊急課題として10政策を取り上げ、この実現を「誓い」としました。

故・江藤淳先生の「遺言」に耳を傾けてみたい

2月号で特に読んでいただきたいのは、戦後日本を代表する文芸評論家であった故・江藤淳先生の「言論の自由と国家機密」と題する講演再録です。これは1985年4月に東京・日比谷公会堂で開かれた「スパイ防止法制定全国決起大会」で講演されたもので、米国における言論の自由と国家機密のあり方を説き、スパイ防止法の必要性を切々と述べられています。江藤先生は情報公開と機密保護を結ぶキーワードは「愛国心」といいます。ウィキリークスなど情報問題が噴出する中で、今日の私たちにとっても良き指針になるのではないでしょうか。江藤先生の「遺言」として一読してみてはどうでしょうか。
 外交評論家の井上茂信先生のインタビュー「日本がフィンランド化される日」は国際情勢の核心をついています。フィンランド化とは、言うまでもなく中国による日本支配のことです。日本を取り巻く国際情勢を基礎から学べます。

思想はとっつきにくい? いえ勝共講座はわかりやすい

思想はとっつきにくいとお思いの方にも、「応用編 勝共思想講座」と「ポストマルクスの群像」をお薦めします。思想とはものの見方・考え方のことで、私たちは日々の暮らし中で何らかの見方・考え方に立って行動しています。マルクス主義という国家を壊す思想はどのようなものの見方・考え方で行動しているのか、それを克服し、真の人間、国民として私たちはいかなるものの見方・考え方に立つべきものなのか、多角的に考えてみてはどうでしょうか。両稿はその一助になると確信します。 文化共産主義そして無神論を伝播する禍(わざわい)になっている思想に「進化論」があります。進化論至上主義です。その問題点と誤りを「イラスト学習講座」では、マンガとイラストでわかりやすく紹介しています。中高校生の学習にも、うってつけです。
 1年でもっとも寒い季節を迎え、インフルエンザの流行もピーク期に入る昨今、厳冬の夜のひとときにでも『世界思想』2月号をご愛読いただければ幸いです。(編集部 国鱒)

2011年1月12日

この記事は2011年1月11日に投稿されました。

日韓米の「共通戦略目標」を定めよ

前原誠司外相とクリントン米国務長官が1月7日に会談し、日米両国の新たな「共通戦略目標」の策定を目指すことや外交・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を数カ月以内に開催することで合意した。また北沢防衛相は10日、韓国の金寛鎮国防相と会談し、日韓の防衛協力を強化するため、国連平和維持活動(PKO)などで派遣された自衛隊と韓国軍が水や食料などを相互提供できるようにする物品役務相互提供協定(ACSA)の締結協議を開始することで合意した。いずれも朗報である。だが、考えてみれば、こうした話し合いが今まで進んでこなかったことが異常だった。
 日米外相会談では、懸案の普天間問題で移転先の沖縄県名護市辺野古に建設する代替施設の位置と配置、工法について「検証および確認を次回の2プラス2までに完了させる」ことで一致。今春の日米首脳会談では▽安全保障▽経済▽文化・人材交流の3本柱で同盟深化の共同声明を取りまとめるという。また周辺事態や日本有事における日米協力を強化させるための協議も加速化させるという。これらは当たり前の話だ。だが、菅政権は肝心のことを棚上げにしている。共通戦略目標を定めるにしても、周辺事態・日本有事の日米協力を強化するにしても、避けて通れない課題があるはずだ。それは集団的自衛権行使と武器輸出3原則の問題である。

集団的自衛権行使から逃げるな

国連憲章は51条で個別的自衛権と集団的自衛権を国家の固有の権利として認めており、これを行使するのは国際社会では正当かつ常識的な行動と解される。それが憲法によって行使できないとする政府解釈は国際法から逸脱している。これに決別しなければ、日米同盟だけでなく、国連による国際平和維持活動にも支障をきたす。このことを想起しておかねばならない。
 08年6月、集団的自衛権の憲法解釈を検討する「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は福田首相(当時)に4つのケース(類型)をもとに行使容認を求める報告を提出している。4類型は①公海上での米軍艦船への攻撃に自衛隊が応戦②米国を狙った弾道ミサイルを日本のミサイル防衛システムで迎撃③国際復興支援で共に活動する多国籍軍への攻撃に自衛隊が応戦④武器輸送などの後方支援―で、前の2つは日米同盟、後の2つは国際貢献に関わるものである。いずれも現在は違憲としている。
 これに対して報告は①について「日米が公海で共同活動している際に米艦に危険が及んだ場合、防護しうるようにすることは同盟相互の信頼関係の維持・強化に不可欠である」として、集団的自衛権を認め共同活動中の米艦防護を可能にすべきとする。②については「わが国が撃ち落す能力を有するにもかかわらず撃ち落さないことは、日米同盟を根幹から揺るがすことになるので、絶対に避けなければならない」として集団的自衛権行使を認めるべきとする。
 また③については現在のPKO(国連平和維持活動)の自衛隊の武器使用が自己の防護や武器等の防御のみとしていれば、国際社会の非難の対象になるとし、「PKO等の国際的な平和活動への参加は憲法で禁止されていないと解釈すべきで、自己防護に加え、他国の部隊や要員への駆けつけ警護および任務遂行のための武器使用を認めるべき」としている。④については補給、輸送、医療等の本来、武力行使ではあり得ない後方支援と、他国の武力行使との関係を「一体化」論でくくらないで、政策的妥当性の問題として総合的に検討して政策決定すべきとの判断を示した。いずれも現行の憲法解釈を改めて、足かせを取り外すことを促しており、正当な提言である。これを自民党政権も民主党政権も棚上げにしてきた。国際法から見れば4類型は何ら問題のない行動である。
 これらは早急に憲法解釈を改めるべきことは論を待たない。前原外相はどう考えるのか。当然、そうすべきと内心思っているに違いない。菅政権がここに踏み込めば本物となれる。

不毛の空論「武器輸出3原則」を破棄せよ

菅政権は昨年12月に決めた防衛大綱で、武器輸出3原則の見直しを先送りした。愚策である。だが、読売新聞によると(1月9日付)、その代案として日米両政府がミサイル防衛(MD)システムの一環として共同開発中の次世代型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」について、政府は米国から第3国への移転を可能にする基準の策定に着手する方針を固めたという。これは武器輸出3原則に触れず日米協力を進める、言って見れば裏技である。
 武器輸出3原則は1967年に当時の佐藤内閣が打ち出したもので、①共産圏②国連決議による輸出禁止国③紛争当事国や恐れのある国-への武器輸出を禁じるものだった。この3原則の①②は当然のもので、何ら異議を唱える内容ではない。③については「恐れのある国」が曖昧で同盟国への輸出を禁じかねない問題を残すが、おおむね妥当なものといえよう。ところが、76年に3原則は変質した。安全保障に疎い三木内閣が適用範囲を拡大し、事実上、武器輸出を一切できなくしてしまったからである。これが現在に続く、悪しき武器輸出3原則である。すなわち①従来の3原則対象地域には「武器」の輸出を認めない②対象地域外の地域は「武器」の輸出を慎む③武器製造関連設備の輸出も「武器」に準じて取り扱う-とする3原則である。
 しかも「武器」の定義について「軍隊が使用するものであって直接戦闘の用に供されるもの」としたため、軍隊で使用されるものはすべて武器扱いにされた。例えばカンボジアでの国連平和維持活動(PKO)に参加した文民警察官の防弾チョッキも武器とみなされ現地警察官に供給できなかった。非武装論に匹敵する不毛な原則と化しているのである。このため83年に日米間で一部が緩和され武器技術供与の道が開けたが、日本の技術で生産された兵器は日米間だけでしか使用できず、第3国への輸出が禁止されるなど足かせをはめた。また同盟諸国への武器提供も違反扱いすることで友好促進も阻害した。ASEAN(東南アジア諸国連合)は海賊対策として海上自衛隊で廃艦となった中古の駆逐艦の購入を希望したが、これを認めなかった。
 ようやく96年にインドネシア国家警備本部に小型巡視船を無償供与したが、自衛艦は今なお禁輸処置をとっている。何よりも問題なのは、世界では共同開発が主流になっているにもかかわらず、わが国は共同開発に一切加われず、その結果、防衛産業が衰退し、安全保障を脅かす事態を招いていることである。NATO(北大西洋条約機構)は昨年11月、ロシアまで巻き込んで欧米全域にミサイル防衛(MD)網を張り巡らし、将来は自由世界全域に拡大していくとしている。米国は2014年をめどに日米が共同開発を進める海上配備型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」を欧州にも配備する意向だ。米欧MD計画は核ミサイルの拡散に対応するもので、欧米MDの傘はやがて東アジアとも連動させ、地球規模のネットワークに発展させる。それによって自由と民主主義を共有する全ての同盟諸国の「盾」する。そういう構想だ。
 したがって日本が武器輸出3原則を理由に欧州への輸出を拒めば、民主主義陣営の不信を買い、東アジア危機でも協力が得られなくなり、世界の孤児になってしまう。即刻、見直すべきである。今回、政府は基準策定をもって3原則の例外としてMD技術を第3国(すなわちNATO諸国)に提供できる道を開こうとしている。要するに例外だらけで、もはや原則足りえない。こんな原則はいらない。そこまで踏み込むべきだ。

日韓協力でもスパイ防止策が問われる

一方、日韓防衛相会談では物品役務相互提供協定(ACSA)の締結協議を開始することのほか、防衛秘密の保護に関する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について事務レベルで協議することで一致した。ここは注目すべきだ。なぜ包括的保護協定が必要かといえば、日韓が軍事協力を進めれば、当然、日韓の防衛機密に触れるようになり、情報保護の仕組みを作っておかねば、お互いうかつに情報を出せないからだ。スパイ防止法がない日本への韓国側の不安は大きいと見ておかねばならない。当然、スパイ防止法が必要となる。
 東アジアの安全は米国と韓国、米国と日本という2国間の安保体制でこれまできたが、もはやそうした変則的状況を打破しなければならない。米日韓の三国の軍事協力を進め、「日韓米共通目標戦略」を策定し、軍事同盟に昇華させていくべきである。今回の北沢防衛相の訪韓はその一歩とすべきである。

2011年1月11日

この記事は2011年1月5日に投稿されました。

ロシア強襲揚陸艦の極東配備に備えよ

ロシアが北方領土支配を強化!

ロシアがわが国固有の北方領土の支配を一段と強めようとしている。昨年11月にメドベージェフ大統領がソ連時代を含めロシア国家元首として初めて北方領土の国後島を訪問したのに続き、今年は近く、国防相や運輸相、地域発展相、教育科学相などが相次いで訪問する予定と伝えられる。民主党政権が日米同盟を揺るがしている隙をついて北方領土のロシア支配固定化を進めようとしているのである。南西諸島だけでなく北方領土にも関心を注がねばならない。

極東配備で日本をターゲットにする

昨年12月24日、仏露両政府は共同でミストラル級強襲揚陸艦(仏製)2隻を建造しロシア側に引き渡すことで合意した(共同通信12月25日、産経新聞26日付=さらに2隻追加し4隻になる可能性もある)。強襲揚陸艦は満載排水量2万1千トン、全長200メートル。軍用ヘリコプター16機や戦車、野戦病院施設、上陸部隊750人など多目的な輸送が可能で、極東に配備される。極東で強襲揚陸艦のターゲットとなるのは日本のほかに存在しない。
 メドベージェフ大統領は10年2月、新たな「軍事ドクトリン」を決め、その中で「ロシアおよび同盟諸国への領土要求」を脅威として捉え、わが国の北方領土返還要求を牽制した。7月には「ニュールック」と呼ばれる軍事態勢の抜本改革を断行、これまでの地上軍中心の軍管区体制を一新し、新たに陸海空を統合運用する「統合戦略司令部」を創設、6軍管区を「西」「南」「中央」「東」の4戦略司令部に再編。海、空軍も同司令部に入れ、ハバロフスクスには「東戦略司令部」を設置した。ウラジオストクの太平洋艦隊も同司令部の指揮下に置き、装備を近代化し師団構成を改革。6月29日から7月8日にかけて陸海空軍から約2万人の兵員と地上兵器2万5000点、航空機70機、船舶30隻が投入し軍事演習「ボストーク2010」を行った。マカロフ参謀総長は演習の目的について「極東の国境での安全を保障し、仮想敵から国家利益を守ること」と言明、日本を「仮想敵」として極東での戦争を想定し、海や空からの戦力展開や部隊の長距離移動、全軍による兵站の確保を重視。欧州方面やウラル地方から輸送機で部隊を移送する戦闘訓練まで行った。7月4日にはメドベージェフ大統領が視察する中、オホーツク海で北方艦隊の原子力巡洋艦「ピョートル大帝」や黒海艦隊のミサイル巡洋艦「モスクワ」などを投入し大規模対潜演習を行った。演習は北方領土を「死守」するというデモストレーションで、択捉島にあるオクチャブリ演習場も使用、海軍と連邦保安局(FSB=旧KGB)傘下の国境警備隊の共同演習を行った。その際、マカロフ参謀総長はフランスから購入するミストラル級強襲揚陸艦を「クリール諸島(北方領土と千島列島)での上陸部隊を急派する手段に使う」と語っているのである。明らかにロシアは極東軍事力の増強に乗り出している。

北海道の自衛隊削減は危険きわまりない

想起すべきは1980年代初め、英国の軍事誌『ジェーン年鑑』が、西太平洋が有事となった場合、ソ連軍は北海道北部を軍事占領する可能性があると論じたことである。ソ連太平洋艦隊が太平洋やインド洋で自由に活動を行うには宗谷、津軽、対馬の3海峡のいずれかを通航しなければならず、宗谷海峡が最も狙われやすいからである。実際、ソ連軍は北海道侵攻能力を保有し、作戦計画を練っていた。これに対してわが国は北方重視の防衛布陣を張り、日米安保体制を強化して備えた結果、ソ連は北海道侵攻を思いとどまった。
ひるがえって今はどうか。日米同盟が揺らぎ、民主党政権初の新防衛大綱は北海道の自衛隊部隊を削減しようとしている。その弱腰を見てロシアは極東軍の軍拡に乗り出しているのである。この現実を国民は直視し、菅内閣に防衛力増強を迫らねばならない。

2011年1月5日

この記事は2007年4月15日に投稿されました。

「軍拡」へ思惑が一致/米に対抗、欧日牽制

大陸同盟の色彩濃厚に

米国がイラクに手こずっている間に中露の戦略的関係を強化し「パックスアメリカーナ」を切り崩して日欧にも圧力をかける…、そんな本音が聞こえてきそうな中露首脳会談だった。中国の胡錦濤国家主席は3月26日、モスクワを訪れプーチン露大統領と会談、軍事やエネルギー分野の協力強化などをうたった中露共同声明に調印した。戦略的関係強化の狙いは何か…。

 ロシア政府は今年を「中国年」としており、その開幕式典に出席するため胡主席はモスクワを訪問、それに合わせて中露首脳会談が開かれた。昨年は中国で「ロシア年」があり、これらは中露の蜜月を象徴している。
 むろん、中露はお互いを利用し合う戦略的関係にすぎないが、米欧日の民主主義陣営に対抗する点では思惑は完全に一致しており、大陸同盟的色彩を濃くしている。
 胡主席とプーチン大統領が調印した共同声明は、①主権・領土保全問題の協力②エネルギー企業間の共同事業の推進③不法移民対策の協議④国連改革での認識共有⑤イラン核問題の平和的解決⑥北朝鮮核問題の外交的解決⑦上海協力機構(SCO)による中央アジア諸国との協力強化⑧中露印3カ国の協力拡大―などだ。
 首脳会談で注目されるのは軍事協力の強化である。会談後、プーチン大統領は「中露が結束して中央アジア、アジア太平洋地域の安全保障強化に貢献する」と強調、胡主席は「パートナーシップの強化と安全保障面で協力することで合意した」と述べ、両首脳とも安保協力前進を誇示した。

中国、露製兵器で軍ハイテク化

中国の狙いは明白で、ロシアからハイテク武器とエネルギーを手に入れるところにある。ソ連崩壊後、ロシアは外貨獲得のため武器輸出に走ったが、その一環で中国は92年、最新戦闘機SU27(フランカー)を買いつけて露製ハイテク技術を取得、90年代に飛躍的近代化を遂げてSU27と同30のライセンス生産に入れた。
 そして今年1月、独自の最新戦闘機「■10」の大量配備を発表した。「■10」は米国の主流戦闘機F16と同等かそれ以上の能力を有する。このため米軍は急きょ、沖縄・嘉手納基地に最新鋭機F22を配備したほどだ。
 中国はロシアから飛行制御技術や電子戦闘能力、ステルス機、艦船搭載機などを可能にするハイテク軍事技術のほか、大量の爆弾・核ミサイル搭載可能の超音速爆撃機ツポレフ(Tu)22Mバックファイアーを手に入れたがっている。
 またステルス戦闘機「■14」の開発を進めている。同機は米軍のF22に対抗するもので、これら最新鋭機導入が実現すれば、台湾海峡から東太平洋の軍事バランスが大きく崩れ、中国優位の構図が生じるとされる。
 中国海軍もロシアのキロ級潜水艦(93年)、ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦(96年)の購入を足場にハイテク技術を取得、04年からは独自の“イージス艦”を配備するに至った。
 そして今年3月、海軍幹部が2010年までに空母を完成させると言明(文■報3月7日付)。温家宝首相は全人代の政府活動報告で「軍のハイテク化」を強調したが、その調達源はロシアにほかならないのだ。

中露共同で火星探査も

中露は09年に共同で火星探査を実施することにも合意しており、大型宇宙プロジェクトを通じて中国は宇宙技術の取得にも乗り出す。今年1月に中国は衛星破壊ミサイル実験を行なったが、宇宙軍拡に拍車が掛かるのは必至だ。
 エネルギーも中国はロシアからの大量輸入を目指す。原油輸入は昨年、前年比20%増の約1600万トン(全輸入量の11%)になったが、さらなる増加を期している。
 昨春の首脳会談で合意している東西シベリアからの天然ガスパイプライン建設を速め2011年頃から供給を開始し、日本と競合する東シベリアからの石油パイプラインについては中国への支線建設の優先、極東サハリンでの天然ガスの共同開発を胡主席はプーチン大統領に要請した。

露は武器輸出の戦略的外交

一方、ロシアは中国への武器・エネルギー輸出によって外貨が獲得でき、同時に米欧を牽制する中国カードを切れる一石二鳥の利点がある。
昨年の武器輸出は65億ドル(約7900億円)と過去最高額となったが、その62%は中国とインドだ。これは05年度の74%から下がっているが、輸出量そのものは減っていない。反米チャベス政権のベネズエラへ戦闘機などを輸出するなど南米や中東への武器輸出が増加したからだ。
 プーチン大統領は3月にサウジアラビアなど中東諸国を歴訪、ここでも米製から露製武器への転換を求める「武器輸出外交」を展開した。旧ソ連は武器輸出を契機に軍顧問団を送り、その国を東側陣営に取り込んでいくのを常套手段としたが、プーチン大統領はそれを踏襲、「米国一国支配」を切り崩そうとしている。
 むろん、中国へのハイテク武器輸出もそうだ。中露首脳会談では合同軍事訓練の実施にも合意した。前回の05年8月の合同訓練は中国で行なったが、今年7月にはロシアで実施、中露だけでなく上海協力機構に加わる中央アジア諸国にも参加を求めている。

INF条約の破棄も目論む

ロシアはEUの東方拡大に不快感を抱き、とりわけ旧東欧諸国が米主軸のNATO(北大西洋条約機構)に加わることを極度に警戒している。
 米国はイランが2015年までに米本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を配置すると見越し、ポーランドに地上配備の長距離迎撃ミサイル(GBI)10基を配備する発射基地、チェコにそのためのレーダー施設を建設することで両国と合意している。
 これに対してロシアは、対イランは偽装でロシアのミサイル迎撃が本当の狙いだとして猛反発、配備反対を声高に叫んでいる。だが、ロシアのICBMは北極海から米本土に向かうので東欧配備の米迎撃ミサイル配備は何ら影響を及ぼさない。これを口実にロシアは中距離核戦力(INF)全廃条約からの脱退を目論んでいるのだ。
 ロシアの軍事アナリスト、パーベル・フェリゲンガウエル氏は「今日のロシア空軍は弱い。INF条約から脱退すれば、空軍力を補完するため今年から配備が始まる新型ミサイル『イスカンデルM』(射程300~500キロ)の射程を延ばし、ミサイル部隊の能力を飛躍的に伸ばすことができる」(毎日新聞3月1日付)と指摘している。
 こうした米欧対決にもロシアは中国の後ろ盾が不可欠なのだ。中露の戦略的関係は限りなく同盟関係化へと進んでいくことになると見られ、さらなる警戒が必要だ。

2007年4月15日

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