共産主義は間違っている!
国際共産主義勢力、文化共産主義勢力の攻勢に勝利しよう!

勝共運動による救国救世

中国軍艦が立て続けに領海侵入、そして接続水域への侵入を繰り返した。…続きを読む

米国の国防総省に近いランド研究所が1月、衝撃のレポートを発表した。尖閣諸島をめぐって日中が衝突すれば、日本はわずか5日間で敗北するという。…続きを読む

米国で中国の脅威を指摘する報告が相次いでいる。まずは米議会の諮問機関である「米中経済安全保障調査委員会(USCC)」による報告だ。…続きを読む

中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が3月に開催された。中国がこれから1年間、どのような方向に向かうのかが決定される最も重要な会議である。…続きを読む

中国が23日、日本、韓国、台湾と重なる防空識別圏を発表した。尖閣周辺では、緊急発進した自衛隊航空機に、中国軍機がスクランブルする可能性もあり、衝突の危険性が高まっている。…続きを読む

対中国安全保障

この記事は2016年6月21日に投稿されました。

周到に練られた中国軍の領海侵入

中国軍艦が立て続けに領海侵入、そして接続水域への侵入を繰り返した。領海侵入は6月15日に鹿児島県の口永良部島付近で、接続水域への侵入は16日に沖縄県の北大東島付近であった。いずれも中国海軍のドンディアオ級情報収集艦によるものである。中国軍艦による領海侵入が確認されたのは、2004年の原子力潜水艦による領海侵犯事件以来2度目である。日本の本土に極めて近い口永良部島付近では、もちろん初めてだ。
 領海侵入は、日米印の会場共同訓練「マラバール」に参加していたインド海軍艦を追尾するかたちで行われた。目的は共同訓練の妨害と情報収集活動とみられている。中国側は国際法が認める無害通航だと強弁しているが、そんなはずはない。目的は軍事行動である。

対日戦略は新たなステージに

この事件によって、中国軍の対日戦略は新たなステージに入ったとみてよい。
 中国軍には1982年に策定された近代化計画があり、2010年までに第一列島線内の制海権を確保し、2020年までに第二列島線内の制海権を確保するとしている。このうち、南シナ海では中国が多くの人工島を築き、レーダーや対空ミサイル砲などを配備して軍事拠点化を進めている。米国が「航行の自由作戦」で対抗しているが、約半年で3度しか行っていない。南シナ海は事実上、中国の海になってしまった。
 東シナ海はというと、尖閣諸島の周辺に中国の公船「海警」が毎日のようにやってきている。接続水域を海上保安庁の巡視船と並走して何日か航行し、他の船と交代するタイミングで2時間ほど領海侵犯して出て行く。マスコミではあまり報じられないが、そんなことが常態化している。つまり中国側から見れば、南シナ海も東シナ海も、中国が自由に行動できる海になったのだ。となれば次は第一列島線の突破である。その本格的な始まりが今回の事件だったのである。
 伏線はあった。中国軍は12年秋以降、尖閣の北方の洋上に軍艦船1、2隻を常駐させている。はじめは尖閣との距離は100km程度だった。14年末ごろからは70kmほどまで接近している。そして今年の5月、中国の軍用機が尖閣諸島に向かって南下し、これまでになく接近した。政府は公表していないが、日本経済新聞が6月15日、「複数の関係者からの情報」として報じている。そして6月9日、中国軍艦が尖閣諸島の接続水域に入った。ロシア軍と自衛隊の艦艇に続く侵入だったため、「受け身的」「偶発的」と報じたマスコミもあったが、これらの経緯を見れば決して偶発的な事件ではないことがわかる。
 では、なぜ「受け身的」に見える行動をとったのか。それは米軍に介入の口実を与えないためである。強大な米軍が介入すれば中国は今はとても太刀打ちできない。そこで考え出されたのがロシア艦の追尾である。ロシア艦が同海域を通過することはこれまでも度々あった。これを「偶発的に」追尾したというかたちを装えば、単独の侵入に比べ、米軍が反応しづらいと考えたのだ。つまりロシア艦は、中国の対日工作のダシに使われたのである。接続水域への侵入は、周到な計画のもとに実行されたのである。

中国の横暴を許すな

実際米国は、この件で全く反応しなかった。そして6月15、16日の中国軍艦の行動についても、中国が無害通航を主張したため、やはり米国は反応しなかった。明確な根拠がないままに中国を非難し、対立を深めることは避けたいのである。中国側の作戦は見事に成功した。中国軍幹部は今頃ほくそ笑んでいるに違いない。
 日本側は現在、無害通航には当たらない証拠、すなわち中国軍艦が情報収集活動をしていた証拠の有無を慎重に調べている。政府は早急に証拠をそろえ、そして断固とした態度で臨まねばならない。「懸念を表明する」などと事実上容認するような態度を示せば、中国をつけあがらせるだけである。米国を巻き込むことも重要だ。中国の横暴をこれ以上許してはならない。

2016年6月21日

この記事は2016年2月23日に投稿されました。

米シンクタンクが「日中衝突で日本敗北」

中国国防大学は「中国が内部崩壊」

米国の国防総省に近いランド研究所が1月、衝撃のレポートを発表した。尖閣諸島をめぐって日中が衝突すれば、日本はわずか5日間で敗北するという。シミュレーションは、中国の軍事問題や戦争シミュレーションの権威として知られる上級アナリストによるもので、概要は以下の通りである。
 1日目、日本の右翼活動家グループが魚釣島に上陸し、日本の対応が遅れる隙に中国海警が日本人全員を逮捕・拘束する。2日目、日中両国が軍事力を展開し、米国も駆逐艦を派遣。3日目、交戦状態となり、海自艦2隻が撃沈される。続いて米潜水艦が中国駆逐艦2隻を撃沈する。4日目、中国軍は米国へのサイバー攻撃を開始。大停電、証券取引所の妨害などで数百億ドル規模の被害が生じる。5日目、中国軍の攻撃で海自は戦力の20%を失う。日本もサイバー攻撃を受け、送電システムが停止。米国は撤退し、中国が尖閣諸島を完全に確保する。
 レポートの結論は「近代化された中国軍を前に、日本の防衛は困難」というもので、たとえ尖閣諸島をめぐって日中の衝突が起きても、米国は無視すべきではないかとの筆者の主張が付け加えられている。

背後に中国のチャイナマネー

これだけ現実にはあり得ない展開が次々と続くシミュレーションも珍しい。詳細は省略するが、たとえば防衛出動が下されない中で自衛隊が出動することはできない。また、米軍が本格展開した時点で中国は完全撤退するはずである。これは昨年の「航行の自由作戦」から見ても明らかだ。やはりこの記事の背後には、多額のチャイナマネーが流れていると考えるのが妥当である。
 中国では尖閣諸島を「核心的利益」に指定して以来、引くに引けない状況に陥ってしまった。万が一偶発的な事故などから日中の衝突が生じた場合、習氏は手を引くことができない。国内から「弱腰」と厳しく批判され、政権基盤が揺らぐことになるからである。かといって強硬策に出れば、米軍に完敗するのは明らかだ。習氏はいずれのケースも避けなければならない。
 そこで習氏が米オバマ大統領に繰り返し訴えたのが「新型大国関係論」だった。お互いの「核心的利益」には干渉し合わないという主張である。しかしオバマ氏は、この要請を断固として断り、さらに日本で「米国には尖閣諸島の防衛義務がある」と明言した。これには習氏も困ってしまった。
 そこで習氏は第二の戦略を考え、情報工作を通して日米同盟が機能しないよう働きかけることにした。それがこの記事の狙いなのである。

中国では慎重論

中国国内では、全く異なるシミュレーション結果が習近平指導部に提出されているという。習氏が中国国防大学トップの劉亜州・同大政治委員(上将)に、「尖閣諸島奪還作戦」を強行すればどうなるか、研究結果を報告するよう命じた結果である。
 1年をかけてまとめられたレポートでは、尖閣諸島への海からの上陸は海上保安庁に制止され、空からの接近は空自戦闘機に阻まれるために困難であるとし、中国軍の陸海空合同の大部隊に加え、中国大陸からのミサイル攻撃が必要だとしている。しかしその場合、「(中国と日米合同軍の)総力戦となり、戦闘が長期化することは必至」「民衆の不満が高まり、共産党政権が転覆されかねない」との結論を導き出している。「奪還は困難」との結論で、上述の分析結果とは正反対である。報告書の目的は、中国軍の内部で発言力を増してきた強硬派を牽制することにある。
 二つの論文から読み取れるのは、習氏は米国を強く恐れており、衝突を何とかして避けようとしていることである。しかしこれを逆に見れば、もし米国が日本に関わらなくなれば、強硬派による攻撃がいつ起きるかもわからないということである。やはり中国に対する日米同盟の抑止力は極めて大きい。その意味で、日米同盟強化のための安保法制の制定は正しかった。「戦争法案」などとの批判はもってほのかである。

2016年2月23日

この記事は2015年11月20日に投稿されました。

米研究機関が相次ぎ中国の脅威を指摘

米国で中国の脅威を指摘する報告が相次いでいる。まずは米議会の諮問機関である「米中経済安全保障調査委員会(USCC)」による報告だ。
 USCCは米議会の中で、中国について最も広範かつ綿密な報告を行う超党派の機関だ。そのUSCCが、11月17日に公表した年次報告書で次のように指摘した。
 「中国は尖閣諸島の周辺海域で、軍事、民間の両面でプレゼンスを静かに増強し続けている」
 具体的には、尖閣諸島周辺での公船による巡視活動や、空軍の航空機による偵察活動、日中中間線付近のガス田掘削施設などを紹介している。
 他にもUSCCは、米政府が人工島の軍事拠点化を中止するよう圧力をかけていることに対しては「効果をもたらしていない」と断じ、中国のサイバー攻撃は「今後も激化する見込みだ」と述べている。
 さらに警戒すべき点として、中国が開発を進める衛星攻撃兵器(ASAT)を挙げている。米国のあらゆる設備はハイテク化されており、その情報はほぼ人工衛星を経由して伝えられる。その最たる分野が軍隊だ。戦車や戦闘機、戦艦など、あらゆる米軍機には、情報が軍事衛星を介して伝わり、高速コンピューターで戦術や役割分担などが自動的に計算されて配信されていく。最近では戦車の操縦は主にタッチパネルで行われ、若い兵士のほうが熟練者よりも機能を使いこなせることが多いという。
 もし中国が米国の軍事衛星を破壊すれば、ハイテク機器で固められた米軍だからこそ一気に無力化される。USCCの報告によれば、中国が開発する衛星破壊ミサイルは2種類あり、その一つは2007年に中国の老朽化した気象衛星を破壊する実験に成功した。中国はその後、衛星破壊計画の情報をすべて非公開にしている。中国は秘密にしているが、今や中国のASATは米国の人工衛星に近づき、レーザー兵器で麻痺させ、さらにロボットで回収する能力をもつという。

政治戦争は始まっている

もう一つは、ワシントンの研究機関である「ヘリテージ財団」と「プロジェクト2049研究所」が10月6日に共催したシンポジウム、「影響作戦=中国の東アジアや同盟諸国への政治戦争」における報告である。主な内容は、中国が米国や日本、台湾で展開する世論工作の脅威についてである。
 ブッシュ政権で副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めたアーロン・フリードバーグ氏(プリンストン大学教授)は、中国の秘密工作の全体像について説明し、中国の工作ターゲットは3つのレベルに分けられると指摘した。
 第1のターゲットは「中国が『古い友人』と呼ぶ、昔から対中交流に関与してきた著名な元政府高官や財界人」であり、第2のターゲットは「現役に近い前外交官や前軍人、学者など政策形成に近いエリート層」だ。彼らに対しての工作は、「中国を米国と対等な大国として受け入れ、東アジアでの中国の支配的な拡大を黙認させ、あるいは抵抗を弱めさせるための説得」であるという。
 第3のターゲットは「中国や外交の研究者を含めた民間の一般層で、ここにはメディアも含まれる」。彼らには逆に、「中国は国内問題に追われているため対外的にはそれほど強大にはなれない」というメッセージを送る。
 これらの工作は中国の人民解放軍総政治部と共産党中央宣伝部により行われ、その手法は、「中国共産党がソ連共産党や中国国民党の謀略工作の伝統を引き継いだやり方に加え、自分たちで独自に構築した闘争方式」を用いる。ヘリテージ財団のディーン・チェン氏は、「中国はこの工作を対外的な政治戦争と位置づけている」と強調した。

中国の対外工作を警戒せよ

これらの報告書に共通するのは、「戦争」とは具体的な軍事衝突だけを指すのではなく、相手を弱体化させる段階からすでに始まっているという認識だ。特に「孫子の兵法」を本格的に取り入れる中国は、負ける戦争には決して挑まない。武力行使に出るのは「必ず勝つ」という状態になってからである。その状態に至るまでは、敵を弱体化させることに全力を注ぐ。敵の内部に離反者を作り、世論をミスリードし、対外関係を悪化させて孤立させる。武力行使に出るのは最後の一瞬だ。
 米研究機関はこれを「戦時戦争」といい、武力は用いていないがすでに戦争状態にあると指摘した。この警告は日本にこそ必要である。特に日本にはスパイ防止法がなく、他国以上に警戒が必要だ。武力行使が起きてからでは遅い。武力行使に至ることのないよう、十分な備えが必要である。

2015年11月20日

この記事は2015年9月7日に投稿されました。

中国の軍事パレード、米国への挑戦露わ

今こそ日本は「平和ボケ」を払拭せよ

中国がいよいよ米国への対決姿勢を鮮明にした。9月3日に行われた「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」の軍事パレードである。
 そもそもこの記念式典は、歴史の意図的な改ざんによって成り立っている。70年前に中国で日本と戦ったのは蒋介石率いる国民党であり、共産党ではない。当時毛沢東率いる共産党は、後方でゲリラ活動をしていたに過ぎない。式典はあくまで国民に共産党支配の妥当性をアピールするためのショーに過ぎない。
 これまで中国の軍事パレードといえば、10年ごとに建国記念日に行われてきた。中国の国家主席は一人が二期10年間務めるから、一人の国家主席につき1回だけである。前回は2009年だったから、次は2019年のはずだった。ところが習氏は今回の式典で軍事パレードを強行した。その狙いは大きくわけて三つある。一つ目は腐敗撲滅運動への反発や経済減速などに揺れる国内を引き締めるため、二つ目は「中国は反ファシズムを戦った正義の国」と国際社会に訴える心理戦、そして三つ目は米国に対する軍事的な挑戦を明らかにすることである。

米国狙う最新兵器を初公開

今回のパレードでは、これまで公開されたことのなかった最新兵器が続々と公開された。まず、米国本土を射程内におさめる大陸間弾道ミサイル「東風(DF)5B」である。このミサイルの弾頭には核兵器を複数搭載することができる。そして「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風(DF)21D」である。米軍がアジア太平洋地域でプレゼンスを発揮するには空母が最も重要になるが、その空母を攻撃するのがこのミサイルである。いずれにしても、米国がアジア地域における中国の覇権拡大を邪魔すれば、「ただでは済まない」ということを誇示したのである。パレードでは他にも、グアムの米軍基地が射程に入る長距離弾道ミサイル「東風(DF)26」や、40種500の陸上装備、20種200の航空機などが披露された。
 習氏は一方で中国軍兵士の30万人削減を謳ったが、これは軍縮を意味するのではない。むしろ軍の近代化、精鋭化を進め、米軍と対等に立つための改革を具体的に進めていると見るべきである。「平和的な台頭を目指すという中国の立場」(朝日新聞9月3日付)などといった分析は完全に的外れだ。
 これまで中国は、米国の出方を慎重に伺いながら、少しずつ実効支配の既成事実を積み重ねてきた。いわゆるサラミ戦略である。サラミは一本盗まれるとすぐにばれてしまうが、薄切りにして盗まれると気づかない。中国のこれまでの戦略だ(中国内ではキャベツ戦略という)。しかし今回の中国の態度はそれとは全く違う。明らかに米国を威嚇し、脅しているのだ。日本と米国は、対中軍事戦略をさらに具体化させておく必要がある。

「平和ボケ」から脱するのは今だ

日本では安保法制の審議が進められているが、野党や左翼系マスコミ、運動家らはいまだに「戦争法案」などと嘯いている。安保法制が戦争を引き起こすのか、中国の覇権拡大が戦争を引き起こすのか、普通に考えれば誰の目にも明らかだ。しかし彼らはこの点について一切語らない。見て見ぬふりを続けている。
 反対運動を展開する若者グループ、SEALDsの学生の一人は次のように語った。
 「もし本当に中国や韓国が攻めてくるというのなら、僕が九州の玄関口で、とことん話して、酒を飲んで、遊んで、食い止めます。それが本当の抑止力でしょう?」
 こんな馬鹿げたことを堂々と言えるのがこれまでの日本である。戦後70年を期して、中国はいよいよ国際社会への挑戦を鮮明にした。日本は今こそ「平和ボケ」を払拭し、自国を守るとともに、アジアと世界の平和と安定に貢献する国となるべきである。
 まずは安保法制の制定である。そして戦後レジームの打破だ。安保法制の審議を通して内閣支持率は落ちたが、その後法案の国民への理解は深まった。戦後レジームは着実に払拭されつつある。中国の威嚇と脅しに決して屈してはならない。自由と民主主義の価値を守るために、十分な体制を早急に整えるべきである。

2015年9月7日

この記事は2015年9月7日に投稿されました。

中国の軍事パレード、米国への挑戦露わ

今こそ日本は「平和ボケ」を払拭せよ

中国がいよいよ米国への対決姿勢を鮮明にした。9月3日に行われた「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」の軍事パレードである。
 そもそもこの記念式典は、歴史の意図的な改ざんによって成り立っている。70年前に中国で日本と戦ったのは蒋介石率いる国民党であり、共産党ではない。当時毛沢東率いる共産党は、後方でゲリラ活動をしていたに過ぎない。式典はあくまで国民に共産党支配の妥当性をアピールするためのショーに過ぎない。
 これまで中国の軍事パレードといえば、10年ごとに建国記念日に行われてきた。中国の国家主席は一人が二期10年間務めるから、一人の国家主席につき1回だけである。前回は2009年だったから、次は2019年のはずだった。ところが習氏は今回の式典で軍事パレードを強行した。その狙いは大きくわけて三つある。一つ目は腐敗撲滅運動への反発や経済減速などに揺れる国内を引き締めるため、二つ目は「中国は反ファシズムを戦った正義の国」と国際社会に訴える心理戦、そして三つ目は米国に対する軍事的な挑戦を明らかにすることである。

米国狙う最新兵器を初公開

今回のパレードでは、これまで公開されたことのなかった最新兵器が続々と公開された。まず、米国本土を射程内におさめる大陸間弾道ミサイル「東風(DF)5B」である。このミサイルの弾頭には核兵器を複数搭載することができる。そして「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風(DF)21D」である。米軍がアジア太平洋地域でプレゼンスを発揮するには空母が最も重要になるが、その空母を攻撃するのがこのミサイルである。いずれにしても、米国がアジア地域における中国の覇権拡大を邪魔すれば、「ただでは済まない」ということを誇示したのである。パレードでは他にも、グアムの米軍基地が射程に入る長距離弾道ミサイル「東風(DF)26」や、40種500の陸上装備、20種200の航空機などが披露された。
 習氏は一方で中国軍兵士の30万人削減を謳ったが、これは軍縮を意味するのではない。むしろ軍の近代化、精鋭化を進め、米軍と対等に立つための改革を具体的に進めていると見るべきである。「平和的な台頭を目指すという中国の立場」(朝日新聞9月3日付)などといった分析は完全に的外れだ。
 これまで中国は、米国の出方を慎重に伺いながら、少しずつ実効支配の既成事実を積み重ねてきた。いわゆるサラミ戦略である。サラミは一本盗まれるとすぐにばれてしまうが、薄切りにして盗まれると気づかない。中国のこれまでの戦略だ(中国内ではキャベツ戦略という)。しかし今回の中国の態度はそれとは全く違う。明らかに米国を威嚇し、脅しているのだ。日本と米国は、対中軍事戦略をさらに具体化させておく必要がある。

「平和ボケ」から脱するのは今だ

日本では安保法制の審議が進められているが、野党や左翼系マスコミ、運動家らはいまだに「戦争法案」などと嘯いている。安保法制が戦争を引き起こすのか、中国の覇権拡大が戦争を引き起こすのか、普通に考えれば誰の目にも明らかだ。しかし彼らはこの点について一切語らない。見て見ぬふりを続けている。
 反対運動を展開する若者グループ、SEALDsの学生の一人は次のように語った。
 「もし本当に中国や韓国が攻めてくるというのなら、僕が九州の玄関口で、とことん話して、酒を飲んで、遊んで、食い止めます。それが本当の抑止力でしょう?」
 こんな馬鹿げたことを堂々と言えるのがこれまでの日本である。戦後70年を期して、中国はいよいよ国際社会への挑戦を鮮明にした。日本は今こそ「平和ボケ」を払拭し、自国を守るとともに、アジアと世界の平和と安定に貢献する国となるべきである。
 まずは安保法制の制定である。そして戦後レジームの打破だ。安保法制の審議を通して内閣支持率は落ちたが、その後法案の国民への理解は深まった。戦後レジームは着実に払拭されつつある。中国の威嚇と脅しに決して屈してはならない。自由と民主主義の価値を守るために、十分な体制を早急に整えるべきである。

2015年9月7日

この記事は2015年3月30日に投稿されました。

中国で全人代開催

「習氏一強体制」誇示は国内基盤の脆さの裏返しだ

中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が3月に開催された。中国がこれから1年間、どのような方向に向かうのかが決定される最も重要な会議である。
 そこで読み上げられる原稿は事前に入念に準備されており、それがそのまま数千人の代表団の圧倒的多数で承認される。議案が否決されたことは今まで一度もない。つまり全人代そのものは形式的な手続きに過ぎないのであって、そこで採択される議案の中身は、開幕ぎりぎりまで続く熾烈な権力闘争によってすでに決められているのである。むしろ習近平政権になってからは、習氏がいかに権力を牛耳っているかを誇示する場にすらなっている。
 習氏があえて強権ぶりを強調するのは、今の中国がそれだけ不安定な状況にあるということの裏返しでもある。習氏の政治基盤は今なお脆弱であり、何らかのきっかけで一気に崩壊する可能性を含んでいる。その習氏の不安を端的に示す例を2つあげてみよう。
 1つは報道統制である。全人代の期間中に開かれる記者会見には何百人という記者が詰めかける。だが、今回の全人代の記者会見で質問できたのは、当局が事前に指定した記者だけだった。もし批判的な報道が少しでもあれば、それが国民の中に渦巻く不満に火をつけ、権力闘争に利用されかねないからである。
 そしてもう1つは異常な警備体制だ。習氏は最近の行事で、一度配置した警護要員を信頼できず、5分前に数百人を総入れ替えしたことがあった。また全人代では、女性職員が習氏の前に湯呑を置くときですら、警護2人が厳しく監視した。その女性たちが突然習氏を襲撃するかもしれないと考えたのである。
 習氏がこれだけ敏感になるには理由がある。それだけ多くの政敵を強硬に葬り去ってきたのだ。習氏は「反腐敗運動」を掲げ、国民からも高い支持を得てきた。しかし逮捕された幹部には習氏が属する派閥(太子党)の人物は1人もいない。昨年1年間に更迭された人数は全国で55000人にも及び、この中には元最高幹部の周永康・元政治局常務委員も含まれる。これだけの強権をふるえば、いつ一大党内抗争が起きて習氏が失脚しても不思議ではないだろう。
 実は今回の全人代は、習氏の権限の強さを誇示するのとは裏腹に、「いかに習氏の政治基盤が脆弱であるか」をも同時に示すことになった。この具体的な内容について、以下の3つの観点から説明することにしよう。

経済成長鈍化を容認する「お手上げ」状態

まず第一に、経済の成長目標の引き下げである。全人代で李克強首相は、2015年の国内総生産(GDP)の成長目標を7.0%前後に設定した。これまで3年連続で7.5%前後だった成長目標を0.5%引き下げたのである。
 実は中国のGDPの2014年の成長率は7.4%であり(1月20日中国統計局発表)、1990年以来24年ぶりの低水準だった。国際通貨基金(IMF)は、今年の中国成長率が6.8%に低下し、さらに来年には6.3%になるとの見通しを示している。李首相は今年の7.0%の目標実現が「簡単ではない」と述べたが、妥当な発言であろう。
 「成長率7%」は、中国ではかなり深刻なレベルだ。中国では単純な人口増だけで毎年労働者が500万人程度増えており、高い経済成長率を維持できなければこの大半が失業者となる。昨年の中国の失業率は5.1%だが(同上)、これは一部の都市部だけの数字であり、農村部もあわせた総合的な失業率データは存在しない。実際の失業率は8〜9%程度と推測されており、毎年多くの大卒者が失業者となっている。低学歴者であればなおさらだ。今も中国全土では、1日平均500件の暴動が起きている。失業者がこれ以上増えれば暴動が拡大し、手が付けられなくなるだろう。そうなれば習氏の政敵が黙っていない。「習政権の経済政策は失敗した」といって、最高指導者から引き摺り下ろすのは必至である。
 しかし中国経済の成長鈍化は、もはや誰にも止められない。これまでは無理に経済成長を維持させてきたが、すでに地方政府の借金は限度を超えており、バブルの崩壊は目前だ。頼みの綱の海外からの投資も激減している。高騰する人件費などを背景に、日本からの投資額は昨年1年間で4割も減少した。
 そこで習政権が今回の全人代で打ち出したのが「新常態(ニューノーマル)」路線である。これは従来の「GDP至上路線」を捨てたことを意味している。李首相は「坂を登り峠を越える重要な段階」と説明したが、要は成長鈍化は止められない、もう「お手上げ」だということである。
 むしろ習政権は、すでに「いかに急激な失速をふせぐか」に視点を移している。日本に対しても昨年のような安倍政権批判は影をひそめ、投資の回復を期待しているようだ。

増加率が際立つ国防予算

次に国防費の増加である。
 全人代に合わせて公表された15年の国防予算は、前年比10.1%増の約16兆9千億円だった。国防費の2桁増は5年連続となり、日本の防衛費(5兆円弱)の約3.4倍となった。また、先ほど説明したように中国の経済成長率は7.4%と伸び悩んでいるから、国防費10%増がいかに際立っているかがよくわかる。
 だが周知のとおり、この増加した予算の中には多くの重要な軍事支出が含まれていない。たとえばロシアなどの外国からの装備購入費や空母建設に必要な研究開発費などは「科学技術予算」に組み込まれている。習政権は明らかに軍拡路線を突き進んでいるのである。
 この理由には大きく2つあるが、いずれも中国国内の政治事情によるものだ。1つ目は国民の共産党政権への期待を「経済成長」からそむけ、「強い中国」へとすり替えることにある。習氏の国家主席就任以来のスローガンは「中華民族の偉大な復興」という「中国の夢」である。実は習氏は就任当時から、中国経済の停滞は避けられないことを熟知していた。それで国民の支持を得るために、あえて軍拡路線を強調することにしたのである。
 そしてもう一つの理由は政治基盤の確保である。習氏は派閥争いが激化する中で、軍部の強硬派を味方につける道を選んだ。国防費が増えれば、当然そこから軍の幹部が得る利権は大きくなる。逆に減れば離反する。以上の理由から習氏は、この軍拡路線を変えることはできないのである。
 これだけ不安定な習政権が、今のところ本気で戦争に打って出るとは考えにくい。しかし軍部がこれ以上力を持てば話は別だ。軍部が勝手に行動し、偶発的な衝突が起こればそこから戦争が始まる。日本としては、その戦意を打ち砕くだけの抑止力を確立させておく必要がある。

権力の一極集中

そして三つ目が「権力の一極集中」である。これまで中国では、最高幹部(=常務委員)数人による集団指導体制が敷かれてきた。しかし習氏は、党、国家、軍などのあらゆる分野の権力を自分のもとに集約した。特に大きかったのは、治安維持組織の権限を掌握するために「中央国家安全委員会」を創設し、自らその主席に就任したことである。その後習氏は「トラ(大物)もハエ(小物)もたたく」という「反腐敗運動」を徹底して推し進めた。政敵を次々に摘発し、国民もこれを支持している。習氏はこれで、権力闘争の勝利と国民からの支持という2つの成果を手にすることができたのである。
 しかし習氏のカリスマ化が進めば独裁者としての危険性が増すことは間違いない。中国はすでに集団指導体制から「習氏1強体制」と化した。その習氏は「中華民族の偉大な復興」を唱え、超大国アメリカと対等な立場に立つという野心を隠さない。その手始めとして、日本がほんの少しでも隙を見せれば、牙をむき出しにして襲い掛かってくるだろう。習氏の野心を打ち砕くための安全保障体制の充実が急がれている。

2015年3月30日

この記事は2014年10月6日に投稿されました。

現在の世界情勢と日本の行くべき道

2014年9月30日、渋谷駅頭にて行われた街頭演説の内容を動画で紹介する。香港の行政長官選挙の民主化を求めて行なわれているデモが長期化の様相をみせている。その混迷の背景にある中国の思惑等、現在の世界情勢とこれからの日本の行くべき道について、国際勝共連合会長太田洪量が遊説を行なった。

2013年11月29日

この記事は2013年11月29日に投稿されました。

中国の防空識別圏設定、防衛力増強が焦眉の急だ

中国が23日、日本、韓国、台湾と重なる防空識別圏を発表した。尖閣周辺では、緊急発進(スクランブル)した自衛隊航空機に、中国軍機がスクランブルする可能性もあり、衝突の危険性が高まっている。
 中国国防部が発表した規定によれば、この区域を通過する航空機は事前に中国当局に飛行計画を通知しなければならず、国籍表示などが義務づけられる。応じない場合には武力を動員して「防衛的緊急措置」を取るとするなど、撃墜も辞さない方針を明らかにした。
 重複する三国はこれに抗議し、米国も厳しく非難したが、中国は「断固として反対する」と強く反論している。中国国防省の楊宇軍報道官は、「日米の発言には道理がない」などと言って引く構えがない。

米国の出方を見誤った中国

中国が防空識別圏を発表した3日前の20日、米国ではある発言が物議を醸していた。ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)による「G2」容認論だ。ライス氏は中国との関係について、「利害が一致する問題では協力関係を深めようとしている」と明言した。
 最近では、習近平氏が2月の米中首脳会談で「G2論」を繰り返し訴えた。習氏の指す「大国関係」とは、米国が中国を対等な存在と認識し、軍事、経済の両面で台頭を認めることを意味する。これを米国が受け入れれば、中国は膨張政策を一気に進める気だ。
 オバマ氏はこの申し出を頑として受け入れなかったが、ライス氏がこれを容認した。オバマ政権が一枚岩になっていないという深刻な問題も露呈している。いずれにせよ、中国がこれで自信を深めたことは間違いない。シリア問題を見ても米国はすでにプレゼンスをかなり低下させている。もはや中国の覇権主義に対して米国は口を出せないと踏んだのだ。
 ところが米国の対応は、中国の予想から大きくはずれた。米国は即座に中国を非難し、事前通知なしで爆撃機を飛行させた。日本との連携を強調し、尖閣諸島は米国も守るという態度を明確にした。中国の暴挙は決して許さないという立場を明らかにしたのだ。
 これは、中国にとって意外だったに違いない。結局中国は、米国と日本の事前通知なしの飛行に対してなんら対応できず、「監視している」と強がるだけだった。さらに日本は、南シナ海での領有権問題を抱えるASEAN諸国とも同じ問題で連携を深めようとしている。先手を打ち続けているのだ。

中国崩壊が近い

今回の発表から読み取れるのは、中国当局が国内矛盾を抑えきれなくなっているということである。先日の3中全会で習氏は、国内問題の有効な解決策を発表できなかった。既得権益層の反発に屈したのである。国内で貧富の格差が拡大し、暴動が頻発する中、いよいよ習氏は対外的に打って出て国民の目先を変える手段に出たのだ。
 中国崩壊の日は遠くない。その時に日本の防衛体制に隙があれば中国は必ず攻撃してくる。それを避ける方法は、攻撃を断念する以外にないように日本の防衛体制を充実させることだ。今回は米国が毅然とした態度をとったが、国内外の情勢によっては米国が中国との融和策を図る可能性もある。日本は自主防衛の体制を充実させなければならない。それが焦眉の急だ。

2013年11月29日

この記事は2013年10月28日に投稿されました。

太平洋を「中国の海」にする大規模軍事演習

中国海軍が西太平洋海域で大規模な軍事演習を実施している。中国海軍には3艦隊あるが、すべての艦隊が参加する合同演習は初めてだ。中国メディアも、同海域での軍事演習としては過去最大規模と伝えている。3艦隊のうち2艦隊は沖縄県宮古島沖の公海を越えて、もう1艦隊は台湾南部のバシー海峡を越えて、西太平洋で合流した。
 この軍事演習のため、26日には中国軍の軍用機4機が沖縄本島と宮古島の間の上空を通過した。自衛隊機がスクランブル発進したが、領空侵犯はなかったという。
 中国の軍事攻勢が著しい。今年の5月には立て続けに3度、中国潜水艦が南西諸島の接続水域を潜航したまま通過した。浮上して国名を明らかにするのが通例であり、異例の挑発行為として問題になった。
 その後の7月には、中国軍の早期警戒機1機が沖縄本島と宮古島の間の公海上空を通過した。中国にとっての対米防衛ラインである第1列島線を中国軍機が越えて飛行したのは初めてだった。海軍艦艇に続き、空でも第1列島線を越えた衝撃は相当のものだった。

第一列島線はすでに中国の支配下か

今回の件も含め、中国軍はすでに「第一列島線越え」を常態化させている。日本にとっては大変な脅威だ。第一列島線とは、九州を起点に、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるラインを指す。中国軍は、このラインを海軍および空軍における作戦区域・対米国防ラインとしている。その経緯は次のようなものだ。
 かつて中国の最高指導者の鄧小平は、1982年に、中国人民解放軍海軍の司令員である劉華清に、中国軍の近代化計画を作らせた。この中で、ソ連との関係改善が図られた中国は、次の課題を台湾問題とし、仮想敵国を米国に変えることを明言した。
 中国が、台湾の奪取に本格的に取り組み始めたのだ。当然、それを妨害する最大の敵は米国だ。鄧小平は、いかにして中国が米国を抑え込めるのかを、具体的に検討させたのだ。
 その際に、中国の作戦海域のラインとされたのが第一列島線だった。この内側で制海権をとれば、米軍は容易に空母や原子力潜水艦を侵入させられない。そうなれば行動がかなり制限される。台湾奪取のためには非常に有効な作戦だ。
 軍事的に考えれば、島嶼線を天然の防波堤として利用することは極めて効果的だ。しかし中国があげた第一列島線のラインは、中国の領土・領海にはない。むしろ敵対する日本・台湾・フィリピン・インドネシアの領土であり、領海である。これを「自国の防波堤にする」というだ。このこと自体が、周辺諸国に対する暴挙であり、国際法に対する挑戦だ。
 中国はこの作戦に基づき、着実に軍の近代化を進めてきた。今年に入り、次々と海軍や空軍が第一列島線を突破しているのは、その成果だといえる。

第二列島線を中国に渡すな

中国の次の狙いは第二列島線だ。第二列島線とは、伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るラインのことだ。ここまでの制海権を中国が確保すれば、台湾有事の際に、米海軍は部隊を増援することができない。そうなれば中国軍の勝利はかなり現実的だ。中国は、第二列島線を2020年までに完成させるといっている。
 中国は第二列島線内の制海権の確保のために、海洋調査を頻繁に行っている。潜水艦の戦闘を優位にするためだ。しかし海洋調査は、他国の排他的経済水域内では行えない。だから中国は、第二列島線付近にある沖ノ鳥島は「日本の領土ではない」と言っている。
 中国の軍事的脅威はもはや「遠い未来」の話ではない。太平洋が中国の海になれば、日本は中国に包囲されたも同然だ。日本の離島防衛、領海防衛にはまだまだ整備されていない点が多い。中国は、過去最大規模の軍事演習を太平洋で行っている。日本は、太平洋を守るための防衛力の強化を急ぐ必要がある。

2013年10月28日

この記事は2013年7月19日に投稿されました。

中国を厳しく非難する「安倍カラー」版防衛白書

「わが国周辺の安全保障環境は一層厳しさを増している」
 「中国の動向は、…地域・国際社会にとっての懸念事項である」
 政府は7月9日、2013年版の防衛白書を公表した。中を見ると、中国の膨張路線を非難する厳しい言葉が並んでいる。
 1月におきたレーダー照射事件に対しては、中国当局の対応について次のように指摘した。
 「中国国防部および外交部は、同レーダーの使用そのものを否定するなど事実に反する説明を行っている」
 米国でも問題になっているサイバー攻撃に対しては、「中国の人民解放軍、情報機関、治安機関、民間ハッカー集団や企業など様々な組織の関与が指摘されている」と明言した。
 当然これらの記述に対して中国側が黙っているはずがない。中国国防省の報道官は11日、「日本は自身の誤った行動を反省せずに、逆に中国が現状を壊していると(中国に)罪をかぶせている」と言い返し、「強い不満と断固たる反対」を表明した。

白書全体を「安倍カラー」が貫く

「こんなふうに書いて中国から反論されないのか。」
 白書の概要を事前に聞いたオーストラリア政府関係者は、防衛省の担当者にそう質問した。実際、自衛隊内部からも「中身は事実だが刺激的だ」との声もあったという。このまま公表すれば中国側が反発することは容易に予想がつく。それではなぜ防衛省は、中国に対する「刺激的」な表現を変えなかったのだろうか。
 その最大の理由は、事前に目を通した首相が「いいじゃないか!」と合格点をつけたところにある。つまり今回の白書は安倍首相公認の白書であり、いわば「安倍カラー」版白書ともいえるものなのだ。
 「安倍カラー」の外交における最大の特徴は、「価値観外交」にある。
 「価値観外交」とは、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的な「価値観」を共有する国々との関係を強化する外交だ。裏を返せば、自由や民主主義に反する共産主義国家、すなわち中国や北朝鮮の政治体制に対しては決して相容れない姿勢を明確にしていることになる。
 安倍首相は、第一次安倍内閣の時代から、この「価値観外交」を打ち出していた。当時は「中国の反発を招く」との批判も強かったが、安倍首相は今なおこの方針を変えていない。その具体的な内容は、安倍首相が昨年12月に寄稿した論文、「アジアの民主主義安全保障ダイアモンド構想」に書かれている。

安倍首相が提起した「安全保障ダイヤモンド構想」

この論文は、プラハに本拠を置く国際NPO団体に安倍首相が寄せたものである。論文の内容は、中国の海洋覇権を防ぐために日豪印米の四か国が、インド洋から西太平洋に安全保障のダイヤモンドを形成すべきだと主張するものだ。さらに論文では、英国、マレーシア、シンガポール、ニュージーランド、タヒチのフランス太平洋海軍との連携についても触れている。
 非常に大胆な構想だが、安倍首相は就任後、これを着実に実行に移していった。
 2月にはオバマ大統領との日米首脳会談を行い、「日米同盟は完全に復活した」と宣言した。また、就任からわずか半年の間にASEAN諸国と印豪の30か国に首相もしくは外務大臣が訪問して連携を強化した。さらに東南アジア歴訪の最後に訪れたインドネシアでは、「法の支配」と「自由で開かれた海洋の重視」などを掲げた「日本外交の新たな5原則」を発表し、中国を強く牽制したのである。
 安倍首相の「価値観外交」には、かつては批判の声も強かったが、今は評価する意見も多い。安全保障に詳しい拓殖大学海外事情研究所の川上高司教授は次のように述べている。
 「中国は、相手が強いと対話をし、弱いとみればかさにかかってくる国だけに、正攻法ともいえる。実現すれば硬いダイヤモンドになると思う。」
 こうしてみれば、「刺激的」ともいえる防衛白書も、安倍政権が着実に進めてきた「価値観外交」と何ら矛盾するものではない。むしろここで中国の反応を恐れて曖昧な表現の白書を公表すれば、「弱いとみればかさにかかってくる」中国を勢いづかせることになっただろう。そうなれば、これまでの「価値観外交」の成果が消し飛んでしまったかもしれない。実は今回の「安倍カラー」版白書は、対中包囲網を強化しようとする政府の一貫した外交政策を背景に、きわめて自然な流れの中で出てきたものなのである。

2013年7月19日

この記事は2013年6月21日に投稿されました。

日米への敵意をむき出しにした中国国防白書

中国の国務院は4月、2012年版の「国防白書」を公表した。2年ごとに公表される中国の国防白書は今回で8回目となる。
 中国の国防白書は世界各国が公表する白書とは内容が異なっており、国防政策の基本が広く解説されているものではない。中国が独自的に取り上げた項目が順次説明され、国防費の用途の説明などは一切ない。
 ここでは、今回の白書が意図している内容について特に二つの点を説明したい。一つは中国があらゆる国家戦略において軍事力を前面に押し出して活用しようとしていることであり、二つ目は日米を中心とした国際社会に対してこれまで以上に威圧的な態度を明確にしたことだ。

軍事力を前面に立てる強権的国家戦略

今回の白書の特徴の一つは、「軍事力をあらゆる方面で用いる」ことを強調していることだ。たとえば陸軍は、人民武装警察と連携することが明記されている。
 中国では、共産党政権に対する不満が爆発寸前であり、民主化を望む運動も随所に見られる。国内の騒乱の数は年間およそ18万件ともいわれている。通常の国家ならいつ破たんしてもおかしくない数だ。
 これを徹底して弾圧して取り締まるのが人民武装警察だが、白書では陸軍が連携することが明言された。つまり、「共産党政権をゆるがす勢力に対しては、断固としてこれを弾圧する。そのためであれば軍事力を用いることも辞さない」というのだ。
 陸軍以外にも軍の連携は明記されている。海軍と国家海洋局との連携強化がそれだ。
 日本では、海上保安庁が領海の警備活動にあたっているが、保有している巡視船は全国で117隻しかない。日本の国土面積は世界で61番目だが、排他的経済水域を含む海洋の面積は世界第6位である。この広大な海をわずか117隻の巡視船で守り、その中から工面して尖閣諸島の警備にもあたっている。
 これに対して中国では、3000隻の船が国家海洋局で運用されており、これらの公船が日本の領海などに次々と侵入してきている。これだけでも日本は物量的に対応しきれていない状況にあるが、白書ではさらに、この3000隻の公船の背後で海軍が協力体制を敷くことが明記されたのだ。言うまでもなく、「尖閣諸島を手に入れるためには軍事力を用いることも辞さない」と言っているのである。

米国との覇権争いをむき出しに

次は、日米に対する敵意を明確にしたことだ。
 米国は、中国の軍拡に対抗するため、アジア重視の姿勢を打ち出した。白書では、米国のこの立場を強く批判している。米国のアジア重視とは、米国が世界で新しい「攻撃対象」を見つけるためのものであり、地域に不安定化をもたらしているというのである。
 白書では次のように書かれている。
「ある国家(=米国)はアジア太平洋における軍事同盟を深化させ、軍事プレゼンスを拡大し、頻繁に地域の緊張局面を作りだしている」
 さらに白書では、尖閣諸島の領有権に関して日本を初めて名指しで非難した。
 今や中国の日米同盟に対する挑戦は明らかになった。日米両国は同盟関係を強化し、敵意をむき出しにする中国の脅威に対応できる体制を整える必要がある。そのためには、まずは集団的自衛権の行使の問題をクリアする必要がある。緊密な関係を築きあげると同時に、十分な実行力をもって抑止力とするべきである。

2013年6月21日

この記事は2013年1月22日に投稿されました。

習近平が繰り返す「中国夢」は国際社会への挑戦だ

中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が、3月5日に北京の第一回会議で開幕し、同17日、習近平新国家主席による就任演説とともに閉幕した。
 習主席は25分間の就任演説で、「中華民族の偉大な復興という『中国の夢』を実現するため、努力と奮闘を継続しなければならない」と述べるなど、「中国夢(チャイニーズ・ドリーム)」という言葉を9回も用いた。実はこの言葉は、習氏が党総書記に就任した直後の昨年11月以来、繰り返し演説で用いられており、いわば習氏のキャッチフレーズのようになっている。
 これと似た言葉に「アメリカン・ドリーム」があるが、その内容は驚くほど対照的だ。「中国夢」とは、中国の強烈なナショナリズムを意味しているのである。

中国こそ宇宙の中心とみる「中華思想」

「中国夢」の原点は、アヘン戦争(1839年)にまでさかのぼる。
 アヘン戦争に敗れる前の清国は、モンゴル、チベット、ウイグルを組み込み、中国史上最大の版図であると同時に、当時の世界最大の帝国でもあった。彼らは、中国こそ宇宙の中心であり、中国の文化や思想こそが最も神聖であると考える「中華思想」を自負していた。ところが、この「中華思想」の世界観は、列強の進出によって完全に覆されてしまったのである。
 清国がアヘン戦争に敗れると、南京条約によって香港が奪われた。さらにイギリスは清国に対して賠償金の支払いと上海などの開港、治外法権、関税自主権の放棄などを課した。宇宙の中心だったはずの清国が、イギリスとの圧倒的な軍事力の差を見せつけられ、さらに不平等条約を無理やり飲まされたのだ。そしてこれ以降、この不平等条約に他の列強諸国も便乗し、清国の富と力はことごとく奪われてしまったのである。
 この「中国夢」が、現代の国際社会の法のもとに成し遂げられるのであれば何の問題もないだろう。中国がさらに経済成長を成し遂げ、世界の経済のエンジンとなること自体には何ら異論はない。むしろ中国が大国として、国際社会の秩序を維持する役割をさらに果たすのであれば、それは多くの国々が望むところだ。
 しかし習氏が語る「中国夢」とは、国際法に基づいて実現されるものでは決してない。むしろ「中国夢」とは、国際社会に対する挑戦を明確に意味しており、ここに大きな問題があるのである。
 習氏が強調する「中国夢」には、次のような中国人の意識が横たわっている。
 「かつて中国の富と力は、列強によって不当に奪われた。漢民族は宇宙の中心にあるべき民族だが、当時の中国の国力は欧米諸国に劣っていたので涙をのんで耐えるしかなかった。しかし今はそうではない。経済力、軍事力において中国は世界の大国としての地位を取り戻した。今こそ中国は、かつて欧米に力ずくで奪われた歴史を取り戻すべきだ。かつて欧米が圧倒的な軍事力で欧米中心の歴史を作ってきたように、これからは中国を中心とした歴史、中国を中心とした世界秩序を作るのだ。現代の国際法そのものが欧米の力によって不当に作られたものなのだから、これを中国が覆すのは至極当然のことなのだ。」
 習氏は、昨年11月に共産党総書記に就任して以降、自身の演説の中で次のように語っている。
「アヘン戦争敗北以来170年余にわたり屈辱の歴史を背負わされてきた我が中華民族が、ついに偉大なる復興への道を探り当て、世界を瞠目させる成果を収めつつある。中華民族の偉大なる復興こそが近代以降の中国人が最も強く待ち望んでいた夢である。この夢には過去のいくつもの世代の人々の深い思いが込められている。」

「中国夢」の覇権的野望を警戒せよ

そしてこの「中国夢」は、今やただのスローガンではなく、実現可能な施策となりつつある。全人代で公表された国家予算案では、中国の国防費は前年比10.7%増の約11兆1000億円だ。日本の防衛費は11年ぶりに増加されるが、それでも4兆7000億円だから、中国の防衛費は日本の2.4倍にもなる。
 イギリスの国際戦略研究所(IISS)が公表した報告書によれば、「中国の国防費は現時点で、近隣の日本、韓国、台湾を合わせた規模を上回っている」という。さらに中国の国防費が今のペースで毎年増え続ければ、10年以内に米国と同等の規模になるというのだ。
 中国は、アヘン戦争で開戦初日に海軍が壊滅してしまったという苦い経験をもっている。「中国夢」を真に実現するためには、海洋覇権を確固たるものにしなければならない。これが今回の全人代で強調された「海洋強国化」だ。清国でも実現できなかった海洋覇権の確立が、まさに「中国夢」実現のための大きな柱となっているのだ。
 このため中国は、国家海洋局の権限を大幅に強化し、海軍の支援も受けられるようにした。尖閣海域における日本の海上保安庁に対抗しようとしているのは間違いない。今後も尖閣海域における中国公船による領海侵犯が続くことは明らかだ。日本側が手をこまねいていれば、今後は日本漁船の拿捕や船員の拘束も十分起こりうるだろう。
 習政権は日本やアジアの安全保障に対する挑戦を明確に表明した。
 日本としては、集団的自衛権の行使を可能にし、日米同盟をより強固にすることで抑止力を高めることが最優先だ。ただし米国では、国防費の長期的な強制削減が見込まれている。中国の覇権主義から自国の領土を守るために、中長期的な日本独自の防衛体制を今から構築するべきである。

2013年3月22日

この記事は2013年3月13日に投稿されました。

中国の動向と背後の長期戦略

2013年3月13 日、高田馬場駅頭にて行われた街頭演説の内容を動画で紹介する。

春の嵐(強風)が吹き荒れた3月13日夕刻、国際勝共連合遊説隊は高田馬場駅前において街頭演説を行い、最近の中国の動向(挑発行為)の背後にある長期戦略(意図)を訴えた。
 1月に尖閣諸島沖で、海上自衛隊のヘリコプターと護衛艦に対して、中国艦船が火器管制レーダーを照射した。中国は、昨年日本が尖閣諸島を国有化したことに反発して挑発行為をエスカレートさせているが、尖閣棚上げ論を破棄して最初に国有化宣言をしたのは中国の方である。中国の三戦に屈してはいけない。尖閣諸島をめぐる日本と中国の対立は、中国自身の長期的戦略に基づく挑発行動が原因である。尖閣の問題は一過性のものではないことをはっきりとご認識いただきたい。

2013年3月13日

この記事は2013年1月15日に投稿されました。

中国との戦争近し─集団的自衛権行使を可能とせよ

中国人民解放軍を指揮する総参謀部が全軍に対し、2013年の任務について「戦争の準備をせよ」との指示を出していたことが明らかになった。昨年まではなかった非常に強い表現である。
 中国の主要メディアは今年に入り、「尖閣戦争」を想定した番組を連日のように放送しているという。出演しているのは中国軍シンクタンクの幹部である羅援少将や尹卓少将らなどだ。彼らは習総書記と同じ太子党のメンバーであり、習総書記の意向が反映している可能性が非常に高い。
 つまり戦争への指示は、軍部が暴走して独自に出したものではなく、習総書記からの指示であると考えられる。習指導部は、いよいよ日本との戦争に向けて、大きく一歩を踏み出したといっていい。

尖閣2月危機が近い

今年に入り、中国からの尖閣への圧力が強まっている。安倍内閣が本格始動した1月7日には海洋監視船4隻が領海侵犯し、8日未明まで領海内に居座った。昨年から領海侵犯を繰り返している監視船「海監」や、12月に初めて領空侵犯したプロペラ機「Y12」は、国家海洋局の所属であり、事実上海軍の支配下にある。繰り返される侵犯行為は、海軍の意向によるものだ。
 なぜ海軍が、ここにきて尖閣への圧力を強めているのか。この背景には、人民解放軍内で繰り広げられている権力闘争がある。中国では、3月5日に全国人民代表大会(全人代)が開幕される。日本の国会にあたるこの大会では、各省庁の1年分の予算が決められる。ここでできるだけ多くの予算を勝ち取るために、各省庁間で激しい権力闘争が繰り広げられる。当然軍部もその例外ではない。軍部の中では、陸軍、空軍、海軍が、予算の取り分を巡って熾烈な闘争を展開するのだ。
 尖閣有事の可能性が高まれば、海軍としては予算獲得の格好の理由づけになる。特に尖閣は、海底に豊富な地下資源が眠っていると見られており、海洋資源の権益を握る海軍にとって尖閣奪取は悲願でもある。海軍にとって尖閣での有事は、「予算獲得」と「権益拡大」の両方を狙える大きなチャンスということなのだ。
 海軍にとって目障りなのが陸軍の影響力である。昨年11月、党中央軍事委員会の副主席に元空軍幹部の許其亮が選出された。それで現体制下では、空軍の存在感が急速に高まっている。海軍は、これ以上の存在感を示す必要がある。それで領海侵犯だけではなく、領空侵犯にまで挑発をエスカレートさせたのだ。
 このように見れば、全人代が始まる3月を前に、海軍が具体的な紛争をしかけてくる可能性も十分に考えられる。これが「尖閣2月危機」だ。
 習近平は、軍人事の主導権を昨年11月の党大会で胡錦濤に奪われた。習は巻き返しを図るために、軍の保守派と連携して主導権を取り戻そうとしている。その格好の材料が日本との戦争というわけだ。
 中国の内部を知れば知るほどに、尖閣危機は現実味を帯びてくる。

日米同盟を基軸とした防衛体制を整えよ

日本の防衛は、自衛隊だけでは困難であり、米軍とともに行動することによって役割を果たせるようになっている。しかし日米の信頼関係は、民主党政権の間に地の底まで落ちてしまった。信頼関係がなければ、兵士が血を流してまで米国が日本の防衛に取り組む保証などどこにもない。だから安倍政権は、この関係を回復することが急務だ。
 そのためにはまず、集団的自衛権の行使を可能にすることだ。
現在国連は、世界警察のような役割を果たせていないため、各国が防衛のための戦争を行う「個別的自衛権」を独立国家の権利として認めている。いわば国家の「正当防衛」のようなものだ。しかしこれだけでは、軍事力の弱い国家は、軍事力の強い国家に容易に負けてしまう。そこで国連は、同盟国とともに防衛のための戦争を行う権利も認めている。これが「集団的自衛権」だ。
 しかし日本では、「集団的自衛権は保有するが、行使はできない」という不可思議な解釈がある。これが日米の信頼関係に大きなくさびを打ち込んでしまっている。米軍が日本の防衛のためにともに戦ったとしても、自衛隊は米軍を敵から守ることができないのだ。「なぜ米兵だけが一方的に犠牲にならなければならないのか。」この疑問に、日本は答えられないのである。
 政府は集団的自衛権の行使容認について、幅広い検討を始めた。中国の危機は目の前にまで迫っている。一刻も早く集団的自衛権の行使を可能にし、米国とともに、尖閣有事に対する具体的な対応策を準備すべきだ。

2013年1月15日

この記事は2012年10月23日に投稿されました。

政府は中国の世論戦に毅然と対抗せよ

尖閣諸島の国有化以降、中国側が激しい反発を見せている。中国は尖閣諸島支配のためにあらゆる手段を駆使しているが、その中でも日本がしっかりと対応しなければならないのが中国の「世論戦」だ。
 中国人民解放軍は、2003年、「三戦を実施し、敵軍の瓦解工作を展開する」との条例を発表した。三戦とは、世論戦、心理戦、法律戦の三つの闘いを指している。嘘も含めて中国に有利な情報を流して世論を誘導し、強硬な態度をとりながら相手の意思をくじき、自国に有利な法律を一方的に制定するのだ。特に今中国は、この「世論戦」を中国国内のみならず、世界へと展開している。世界を中国の味方につけることによって、「日本包囲網」を構築しようとしているのだ。

「日本包囲網」の構築

中国の楊潔チ外相は、9月末の国連総会で「日本が(尖閣を)盗んだ歴史的事実を変えることはできない」と発言した。これは、竹島を実効支配する韓国が、領土問題を歴史問題にすり替えている手法を真似したものと言える。つまり、「竹島にしても尖閣諸島にしても、日本が戦時中に不法に奪ったものであり、日本の言動はかつての軍国主義としての国家的犯罪を反省していない証拠だ」というのだ。韓国にしても中国にしても、竹島や尖閣諸島を自国の領土という十分な説得力をもっていない。だから問題をすり替えて領土問題を歴史認識問題として、世界各国を味方につけようというのだ。当然中国は、この発言の後すぐに、韓国と対日批判で連携する構えを見せた。
 日本は、国連総会での首相の演説で、日本の正当性を訴えつつも中韓両国の名指しは避けた。両国に配慮をしたからである。中国は日本包囲網の準備を「世論戦」を用いて着実に進めていたが、日本は「世論戦」の戦いを始めてすらいなかったのだ。
 日本政府はその後、ようやく「世論戦」を開始した。玄葉外相は、記者会見で「1960年に中国で発行された世界地図には尖閣諸島が日本名で明記してある」と発言するなど、日本の立場を積極的に発表するようになったのである。

日本も「世論戦」で世界に真実を主張せよ

中国は、11月に中国共産党大会が行われ、新しい指導体制が出発する。その頂点には、習近平国家副主席が党総書記として就任することが確実だ。日本の政府が、日中関係を修復するために習近平体制の登場を待っていたことは間違いない。しかしこの日本政府の読みは誤っていた。尖閣諸島国有化に対する強硬的な態度は、習近平の指導によるものであることがすでに明らかになっている。
 日本は国際社会に対して真実を効果的に訴えるべきだ。まずは日中中間線付近にあるガス田・春暁の開発に着手することだ。そうすれば国際社会は、どこに日中の中間線があるかをはっきりと知るようになる。
 政府はさらに、尖閣諸島の実効支配化を着実に進めるべきだ。陸上に灯台を含む建築物を立てる。海上保安官が必要な場合に武器使用をできるようにする。建築物などを建てるのにふさわしくない小さな島は、自衛隊の射爆場などとして活用すればよい。こうした措置で、尖閣諸島付近の抑止力は短期間で大幅に強化されることになる。
 政府は竹島や尖閣諸島問題に関しては、毅然とした態度を示すべきだ。今なお中国は、海洋監視船などを再三にわたって日本領海に侵入させている。戦いはすでに始まっている。戦いは隙を見せたほうが負ける。中国の横暴をこれ以上許してはならない。

2012年10月23日

この記事は2012年7月26日に投稿されました。

中国による尖閣実効支配が近い

中国人民解放軍の軍幹部が、いよいよ尖閣諸島の実効支配の具体的戦略を明言した。今月1日のことである。
 発表したのは、中国軍シンクタンクの軍事科学院世界軍事研究部、羅援少将である。香港のフェニックステレビに出演して、「6大戦略」として発表した。発表当時は中国語のみの動画がYou tubeに投稿されていたが、今は日本語訳までつけて流されている。中国軍幹部の具体的な発言であり、もはや日本に対する宣戦布告と考えても大げさではない。
 羅援少将の6大戦略とは以下の通りである。

 (1)尖閣諸島に「中国台湾宜蘭県釣魚島鎮(=町)」を設立。
 (2)不明確な尖閣諸島の領海の基線を設定。
 (3)周辺海域を軍事演習区とし、航空部隊の射的場に使用する。
 (4)日本の海上保安庁に対抗する国家海岸警衛隊の設立。
 (5)開発集団(=企業)を設立し、石油探査と漁業、旅行を担当。
 (6)国際世論を味方に付ける。

 一番目の「町」の設立とは、尖閣を中国の行政区に明確に位置付けようというもので、西沙諸島と南沙諸島を「三沙市」に格上げしたのと同じ意味を持っている。実はこの「三沙市」への格上げも、今年の3月に羅援少将が提案した戦略の一つに他ならない。中国政府は羅援少将のこの提案を受け入れ、3カ月後の6月に「三沙市」の設立を発表したのだった。
 6大戦略の三番目は、尖閣周辺海域での軍事演習を実行せよという内容である。また、五番目は周辺海域での資源調査などの企業を立ち上げよというもの。戦略の内容はかなり過激なものとなっているのだ。
 台湾の活動家による尖閣沖での領海侵犯があったのはこの発表の三日後だった。彼らの資金は中国軍が援助していた。また、中国の海洋調査船が三時間にわたって尖閣沖で領海侵犯したのはさらにその1週間後だった。これら一連の行為が中国軍によって計画的に行われていることはもはや疑う余地がない。むしろ中国軍による尖閣諸島への武力進出は、もはや時間の問題と捉えるべきである。

有事への備えを徹底せよ

今、日本国内では、尖閣諸島を都が保有するか国が保有するかでもめている。都の上陸申請も保留される見込みが強い。しかし中国のこのような動きを見れば、そのような時期はすでに過ぎていることが明らかだ。
 いよいよ有事に対する具体的な備えを準備しなければならない時がきている。中国が実効支配にきたときに、日本はどのようにそれを防衛することができるのか。防衛するための法整備は十分になされているのか。1年前の東日本大震災では、「想定外」という言葉ばかりが繰り返され、法的な不備によって政府は有効な手立てを打つことができなかった。武力衝突が起これば、それは震災以上に深刻な事態である。国を守る体制は十分に整えられているのか。これこそ「待ったなし」の論議である。
 有事に備えて第一に備えるべき体制は、まずは集団的自衛権の行使である。日本独自の力で軍事力を飛躍的に増大させている中国軍を抑えることは困難である。同盟国である米国との緊密な連携を可能にするための条件が集団的自衛権の行使であり、この実現のための国民的な理解が必要である。
 次は、有事の際の国民のあり方の問題であり、これを定めるのが緊急事態基本法だ。現在、有事を想定した国民保護法が制定されているが、ここでは「国民の協力」は「自発的な意思にゆだねられ」るのであって、協力義務はない。こうした状況では、医薬品や水やガソリンなど、国民の生命を守るために必要な物資が国内の他の地域で買い占められ、それを必要とする地域で不足してしまう事態も起こりかねない。
 有事が起これば米国だけが犠牲になって日本を守ってくれるのではない。また、自衛隊だけが職務を果たせば防衛できるというものでもない。日本の主権と領土を守るための、日本全体の役割を明確にしなければならないのだ。

2012年7月26日

この記事は2012年7月3日に投稿されました。

中国の資源戦略の本質を見抜け

中国は、経済成長に伴ってエネルギー消費量が著しく増加するようになり、1990年代半ばから石油・石炭の純輸入国となった。17億の人口を養い、成長著しい経済を支えるために莫大なエネルギーを消費しているのだ。
 特に、超大国米国を視野に入れ、国力の増強を目標としている大国中国 にとって、天然資源の確保は至上命令でもあり、中国は国家戦略として資源確保に乗り出すようになった。

国際社会から批判される中国資源外交

しかし、資源エネルギーの中心である石油のほとんどは欧米諸国などの先進国がほぼ独占しているため、中国が海外の資源を獲得するためにはそれ以外の地域に進出せざるを得なかった。世界の多国籍石油企業の上位20社が、すでに世界の81%の探査済み優良石油資源の採掘権を握っていたのである。
 そのため中国の資源確保は、「ハイリスクもしくは戦乱地域」「中央アジアやロシアなどの新開発地域」「人権問題などを抱える地域」などに限定されるしかなかった。中国の国有石油企業トップは、政府要人らとともにこうした地域を訪問し、国家としての巨額の開発投資を約束し、広範な地域で開発権等を確保するようになった。
 そして中国は、天然資源の獲得を通してさらなる資源外交の効果を狙うようになった。それは、以下のような内容である。

①中東や中南米などの反米的な国家との結びつきを強めることで、米国中心の国際政治における中国の影響力拡大を狙う。
②中央アジアとのパイプを作り、ウイグル・チベット地区の独立運動に対する共闘体制を組む。
③米国の中国封じ込め政策を阻止するためのロシアとの協力関係
④台湾問題における中国支持獲得
⑤人権外交における相互協力
⑥アフリカに対して旧式武器を輸出して処分する

特に最近は、中国は人権問題等で欧米諸国と対立することが多く、同じように人権問題で非難されることが多いアフリカ諸国と友好関係を維持・強化することは、中国の国際的発言力を強化するためにきわめて重要になっている。また、中国外交の重要な位置を占める台湾問題でも、国連加盟国の約四分の一(53か国)を占めるアフリカ諸国の支持を取り付けることは中国にとって必要不可欠なのである。
 援助の相手国は、人権蹂躙国家や独裁体制国家にまで及んでいる。スーダンやアンゴラなどの人権侵害の国際的非難を受けている国々に対しては、中国は武器輸出を結びつけたパッケージで石油資源開発を行っており、米国などはこれを強く批判している。

中国の膨張政策を見抜け

今や中国は、世界経済推進のエンジンの役割を果たしているとまでいわれるようになった。しかし問題は、その経済的な立場を巧みに利用しながら、領土拡張や人権問題に対しても優位な立場を確保しようとする外交戦略を展開していることにある。
 利用できるものはすべて利用するのが中国共産党の戦略である。日本が中国との経済的な関係をもつこと自体は問題ではないが、その背後にある膨張政策や人権問題に対しては断固たる態度をとらなければならない。表面的な経済問題とのみ捉えれば、狡猾な中国の戦略に日本も飲み込まれてしまうことになるだろう。

2012年7月3日

この記事は2012年3月27日に投稿されました。

薄氏の失脚に見る今後の中国

中国の政治権力は9人の最高指導部によって完全に握られている。彼らは中国共産党中央政治局常務委員という役職にあり、胡錦濤総書記や次の総書記就任が確実視されている習近平、温家宝首相などがその立場に立っている。
 現在の9人の常務委員は、2007年の中国共産党第17回全国代表大会で紹介された。選挙などといった類の手続きは一切ない。彼らがもつ権力は絶対であり、お互いにその不正や汚職を追及することは禁じられている。
 彼らがどのようにして常務委員に選ばれるのか、その詳細は誰にもわからない。激しい血みどろの権力闘争があることは間違いないが、その経緯を知ることは不可能である。万が一彼らの分裂が社会に漏れれば、その情報はたちまちのうちに中国全域に広まり、大きな暴動を引き起こすことになる。1989年に起きた天安門事件も、そのきっかけは指導層内部の分裂が広く知られ渡ったからだった。このことを手痛い教訓として学んだ中国指導層は、それ以来、内部の情報を一切漏らさないように徹底することにした。情報が外に漏れると、それに関わった人物には終身刑以上の刑罰が科された。

絶対的指導者なき中国

かつての中国は、毛沢東や鄧小平といった一人の絶対的な権限を持つリーダーが指導する国だった。しかし鄧小平の死後、中国にはそのような絶対的リーダーはいなくなり、常務委員9人の政治的なバランスによって成り立つ集団指導体制となったのである。
 彼らの中には、前総書記の江沢民の影響を受ける江派と現胡錦濤総書記に近い胡派の二つの派閥がある。
 江沢民は、彼とその一族全体が広範な汚職に関わっていた。だから、江沢民が総書記を引退後に政治的影響力を失えば、彼自身とその家族は糾弾され、処刑されることは間違いなかった。だから江沢民は自身の影響力が政治的に消えないように必死に政治闘争を続け、そして多くの常任委員を江派で占めることに成功したのである。
 江派の多くは「太子党」と呼ばれ、かつての共産党幹部の子弟たちである。当然彼ら自身も、親の世代から続く不正や汚職行為によって莫大な資産と権力を手にしてきた。
 それに対して、現総書記の胡錦濤は、共産主義青年団(共青団)と呼ばれる青年エリート組織で教育を受けた一人である。彼らは、現在の中国において不正や汚職行為によって多大な国家資産が消失してしまっているということをよく知っている。だから、中国社会を安定させ、さらに発展させるためには、法律が正当に機能することによって不正をなくす必要があると考えている。
 中国の現首相の温家宝もこの共青団出身であり、この改革を推し進めるために尽力してきた。しかしこの改革は、江派の根強い抵抗によってほとんど実現されていない。それどころか、江派の最有力者の習近平が次期総書記になることが確実視されている。
 この秋には、第18回の全国共産党大会が行われるが、その際には9人の常務委員のうち7人が定年を迎え交替することになる。そして次の指導部入りが確実視されていた一人が今回失脚した薄熙来(はくきらい)だった。
 しかし薄氏は、その側近である王立軍の米領事館駆け込み事件の責任をとって失脚させられた。今もその動静はわからない。
 この事件をどのように見るかは難しい。この事件によって胡派の優勢は決定的になったという見方があり、江派による巻き返しが図られるという見方もある。さらには、一連の動きは政治的な安定のためにとられた措置であって、あまり政治的な闘争とは関係ないという見方もある。
 ただ確実なのは、どちらの派閥にも絶対的な権力は存在しないということである。

中国共産党の崩壊には日本の決断が必要

次期総書記の就任が確定している習近平に対する評価は、「傑出した指導者」ではなく、いわゆる「バランス型」である。だから、今後もこの中国指導層の体制が大きく変わることはない。
 かつてソ連が崩壊したときは、当時のゴルバチョフ書記長一人の判断力と指導力が決定的な役割を果たした。しかし今の中国では、当時のソ連のように一人の指導者の意思によって国が動くということは起こりえない。
 日本の中には、「中国は問題だらけの国だから、いずれ自然に滅んでいくはずだ」という楽観的な意見が多い。しかし、我々の予想以上に今の中国の体制は複雑であり、かつその基盤は強固である。2012年の国家予算において、軍事費は過去最高の7.4兆円が計上されたが、国内の治安の維持費はさらにそれを上回る7.7兆円が計上された。不安定な要素は、徹底して速い段階で摘み取られ、かつ激しく弾圧されている。
 中国の脅威による不安から目をそらすために、「中国はそのうち内部から崩壊するだろう」と安易に考えることはやめなければならない。中国共産党を崩壊させるには、日本が隙を見せず、断固たる態度を示す以外にない。さらに日韓米の協力体制が強化され、中国に対する包囲網がより強力になれば、その体制を崩壊させることができるだろう。
 「日本が犠牲にならなくともそのうちいつか」という安易な発想を日本は捨てなければならない。「平和と安全は自らの意志で勝ち取る」という強い気概が必要である。

2012年3月27日

この記事は2012年3月8日に投稿されました。

中国のA2/AD戦略を想定した安保体制構築を

中国の軍事的脅威が高まっている。中国のA2/AD(Anti Access/Area Denial)戦略に対して、米国は1月5日に新国防戦略を打ち出した。韓国、ベトナム、フィリピン、インドなど中国の周辺諸国も軒並み防衛力を強化している。それに比べて日本の防衛戦略はどうか。2010年12月に閣議決定された「防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」のいずれもA2/ADにはまったく触れていない。国防戦略も55年前のままである。我々は激変する東アジア情勢を正しく認識し、時代に即した安全保障体制を構築すべきである。

「革命的兵器」の登場

米国防情報局のバージェス局長は2月16日の上院軍事委員会の公聴会で、「中国がDF-21Dの配備を準備している」と証言した。DF(=Dong Fen:東風)-21Dは世界初の対艦弾道ミサイルで、射程距離は1,500km以上。移動中の空母を精密に捉える能力を持つため「空母キラー」と呼ばれ、米国中心の軍事ゲームのルールに革命を起こしたという点で「ゲームチェンジャー」とも呼ばれる。
 中国のDF-21D配備により、台湾や朝鮮半島など東アジア地域で有事が生じた際でも、米海軍は空母艦隊をうかつに派遣できなくなった。中国に近い沖縄に海兵隊を集中させることにもリスクが生じ、米国はミサイルの射程圏外であるオーストラリアやハワイに海兵隊の兵力を分散する戦略を余儀なくされた。DF-21Dの出現が米国の国防戦略を大きく転換させたのである。

※DF-21Dの配備時期について、中国共産党系の『環球時報』は2011年2月に配備を開始したと報じている。DF-21Dの射程距離について、米シンクタンクの戦略予算評価センターは2,130 kmと推察しているが、人民解放軍総参謀長の陳炳徳氏は2,700kmと公表している。

中国のA2/AD戦略

米国議会の複数のシンクタンクの報告によれば、東アジアにおける有事で米中対決が本格化した場合、中国は人工衛星への攻撃やサイバー攻撃で米軍の指揮通信網をマヒさせ、先手必勝で米軍の主要基地に弾道ミサイル、巡航ミサイルで先制攻撃を仕掛けてくる。横須賀、佐世保の米海軍基地が中国のミサイル攻撃を受ければ、停泊中の艦船はDF-21Dの格好の標的となり、基地の破壊は免れない。基地機能を失えば、米海軍は台湾や朝鮮半島のみならず、日本列島全土を含めた第一列島線の領域内に接近(アクセス)できなくなる。これが中国の接近阻止(アクセス拒否:Anti Access)戦略である。中国はDF-21Dの配備によって、人民解放軍の躍進前期(2000年~2010年)の戦略目標である第一列島線内の制海権を確保する能力を獲得したのである。
 さらに中国は2020年までに複数の空母を建造し、第二列島線の領域内における米海軍の自由航行阻止(エリア拒否:Area Denial)を目標としている。年内には改修中の空母ワリャーグが訓練用空母として正式に就役し、「東洋のハワイ」と呼ばれる海南島の海軍基地に配置される。中国はワリャーグの改修作業と同時に、上海市郊外の長興島で2隻の国産空母の建造も進めている。このまま中国の海洋覇権が拡大していけば、いずれ、米国第7艦隊と中国空母艦隊が西太平洋の制海権を争うことになる。ティモシー・キーティング前米太平洋軍総司令官の証言によれば、中国はハワイを起点に太平洋の西側を中国が、東側をアメリカが分割管理するという戦略目標を持っている。

米軍の切り札

米太平洋軍は中国の接近拒否能力を、防空システム、潜水艦、弾道ミサイルの組み合わせと見ている。対抗策として、新型の巡航ミサイルや無人攻撃機の空母配備、無人潜水艦や新型長距離爆撃機の開発を進め、空と海の兵力の一体運用を通した長距離攻撃を柱とする戦略を準備している。これが「ジョイント・エア・シー・バトル(空海統合戦略:ASB)」である。詳細は明らかにされていないが、現在開発中の空母搭載型のステルス無人戦闘攻撃機「X-47B」が米軍の切り札になるのは確実だ。昨年2月4日、X-47Bはエドワーズ空軍基地で初飛行に成功した。2013年に実際の空母を使った離着陸テストを行い、将来は米海軍第7艦隊の空母打撃群に配備される。X-47Bは作戦半径が3,000km近くに及び、50〜100時間の連続飛行が可能なためDF-21Dの射程外から作戦を遂行することができる。

日米同盟を深化し、緊急事態に備えよう

米国がASBの実施に取り組む姿勢をはっきり打ち出した以上、同盟国の日本も中国のA2/ADへの対応を検討しなければならない。今こそ米軍のトモダチ作戦に報い、真の同盟関係を築く時だ。戦略予算評価センターは「ASBの成功は同盟国日本の積極的な参加に懸かっている」と強調する。日本は米国のASBを積極的に支え、強固な日米同盟で中国の覇権主義に立ち向かう決意を固めるべきである。
 日米同盟を深化すると同時に、自国の防衛政策を整備し、防衛力を強化することも必修である。専守防衛、武器輸出三原則、非核三原則、集団的自衛権非行使といった悪しき防衛政策を放棄し、日本版NSC(国家安全保障会議)や防諜組織の創設、スパイ防止法などの法整備が不可欠である。中国のA2/AD能力を脅威として認識していない「防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」を改正し、国の守りに必要な防衛予算と人員を備えるべきである。野田佳彦首相が2月17日の衆議院予算委員会で「国防の基本方針」の見直しに前向きな考えを表明したことは評価できるが、問題は政治の決定力だ。国民の生命と財産を守る安全保障政策に与野党が一致して取り組むことを国民は期待している。
 まもなく東日本大震災から1年を迎える。さまざまな研究者が3・11を契機に首都圏直下型地震の起こる可能性が高まったと報告している。大災害発生の際は、政府は速やかに緊急事態宣言を発令し、安全保障会議を開催して東アジア有事にも対応できる二正面の備えをしなければならない。「乱にあっては乱に備えよ」である。東日本大震災での対応の過ちを繰り返してはならない。緊急事態において、アジアと日本の平和と安全を守ることこそ東日本大震災で犠牲になられた同胞を慰霊することになる。

2012年3月8日

この記事は2012年2月23日に投稿されました。

中国経済の混乱は何をもたらすのか

中国国家統計局は2月9日、今年1月の消費者物価指数の上昇率(インフレ率)が前年同月比4.5%だったと発表した。中国のインフレ率は2011年12月まで5カ月連続で鈍化していたが、1月に関しては4.1%程度とみていた市場予想を大幅に上回ったことになる。
 しかしこの数字もどこまでが本当の数字かはわからない。一説には、中国の本当のインフレ率は10%を超えているという話もある。
 中国のインフレの要因には、短期的・一過性のものと長期的・構造的なものの両方がある。一過性の要因とは、たとえば1月には中国の旧正月が重なったことであるとか、イラン情勢の悪化により原油高が高騰したことなどがあげられる。
 しかし中国経済が深刻なのは、こうした一過性の問題ではなく、長期的・構造的な問題が非常に大きいことにある。ここで、中国のインフレの長期的・構造的な要因について3つあげてみることにしよう。

中国インフレの構造的要因

一つ目の要因は、中国国内において需要が増大していることだ。中国は近年大きな経済成長を遂げてきたが、これは非常に安価な労働力によってもたらされた部分が大きい。しかし中国の経済成長は、人々の生活水準を引き上げることにもなった。もし中国の13億の人口が先進国並みの生活をするようになったらどうなるだろうか。当然、食料やエネルギーは世界的に不足することになるだろう。さらに中国国内では、共産党幹部が農民の土地を不法に取り上げて売買するという不法ビジネスが横行したために、耕作面積が激減した。こうして、食糧やエネルギーの価格は構造的に上昇の一途をたどることになったのである。
 二つ目の要因は、欧米からの投資が増加したことにある。リーマンショック以降、欧米諸国は金利を引き下げることによって景気を回復させようとした。金利が安くなれば投資がしやすくなり、大量のマネーが市場に出回ることになる。そしてこのマネーは、中国にも大量に流れることになった。物価が安くて人口が多い中国は、投資の際には非常に大きな魅力なのである。
 そして三つ目の要因は、中国政府自身が貨幣を乱発してきたことにある。中国の実体経済は、31年間で92倍になったが、通貨の量は702倍にもなった。こうして中国の国内外から資金が一斉に流れこみ、不動産を中心に実体経済とかけ離れた価格の上昇、すなわちインフレが起こったのである。
 インフレが起これば特に打撃を受けるのが貧困層だ。この貧困層の不満が爆発すれば、当然社会は不安定になる。中国で1989年に天安門事件が起こったのも、中東諸国でジャスミン革命がおこったのも、その直接の要因はインフレにあったのである。
 インフレを抑えるためには、単純に考えれば金融の引き締めを行えばよい。銀行が貸し出しを渋るようになれば、お金は市場に流れなくなる。そうすれば高い不動産を買うこともできなくなるし、投資は全般的に抑えられることになる。
 実際中国では、昨年こうした金融の引き締めが何度も行われた。その結果、多くの中小企業で資金繰りができなくなり、倒産が相次いだ。社長が自殺し、給与の不払いが発生し、失業者があふれるようになった。
 さらに中国では、世界的な不況の影響も受けている。中国経済は輸出に依存する割合が極端に高いから、欧州債務危機は中国に深刻な影響をもたらした。この経済不況を乗り越えるためには金融緩和が必要になるが、しかしそれはインフレを再燃させることになってしまう。
 つまり中国では、金融緩和をすればインフレによって社会が不安定になり、金融引き締めを行えば不況によって社会が不安定になる。実体のない経済を無理やり社会主義で引っ張ってきた中国は、ここにきて大きな限界を迎えているのである。もちろんこの限界は、共産党幹部による巨額の贈収賄行為によって、莫大な資産が中国から消失することによってももたらされた。

外に敵を作り責任転嫁する共産主義思想

社会が不安定になれば、国外に敵を作り、そこに国民の関心を集めて乗り切るというのがこれまでの中国共産党の常とう手段だ。そもそも敵を外部に作って団結させようとするのは、共産主義思想が資本家にすべての罪をなすりつけた責任転嫁の理論そのものでもある。
 中国のナショナリズムをもっとも煽るのは、日本の尖閣であり沖縄である。中国経済の混乱が何をもたらすのか。その混乱を解決させるための矛先は、日本に向けられる可能性も少なくない。
 日本に我々は今、国防に真剣に備えなければならない。

2012年2月23日

この記事は2011年11月10日に投稿されました。

日韓の防衛力強化でアジア・太平洋を守れ!

中国の覇権主義は海洋にとどまらず、宇宙空間とサイバー空間にも及んでいる。財政再建のため長期的な国防費削減を余儀なくされている米国は、中国の覇権主義に対して、アジア・太平洋地域での旧来の同盟国である日本と韓国に防衛力強化を求めている。

顕在化する中国の脅威

近年の中国軍事研究で強い関心を集めているのが中国の海洋戦略である。海洋覇権拡大を目指す中国は、遠方から来る敵を防衛線内に入れさせず(接近阻止:Anti-Access)、防衛線を突破されてもその内側で敵に自由な行動を許さない(領域拒否:Area-Denial)という「A2AD」コンセプトにより、複数の空母と潜水艦を建造し、「空母キラー」と呼ばれる中距離弾道ミサイル東風21Dの実戦配備を進めている。
 海軍力増強もさることながら、中国の海洋での無法ぶりも脅威である。中国は国連海洋法条約で定めているEEZ(排他的経済水域)域内での外国船舶の自由航行を認めず、国際紛争解決のための国際機関への提訴の義務付けも受け入れない。1992年の「領海法」で南沙諸島や西沙諸島、尖閣諸島が自国の領土であると宣言し、1998年の「専管経済区及び大陸棚法」で中国のEEZは沿岸だけでなく大陸棚を含むと宣言するなど、国内法を定めて一方的な主権の拡大を唱えている。

 さらに今年の夏以降、中国軍の脅威は宇宙空間とサイバー空間でも顕在化している。
 中国は11月3日、宇宙実験室「天空1号」と無人宇宙船「神舟8号」のドッキングに成功し、2020年完成予定の有人宇宙ステーション建設に弾みをつけた。日米欧露など15カ国で建設した国際宇宙ステーションは2020年には運用を終えるため、2020年以降は中国の宇宙ステーションが宇宙で人間が滞在できる唯一の施設となる。中国の宇宙開発は人民解放軍が主導しており、有事の際に軍事転用されることは間違いない。
 中国が関与するサイバーテロ攻撃も日本の安全保障を脅かす問題としてメディアを騒がせている。9月18日に日本の防衛産業の中枢を担う三菱重工に対するサイバー攻撃が発覚して以来、防衛関連企業、衆議院と参議院、在外公館や総務省などの省庁に対するサイバー攻撃が次々と報じられた。読売新聞は9月19日から『サイバーウォーズ』という特集を連載し、サイバー攻撃関連ニュースを連日1面で報じた。朝日新聞も11月7日号1面で『サイバー戦に備えよ』と題し、「中国軍が見えない戦争に向けた準備を進めている」と訴えている。

米国が望む日韓の防衛力強化

10月下旬、パネッタ国防長官は米軍のアフガニスタンとイラクからの戦力削減に伴い、アジア・太平洋地域のプレゼンスを強化すると宣言した。11月9日には米国防総省が「ジョイント・エアー・シー・バトル構想(統合海空戦闘構想)」導入を発表した。しかし、その実現は米国議会の動向に委ねられている。今月23日までに超党派の予算委員会で、今後の具体的な予算削減案がまとまらない場合、6000億ドルの国防費の追加削減が強制的に決まる。米軍にアジア・太平洋を守る意思はあっても、それが実現するかどうかは微妙である。いずれにせよ、米国の長期的な国防費削減は避けられない。米国は中国の覇権主義対策として、アジア・太平洋地域での旧来の同盟国である日本と韓国に防衛力強化を求めている。

 米国で「中国脅威論」を強く唱えてきたシカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授(政治学)は、「アジアにおいては、中国が東西冷戦時代のソ連以上の脅威となる」と述べている。ミアシャイマー教授はその理由について、「旧ソ連は全盛期に国内総生産(GDP)が米国の3分の1で、人口も米国を少し上回るだけだったが、それでも驚異的だった。現在の中国はGDPが米国を追い抜く勢いにあり、人口は4倍を超える。さらに、ソ連の軍事戦略の中心が欧州にあったのに対し、中国は戦略の中心を北東アジアに置いている」と指摘している(朝鮮日報日本語版10月10日)。
 ミアシャイマー教授の指摘どおり、アジア諸国、特に日本と韓国は中国の脅威に真剣に向き合い、早急に防衛力強化に努めなければならない。

2011年11月10日

この記事は2011年8月5日に投稿されました。

台湾は自由アジアの砦!

この記事は2011年3月11日に投稿されました。

日本の防衛政策を見直そう!

今年の6月、中華人民共和国は日本の尖閣諸島に1千隻の漁船を装った海民を送り込むという。文芸春秋2月号、麻生幾氏が「海民襲来」なる近未来小説を書いた。中国が尖閣・沖縄にどのようにして入ってくるか、そのストーリーが描かれている。
 かつて、民社党の塚本三郎議員が国会で、「武装した兵士が武器を発砲しないで日本に上陸してきた場合、我が国は何ができるのか」と質問した。その場合、完全に侵入を許してしまう。
 我が国には領海警備法がない。領海侵犯罪がない。我が国の防衛政策を見直さなければならない。このままでは、日本は中国の属国となってしまう。・・・

この記事は2011年3月6日に投稿されました。

中国人民解放軍の恐るべき長期戦略

この記事は2011年3月6日に投稿されました。

中国国防費 23年連続2ケタ増の大軍拡の狙い

中国の2011年の国防費が前年実績比12・7%増の6011億元(約7兆5378億円)になる。3月4日、全国人民代表大会(全人代=国会)の李肇星報道官が明らかにした。一般の報道では「中国の国防費が2ケタの伸び率を示したのは2年ぶり」としているが、我々はそうした見解に立たない。昨年の1ケタ伸び(7・5%増)の中身は巧妙に細工されており、実質的には2ケタ伸びだったからである。したがって中国の国防費は「血の天安門事件」以来、1989年~2011年まで23年間2ケタの伸び率で大軍拡をしてきたと見るべきである。

最新兵器の開発・配備はすべて国防費外に偽装

2011年の中国国防費は前年に比べて676億元(約8477億円)の大幅増である。李報道官は「中国は一貫して国防費の規模を抑制している。中国の国防費は透明で、いわゆる隠し軍事費問題は存在しない」と述べ、「予算の増加分は軍事訓練や人材訓練費、兵士の生活改善に使われる。中国は平和を堅持し、防衛的な国防政策を取る」と強調した。だが、この言葉を真に受ける人はよほどのお人好しである。確かに国防費に軍関連施設の建設、訓練と人材育成の経費、将兵の給与など訓練と人件費が約3分2を占めている。しかし、「隠し軍事費」は存在しないどころか巨額にのぼる。もともと中国の国防費は粉飾されており、実際の国防支出は「公表額の2~3倍」(米国防総省)というのが国際社会の常識である。例えば、1兆8000億円と見込まれる空母建造費(2014年完成予定)は国防費に一切含まれておらず、船体や艦載機を電子部品ごとに分けて科学研究費など予算の別項目に入れられている。弾道ミサイル迎撃システムの開発費や米本土を射程に収めるICBM「東風31A」の開発・製造も別予算である。2010年1月に地上配備型の弾道ミサイル迎撃システムの技術実験を行ったが、これも国防予算から省かれている。さらに実戦配備に向けて準備する次世代ステルス戦闘機「殲(せん)20」の開発費も含まれていない。最新兵器の開発配備はすべて国防費の枠外と言ってよい。

「空天一体」戦略で一大軍事強国を目指す

このような中国共産党政権の大軍拡の狙いはいったい何なのか。言うまでもなく覇権を拡大するためだ。制海権と制空権、さらには「制天権」を拡大し、中国の思い通りに世界を動かそうと考えているのである。制海権を確保するために強大な外洋型海軍に欠かせない空母戦闘群を配備する。そして制空権と宇宙を制する「制天権」の確保を目指し、「空天一体」戦略の下に航空戦力と弾道ミサイル迎撃システムを整備しようとしている。国内総生産(GDP)が日本を抜いて世界第2位となった経済力を背景に、ロシアを追い抜き、米国を急追しようとする「軍事強国」を目指すのが中国共産党政権の思惑なのである。
「空天一体」戦略を完成させるために①精密攻撃能力強化に必要な情報化②遠方投入能力③海空軍のハイテク兵器④ミサイル迎撃システム―の4点に重点を置き巨額を投じているのである(これが国防予算の別枠だ)。今後、ミサイル早期警戒衛星を整備し、航空戦力でも米国のF16に匹敵する性能を持つとされる国産軽戦闘機「殲10」を大量配備し、加えて超音速巡航能力とレーダーに捕捉されにくいステルス性を備える第5世代戦闘機「殲20」の実戦配備を目指す。

米軍の戦力投入を阻む「接近阻止・領域拒否」戦略

米国防総省が2010年8月に発表した「中国に関する軍事・安全保障年次報告書」は中国人民解放軍の動向について次のように指摘している。中国軍は伝統的に台湾海峡有事を想定してきたが、「パワープロジェクション(戦力投射)能力を向上させるための投資」を続け、「台湾をはるかに越え、アジアでさまざまな軍事作戦を実行できる戦力を備える可能性」があり、「東シナ海、南シナ海と場合によってはインド洋や第2列島線を越えた海域の懸案に対処するため、作戦領域を広げる新たな基地や能力を開発している」。また中国軍は「核の不使用」政策を順守すると主張しているが、その原則をどう適用するかについて曖昧さがあり、さらに「前方展開能力の向上を続けており、東アジアの軍事的均衡を変える主たる要因」である。台湾に親中的な馬英九政権が発足して以降も中国の軍拡は衰えず、台湾対岸に配備した短距離弾道ミサイルは1050~1150基に上り(09年末)、「台湾海峡の軍事バランスは中国側に傾き続けている」のである。
 また米軍の戦力投入を阻む「接近阻止・領域拒否能力」を一段と向上させている。「世界で最も積極的な弾道・巡航ミサイル開発計画」を推進しており、開発中の対艦弾道ミサイル(ASBM)は「空母を含め西太平洋の艦船を攻撃する能力を中国軍にもたらす」。これに加えて潜水艦の増強により中国沿岸から最大1000カイリ(1852㌔)離れた敵の艦船に対処できる能力を保有する見通しで、これら接近阻止兵器は米海軍の脅威になる。

マラッカ海峡を完全制覇し南シナ海を内海化する

中国の接近阻止戦略には2つのポイントがある。第1には南シナ海を握ること、第2には台湾を武力統一することである。この2つは言うまでもなく連動している。海南島に弾道ミサイル搭載可能な原子力潜水艦の基地を建設中で、同基地はすでに基本的に完成している。基地には地下施設があり、国際シーレーン(海上交通路)に直接のアクセスを確保し、南シナ海に潜水艦を隠密に出撃させる潜在力を持たせるのが狙いである。中国は南シナ海を台湾やチベットと並ぶ「核心的利益」と位置づけ、海南島を重要戦略拠点にしている。空軍が空中給油能力を備えることにより、南シナ海での空軍の作戦が可能になるほか、高度な駆逐艦や潜水艦の配備で「第2列島線」を越えた海上の作戦も可能になる(中国の海洋戦略については「今日の視点」3月4日付参照)。
 中国はすでに射程1500キロの地上発射型対艦弾道ミサイルを開発しているが、これを海南島の海軍基地に配備する。同基地を起点にすると、ほぼ1500キロ先にマラッカ海峡があることに注目しなければならない。対艦弾道ミサイル配備により、中国~台湾~フィリピン~ブルネイ~マレーシア~インドネシア~ベトナムに囲まれた南シナ海は、西の玄関口・マラッカ海峡近海をはじめ大部分が射程内となるばかりか、移動式なので配備場所によってはマラッカ海峡を含めた、その外周までもカバーできる。同海峡は米軍にとっても台湾有事や朝鮮半島の有事の際、インド洋側から南シナ海、太平洋に入る戦略レベルの要衝である。中国が1995~96年の台湾総統選に際してミサイル演習で威嚇したが、米海軍は太平洋艦隊の空母戦闘群(現打撃群)とペルシャ湾に展開中だった空母とその護衛艦隊を台湾海峡に急派し、武威を示し中国の威嚇を押さえ込んだ。中国はこの軍事上のトラウマゆえに対艦弾道ミサイルを開発したのである。マラッカ海峡の年間通過船舶数は5万隻を超え、特に日本への原油の80%がここを通る。日本の生命線となるシーレーンまで中国は支配下に置こうとしているのである。

台湾の武力統一を目指して軍を警察に偽装転換

接近阻止戦略の最大の狙いは台湾の武力統一にある。すでに中国は着々と手を打ってきた。2005年3月の全人代では台湾の独立を阻止するためと称して武力行使を合法化する「反国家分裂法」を制定し、武力侵攻の法的根拠を作り上げた。そして2010年の全人代では「国防動員法」を作り、同年7月1日に施行した。中国側の説明によると、同法は「国防法」を補完するもので、戦争や自然災害など有事における人員や物資の動員を法制化し、危機の対処や戦争の抑止・勝利に向けて軍の運用能力を向上させるのが狙いという。「国家の主権」「統一」「領土保全」「安全」が脅かされる場合を想定し、会社(中国進出の日本企業も対象だ!)や個人に政府による民間物資徴用に応じることを義務づけるほか、「国防勤務」に当たらせるため18~60歳の男性と18~55歳の女性を動員する。愛国教育など国防意識の向上も規定している。
 台湾では陳水扁前政権時代に中国が「上陸戦」に武装警察(武警)を投入する「斬首(ざんしゅ)戦」を警戒していた。「中国軍に代わって武警がパラシュートで台湾に上陸し、陳総統の首を取りに来る」というもので、台湾軍は軍事演習でも斬首戦に対応する訓練を行ってきた。中国は台湾を国内問題と強弁しており、それで国内の治安維持や国境防衛などを担う武警を台湾侵攻に使って、武力統一を正当化する魂胆なのである。武警は暴動鎮圧用の火器や装甲車など陸軍並みの装備を持っており、チベットやウイグルで民衆を弾圧した実績を持つ。武警を充実させるため、すでに1996年に陸軍の14歩兵師団を武警に配属し、武警機動師団に転換した。軍が警察に偽装し人民を弾圧するわけだ。中国軍が接近阻止戦略で米軍の動きを封じれば、次に軍が台湾上陸を敢行、その作戦が成功すれば都市戦に適した武警機動師団が投入し、国内問題として武力統一するつもりなのである。

憲法を改正し自衛力を向上させるときだ

そうなれば南シナ海で海南島が「不沈空母」となって同地域を制するように、東シナ海と西太平洋では台湾が「不沈空母」となって覇権を確立する。そのとき日本は共産中国の支配下に置かれる。こんな悪夢を招かないために日米同盟を深化させ、憲法を改正してしかるべき自衛力を整備しなければならない。

2011年3月6日

この記事は2011年3月4日に投稿されました。

中国軍機の尖閣諸島への領空侵犯を許すな

中国軍Y8哨戒機

中国海軍のY8情報収集機とY8哨戒機が3月2日、東シナ海上空を南下し日中中間線を越え、尖閣諸島の北50~60キロまで接近したため、領空侵犯の恐れがあるとして航空自衛隊南西航空混成団が那覇基地からF15戦闘機をスクランブル(緊急接近)させた。中国軍機が尖閣諸島にここまで近づくのは初めてのことである。中国は尖閣諸島のみならず沖縄までも手中に入れ、さらには西太平洋の覇権を握る野心を燃やせ、これまで「第1列島線」を越えて中国艦船をしばしば西進させてきた。昨年9月の中国漁船による尖閣侵犯以降は、艦船に加えて航空機による接近を繰り返し、空自のスクランブルが頻発していた。そして徐々に間合いを図り、今回は尖閣諸島の50キロ地点まで最接近し、日本側の対応を試した。放置しておけば、尖閣諸島への領海・領空侵犯のみならず、偽装漁船(海軍)による尖閣上陸もあり得ると見ておかねばならない。こうした中国の蛮行を事前に防ぐために陸上自衛隊の尖閣諸島駐留を実施すべきである。灯台の設置や漁港整備など領土保全に向けた取り組みも欠かせない。

西太平洋の覇権を狙って着々と軍拡と体制整備

中国周辺の海域(黄海、東シナ海、南シナ海)の総面積は約300万平方キロメートルで、中国の陸地面積(約960万平方キロメートル)の3分の1に該当する膨大な領域である。これを中国は自国の「領土」にしてしまおうという魂胆なのだ。それでかつては「沿岸防衛」だけを中国海軍の主任務にしていたが、1970年代には「近海防御」へと転換させ、対馬海峡から東シナ海、台湾海峡、南シナ海に至る「第1列島線」を守備範囲として拡大した。さらに80年代になると、鄧小平は海軍力増強を改革・開放路線と表裏一体と捉え、「近海積極防衛戦略」を掲げ、85年には「海洋権益の擁護」を主張、80年代後半には南シナ海・南沙諸島のベトナム南部の近辺海域に進出し、6カ所の岩礁を軍事占領した。さらに90年代に入ると南沙諸島のフィリピン・パラワン島海域に進出し、ミスチーフ礁(中国は美済礁と呼称)を占領、92年2月には中国の権益に必要な地域を戦略領海と規定する「領海法」を制定し、フィリピン領の西沙諸島の一部を米軍がフィリピンから撤退した直後の95年に軍事占領した。「領海法」は尖閣諸島を中国の領土と明記しており、これに刺激を受けた台湾は99年に尖閣諸島を領土とする領海の基準線を定めて対抗している。
 さらに中国は2010年1月には「離島」の管理方法などを定めた「島嶼保護法」を施行し、東シナ海(すなわち尖閣諸島も)や南シナ海の南沙・西沙諸島を軍事的支配する“法的根拠”を作りあげたのである。その上で南シナ海をチベットや新疆ウイグル、台湾と同様に「核心的利益」と称するようになった。遠からず東シナ海も「核心的利益」と唱えるのは目に見えている。これに伴って海軍を外洋海軍へと急速に改編し、台湾とフィリピンを結ぶバシー海峡、南シナ海を内海化し、さらに「第1列島線」を西進し伊豆からサイパン、グアムを含む東太平洋地域、パプアニューギニアに至る「第2列島線」と位置付け、最終的には沖縄本島を含めた西太平洋を手に入れようと目論んでいるのである。

米軍に対する接近阻止戦略で日本も威嚇

中国の狙いは①2010年代前半までに「第1列島線」内で米軍の影響力を排除し(接近阻止戦略)②40年までに「第2列島線」を越え、インド洋や西太平洋から米軍の影響力を減らすというもので、そのために空母建造計画まで進めているのである。こうした流れの中で中国海軍は2004年11月には漢級原潜が沖縄の先島諸島で領海侵犯。同様の領海侵犯事件は08年9月、高知県沖でも発生した(国籍不明潜水艦とされている)。また06年10月には太平洋で軍事演習中の米空母に潜水艦が魚雷射程の至近距離にまで接近、08年11月には米空母「キティホーク」が台湾海峡で潜水艦に28時間追尾され、空母から戦闘機が発進する事態を招いた。さらに08年10月、ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦と最新鋭の江凱級ミサイル・フリゲート艦2隻、洋上補給艦1隻の計4隻からなる中国艦隊が初めて対馬沖から日本海に入り、津軽海峡を通過した。国際海峡とは言え、日本領海にまで進出するようになったのは初めてのことだった。
 そして2010年4月には海軍艦船10隻が沖縄本島と宮古島を間の公海を南下し、その後、西太平洋に進出、沖ノ鳥島を1周する日本への示威行動を繰り広げたのである。この艦船は東海艦隊(司令部・浙江省寧波)のソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦2隻、フリゲート艦3隻、キロ級潜水艦2隻、補給艦1隻など計10隻で、人民解放軍機関紙「解放軍報」は同年4月8日、東海艦隊が東シナ海で外洋展開共同訓練を実施すると予告。明らかに日米の出方を見極めようとする示威行動だった。同艦隊は7日から9日にかけて予告どおりに東シナ海の中部海域で大規模な訓練を実施し、8日には中国艦艇の搭載ヘリが監視活動中の海上自衛隊護衛艦「すずなみ」の高度30メートルにまで接近し、危険の伴う至近距離から示威行動を繰り広げた。10日には沖縄本島の西南西約140キロの南西諸島を太平洋に向けて進み、キロ級潜水艦2隻は浮上航行した。浮上航行は初めてのことで、「今までになかった事態」(北沢防衛相)だった。こうして中国艦隊は「第1列島線」を突破したのである。11日には沖縄南方海域で洋上補給を行い、13日頃に日本最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)近海に入り、同島を基点とする日本の排他的経済水域(EEZ)内で島を1周するように航行、その後も太平洋上で演習を続けた。

東シナ海での海軍力増強で支配拡大を狙う

同演習について米国のシンクタンク「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー主任研究員は、 HYPERLINK "javascript:void(0);" 沿岸から最も遠い距離に出ての最大規模の演習行動だと特徴づけ、「中国海軍の新戦略の始まりであり、米軍への挑戦と日本の反応の探察を目的としている」と分析している(産経新聞・古森義久ワシントン特派員=2010年3月21日付)。それによると、今回の中国艦隊の保有兵器は①キロ級潜水艦が搭載する超音速のSS-N22サンバーン艦対艦ミサイルが有事の際、日本の自衛隊艦艇への大きな脅威となる②ソブレメンヌイ級駆逐艦が搭載する超音速SS-N27シズラー艦対艦ミサイルも自衛隊への脅威となるほか米軍艦艇への接近拒否の威力を発揮できるという。同研究員は、中国海軍は①遠洋活動能力を高め、多元的な艦隊、機能の確立を目指す新戦略のスタートとしている②訓練は東アジア、西太平洋での米海軍の覇権への挑戦を目指している③今回の艦隊の動きに日本がどう反応するかを考察することを意図していると指摘。さらに「今回の訓練航行が象徴する拡大活動を今後定着させ、日本との領有権紛争を抱える東シナ海での海軍力の増強によって、主権の主張に、より強い実効を発揮させることを意図している」と述べている。同研究員は中国が沖縄諸島に関しても日本の領有権を明確に認めていない点も指摘している。

2010年に44回も空自がスクランブルかける

こうした一連の流れの中で昨年9月の尖閣諸島における中国漁船の領海侵犯および海保巡視船への体当たり事件があったと見ておかねばならない。同事件以降、海軍艦船だけでなく航空機による「第1列島線」突破を試し始めたである。朝日新聞によると(2010年12月27日付)、尖閣事件以降、東シナ海上空で自衛隊機に対して中国軍機がこれまでにないような接近をする例が頻発している。自衛隊の中国軍機に対するスクランブルは2010年度すでに44回に達し(12月下旬時点)、過去5年で最多となった。海上自衛隊はP3C哨戒機に加え、EP3電子戦データ収集機やOP3C画像情報収集機などの「偵察機」を南西諸島の北西空域の日本の防空識別圏(ADIZ)の内側、日中中間線付近へほぼ連立飛ばし、航空自衛隊もYS11EB電子測定機で電波を傍受、中国軍の動きを監視している。こうした「偵察活動」に対して中国側は戦闘機や攻撃機を発進させ、接近はADIZの外までにとどめていたが、尖閣事件の翌月の10月からは海軍のJH7攻撃機がADIZ内に入るだけでなく日中中間線も越えて、自衛隊機を視認できる距離まで接近。空自がスクランブルをかけると引き揚げていたという。
 今回、中国側はさらにエスカレートさせ、尖閣諸島に最接近したわけである。
 領土問題で中国に妥協すれば一層、付け込んでくるのは明白なことである。わが国は抑止力(軍事的)をしっかりと固め、防衛していかねばならない。

2011年3月4日

この記事は2011年3月2日に投稿されました。

中国当局の海外メディアへの言論弾圧を糾弾する

中国は中東の「ジャスミン革命」の波及を恐れて言論弾圧を強めている。2月27日に27都市で「中国版ジャスミン革命」集会がネットで呼びかけられたが、集会場所を封鎖したり海外メディアの取材を妨害したりして必死で押さえ込みを図った。上海では約1000人が集結したが、武装警官が群集を蹴散らし、それを取材していた日本人カメラマン(毎日放送)を含め10人の海外ジャーナリストを一時拘束した。北京の繁華街・玉府井では数百人の武装警官が警察犬などと巡回し通行人に立ち止まらないように指示し、周辺にいた通行人には清掃車が散水して脇道に追いやり、不審者と判断した通行人を連行した。27日の集会呼びかけには2009年に大規模な民族衝突が起こった新疆ウイグル自治区のウルムチも含まれていたが、公安当局が大学生に外出禁止令を出すなどして厳戒態勢で臨み、今のところ混乱が生じたとの情報は入っていない(日本経済新聞など各紙2月28日付)。
 どうやら現時点では当局挙げてのネット封じが奏功しているように見受けられる。だが、ネット上の「中国ジャスミン革命」集会の呼びかけは2月20日に13都市、27日に27都市、次の日曜日の3月6日には38都市で行うよう呼びかけている。3月5日には北京で全国人民代表者大会(全人代=国会)第4回会議が開かれるだけに当局は集会封じに血眼になっており、さらなる言論弾圧が危惧される。

「08年憲章」を踏襲する「中国ジャスミン革命」

ネット上の「中国ジャスミン革命」集会の呼びかけは、「我々が欲しいのは食べ物、仕事、住宅、公平、正義だ。一党独裁の終結、報道の自由を要求する」としている。これはまさに2008年12月に発せられた「08年憲章」を踏襲するものである。「08年憲章」は共産党の一党独裁体制の変更を求めネット上に発表されたものだ。憲章を起草したのは人権活動家の劉暁波氏(現在、54歳)らで、これに学者や弁護士、民主・人権活動家だけでなく、全国各地の炭鉱労働者、企業経営者、軍人、退役兵士、大学生、失業者など約1200人が名を連ねた。当局はネット規制に躍起となったが、憲章支持はネット上で広がっていった。これは「プラハの春」(1968年)の「2000語宣言」やポーランドの連帯(1980年)を髣髴させるもので、中国の民主化への一撃となった。
 「08憲章」は序文で、「今の中国は共産党の天下だ。党は文化大革命、天安門事件や人権擁護運動の弾圧などで数千万人の命を奪った。政治改革を拒み、官僚腐敗や法治の不備、社会の2極分化、いびつな経済発展、自然破壊を招いた。公民の自由は保障されていない。役人と民衆の対立が激化し、制御不能に陥りつつある。現体制は時代遅れで、もはや改革は避けられない」と、共産党政権を指弾する。そして「自由、人権、平等、共和、民主、憲政」を基本理念とし19の基本的主張と行っている。すなわち憲法改正・3権分立の保障・立法機関の直接選挙・違憲審査制度の確立・軍隊の国軍化・違法逮捕の防止・首長直接選挙の段階的実施・都市農村の戸籍差別廃止・結社の自由の保障・集会デモ表現の自由・言論出版学術の自由・宗教の自由・1党統治のための政治教育廃止・土地私有化の推進・民主的財政の確立・社会保障制度の確立・環境保護・中華連邦共和国の樹立・政治犯の名誉回復である。まさにこれは中国民衆の叫びと言ってよい。

ノーベル平和賞・劉暁波氏への弾圧を続ける

劉暁波氏は1989年の天安門での抗議行動に参加し、「08憲章」の起草で中心的役割を果たしたゆえに2009年に国家政権転覆扇動罪で懲役11年と2年間の政治的権利剥奪の判決を受け、現在は遼寧省錦州市の刑務所に入れられている。昨秋、ノルウェー・ノーベル賞委員会は2010年のノーベル平和賞をその獄中にいる民主活動家、劉暁波氏に授与した。劉氏が長年、中国で基本的人権のために非暴力的手段で闘ってきたことを評価しての授賞だが、これに対して中国共産党は授賞のニュースが中国民衆に伝わることを極度に恐れ、メディアやネットを遮断するなどして1党独裁政権の維持に躍起となった。そして劉暁波氏を獄から出さないばかりか、夫人の劉霞さんを自宅軟禁し、その自宅周辺を閉鎖するなど人権侵害を繰り返し、今も弾圧を続けている。

「血の天安門事件」で手を汚した共産党政権

「中国ジャスミン革命」集会の呼びかけが一層広がれば、中国共産政権は「血の弾圧」も辞さないだろう。天安門事件の「血の弾圧」の系譜にあるのが現政権に他ならないからだ。その意味でも天安門事件を今一度、想起しておく必要がある。天安門事件は1989年4月に政治改革に積極的だった胡耀邦元総書記が死亡したのを機に民主化運動が高まって勃発した。当時、大学では「民主は70にしていまだ成らず(1919年の5・4運動以来70年)、中華は40にして興らず(1949年の建国以来40年)。天下の盛衰をみるに、北大(北京大学)また哀し」(北京大学・壁新聞)といった声が湧き上がり、全国に民主化が広がった。だが、鄧小平はこれを「動乱」と断じ、徹底弾圧に乗り出し89年6月4日、人民解放軍を動員し世界のジャーナリストの眼前で無辜の人民に発砲、中国当局の発表では学生・市民ら319人が死亡した(実際は3000人以上が死亡したとされる)。これが「血の天安門事件」である。劉氏はこの民主化運動に参加し天安門事件後、1年半にわたって身柄を拘束された。
 それゆえに天安門事件を持ち出されることを中国共産党執行部は極度に恐れている。それは江沢民が上海から呼び寄せられ「6階級特進」(彼は序列7位だった)で総書記に就いたように現在の指導部は自らの手を天安門事件の血で染めているからである。胡錦濤国家主席は当時、チベットの最高責任者(自治区書記)だったが、天安門事件直前の89年3月、チベット・ラサの暴動に対して党中央の指令に忠実に従い、戒厳令を敷き「血の弾圧」によって収拾し、それが中央に評価され総書記にまで上り詰めた。ポスト胡錦濤の座を狙う習近平副主席は人民に銃口を向けた軍部の後押しで出世してきた人物である。これが中国共産党指導部の実態である。だから民主化の声を恐れ続けている。
 我々は「中国ジャスミン革命」を求める中国の民主運動家、民衆と熱く連帯し、中国の民主化運動を支持する。同時に海外ジャーナリストを拘束するなど取材妨害、言論弾圧の暴挙に出る中国共産党当局を厳しく指弾するものである。

2011年3月2日

この記事は2011年2月23日に投稿されました。

中国の共産党政権に「正統性」は存在しない

リビアの最高指導者ムアマル・カダフィは民主化デモを徹底弾圧するつもりらしい。2月22日に国営テレビを通じて演説し、「私は革命家であり、辞任しない」と公言、天安門事件を引き合いに出し反対者は「死刑だ」と言い放った。それで思い出した人も少なくないだろう、中国共産党政権は「血の弾圧事件」の張本人だったことを。天安門事件だけではない。チベットや新疆ウイグルでも「血の弾圧」を繰り広げた。いったいカダフィ政権と中国共産党政権はどこが違うのか。リビアには憲法がないが、中国には憲法がある。確かにここは違う。だが、それは上辺だけの話であって、どちらも独裁政権に変わりはない。それもカダフィは独裁41年だが、中国は実に独裁61年だ。カダフィが「革命」を自らの正統性の根拠にしているように、中国共産党も「革命」を正統性の根拠にする。リビア軍の一部は国家の軍隊でなく、カダフィ個人の親衛隊(傭兵)だ。中国の人民解放軍も国家の軍隊でなく、軍隊全体が共産党の軍隊だ。リビアの政権中枢はカダフィの一族郎党が占め、富を独り占めにしている。中国では次期最高指導者とされる習近平副主席が「太子党」(共産党幹部の2世)であるように、共産党員7800万人の一族郎党が支配層を形成し、経済成長の富を自らの懐に溜め込んでいる。リビアでは民衆が決起し、カダフィに正統性がないと訴えている。では中国共産党政権はどうなのか。カダフィ以上に正統性などありはしない。

「アラブ革命」に戦慄しネット封鎖に血眼

中国は「アラブ革命」に戦慄している。2月19日、ネット上に中東の民衆デモに続こうとばかりに「中国茉莉花(ジャスミン)革命」を呼びかける書き込みが広がった。北京や上海など13都市の繁華街の広場で20日午後2時に集まり、「一党独裁を終わらせろ」「民主主義万歳」のスローガンを叫べば、「歴史が変わり始める」というのだ。これに共産党は大慌てで、ネット管理に血眼になっている。19日には胡錦濤主席が中国共産党の中央党学校で政府幹部に対して「社会管理」をテーマとした重要講話を行い、「インターネットの管理を強化し、ネット世論を誘導するシステムを完備せよ」と命じた。それだけでなく2月8日には「中国共産党軍隊委員会工作条例」の改訂版を作り、「軍は党の指揮通りに動く」と改めて定めたという。エジプトのように軍が民衆側につかないように統制し、いざとなればカダフィ同様に再び「天安門事件」を引き起こす魂胆なのである。20日には13都市で厳戒態勢に入り、広場に集まった100人以上を連行したと伝えられる。今後はこうした行動には国家転覆煽動罪を適用した徹底取締りを示唆している。
 中国のネット監視網は強力である。治安当局が数万人を動員した監視システム「金盾工程」を使ってネットを徹底監視し、共産党に不都合な情報が載ったサイトは即時遮断する。アラブで活躍したフェイスブックやツイッターは完全封鎖している。中東民主化デモが広がると、人民解放軍の「網軍」(ネット軍=30万人規模)まで動員、また7800万人の共産党組織をフル動員して監視体制を張り巡らしている。

国民世論の共産支配を狙い言論統制も強化

すでにメディアに対しては言論統制を強め、国民世論を共産党のもとで掌握しようと躍起となっている。それは今年が辛亥革命100年(10月10日)で、孫文の3民主義などをもって共産党批判が起こることを恐れているからだ。1月4日には共産党全国宣伝部長会議を開き、全国で「愛国主義教育」の徹底を命じ、さらに1月5日、党中央宣伝部は全10カ条からなる報道規制をメディアに文書で通知した。通知は詳細にわたり、▽災害・事故=発生地と異なる地域のメディアは取材不可。重大な災害や事故は中央メディアの現場中継も認めない▽土地収用問題=暴力的撤去や立ち退き過程で起きた自殺、抗議などの報道禁止▽抗議デモ=問題の矛先や焦点が党委員会や政府に向かうことを防ぐ▽腐敗問題=政治体制改革に関する問題提起などをしてはならない。政府と対立する立場に立つことは絶対に許さない▽不動産問題=不動産価格の独自調査や市民の意識調査は禁止。極端な価格変動した事例を取り上げ騒ぎ立ててはならない―といった内容である。
 これに加えてアラブ情勢を踏まえてネット統制システムを作り上げようというのだ。国民生活のすべてを共産党が掌握しようというわけで、「文化大革命以来の言論弾圧」(人権運動家)へと突き進んでいる。

「孫文の理想」をことごとく破る強権政権

このように言論弾圧に血眼になるのは、力で押さえつけない限り、共産党政権が維持できないからだ。そもそも100年前(辛亥革命)の「孫文の理想」を共産党は踏みにじってきた。孫文は辛亥革命でアジア初めての共和国を作ったが、共和国というのは「主権は国民全体に属する」(辛亥革命時の中華民国臨時約法=憲法=第2条)ということである。この「民権」こそ、辛亥革命以来の中国政治の大義である。列強諸国からの「独立」、バラバラになった中国の「統一」、民衆を豊かにする「富強」、そして「民権」が近代中国の大義であることを想起しておかねばならない。それゆえに孫文は、3民主義(民族主義・民権主義・民生主義)と5権分立(立法・行政・司法に加え考試=官吏の登用、監察=他の4権に対する監督を加えた5権)を掲げた。これらを近代中国の大義とするからこそ1949年9月、中華人民共和国の建国に当たって開催された政治協商会議(当時の最高政治組織)において「中華人民共和国は独立、民主、平和、統一、富強のために奮闘する」との共同綱領を採択したのである。ここに「民主」が明記されていることを共産党はよもや忘れはいまい。
 だが、この大義は現在の共産中国のどこにも存在しない。孫文の「統一」は3民主義の民族主義に集約されるが、それは決して華人中心思想ではない。満人の清に代わって新たに民族の統合を図るには5族(漢、満、蒙古、回、チベット)の共和(5族共和)が不可欠とし、それぞれの宗教・文化・自治を重んじるものである。それは共産党の偏狭な民族主義(華人支配)とは異質である。共産党政権はチベットや新疆ウイグルにおいて民族・宗教破壊を繰り広げており、5族共和とは程遠い銃剣による帝国主義支配でしかない。富強も共産党員の一族郎党のみの富強にすぎないのである。

「共和国」を名乗る資格はどこにもない

中華人民共和国というけれども、そもそも共和国とは民主主義に基づき主権が国民に所有されている国を指す。それは国民によって直接あるいは間接に選挙によって選ばれた代表が統治する制度である。選挙で統治者を選んでいない中華人民共和国は共和国を名乗る資格はない。中華人民共和国は、中国人民の国でなければ、誰の国なのか。それは共産党の国である。事実、中華人民共和国憲法は前文において「中国の新民主主義革命の勝利と社会主義事業の成果は、中国共産党が中国の各民族人民を指導し、マルクス・レーニン主義及び毛澤東思想の導きの下に、真理を堅持し、誤りを是正し、多くの困難と危険に打ち勝って獲得したものである」と共産革命を自賛し、さらに「中国の各民族人民は、引き続き中国共産党の指導の下に、マルクス・レーニン主義、毛澤東思想及び鄧小平理論に導かれて、人民民主独裁を堅持し、社会主義の道を堅持し」などと共産党による独裁政権であるとうたっているのである。
 かかる共産党の指導下にある国家をふつうの国家と同列に論じるようなことがあっては断じてならない。共産党は1927年の南昌蜂起以降、軍閥や国民党との熾烈な権力闘争に打ち勝ち、中華人民共和国を樹立したのは、いかなる状況に陥っても軍事力を手放さなかったからにほかならない。毛沢東が言ったように、まさに銃口から政権が生まれ、銃口によって政権を維持してきたのである。それが現在の共産中国である。だからこそ人民解放軍の建軍記念日は南晶蜂起の日である1927年8月1日なのである。これは人民解放軍が中華人民共和国の軍隊でなく、共産党の軍隊であることを如実に示している。「党の絶対指導下で革命の政治任務を執行する武装集団」(江沢民主席「重要講和」=1998年12月25日)なのである。

世界共産化の野望も抱き続ける大義なき政権

これが憲法に「共産党に指導される」とした「指導」の中身である。そして共産党の軍隊をもって「人民民主独裁」という名の共産党一党独裁を堅持するのが共産中国であり、チベットやウイグル、満州、蒙古など少数民族を「中国の諸民族の人民」の名のもとに軍事支配下に置いているのである。そればかりか、憲法前文に「帝国主義、覇権主義及び植民地主義に反対することを堅持し、世界諸国人民との団結を強化し、抑圧された民族及び発展途上国が民族の独立を勝ち取り」とあるように、「マルクス・レーニン主義、毛澤東思想及び鄧小平理論」に基づいて、世界共産化の野望を抱き続けているのである。
 以上から、中国共産党政権に中国民衆を治める「正統性」がまったく存在しないことは自明の理である。このことを念頭において共産中国と関わっていかねばならない。

2011年2月23日

この記事は2011年1月21日に投稿されました。

言論の自由なき中国の恥ずべき歪曲報道

当たり前の話だが、中国には言論の自由がない。国家指導者が海外で語った発言も国内では報じられなかったり、都合よく修正したりして伝えられる。こんな国とは、まともな外交関係を望むほうがどうかしている。米中首脳会談も例外ではなかった。
 朝日新聞によると、中国の胡錦濤国家主席が1月19日の米中首脳会談後の共同会見で「人権の普遍的な原則を尊重する」と発言したことについて、中国外務省が中国主要メディアに対し、「強調しすぎないように」と報道に自制を求める内部文書を出していたことが分かったという(1月21日付=ワシントン峯村健司記者)。それによると、内部文書は「メディア報道参考内部資料」と題され、A4用紙7ページにわたって共同声明の各項目の説明と、報道すべき部分について指示が書かれており、「成果のみを積極的に報道し、世論を正しく誘導する」よう求め、「指示を厳格に守り報道に当たること」と命じ、首脳会談直後に中国の主要メディア各社に示された。これを受け胡氏の人権関連発言について中国の主要メディアはまったく報じなかった。人権問題で米メディアの記者が「あなたは質問に答えていない」と胡主席に詰め寄る記者会見の場面は中国国内ではシャットアウト、北京で視聴できるNHK国際放送のニュースでもこの場面や胡主席に対する抗議行動の場面は遮断され、真っ黒になったという。いつものことながら、官製(共産党製)歪曲報道である。

文革期以来の言論弾圧が進行中

ことほど左様に中国には言論の自由はなく、国民世論を共産党のもとで掌握しようと血眼になっている。とくに今年は辛亥革命100年(10月10日)、中国共産党創立90周年(7月1日)を迎えることもあって徹底した言論統制に乗り出している。年明けの1月1日に開かれた共産党統一戦線組織・人民政治協商会議の新年茶話会で胡主席が「調和・安定の促進」を強調、これを受け4日には党全国宣伝部長会議が開催され、全国で「愛国主義教育」を徹底して行うことが確認されたという。党中央宣伝部は5日、全10カ条からなる報道規制をメディアに文書で通知した(日本経済新聞1月19日付=北京支局・尾崎実記者)。通知は「2つの記念日に向け、良好な世論環境を構築」するよう要求し、次のような規制をしている。▽災害・事故=発生地と異なる地域のメディアは取材不可。重大な災害や事故は中央メディアの現場中継も認めない▽土地収用問題=暴力的撤去や立ち退き過程で起きた自殺、抗議などの報道禁止▽抗議デモ=問題の矛先や焦点が党委員会や政府に向かうことを防ぐ▽腐敗問題=政治体制改革に関する問題提起などをしてはならない。政府と対立する立場に立つことは絶対に許さない▽不動産問題=不動産価格の独自調査や市民の意識調査は禁止。極端な価格変動した事例を取り上げ騒ぎ立ててはならない―といった内容である。中国メディア関係者は尾崎記者に対して「国民生活のすべてを党が掌握した文化大革命以来の言論弾圧だ」と述べている。これが中国の実態である。

中国に尻尾を振り続ける朝日新聞首脳陣

こうした中国のメディアの実情を日本のメディアはどう考えるのか。親中の朝日新聞においても上記の峯村健司記者のような現場記者は言論弾圧に憤っている。朝日1月7日付オピニオン面の「記者有論」では、中国総局の古谷浩一記者が「中国の言論規制 弾圧の陰湿さ知らない国民」と題し、中国当局の弾圧の陰湿さを報告している。中国には強力な指導力を発揮し経済発展しなければ国民が豊かにならないという強権容認論が内外にあるが、古谷記者はこれを真っ向から批判し、「こうした主張に首をかしげてしまうのは、政権を批判する人々への弾圧の仕方が『陰湿』を極めているからだ」と指摘、この数カ月に取材できたケースだけでも例は絶えないとし、理由も言わず夜中に自宅を訪ねて幼児とともに連行する。軟禁して外国人記者との接触を絶つ。裁判も弁護士もなしに何年も収容所に拘留する。刑期を終え、釈放された活動家は失踪したままだ。そして、そのいずれもが国内では報道が許されない―と具体例を列挙し、「『法治』はどこにいったのだろう。政権を維持するためなら、何でもできるみたいだ。中国政府が自らの主張に本当に正義があるなら、せめて、もっと堂々と、言論規制の『闇の部分』を国内外に明らかにすべきではないか。…少なくとも、国民の人権を尊重しない国が、隣国との関係を本当に尊重してくれるとは思えない」と厳しく中国批判を展開、返す刀でこうした独裁国と良好な外交関係が築けると信じている親中派を暗に批判している。
 その親中派とは朝日新聞の首脳陣(とりわけ論説室)にほかならない。論説室は朝日1月4日付の社説で「中国と向き合う 異質論を超えて道を開け」と、「異質論」を否定し、独裁中国との関係を深めよとする融和策を強調しているのだ。異質論を超えて、とは聞こえがよいが、「陰湿な弾圧」や「独裁」から目を逸らせと言うことである。米中首脳会談を伝える1月20日付朝刊では1面でオバマ、湖錦濤両首脳が笑顔で握手を交わす写真を載せ、見出しは「汎太平洋時代 米中と歩む」とし、まるで米中によって太平洋を仕切ってくれといわんばかりの記事を載せた。かつて中国海軍幹部が米海軍幹部に「太平洋を西と東で分け合おう」と持ちかけた太平洋分割論を思わせる論調である。朝日新聞は現場の声に耳を傾けず、ひたすら中国に尻尾を振っているのだ。

自由のなきところには自由言論を!

日経の尾崎記者によれば、中国紙記者は「報道規制が強まった2008年の北京五輪や09年の建国60周年の際にも、これほど広範囲な指示はなかった」と批判し、「なりふり構わぬ世論誘導は、自らの統治能力に対する指導部の危機感の表れだ」と指摘しているという。自由主義国の日本のメディアは、自由のない国の言論を支援すべきであって、安易に「異質論を超えて」などと独裁政権の言論弾圧を容認すべきではない。朝日新聞は恥ずべきである。

2011年1月21日

この記事は2011年1月20日に投稿されました。

米中首脳会談―米国は中国に譲歩しなかったか

オバマ米大統領と胡錦濤中国国家主席による米中首脳会談が1月19日、ワシントンのホワイトハウスで開かれた。注視すべきは米国が中国の“経済力”に屈服し、妥協外交に陥り、自由アジアや西太平洋を中国に売り渡さないか、という点である。事実、中国は胡主席の訪米にあわせ中国企業による450億ドル(約3兆7000億円)を超える米製品購入や投資の商談をまとめた。米ボーイング社の航空機200機のほか、全米12州の企業などと70の契約を結んでおり、幅広く米国を“買収”していこうとする意図がうかがえるからだ。

人権問題で妥協しない独裁国・中国

報道によると、会談後の共同記者会見で米中首脳は世界経済や安全保障分野で連携していくことで一致、両国は経済・貿易、エネルギー・環境、科学技術などの分野で交流や協力を強くすることで合意したという。だが、人民元についてオバマ大統領は「過小評価されている」と指摘したが、胡主席から具体的な言及はなかった。人権問題に関しては対話を進めることで米中双方が合意し、共同声明には「米国にとって人権保護と民主主義が外交政策の重要な一部分」と明記された。だが、オバマ大統領は中国政府とチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世側との対話を支援していく方針を改めて言及したが、胡主席は中国が人権の保護・促進を約束しているとしながらも「中国は巨大な人口を持つ発展途上国で多くの課題がある」と木で鼻をくくったような対応ぶりだった。また共同声明でも「中国はいかなる国の内政干渉もすべきでないと強調した」との一文が盛り込まれ、人権で妥協しない独裁国・中国の強権姿勢を改めて見せつけた。
 軍事面については信頼醸成や誤解解消に向け、対話や協力を進めていくことで基本的に合意したとしているが、中身は不透明である。北朝鮮問題については朝鮮半島の非核化に向けて協力することで一致、また南北関係の改善の重要性でも一致したとしたが、共同声明では北朝鮮のウラン濃縮計画に懸念を表明するにとどまった。対北朝鮮での強硬路線に慎重な中国との温度差が浮き彫りになったといえよう。

共同声明は「核心的利益」に言及しなかったが…

産経新聞は米中共同声明に「核心的利益」の文言が盛り込まれるか否かに注目していた(1月19日付=ワシントン佐々木類記)。2009年11月にオバマ大統領が訪中した際、米中共同声明で中国が台湾やチベットに関して使う「相互の核心的利益の尊重」を明記したが、「この文言は南シナ海の内海化を正当化するよりどころとされ、米国側を驚かせた」(外交関係筋)とされるからだ。同共同声明は「核心的利益」が何かを明示していないものの、中国側は従来の台湾やチベットに加え、南シナ海を核心的利益の対象に加えることを決めたとされ、昨年5月の米中戦略・経済対話で「南シナ海は中国の核心的利益である」と正式に主張するに至った。これに対して中国との間で島嶼領土問題を抱える東南アジア諸国が反発し、米国や日本でも問題化、中国は発言を慎重にし始めている。それだけに今回の米中共同声明で核心的利益が明記されるか注目された。結論からいえば、明記されることはなかった。表に出ている声明や記者会見などを見る限り、米国が中国に譲歩したと思われる点は見られない。だが、実際の会談では何が話し合われたのか、今のところ知るすべもない。
 ともあれ、今回の米中首脳会談は米国が中国から適当にあしらわれた印象が強い。経済力をつけた中国が焦らず、じわじわと米国を締め上げていく。そんな構図が今回の米中首脳会談から読み取れる。胡錦濤主席は訪米に先立って米紙による書面インタビューに応じ、その中でドルを基軸とする現在の国際通貨体制について「過去の産物だ」と断定したのはその象徴である。ここから米国に取って代わって21世紀の覇権を握ろうとする野望が垣間見られる。

中国GDP世界2位で攻勢期に入る

米国家情報評議会(NIC)は08年11月に「世界潮流(Global Trends)2025 変革される世界」と題する報告書をまとめ、今後15年を「新秩序への移行期に当たる」と位置付け、「不安定化」へ警鐘を鳴らしたが、その中心課題に据えたのは中国の台頭だった。それによると、2025年には「第2次大戦後に構築された国際体制はほとんど見る影もなくなる」とし、世界は多極時代となって安定性がなくなり、米国は軍事技術の進歩によって依然として「最も強力な国」であり続けるが、経済力や国際的影響力の低下は不可避とした。米国に代わってどの国が影響力を増大させるのかというと、中国とインド、ロシアなどの新興国とりわけ中国である。中国は25年までに「世界2番目の経済規模と主要な軍事力を獲得する」と予測し、途上国は西欧型モデル(市場経済・民主主義)よりも国家資本主義的な中国型モデル(政治独裁・非民主主義)に傾斜し、世界各地で民主化が後退するとも予測している。胡主席がドル機軸の国際通貨制度を「過去の産物」と断じ、新たな通貨制度を言い出すのは、こうした流れの中にあると見ておかねばならない。
 米中首脳会談にあわせるかのように中国国家統計局は1月20日、2010年の名目国内総生産(GDP)が約39兆7983憶元(約514兆円)になったと発表した。これで日本を抜いて世界2位となったのは確実である。これを機に経済力を軍事力と政治力に転化する中国共産党政権が攻勢期に入るとみて間違いない。米国が毅然と対抗できるように同盟諸国の力を結集していけねばならない。そのためにも日本は変わらねばならない。

2011年1月20日

この記事は2011年1月18日に投稿されました。

中国軍が北朝鮮・羅先に進駐した意図

中国が北朝鮮の植民地化に一段と力を入れてきたようだ。韓国・朝鮮日報によると(1月15日付)、中国軍が北朝鮮の経済特区で日本海に面する羅先(ラソン)市に進駐したという。それによると、施設警備や中国人保護が目的と見られるとし、北朝鮮で突発事態が起きた際に中国軍が介入する可能性が指摘される中、中国軍の羅先駐屯は異例のことだとしている。また中朝国境で最近、中国軍の動きが活発で、昨年12月15日ごろ、夜半に中国製の装甲車、戦車約50台が中国の三合(吉林省)から豆満江(中国名・図們江)を超え、北朝鮮の会寧(咸鏡北道)に入ったという。三合地区の住民は当時、装甲車が走る騒音で目覚めたという。会寧と羅先特別市は直線距離で50キロの距離にある。また、同じ時期に中国側の丹東(遼寧省)から軍用四輪駆動車が北朝鮮の新義州(平安北道)に入るのを目撃したとの情報もあるという。「中国製装甲車は騒乱鎮圧用に、四駆車は脱北者取り締まり用に使われる可能性がある」(消息筋)としている。

金正恩後継を「体制保障」し植民地にする

こうした動きをどう見るべきか。金正恩後継体制で注目すべきは中国が「体制保証」とも言える異様な歓迎姿勢を見せていることである。これはポスト金正日時代に北朝鮮を中国圏に完全に取り組んでしまおうとする戦略的判断を下したと見るべきで、中国軍進駐は当然、そうした思惑からだろう。
 金正日総書記は昨年5月と8月に2度にわたって訪中した。中国はそれを認め、とりわけ8月の訪中では胡錦濤主席が吉林省長春市まで出向いた。2度の訪中は北朝鮮が中国東北部(旧満州)と一体となって経済再建を図る、つまり中国経済圏に加わるという北朝鮮の意思表示だった。金正日総書記は5月の訪中では平壌-丹東-大連-天津-北京とめぐって「開放」モデル地域を視察し、8月の訪中では平壌-集安-吉林-長春-ハルピン-牡丹江-図們をめぐり、吉林省では農業技術の展示施設や化学繊維製造工場、黒龍江省では食品会社や発電設備メーカーなどを視察した。北朝鮮の思惑は2012年に飢餓前すなわち金日成主席の全盛期だった1980年代後半の経済水準まで回復させ、「強盛大国の大門」を開きたいというものである。そのために軽工業と農業部門の生産増を図り生活水準を高めていく。それを中国東北部と連動させて実現しようという狙いだ。金正日総書記は8月の訪中で「地形的に隣り合い工業の構造も似ている。協力を強化し中国の手法、経験を真剣に研究しなければならない」(新華社通信)と、東北部との連動に意欲を見せた。
 では、中国の思惑は何か。中国にとって東北3省は新疆ウイグル、チベットとともに鬼門となっている。漢族の明は東北部で勢力を強めた満州族によって滅ぼされたように歴史的にも中国全体を揺るがす。それが東北部の地勢的位相である。吉林省には200万人の朝鮮族がおり、北朝鮮崩壊の場合、動乱が東北部に波及する恐れが高いという危惧もある。それに東北3省は現在、内陸部と同様の深刻な格差問題を抱え経済発展に大きな課題を残している。それを中国は「長吉図計画」で打開しようと考えている。長吉図計画は09年8月、中国が国家プロジェクトにした地域経済開発計画で、長春市、吉林市、図們市を結ぶ経済ベルト地帯を作ろうというものだ。その輸出ルートを日本海に設定すれば、大連に比べて輸送時間が半減できる。だが、中国側には良港がない。それを図們市から80キロの近さにある北朝鮮の羅先港に担わそうとしている。
 すでに中国は08年に羅先港の一部の使用権を獲得した。北朝鮮側も羅先市を特別市に昇格させ、中国側の意向に応じた。昨年9月2日に長春市で開催された「北東アジア投資貿易博覧会」で北朝鮮の具本泰貿易次官は羅先港について「国際的な加工貿易、中継貿易地として発展させるため、必要な法的条件の整備を行っている」と述べている(世界日報10年9月6日付)。中国はすでに北朝鮮の鉱物資源を支配下に置きつつある。吉林省の通化鉄鋼グループなどの中国企業(事実上の国営)が北朝鮮の茂山鉱山に投資し、05年以降、開発権を握ってきた。茂山鉱山は中国国境に接する咸鏡北道にあり、鉄鉱石の埋蔵量が北東アジア最大規模の30億トンとされる。さらに中国企業は龍謄鉱山(平安北道)、徳顕鉱山(同)、龍謄鉱山(同)、熊津鉱山(咸鏡南道)などの採掘権を獲得している。北朝鮮は中国に「国際相場より相当安い『友好価格』で資源を渡している」(韓国月刊誌「新東亜」10年9月号)との優遇策をとっている。

「中朝血盟」を強調し軍事的関係を深める

中国は金正恩後継の「体制保証」を決めて以降、畳み掛けるように北朝鮮との関係を強化している。金正恩氏の“お披露目”となった昨年10月10日の朝鮮労働党創建65周年記念日の軍事パレードには中国共産党の治安担当、政法委員会書記の周永康政治局常務委員を送り込み、ひな壇で金親子と並んで閲兵した。新たな経済技術協力協定にも調印した。昨夏以降、北朝鮮の国家安全保衛部と中国の武装警察は中朝国境のみならず中国各地で「脱北者狩り」を共同で行っているとされ、その中国側の責任者が周永康氏なのである。また昨年10月12日には北朝鮮の金桂官第一外務次官が訪中し、13日には吉林省図們市に北朝鮮特産品の販売市場を開設、北朝鮮労働者約100人を図們市が受け入れた。14日には北朝鮮の辺仁善人民武力次官が訪中、16日には朝鮮労働党の文景徳書記(平壌市党責任書記)を団長とする親善代表団が訪中した。直轄市と道の最高責任者が参加する異例の代表団である。そして10月下旬には中朝でそろって朝鮮戦争への中国義勇軍参戦60周年記念式典を開催した。中国から元参戦兵代表団や郭伯雄中央軍事委員会副主席を団長とする軍事代表団が相次いで訪朝したのである。北京で昨年10月25日に開催された記念行事に中国の習近平副主席が軍事委副主席として初デビューし、中国の朝鮮戦争参戦に対して「偉大な抗米援朝戦争」「侵略に対抗した正しい戦争」「中朝の人民は両国の人民と軍隊が流した血で結ばれた偉大な友情を忘れたことがない」と、北朝鮮の南侵を容認するかのような「中朝血盟」発言を行った。
 こうした発言を中国指導部は近年、慎んできただけに韓国は歴史的事実を歪めているとして批判したが、こうした発言が飛び出すほど中朝関係が親密になっていると見ておかねばならない。さらに昨年10月26日、北朝鮮は異例の駐中国大使の交代を行った。前任の崔秉官氏は昨年4月に着任したばかりだが、新たに池在竜朝鮮労働党国際部副部長を任命した。池氏は金正日総書記の義弟・張成沢国防副委員長に近い人物で、中国共産党との交流に精通しているとされ、中朝関係の深化を目指すのは確実である。このように金正恩氏の登場後、中朝関係は緊密さを増している。こうして中国は北朝鮮を飲み込もうとしているのである。

中国艦船が寄港し日本海の覇権も狙う

そして今回の中国軍の羅先進駐である。朝鮮日報によると、昨年12月から同地に中国代表部が常設され、現在中国は、羅先港の埠頭(ふとう)の改良、補修を終え、東北地区の資源を南方に輸送しているという。1月3日、中国の新華社通信と吉林省の現地メディアは、中国が昨年12月7日に吉林省琿春市の鉱山で生産された2万トンを上海などに輸送する際、羅先港を初めて使用したと伝えた。今年4月からは中国側の電力が羅先地区に供給されるという情報もあるという。
 軍事的視点として見逃してはならないのは、羅先に中国軍艦が寄港する可能性である。金田秀昭・岡崎研究所理事(元海将)は日本経済新聞で次のように述べている(1月16日付)。
 「中国は自国艦船利用をも念頭に、インド洋に面した各国で港湾建設など『真珠の首飾り』と呼ばれる海洋戦略を進めている。今回の羅先の拠点化もその延長線と見るべきだろう。マラッカ海峡に依存するリスクを少しでも分散するために、欧州から北極海を経てベーリング海を通り日本海へ抜けるルートを開拓しようとしている。北朝鮮で石油などの資源や物資を荷揚げし、中国へ運搬するためにも、羅先は将来、要所の一つになり得る。羅先港は伝えられる港湾の規模などからみて、単なる商業港のみならず、軍艦の寄港も想定されている可能性もある。日本海は今後、安全保障を含めた国際的な海上交通路の要衝としての意味あいが高まるだろう。日本政府は中国の動きを注意深く観察するとともに、その意図が何であるかを絶えず確認していく必要がある」
 中国軍の羅先進駐は日本海に波乱を呼び起こす一歩になる可能性がある。中国は日本海の覇権も狙っているのだ。韓半島情勢だけでなく東アジア情勢全体への影響を我々は注視しなければならない。

2011年1月18日

この記事は2011年1月15日に投稿されました。

思いを新たにした「尖閣諸島の日」

1月14日は尖閣諸島の日であった。尖閣諸島を行政区域にする沖縄県石垣市議会が昨年12月、この日を市の記念日「尖閣諸島開拓の日」とする条例を採択したからである。もともと1月14日は明治政府が明治28(1895)年に尖閣諸島の日本領編入を閣議決定した日である。条例は制定の目的を「尖閣諸島が歴史的にも日本固有の領土として、より明確に国際社会に対し意思表示し、国民世論の啓発を図るため」としている。本来、政府が音頭をとって国民世論を啓発し、国際社会に意思表示すべきだが、内向きの内閣改造にうつつを抜かした。だが、この日に中国漁船の国恥的な釈放を“指揮”した仙谷由人官房長官が更迭されたのは偶然ではあるまい。尖閣諸島を開拓した先人の霊たちが彼を首相官邸から追放したのではないか。そんな因縁を感じてしまう。
 文科省は昨年12月、教科書や教材に尖閣諸島を「わが国固有の領土」であると明記させていく方針を決めている。学習指導要領や解説書の改定手続きを行う予定だ。当然のことだが、一部の親中分子らは中国を刺激するとして、教科書記述に反対している。こんな中国盲従論者の意見など聞く必要はない。粛々と自国領土であることを啓蒙し、訴えていけばよい。読売新聞は1月14日付朝刊で「尖閣諸島の日 中国に負けない対外発信力を」との社説を掲げたのは、時宜にかなっていた。読売社説は次のように述べている。
 「(尖閣諸島について)『領土問題は存在しない』と繰り返すだけでは、対外アピールの面で中国に大きく差をつけられるばかりではないか。外務省のホームページは、尖閣問題の経緯や日本の立場について英語と中国語の説明文を設けている。だが、韓国と領有権を争う竹島問題の方は9か国語と充実している。尖閣問題の紹介も、多言語で対応すべきだ。『竹島の日』を2005年に制定したのも、島根県だ。領土にかかわる問題は自治体任せにせず、政府が先頭に立って内外の世論啓発に努めてもらいたい」
 まさにそのとおりである。

歴史的にも国際法的にもわが国領土である

尖閣問題について我々は昨秋、思想新聞号外を全国で配布し(別掲参照)、わが国領土であることを示し、中国の覇権主義を糾弾し、警戒を国民に呼びかけた。そのポイントは以下の6点である。尖閣諸島は①国際法の「先占の法則」で日本領になった②「実行支配」したのは日本だけである③戦後も国際社会は日本領と承認した④中国・台湾も日本領と認めていた⑤中国の領有権主張の狙いは海洋資源の強奪である⑥中・台の主張は事実無根の欺瞞である。このうち、わが国領土である経緯を以下に紹介しておこう。
 19世紀には「先占の法則」によって領土を決定するというのが国際法の慣わしだった。これは無主の土地(無人島など)を国家が領有の意志をもって実効的に占有することをいう。無主の土地が地球上に存在しなくなった今日においては、こうした概念に違和感があるかもしれないが、当時は「先占の法則」が国際法で認められていた。すなわち、①先占ができるのは国家であること、②先占の対象となる場所は国際法上の無主地であること、③国家は領有の意志をもって先占しなければならないこと、④先占の実体的要件として、先占は実効的でなければならず、無人島を発見し、そこに国旗を立てるというような象徴的な領土編入行為だけでは足りないこと、⑤実効的占有がその後に続かなければならないこと。これが国際法の見解である。尖閣諸島についてこれらの要件を全て満たしたのは日本だけである。
 わが国が尖閣諸島に対して領有意思を持ち始めたのは、1879年(明治12年)頃からである。同年発刊された「大日本全図」(松井忠兵衛編)には、すでに尖閣諸島が個々の島嶼の名称を付されて日本領土として明記されている。また1883年(明治16年)の内務省地理局編纂「大日本府県分轄図」にも、島嶼の名称が付されないまま同諸島が沖縄県の中に見いだされる。さらに、1885年(明治18年)、沖縄県知事は政府の許可を得て「出雲丸」を諸島に派遣し、実地調査の結果を報告させている。また同諸島の実地調査は1892年(明治25年)軍艦「海門」によっても行われた。なお1886年(明治19年)の海軍水路部水路誌、1894年(明治27年)の水路誌においても尖閣列諸島をそれぞれ、「州南諸島」、「南西諸島」の中において扱っている。
 尖閣諸島を沖縄県の所轄とし、国標を建設したいとの上申は1885年(明治18年)、沖縄県知事によって政府に提出され、1890年(明治23年)、1893年(明治26年)にも漁業上の取り締まりを理由として八重山島役所所轄、沖縄県所轄ならびに標杭建設方が同県知事によって政府に上申された。1894年(明治27年)12月27日、内務大臣は右の沖縄県知事上申を外務大臣と協議し、外務大臣もこれを閣議提出方に同意。翌1895年(明治28年)1月14日、沖縄県知事の上申通り閣議も尖閣諸島を同県の所轄とし、標杭を建設すべく決定するとともに1月21日、その実施方を同県知事に指令した。さらに翌1896年(明治29年)4月、同諸島は地方行政区分上八重山郡に、また1902年(明治35年)12月、石垣島大浜問切登野城村に所属することとなり、地番も設定したのである。

中国の主張「日清戦争で奪った」は噴飯モノの作り話

日本政府は、領土編入の閣議決定後、尖閣諸島中の魚釣島、久場島、南小島および北小島4島の八重山郡所属後に国有地に指定、国有地台帳に記載した。1896年(明治29年)、すでに1884年(明治17年)からこれらの島々で漁業を営んできた福岡県の古賀辰四郎氏が魚釣島など4島に対する国有地借用願を八重山郡所属確定直後に内務大臣宛に提出した。この申請を受けた政府は尖閣諸島の開拓を奨励するため、同年8月、同氏に対して期間30年の無料貸与を許可した。国有地の借用許可をえた古賀氏は翌1897年(明治30年)以降、大規模な資本を投じて尖閣諸島の開拓に着手した(尖閣諸島開拓のため古賀氏は最初の4年間、すなわち明治30年35人、明治31年50人、明治32年29人、明治33年男13人、女子9人の労働者を諸島に派遣した)。その結果、1909年(明治42)目年には248人(99戸)の移民が諸島に定住し、開拓事業に従事していた。この功績によって政府は同年11月22日、古賀氏に藍綬褒章を授与した。
 このようにして無人島であった尖閣諸島を我らの先人が開拓し、日本領土となったのである。中国は日本が日清戦争の最中に尖閣諸島を奪ったと強弁しているが、以上の経緯からまったくデタラメな言いがかりであることは明白であろう。
 第1に、「先占の法則」によって領土とした。第2に、日清戦争(1894~95年)のはるか前1884年(明治17年)から日本人が漁業を営んできた。第3に、日清講和条約(下関条約=1895年4月17日)において清は台湾や澎湖諸島(台湾の西の諸島)をわが国に譲渡したが、交渉では尖閣諸島はまったく論議されず、清は自国の範疇外と認識していた。第4に、わが国が日本領土編入を閣議決定したことへの抗議は皆無である。第5に、第2次大戦の終焉に当たってのカイロ宣言(1943年=、米英中3カ国)において「満州、台湾及ビ澎湖諸島ノ如キ日本国ガ中国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還」するとしたが、ここにも尖閣諸島は書かれていない。第5に、1951年に調印されたサンフランシスコ講和条約は、台湾等の地域(第2条)と、南西諸島などアメリカ合衆国の施政下に置かれるが引き続きわが国の領土として認められる地域(第3条)とを明確に区分し、尖閣諸島は第3条にもとづいてアメリカ合衆国の施政権下に置かれ、沖縄に属する諸島として扱われた。以上から中国や台湾の主張は噴飯モノの作り話であることは誰の目にも明らかである。
 なお詳細については『世界思想』2010年12月号の緊急特集「尖閣諸島の『真実』」をお読みいただきたい。

2011年1月15日

この記事は2011年1月4日に投稿されました。

中国が空母戦闘群を稼動させる危険性

読売新聞(1月4日付)によると、旧ソ連が建造に着手し、未完成のまま中国に売却され、東北部の遼寧省大連で補修作業が続いていた中型空母「ワリャーグ」(全長304メートル、約6万トン)が今年中にも訓練用として本格運用される見通しとなっている。ワリャーグの運用が始まれば、「強大な海軍」建設を国家目標に掲げる中国が保有する初の空母だ。同空母で艦載機の発着訓練などを行い、国産空母による空母戦闘群の配備に向けた実質的な一歩を踏み出すことになる。

まやかしの「動的防衛力」では不十分

中国は海軍力増強で西太平洋の覇権を握ろうとしていることは言うまでもない。これに対して昨年12月に発表された民主党政権初の「防衛計画の大綱」で大丈夫だろうか。結論から言えばノーである。新防衛大綱は中国の国防費増大や東シナ海などでの活動を「懸念事項」と位置づけ、南西諸島防衛力の強化を打ち出し、自衛隊部隊を全国に均等配置する冷戦型の「基盤的防衛力構想」から機動性・即応性重視の「動的防衛力」に転換するとしている。
 確かに「南西シフト」によって自衛隊が積極的に脅威に対処する姿勢は評価される。この地域は陸上自衛隊にとって空白地帯だったからだ。新たに沿岸監視部隊の配置(最西端の与那国島に約1千人規模)に加え「初動を担任する部隊の新編」が盛り込まれたのは、空白をなくす意味だけでなく、全国から部隊を機動的に展開できる基盤となり、この点は「動的防衛力」として前進である。
 だが、実態は心もとない。陸上兵力は自衛官1千人削減、戦車200両削減など相変わらずの軍縮路線である。戦力を北海道から九州や沖縄に振り向けるだけの話で、動的防衛力を削減の口実に使っている。海上兵力の増強もあやしい。例えば潜水艦を16隻体制から22隻体制に増やすとしているが、これも通常16~18年で退役するのを「定年延長」で対応し、新造はこれまでどおり1年1隻にとどめているからだ。
 加えて、新防衛大綱の最大の欠点は、日米同盟の深化に口をつぐんでしまったことだ。菅首相は昨年12月、社民党の福島瑞穂党首と会談し、2011年度予算編成に向け両党幹事長らによる協議を開始することで合意し、その“手土産”として武器輸出3原則見直しを先送りした。社民党と連携すれば普天間移設問題の困難さが増し、日米同盟が揺らぐのは目に見えている。集団的自衛権行使を決断しなければ日米同盟は本当の意味で機能しない。それから逃避した新防衛大綱は絵に描いた餅にすぎない。これでは「平成の元寇」を防ぐことはできない。我々は防衛政策の抜本改革を求める。

2011年1月4日

この記事は2007年3月15日に投稿されました。

アジアの平和を脅かす中国の軍拡

07年度国防費/19年連続 伸び率2ケタ増
宇宙情報の覇権めざす

中国の軍拡はどこまで続くのか…。中国の07年度国防費の伸び率は19年連続2ケタ増で、5兆円規模に達したことが全国人民代表大会(全人代)で明らかになった。これは経済成長を即、軍事力増強に結びつけ東アジアの覇権を狙っている中国共産党の思惑を浮き彫りにするものだ。今年1月に衛星破壊ミサイル実験を行なって世界を驚かせたが、宇宙のみならず核・海洋の三位一体軍拡にひた走っている。その矛先が日本に向けられていることを想起しておくべきだ。

 07年3月5日から開幕した全人代に提案された07年度予算案の国防費は、前年比23%増の約3472億元(約5兆2800億円)で、初めて5兆円規模になった。2ケタの伸び率は実に19年連続、20%以上の伸びは94年以来のことである。
 07年度国防予算は始めて日本の防衛費(約4兆8000億円)を上回ったことになるが、研究開発費の一部は「文教・科学費」に計上しており、実際の軍事費は公表の2~3倍に上るというのが国際社会の常識だ。
 こうした2桁増の軍拡路線に入ったのは人民解放軍が中国民衆に銃口を向けた天安門事件(89年)以降で19年間に国防費は実に十数倍に膨れ上がった。
 温家宝首相は全人代の政府活動報告で胡錦濤主席の指導思想とする「科学的発展観」が「国防と軍隊建設を強化するための重要な指導方針」と位置づけ「情報化に合わせて防衛戦闘能力をさらに高め、国防分野の科学技術研究や武器装備の整備の強化する」と、軍のIT(情報技術)化を強調した。

宇宙・情報で米凌駕を目標

中国はかねてから「経済成長に見合った軍事力」を標榜し、昨年から始まった第11次5カ年計画では「国防能力強化」を主眼に置いた。それだけに将来の経済成長に伴い軍事費が一層膨らんでいくのは必至で、それらは宇宙・核・海洋の三位一体的な軍拡に注がれると専門家は分析している。
 昨年末に公表された06年版中国国防白書は「21世紀半ばまでの情報化された軍建設の完成」を成し遂げて情報戦に勝利するとし「国防近代化三段階戦略」を掲げているという(茅原郁生・拓殖大学教授)。
 特に軍が関心を抱いているのは宇宙で「宇宙を制し、情報で優位に立つ者が、主導権を握る」(党学校機関紙『学習時報』)とし「宇宙技術領域で絶対的な覇権国」(『環球時報』)を目指している。
 中国の宇宙開発は有人宇宙船「神舟」を始め、すべて軍部が進めている。この構図は旧ソ連とそっくりだ。ソ連は1957年に人類初の人工衛星「スプートニク1号」、61年に人類初の有人衛星「ボストーク1号」の打ち上げに成功すると、その直後から衛星攻撃兵器の開発に乗り出した。
 中国も同様に03年10月に初の有人衛星「神舟5号」の打ち上げた後、今年1月に衛星破壊実験を強行した。ソ連の場合はIT技術で米国に大きく遅れ結局、軍拡競争に敗れて崩壊したが、中国の場合は市場経済を背景にIT技術を西側諸国からそっくり移転させており、ここがソ連以上に危険なところだ。

中国核弾道は非核国に標準

宇宙での情報戦勝利とは言うまでもなく米軍に勝つことだ。米軍の軍事行動の大半は偵察衛星や通信衛星に依拠し、「ネットワーク・セントリック・ウォーフェア(NCW)」(ネットワーク中心戦争)を指向している。この破壊を中国は目指しているのだ。
 ミサイル技術向上は即、核戦力向上を意味することも忘れてはならない。
 06年版国防白書は「自衛のための核反撃戦略の堅持する」としているが、実際は非核保有国である周辺諸国を射程に収める700~2500㌔㍍の中距離弾道ミサイルを百基近く配備、非核保有国に使用しないというのは「政治的プロパガンダ」(茅原教授=世界日報3月5日付)にすぎないなのだ。
 日本が核ミサイルの標的にされているのは言うまでもないことだ。

西太平洋も狙う/軍事力に依拠する共産党

宇宙と並行して「近海での総合的な海上作戦能力を増強する」(06年版国防白書)として、急ピッチで外洋海軍化を進めている。
 それを象徴するのは昨年10月、米空母「キティホーク」を中心とする米海軍打撃部隊が沖縄近海の西太平洋上で訓練中、中国海軍の宋級ディーゼル潜水艦が密かに追跡され、魚雷の射程内のわずか8キロまで接近された出来事だ。米部隊はこれを探知できず衝撃が走った。米国が中国の軍事技術の向上を改めて見せつけられた格好となった。
 中国の太平洋の覇権狙いはトウ小平時代からのものだ。改革・開放路線と並行して80年代初めに「近海積極防衛戦略」を採用、85年には「海洋権益の擁護」を打ち出し、92年には領海法を制定し中国の権益として必要な海域を中国領海と見なす「戦略領海」という概念を作った。これによれば尖閣諸島も沖縄も「中国領土」とされてしまう。
 中国海軍はこれまで対馬海峡から東シナ海、台湾海峡、南シナ海に至る「第一列島線」を守備範囲にしてきたが、海軍力増強でサイパン、グアムを含む東太平洋地域の「第二列島線」(これが戦略領海の意味)へと覇権拡大を目指している。東シナ海の油田開発を独自に強行するのはこうした背景からだ。
 毛沢東が「銃口から政権が生まれる」として以来、権力基盤を軍事力に依拠するのは中国共産党の思想的DNAと言ってよい。だから、伝統的に対話や協商ではなく軍事力にモノを言わせようとする。それが中国共産党政権の軍拡の意味するところであり、民主主義国の防衛力整備とは根本的に違っている点なのだ。
 これを見落とし、中国を米国と同列に置いて日中米の三角外交を唱える親中路線は日本のみならず東アジアを滅ぼす虚言である。天安門事件以来、綿々と続く中国の軍拡にわが国は安閑としていてはならない。

2007年3月15日

勝共思想講座 疎外論
勝共思想講座 唯物論
勝共思想講座 唯物弁証法
勝共思想講座 唯物史観
勝共思想講座 認識論
勝共思想講座 疎外論の克服
勝共思想講座 家族論