共産主義は間違っている!
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勝共運動による救国救世

米国務省のケビン・メア日本部長が「沖縄はごまかしとゆすりの名人」と発言し、…続きを読む

台湾で陸軍中枢の現役少将が中国へのスパイ容疑で2月8日、逮捕された。逮捕されたのは陸軍司令部の羅賢哲少将。…続きを読む

『世界思想』3月号が発刊されました。特集は「情報リテラシー戦争 ネット時代への対応」です。…続きを読む

ロイター通信(2月2日)は米軍機密文書などを公表している内部告発サイト「ウィキリークス」が2011年のノーベル平和賞候補に挙がっていると報じている。…続きを読む

米ハワイ州の連邦裁判所は1月24日、巡航ミサイルをレーダーに探知されにくくするステルス能力に関する軍事情報を違法に中国政府に提供したとして、…続きを読む

フランスの自動車大手ルノーの幹部3人が日産自動車と共同開発中の電気自動車の技術を漏洩した事件が波紋を広げている。…続きを読む

政府は1月5日、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議の初会合を開き、罰則の対象となる秘密の範囲や政府の情報管理体制について議論するという。…続きを読む

「政府における情報保全に関する検討委員会」(委員長・仙谷官房長官)は9日、情報漏えいに対する罰則強化の法整備などの検討を始めた。…続きを読む

世界いずれの国にもあるスパイ行為を取り締まる法律。我が国になかったことから、スパイ天国となってきた。…続きを読む

インテリジェンス

この記事は2011年3月10日に投稿されました。

メア発言を引きずらず普天間移設を速やかに進めよ

米国務省のケビン・メア日本部長が「沖縄はごまかしとゆすりの名人」と発言し、これに対して沖縄県議会と那覇市議会は3月8日、県民感情が傷つけられたとして全会一致で抗議決議を採択するなど批判が噴出、米政府はメア氏を更迭して事態を収拾しようとしている。メア氏の発言が不穏当であることは間違いない。批判されてしかるべきである。だが、これを絶好の反米材料として米軍基地問題で日米両政府を揺さぶり、普天間移設を遅らせようとしてはならない。もとを辿れば、民主党政権の「最低でも県外」という空想主義、そして鳩山前首相の抑止力を「方便」とした詭弁、さらに菅政権の優柔不断な態度が米国を苛立たせてきた。沖縄県民でなく民主党政権こそ「ごまかしの名人」である。こうした姿勢を改め菅政権は普天間移設を速やかに進めていかねばならない。

「ごまかしの名人」は民主党政権と左翼メディアだ

メア発言は2010年12月、アメリカン大学における講演で、その発言要旨は朝日新聞(3月10日付)に掲載されている。その中身について評論家の桜井よしこさんが産経新聞の「菅首相に申す」(3月10日付)で、「メア発言の真意」と題して的確に分析されている。それによると、メア発言の重要点は次の6点だという。①日米安保は非対照。米国が攻撃されても日本には米国を守る責務がないが、米国は日本人とその財産を守らねばない②集団的自衛権は憲法問題でなく政治問題だ③沖縄の怒りや失望は米国よりも日本に向けられている。日本の民主党政権は沖縄を理解しておらず、沖縄とのパイプもない④鳩山由紀夫前首相は左派の政治家だ⑤日本政府は沖縄県知事に「もしお金が欲しいならサインしろ」と言う必要がある。彼らは合意と言うが、合意を追い求めるふりをし、できるだけ多くの金を得ようとする。沖縄人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ⑥日本国憲法9条を変える必要はないし、変わるとも思わない。改憲で日本は米軍を必要としなくなり、米国にとってはよくない。
 問題になっているのは⑤であり、この点は左の朝日も右の産経も「偏見」(朝日)という認識では一致する。それ以外の発言についてメディアは一切関知しないという態度をとっているが、桜井さんは①②③④については大体当たっているとし、⑥については「(メア氏は)日本には憲法改正はできないと見る。自国の守りと他国に頼る日本への最も深い侮りはまさにこの部分だ。だからこそ、菅直人首相も民主党も、メア氏に抗議する前に、まず、日本の国防の無責任体制の是正に手をつけよ」と手厳しく批判している。まったく同感である。メア発言の⑤だけを問題にして集団的自衛権にも踏み込まず、普天間移設も進めずにいる菅政権、そしてここぞとばかりに米国批判にうつつを抜かす朝日をはじめとする左翼メディアこそ「ごまかしの名人」といわねばならない。

戦後の米軍事戦略上にある沖縄の重要な位相

われわれは沖縄の在日米軍基地の重要性を再認識する必要がある。それを知るために戦後、米国が東アジアの平和構築さらに世界的軍事戦略をどのように考えてきたか、おさらいしておこう。
 1950年代のジョージ・ケナンの「封じ込め戦略」以来、米国は戦略拠点となる主要国に米軍を展開し、敵対勢力(主に共産勢力)の進出を防いできた。このことは高く評価されるべきである。日米安保条約もその一環なのは言うまでもない。50年代には抑止戦略(前方防衛戦略)を基本に大量報復戦略(米ソ核競争)、60年代には柔軟反応戦略に転じて2カ1/2戦略(2正面と1紛争に対応)、70年代には海洋戦略を重視し1カ1/2戦略に転換し、80年代にはレーガン大統領のもとで宇宙戦略(SDI=戦略防衛構想)を採用。大量破壊兵器の報復に頼った「相互確証破壊」戦略のもとで、米国は中東と北東アジアでの有事に備えた。そして90年代にクリントン政権は日米同盟の再構築を目指すことになる。当時、国務次官補のジョセフ・ナイ氏と国防副次官補(現、国務次官補=東アジア・太平洋担当)のカート・キャンベル氏らを中心に日米同盟を再定義し(これをナイ・イニシアティブと呼んだ)、96年4月の日米首脳会談(クリントン-橋本)で「日米安全保障共同宣言」、それに基づき翌97年に「日米防衛協力のための指針」(新日米ガイドライン)を作成、日米同盟を自由と民主主義、人権の尊重などの「共通の価値観」の反映と捉え、国際的な安全保障環境の構築のために緊密な防衛協力を行うとした。わが国は新ガイドラインに基づき98年に周辺事態法、2003年に武力攻撃事態対処法、04年に国民保護法を制定し一連の有事体制を整備した。この流れの中に沖縄の米軍基地問題もあると認識しなければならない。
 沖縄では95年に米兵による少女暴行事件があり、これに対する県民感情に配慮し96年4月、日米両政府は普天間飛行場について市街地にあることから騒音や墜落事故の危険性が指摘されることを考慮し、全面返還と県内移転で合意した。同12月に沖縄施設・区域特別行動委員会(SACO)が最終報告をまとめ、これを受け名護市は99年12月、辺野古の米軍キャンプ・シュワブ周辺に普天間飛行場の代替施設を受け入れることを表明したのである。

辺野古移設の歴史的意義を再認識すべきだ

21世紀に入ると、米国はポスト冷戦時代に対応するため海外米軍の再編を世界的規模で進めた。ブッシュ政権は06年から10年計画で米軍6~7万人、軍人家族・文官10万人を米国に帰還させ、在外米軍施設を560から360に削減、コストも今後20年間で154億ドルの節減を目指すとした。これによって在外米軍の態勢を冷戦時代の旧共産圏との対峙から転換し、地球規模での国際テロへの対応とともに最も警戒を要する「不安定な弧」(太平洋~中東)に至る地域に重点的に臨むことになった。それが世界規模の米軍再編の意味であり、その中核を担うのが沖縄の海兵隊である。こうして05年10月、日米安全保障協議委員会(2プラス2)をワシントンで開催し、「日米同盟/未来のための変革と再編」と題する共同文書を作成、「同盟の能力向上」に取り組むこととした。それは「不安定の弧」を睨み、在日米軍には有事に即応できる司令塔機能を備え、さらに在日米軍と自衛隊との統合運用を打ち出し、基地の共同使用も拡充、日米安保協力の効率化を図るものである。
 わが国は、こうした米軍再編を防衛力(抑止力)向上と沖縄米軍基地縮小に連動させようと日米協議を重ね、曲折を経て06年5月、代替施設をキャンプ・シュワブ沿岸部にV字形滑走路2本を配置、同時に海兵隊約8千人をグアムの米軍基地に移す案で合意したのだった。当時、嘉手納基地への統合案も検討されたが、軍事運用上、無理があった。普天間は低速の海兵隊大型ヘリの運用が中心であるのに対して、嘉手納は高速のF15戦闘機が中心で、同時に管制することが困難だったからである。とりわけ有事の際、嘉手納には通常(約70機)の3倍の戦闘機が集中するので、統合は不可能に近い。要するに検討を尽くした末の辺野古移設だったのである。それにもかかわらず民主党は「最低でも県外」と主張し、国民に幻想を与えて政権を奪取し、いざ政権につくや日米交渉を延ばしに延ばし、2010年1月の名護市長選で反基地派の市長が当選し辺野古移設をより一層複雑にさせた。そして鳩山前政権は「県外」撤廃を決めたが、今なお辺野古移設は凍結にされたままである。長年の日米交渉、そして沖縄県民との約束を踏みにじってきた民主党政権こそ、その非が責められるべきである。

中国の尖閣・沖縄侵略を封じる米軍のプレゼンス

そんな中、西太平洋に覇権を広げようとする共産中国は、わが国固有の尖閣諸島を自国領と主張し、あわよくば沖縄を支配下に入れようと目論んでいる。領土問題を口実に軍事侵略行動を起こすのは共産中国の常套手段である。ベトナムへの侵攻(中越戦争=1979年)やフィリピンなどとの間で領土紛争を抱える西沙諸島(中国名)を軍事制圧したのはその一例にすぎない。フィリピン領の西沙諸島の一部は米軍がフィリピンから撤退した直後の95年に中国軍によって軍事占領されたことを想起しておかねばならない。尖閣列島がいつ明日の西沙諸島となるか知れたものではない。中国は台湾への武力侵攻も公然と主張しているのである。沖縄の米軍は「日本の安全と極東の国際平和」に欠かせない。米軍のプレゼンス(存在)が抑止力になっていることは論を待たない。ジャームズ・アワー元米国防総省日本部長は沖縄の海兵隊について「冷戦時代なら北海道でもよかったかもしれないが、現在の脅威は中国だ。米日韓は中国を敵に回そうとは思っていないが、中国は異質で先行きは不透明だ」と、海兵隊の重要性を指摘している(日本経済新聞2010年4月29日付)。中国の異様な一大軍拡の意図はすでに明らかなところである(「今日の視点」3月6日・参照)。普天間移設を速やかに実行し、日米同盟を深化させて祖国と東アジアをも守らねばならない。

2011年3月10日

この記事は2011年2月14日に投稿されました。

台湾陸軍司令部の現役少将が中国スパイだった

台湾で陸軍中枢の現役少将が中国へのスパイ容疑で2月8日、逮捕された。逮捕されたのは陸軍司令部の羅賢哲少将。これまでのスパイ事件では最高位の軍人で、被害規模も「過去最大」(台湾各紙)という。台湾国防部によると、羅賢哲少将は2002年から05年までのタイ駐在期間中に中国の諜報機関に買収され、昨年10月に容疑が発覚するまで最大9年間、軍の機密情報を中国に流し続けていた。中国に漏洩した機密情報は、陸海空3軍の合同作戦を遂行するために米国から導入した高度な指揮通信システムに関する極秘文書や陸軍が台湾全土に配備した地下光ファイバー網の見取り図などが含まれている。中でも衝撃を与えているのは、米国から導入した「博勝案」と呼ばれる3軍合同ハイテク作戦を実施するための指揮通信システムの流出だ。同システムの構築には、「10年の歳月と約500億台湾元(約1400億円)の巨費を投じた」(中国時報紙)とされ、台湾の対中防衛に及ぼす損害は深刻だという。羅賢哲少将をスパイと突き止めたのは台湾ではなく米連邦捜査局(FBI)で、定期的にタイにいる中国の情報員と接触していることを察知、台湾側に通報し事件が発覚した。羅賢哲少将が中国側から受け取った報酬は数10万米ドル(数千万円)にのぼるという(産経新聞2月9日付など)。

中台の諜報合戦―中国のスパイ工作が優位に立つ

台湾からの情報漏洩はしばしば起こる。国民党が台湾に移る以前から中国共産党と激しい諜報戦を繰り広げてきた歴史があるからだ。1949年に蒋介石総統が台湾に渡った際、共産党側の大物スパイも国民党幹部として同行したという話も伝わっている。蒋経国時代には同総統の側近で、法務部調査局(特務機関)で「諜報の神様」と呼ばれた沈之岳(1913~94年)という人物も実は共産党のスパイだったという。このように中国は台湾政府のみならず軍にもスパイ網を張り巡らそうと執拗に工作してきた。これに対して台湾側も数多くのスパイを養成し、大陸に送り込んで情報収集に当たってきた。厳しく対峙する両国は軍事機密をお互い激しく探り合ってきたのだ。今回のスパイ事件もそうした流れの中にあるのは言うまでもない。
 だが、最近は中国側がスパイ戦で圧倒的優位に立っている。中国は対台湾スパイ工作を4つの機関で行っている。国務院の国家安全省と公安省、人民解放軍の総政治部連絡部と参謀部情報部だ。この4機関がさまざまなスパイ工作を仕掛けている。例えば、香港や東南アジアで育った華僑の若者を長期間潜伏するスパイ「覆面」として育成し、「親台湾」を装って台湾籍を取得させ、軍や行政機関に就職させる秘密活動を行っている。2003年には香港生まれの軍事情報局の将校が中国に軍事情報を長期間提供していたことが発覚し、逮捕された。彼は組織の信頼を得るため、中国側が渡した「機密文書」を独自に入手したように装っていた。このように中国は「長期埋伏」と呼ばれる内部潜伏者を多数養成してきたのだ。中台間では言語や外見が同じで摘発が難しいので、人的情報収集「ヒューミント」が盛んなのだ(朝日新聞2010年2月26日付)。
 09年1月、台湾政府の中枢である総統府の参事職員(部長級)が機密文書を中国に流していた容疑で逮捕されたほか、10年3月には軍情報局の退役情報員2人が現役時代から中国へ情報を流していたとして法務部調査局に逮捕された。さらに10年11月には軍情報局の羅奇正大佐と中国駐在の台湾人ビジネスマン羅彬の2人が中国へのスパイ容疑で逮捕された。羅大佐は軍情報局で10年以上に渡って中国の機密情報収集や諜報員の募集、派遣工作を担当。羅彬は04年に軍の募集に応じビジネスマンの身分で中国に渡って諜報活動をしていたが、中国当局に逮捕され拷問を受けた後、中国スパイに転向、羅大佐に接近し金銭で中国スパイに“スカウト”することに成功した。そして今回の陸軍司令部の羅賢哲少将のスパイ事件である。

「スパイ天国・日本」はけっして他人事ではない

陸軍司令部の将官が中国スパイだったことに台湾のみならず米国も衝撃を受けている。台湾の対中防衛に及ぼす損害が深刻なうえ、米台軍事協力の今後にも悪影響を及ぼすのは必至だからだ。その被害は米台にとどまらない。中国に漏洩した3軍合同ハイテク作戦をするための指揮通信システムが日本で使われているかどうか明らかにされていないが、同種のシステムが使われているとされるからだ。これを中国が分析し、サイバー攻撃に利用するのは確実だ。台湾は米国に最新兵器の提供を求めているが、米国は供与を渋ってきた。中国への配慮ではなく、台湾からの情報流出を恐れているからだ。味方だと思って流した情報や技術がいつ敵の手に渡るか知れたものではない。これでは米台同盟が危うくなるのは当然だろう。
 このことは他人事ではない。日本は台湾にあきれているわけにはいかない。場合によっては台湾よりも日本からの情報流失の方が多いとされているからだ。すでに本欄で指摘したように、日本の「スパイ天国」は目に余るものがあり、米国は最新鋭ステルス戦闘機の対日輸出を躊躇している(詳細は「インテリジェンス」参照)。スパイ防止法も制定していない日本は他国のことをとやかく言えない。今回の台湾スパイ事件を他山の石としてスパイ防止法を早急に制定しなければならない。

2011年2月14日

この記事は2011年2月13日に投稿されました。

特集―ネット社会に私たちはどう臨むべきか

『世界思想』3月号が発刊されました。特集は「情報リテラシー戦争 ネット時代への対応」です。ネット社会が国家を揺るがしていますので、この特集を組んでみました。

「情報リテラシー戦争」で世界は大きく変化する

個人と個人をつなぐフェイスブックやツイッターなど、ネット上のソーシャルメディアが、磐石な基盤を誇ったはずのアラブ諸国を直撃しました。チュニジアの「ジャスミン革命」がアラブ最大の大国エジプトへと波及し、ムバラク大統領はついに辞任に追い込まれ、さらに他のアラブ諸国を揺さぶっています。もうひとつネットが国家を揺るがしたのは、内部告発のウェブサイト「ウィキリークス」です。昨年11月、米国政府の公電を暴露し、クリントン米国務長官は“弁明外交”に追われました。ウィキリークス代表のアサンジ氏は、公電はまだ一部しか暴露していないと、うそぶいていますので、これから何が出てくるのか、米政府は戦々恐々です。
 そればかりではありません。サイバー戦争が熾烈に繰り広げられています。とりわけ中国は数10万人規模の「網(ネット)軍」を編成し、米国や日本など自由諸国のサイトに侵入し、機密情報を奪ったり、サイト改ざんなどをやっています。2009年3月、台湾の情報機関、国家安全局は08年に中国から受けたサイバー攻撃は3100回を超えたと発表しています。目的は機密情報の窃取です。その一方で、アラブ諸国以上に独裁国の中国はジャスミン革命やエジプト政変に衝撃を受け「ネット遮断」に血眼です。加えて日産ルノーの電気自動車(EV)技術が中国のスパイによって漏洩しました。フランス政府は中国との経済関係を考慮してスパイの国名を明らかにしていませんが、中国なのは明白です。こうした状況を「情報リテラシー戦争」と名づけてみました。

いま必要なのは倫理に裏打ちされた情報伝達

ネット上では児童ポルノなど有害情報も大問題です。こうしたネット社会、情報社会において、私たちはどのような姿勢で臨むべきでしょうか。本連合創設者の文鮮明師は、世界のマスコミ、ジャーナリスト関係者を一同に会して「世界言論人会議」を開催してきました。その基本的スタンスは「自由なきところには自由言論を。自由のあるところには責任言論を」です。責任言論とは倫理性に裏付けされた言論、情報公開のことです。前者は冷戦時代にワシントンタイムズなどを通じて、共産圏の解放に尽力したことで知られています。
 「ジャスミン革命」で思い出されるのは、1989年11月の「ベルリンの壁」の崩壊でしょう。これを機にソ連・東欧圏が共産党独裁政権から解放されました。この壁を破ったのは実に情報でした。
 1989年6月、レーガン米大統領は「情報こそが力を持っている。いかなる軍隊よりも、外交手段よりも、通信技術の革命こそ、人々の自由に向けて前進させるもっとも大きな力となり得る。この革命こそ、世界がかつて見たこともないような力を持っている」と訴えました。レーガン大統領は共産主義を旧約聖書に出てくる巨人ゴリアテに、そしてコンピュータのマイクロチップをゴリアテを倒した少年ダビデに喩えました。通信技術革命で「ダビデ」を得た西側の人々は、強力な電波で西側の情報を東側に流し続け、勇気づけられた人々が立ち上がって、東欧さらにソ連を解放したのでした。これこそ「自由なきところに自由言論を」でしょう。
 それから20年以上を経て、いまは携帯電話、フェイスブック、ツイッターです。これらの情報は個人に依拠し、溢れかえっています。まさに自由です。ですから今、必要なのは「自由のあるところには責任言論を」であり、高い倫理性が個人においても問われています。そうした基本的指針を文鮮明師は2001年1月に東京で開かれた世界言論人会議のメッセージで提示しておられます。同会議には元米国務長官のアレキサンダー・ヘイグ氏も示唆に富んだ講演をされました。それらを3月号で改めて紹介しました。ネット社会を考える一助になれば幸いです。

チベット国旗は実に日本人がデザインしていた

チベット問題を考える会代表の小林秀英先生のインタビューはとても興味深い内容です。小林先生は真言宗智山派雪蔵山十善院を建立された住職で、チベット仏教への造詣も深く、「チベット亡国の悲劇を繰り返すな」の心情が読者に響いてきます。特に明治時代から日本人はチベットと深く関わり、何とチベット国旗「雪山獅子旗」は日本人がデザインとしたというお話には驚きました。詳細は本誌でどうぞ。
 イラスト学習講座「大真裏」は、今号から「ファーブルと進化」です。ダーウィンとも親交があった生物学者ファーブルが、いかに進化論に反対していたか、彼の著作『昆虫記』から紹介していきます。漫画でわかりやすく、進化論批判が学べると思います。3月号もご愛読、よろしくお願いします。(国鱒)

2011年2月13日

この記事は2011年2月4日に投稿されました。

「ウィキリークス」がノーベル平和賞候補!?

ロイター通信(2月2日)は米軍機密文書などを公表している内部告発サイト「ウィキリークス」が2011年のノーベル平和賞候補に挙がっていると報じている。ノルウェーの国会議員が「言論の自由と透明性の確保に最も貢献した」として、受賞者を選ぶノーベル賞委員会に推薦したというのだ。これが事実なら、この国会議員はアナーキスト(無政府主義者)かカオス(混沌)信奉者に違いない。よもやノーベル平和賞に選ばれることはないと思うが、こういう話が出ること自体がノーベル平和賞の品位を落とす。ネット社会が進化する中で世界秩序はどうあるべきか、熟考する必要がある。

元ハッカーの犯罪的な手法を称賛するな

内部告発サイト「ウィキリークス」は政府機関や民間の内部告発情報を公表するウェブサイトで、2006年にオーストラリア国籍の元ハッカー、ジュリアン・アサンジが創設した。政府や企業の内部者に提供を求め、その生の情報をすべてそのままサイトに公開するのを原則としているという。スタッフはアサンジ編集長を含め10人程度と小規模だ。だが、発信された情報は瞬時に世界中を駆けめぐり、絶大な影響を及ぼしている。アサンジによれば、情報が公開されるので、それが正しいかどうかは関係者や専門家が見れば判断できるから、最終的に真実だけが残るという。だが、これは真っ赤な嘘だ。ネット上では虚偽情報が真実のようにまかり通っているのが現実だ。仮に真実だけが残ったとしても、それがすべて公表されてよいというものでもない。元ハッカーの犯罪者が屁理屈をこねて自らの犯罪を合理化しているだけの話だ。
 ウィキリークスの手法は従来のメディアのそれとはまったく違う。これまで新聞やテレビなどのジャーナリズムは情報がプライバシーを侵害しないか、公益を害さないか、あるいは国家の安全を損なわないかといった公開に伴う影響を吟味し、必要なら情報を匿名にしたり、場合によっては加工したりして公開してきた。ところが、ウィキリークスの場合、始めに公開ありき、である。昨年4月、米軍ヘリによるイラク民間人の誤射殺害事件(07年発生)の映像を公開し、世界に衝撃を与え、注目されるようになった。そして11月28日、米国の外交公電約25万通を手に入れたとし、その内、1000通を暴露した。その中にはサウジアラビアのアブドラ国王が核開発を阻止するため米政府にイラン攻撃を促す公電や、各国首脳を「気難しい権威主義者」(サルコジ仏大統領)「無能でうぬぼれが強い」(ベルスルコーニ伊首相)「肉のたるんだ老人」(金正日総書記)などと呼ぶ米外交官らによる人物評もあった。あるいはイランが北朝鮮から欧州諸国が射程距離に入る中距離ミサイル「ムスダン」を19基入手し配備した、中国共産党政治局が検索大手ググールのコンピュータ侵入を支持し、工作員と無法集団が連携している、といったものもあった。
 確かにこれらは興味深いし、知られた方がいい情報もあるように思われる。だが、情報源の生命を危うくする可能性がある。こうした公電暴露を受けクリントン米国務長官は“弁明外交”を余儀なくされた。フラティニ伊外相は「世界の外交における9・11事件だ。米同時テロが治安状況を一変させたように、外交の構図を変えるだろう」と述べている。それほど同盟国に与えた衝撃は大きかった。日本関連の情報では、米政府が日米で共同開発中のミサイル防衛の次世代型迎撃弾「SM3ブロック2A」の欧州への輸出解禁を日本に求めている文書が暴露された。それで日本政府が武器輸出3原則の見直し作業を進めているのは米国に動かされている、といった批判を招いている。

外交公電の暴露は形をかえた「テロ」だ

これら公電をウィキリークス側に漏洩したのは、ブラッドリー・マニングという米陸軍の上等兵だった。すでに昨年5月、イラクでの誤射映像を暴露した秘密漏洩の容疑で、FBI(米連邦捜査局)と米軍によって逮捕されている。なぜ上等兵という低い階級の一兵士が米公電をリークすることができたのか。それは9・11事件後、米政府は各省庁間の連携不足を解消するためにテロ情報を共有するネットワークを作っていたからだという。マニング上等兵は情報分析の任務についており、そこから国務省の公電を入手することができた。これに対して米国務省は漏洩した公電を本物と認め、暴露前にいち早く各国に「罪のない無数の個人」や「進行中の軍事作戦」を危険にさらす可能性があると警告し、各国に事前連絡して対応を求めた。ウィキリークスが公表したのは(彼らの主張が本当なら)20万通の公電のうち1000通にすぎない。今後、どういう情報暴露が、どういう時期にあるのか、誰も分からない。例えば、ある国の大統領選挙の直前に特定の候補者が不利になる情報が暴露されれば、選挙結果に重大な影響を与える。その意味でウィキリークスは伊外相がいうように「テロ」の一種である。米政府は「米兵や協力者らを危険にさらす」として、アサンジの訴追を検討している。そういう人物を米軍による市民殺害や独裁国家の汚職を暴いたとして賞賛するのは間違っている。ましてやノーベル平和賞候補に推薦するとは倫理観の欠落もはなはだしい。

日本に不足しているのは情報保護と防諜の体制だ

わが国でも政府情報の漏洩事件が起こっている。昨年11月、警視庁公安部の国際テロに関する極秘文書がネット上に流失した。流失したのはイスラム過激派などによる国際テロ対策を担う警視庁公安部外事3課が保管する極秘書類100点以上で、捜査協力者の外国人氏名や連絡先、接触方法のほか捜査対象者の顔写真や旅券番号、米連邦捜査局(FBI)によるテロ対策の研修内容も含まれていた。内部犯行の可能性が高いが、まだ犯人は特定できていない。これら情報流失によって、国際テロを防止できなかったり、捜査協力者の生命を脅かしたりするなど深刻な事態が生じかねない。流出情報が本物として認めれば、外国機関から情報提供を望めず、わが国は情報真空地帯に陥る可能性がある。そのジレンマから警視庁は事実関係を一切明らかにしなかった。だが、名指しされた国内のイスラム教徒の人々が東京地検に告訴し、警視庁が流出を認めて謝罪しデータを削除して被害者の安全を確保するよう申し入れた。うやく昨年12月末、警視庁が内部資料の流出と認めて謝罪したが、関係者の生命と安全が守られるか疑問を残している。
 機密保護の法整備、体制作りがわが国ではまったくといってよいほど進んでいない。スパイ防止法(国家機密法)制定や防諜組織作りが焦眉の急だ。国民の生命と財産を守る。それが国家の第一義の使命である。情報分野においてその使命を果たしているか、徹底検証が望まれる。

2011年2月4日

この記事は2011年1月30日に投稿されました。

ステルス技術 中国のスパイ活動を見逃すな

米ハワイ州の連邦裁判所は1月24日、巡航ミサイルをレーダーに探知されにくくするステルス能力に関する軍事情報を違法に中国政府に提供したとして、元技術者ノシル・ゴワディア被告(66)に対し禁錮32年の判決を言い渡した(AP通信など)。それによると、ゴワディア被告は2003~05年にかけて、レーダーに捕捉されにくい巡航ミサイルの設計に必要な情報を中国政府に伝え、見返りに少なくとも11万ドル(約900万円)を受け取った。外国政府に軍事情報を提供した罪と資金洗浄などの罪で逮捕され、昨年8月に同裁判所の陪審が有罪評決を出していた。中国のスパイ活動が露見した事件である。さきに仏ルノーのEV技術(すなわち日産の技術)が漏洩した事件で中国の関与が取りざたされているが、中国は世界中でスパイ活動を行っているのだ。この動きを見落としてはならない。

中国は次世代ステルス戦闘機の開発に血眼だ

ステルス技術は今、関心の的である。中国は覇権を拡大しようと軍事力の増強に血眼になっているが、その焦点のひとつが戦闘機の能力向上で、その中核となるのがステルス能力を持つ次世代戦闘機の開発である。今年に入って中国は次世代ステルス戦闘機「殲20」の情報を自らリークし、ゲーツ米国防長官の訪中に合わせて1月11日、試作機の試験飛行を四川省成都の人民軍系航空機メーカー「成都航空機工業集団」の飛行場で行った。ゲーツ長官は胡錦濤主席との会談の場で不快感を示し直接、説明を求めたが、胡主席はまともな返答ができなかった。ゲーツ長官は後日、「胡主席を含め文民は誰も試験飛行を知らされておらず、軍の独裁が懸念される」と発言している。それはともあれ、中国が次世代ステルス戦闘機を開発し、現実的に配備するとなると、東アジアの軍事バランスは大きく揺らぐ。ステルス技術獲得を目指す中国のスパイ活動は自由世界の安全保障に大きな影響を与えるのだ。
 AP通信(1月23日)は、「殲20」のステルス技術は1999年のコソボ紛争で撃墜された米軍のステルス攻撃機F117の技術が盗用された可能性が高いと報じている。同機は99年3月27日、北大西洋条約機構(NATO)がコソボ紛争でセルビアを空爆した際、ユーゴ軍が発射した旧ソ連製のSA-3ミサイルで撃墜されたもので、当時のクロアチア軍参謀総長は米軍ステルス機F117の墜落現場周辺で、中国の情報当局者が住民から残骸を買いあさっていたとの情報があるとし、「(残骸の)データから中国がステルス技術を分析したと信じている」と語っている。現職のセルビア軍高官も、F117の残骸が地元民らに持ち去られた後、「外国の駐在武官の手に落ちたことがある」と認めたという。ロシアのステルス戦闘機の試作機スホーイ「T-50」も撃墜されたF117から技術が転用された可能性があるとしている。それに加えて、巡航ミサイルのステルス技術が軍の元技術者から中国政府にわたった。このように中国はスパイ活動を激化させているのである。

航空自衛隊の次期戦闘機(FX)とも深く関係

ステルス技術漏洩問題はわが国と無縁の話ではない。航空自衛隊は目下、次期戦闘機(FX)の選定作業を進めているが、このFXとも密接に関係している。すでに機種選定は2年も遅れている。航空自衛隊はステルス能力と超音速巡航能能力を有する米空軍の「5世代機」である最新鋭戦闘機F22を配備したい意向だった。古くなったF4戦闘機の後継機として、将来の日本の空の守りの主力戦闘機にしようというわけだ。中露もF22を凌駕する戦闘機を保有しておらず、米空軍の切り札となっており、わが国の空の守りにも不可欠との判断からだった。ところが、米軍は日本に輸出することを拒んだ。それは日本からの情報流出を恐れたからである。
 2007年4月の日米防衛首脳会談で九間防衛相(当時)がゲーツ国防長官にF22の性能情報の提供を求めたが、ゲーツ長官は「情報保全は防衛省のみならず日本全体の課題だ」と述べ、提供を拒否した。09年5月に浜田防衛相(当時)がゲーツ国防長官と会談した際にも、F22の輸出が困難であるとして拒否された。すでに米議会は軍事歳出法オービー条項でF22の輸出を禁止している。米議会調査局の「F22日本売却に関する報告書」(07年)は、輸出解禁によって①雇用確保や量産化、コスト削減など米軍事産業にとり利益となる②最新鋭機を使った自衛隊と米軍の相互運用性が向上する③自衛隊のF22配備で米軍の同機を地域外に配備できる―との利点を挙げる一方、「不注意による米軍の技術や知識の漏洩は脅威になりえる」と指摘、イージス艦情報漏洩事件を「その一例」として警告を発している。いずれにしても米国はスパイ防止法を始めとする防諜体制が不備な日本にはF22を輸出しない。そしてオバマ政権は08年、高額を理由にF22の調達を打ち切り、開発中の高性能戦闘機F35に予算を集中する考えを明らかにした。これで航空自衛隊がステルス戦闘機F22を保有する道は閉ざされた。だが、F35の開発を待っているだけでは日本の防衛に穴が開いてしまう。ここがFX選定の難しいところである。

スパイ防止法制定、武器輸出三原則見直しが不可欠

この問題で我々に大きな課題が突きつけられている。F22はステレス性で優れているが、忘れてはならないのは航空機技術で日本は最先端技術国に位置づけられていることである。07年7月、米航空機大手ボーイング社の次世代主力旅客機「787」(通称、ドリームライナー)の1号機が完成し、ワシントン郊外の同社工場で御披露目が行なわれたが、機体の主力素材は日本企業の東レの最先端炭素繊維が使われているほか、主翼の製造は三菱重工が行なうなど、機体製造の約35%は日本企業が担当した。これら最先端技術は当然、戦闘機に応用されてしかるべきものである。米国はF35戦闘機の開発を英国とオランダなど西側諸国と共同で行なっており、国際的な共同開発の潮流が広がっている。ボーイング・エアバスの米欧両社とも機体製造は日本の化学繊維メーカーに依存しており、ステレス技術も特殊な合成繊維のもつ電波吸収効果にあるとされ、この分野でも日本の国際協力は必須なのだ。当然、それら技術を中国は「スパイ天国」日本から盗み出そうとするだろう。
 以上のことから、中国の次世代ステルス戦闘機に対抗して東アジアの平和と安全を守り、かつ中国のスパイ活動を制するために必要不可欠な2つの政策が浮き彫りにされる。第1はいうまでもなくスパイ防止法制定であり、第2は武器輸出3原則の見直しである。このことは航空自衛隊のFX選定と表裏一体の関係にある。政府は直ちに政策転換を図るべきである。

2011年1月30日

この記事は2011年1月8日に投稿されました。

日産EV技術も中国スパイに奪われた

 フランスの自動車大手ルノーの幹部3人が日産自動車と共同開発中の電気自動車(EV)の技術を漏洩した事件が波紋を広げている。ルノーの株主でもある仏政府が「産業スパイ事件」とみて捜査を開始すると、AFP通信などが伝えている。漏洩したのはルノーと資本提携する日産とともに進めているEV開発技術だ。つまり、この事件は他人事ではない。わが国の日産のEV技術が盗まれたことになる。漏洩させたのは中国スパイで、幹部らに大金が流れているという。
 朝日新聞によると(1月8日付)、仏下院の経済情報部会長のカラヨン議員は数年前から企業の機密保護を進める法案づくりを訴えてきたが、今回の事件について「産業スパイ事件であるのは明らかだ。新興国である中国は先端技術を取り入れるのに必死だ。中国企業の利益と密接に結びついているのは間違いない」と語った。7日付の仏フィガロ紙も、ルノー関係者の話として漏洩情報が最終的に中国側に渡った可能性があると報じた。 ベッソン産業・エネルギー担当相は今回の事態を「経済戦争」と表現している。

世界中でスパイ活動する中国。矛先は日本にも

この事件は中国によるスパイ活動の一端を露呈させたにすぎない。フランスのみならず世界中でスパイ活動を行っているからだ。むろん、わが国も例外ではない。警察庁の平成21年版「治安の回顧と展望」は、中国の対日スパイ活動について先端科学技術をもつ企業や防衛関連企業などに研究者や留学生らを派遣し、「長期間にわたって巧妙かつ多様な手段で先端科学技術の情報収集活動を行っているとみられる」と警告を発している。
 また「回顧と展望」は米議会公聴会での元FBI捜査官の証言やドイツにおける中国の産業スパイ活動などを紹介し、秘密政治情報の獲得工作や先端科学技術スパイ活動が日本でも巧妙に行われているとしている。それによると、米国議会公聴会での元FBI捜査官の証言は①中国が対米スパイ活動に情報収集分野で最大額の経費を投入②米国の高度技術や高度製品の製造法を盗むだけでなく恒常的に米国政府の秘密政治情報なども獲得しようとした。また中国の産業スパイ活動によって機械・兵器製造企業などのドイツ企業が年間500億ユーロの損失を受け、3万の職場ポストが失われているとするドイツ情報機関の報告を引用し、中国が日本でも先端科学技術をもつ企業や防衛関連企業などに研究者や技術者、留学生を派遣し、「長期間にわたって巧妙かつ多様な手段で先端科学技術の情報収集活動を行っているとみられる」と警告した(産経新聞09年12月10日付)。ルノー・日産が今回、標的にされたのだ。

トヨタ・デンソーでは大量の機密漏洩

トヨタはすでに被害にあっている。07年3月、トヨタグループの一翼を担う日本最大手の自動車部品メーカー「デンソー」において、中国人技師が製品図面を盗み出し横領容疑で逮捕された。盗まれた情報は実に17万件。そのうち機密情報は約1700件、産業用ロボットやディーゼル噴射装置などデンソーの最高機密が280件もあった。中国人技師は中国ではミサイル・ロケット開発を行なう人民解放軍直営の軍需工場に勤務しており、日本に留学しデンソーに入った軍事スパイである。
 ヤマハ発動機は中国スパイに身を売った。07年2月、静岡、福岡両県警は農薬散布や空中撮影などで使う無人ヘリコプターを中国・北京の航空会社に輸出しようとした容疑で、ヤマハ発動機の幹部らを外為法違反で逮捕した。無人ヘリは軍事転用に可能なため外国為替法で輸出が規制されているが、ヤマハ発動機はそれを承知の上で性能を故意に過少申告して中国へ不正輸出を続けていたのである。中国への輸出先のひとつに中国人民解放軍直属の兵器メーカー「保利科技有限公司」(ポリテク社)もあった。ポリテク社は中国軍事産業の中心的地位を占め、1996年には自動小銃AK47を2000丁、米国に大量密輸を図った事件で容疑対象になった、いわく付きの会社である。中国軍は台湾への軍事侵略を念頭にヤマハ発動機の無人ヘリを「敵地情報収集用」UAV(無人機)に転用、配備に躍起となっていた。02年5月には中国国営新華社がヤマハ発動機の無人ヘリを基礎に中国の国産無人ヘリを研究開発し「科学研究面、軍事上で重要な価値がある」と報じており、軍事転用されているのは確実である。この事件では中国人ブローカーが暗躍、その一人は中国共産党中央対外連絡部の関係者とされ、明らかにスパイである。いずれ中国はヤマハの技術をもとに「国産無人ヘリ」を製造し、世界中で販売してヤマハを駆逐するだろう。実に馬鹿なヤマハ経営陣である。

海自潜水艦の技術も中国スパイに奪われた

こうした日本国内の事例も氷山の一角にすぎない。警視庁公安部は07年2月、防衛庁(現防衛省)技術研究本部の元技官を在職中に潜水艦に関する資料を持ち出した窃盗容疑で書類送検した。資料は中国に渡っており、単なる窃盗事件ではなく中国によるスパイ事件だった。元技官は1971年に防衛庁に入庁し、技術研究本部で潜水艦を造る鉄鋼材料の強度向上の研究などを担当。02年、同本部第一研究所の主任研究官で定年退職。資料を持ち出したのは在職中の2000年のことで、「高張力鋼」と呼ばれる潜水艦の船体に使われる特殊鋼材や加工に関する技術報告書(B5版34ページ)をコピーし、無断で持ち出した。報告書は防衛庁が自衛隊法で定める防衛機密と指定していなかったので、警視庁は自衛隊法違反容疑ではなく、窃盗罪で書類送検したという。だが「高張力鋼」情報の漏洩は潜水艦の潜航深度や魚雷などによる破壊程度を教えるばかりか、それを「敵」の潜水艦建造に利用されれば、わが国への脅威が増す。まさに売国的スパイ活動である。
 元技官は中国大使館の武官らと付き合いの深い貿易会社元社長の要求に応じて報告書のコピーを渡していた。元技官は現職中の01年末に元社長に誘われて中国・北京に渡航しているばかりか、国内では在日中国武官らと再三、飲食をともにしていた。明らかに金につられてスパイに成り下がったのである。元社長は防衛関係者と広く接触し、04年までの10年間に約30回も中国に渡航している。中国の海軍力増強は実にスパイ活動によって日本の技術を盗み出して行っているのである。
 ちなみに、大手精密機器メーカー「ニコン」は06年にロシアのスパイ活動の被害にあった。元研究員が光通信に関する機密部品をロシアの在日通商代表部員に渡していたのである。部員はロシア軍参謀本部情報総局(GRU)に所属している。機密部品を軍事転用すればミサイル探知の画像送信システムに利用が可能とされている。 これらもほんの一部の例にすぎない。これでもスパイ防止法を制定しないというのか。

2011年1月8日

この記事は2011年1月7日に記述されました。

情報保全にはまずスパイ防止法を制定せよ

政府は1月5日、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(座長・県公一郎早大教授)の初会合を開き、今後月に1回程度、罰則の対象となる秘密の範囲や政府の情報管理体制について議論するという。これは尖閣諸島での中国漁船体当たり事件のビデオ映像流出を踏まえたもので、6月をめどに議論の結果を「情報保全に関する検討委員会」(委員長・仙谷由人官房長官)に報告するとしている。
 日本経済新聞によると(1月5日付夕刊)、会議の冒頭に仙谷由人官房長官は「情報漏洩に関する脅威は世界的にも高まっており、この問題から目を背けることは許されない」と指摘した。さらに「秘密保全に関する法制は、厳しすぎると知る権利や取材の自由との関係で大きな問題を生じ、緩すぎると情報漏洩による国家国民の利益が失われかねないデリケートな問題だ」とも述べた。仙谷長官のこの認識は基本的には間違っていない。公務員の秘密漏洩の罰則は最高刑がコソ泥犯なみの懲役1年にすぎないからである。だが、議論を公務員に対する単なる罰則強化や保全手段の強化といった行政的次元に矮小化してはならない。

中露朝のスパイが今も暗躍している

2007年6月に九間章生防衛相(当時)が航空自衛隊の次期戦闘機F22の性能情報の提供を米国に求めたところ、ゲーツ米国防長官から「情報保全は防衛省のみならず日本全体の課題だ」として情報提供を断られたことがある。この出来事で象徴されるようにわが国の機密保全のあり方は日本全体の問題として問われている。公務員による情報流出だけでなく、「スパイ天国」と揶揄されるほど外国スパイ工作に侵食されている実態を想起しておくべきである。
 例えば08年1月、内閣情報調査室の職員が10年間も在日ロシア大使館の2等書記官(軍参謀本部情報総局=GRU=所属)に政府の内部情報を提供していた事件が起こった。ロシアのスパイ活動はソ連時代と何ら変わっていない。中国も同様である。04年には上海領事館員が中国の女性スパイに「ハニー・トラップ」(性的関係によるスパイ活動)でスパイを強要されて自殺した。07年には防衛庁元技官が中国関係者に潜水艦情報を渡したほか、自動車部品メーカー「デンソー」の中国人技師が同社の最高機密を多数盗み出した。この技師は人民解放軍と関わる軍事スパイだった。北朝鮮がスパイ工作員を日本に多数潜入させ、拉致事件を引き起こしてきたのは周知のとおりである。今も変わらず、対日スパイ工作を行っているのである。
 自民党政権時代の06年に「情報機能強化検討会議」が設置され、08年に秘密保全に関する法整備や国家公務員法の守秘義務規定の罰則強化検討などを求めた。さらに09年に「情報保全の在り方に関する有識者会議」が設置されたが、民主党政権は情報保全策を棚上げにしてきた。こうした反省に立たず、情報保護を論じるのは付け焼刃もはなはだしい。

スパイ罪がないのは日本だけである

わが国の現行法のどこにもスパイ活動を取り締まる法律がないことを嘆息すべきである。これまでスパイ行為に付随する行為、例えば出入国管理法や電波法などで取り締まってきたが、これらは初犯なら執行猶予になる微罪で、結果、わが国はスパイ天国と化してきた。罪刑法定主義が基本原則である民主国家にあっては、あらかじめ犯罪の構成要件や刑罰を定めておかなければ、いかなる犯罪も取り締まることができない。したがってスパイ罪がなければスパイ活動は犯罪ではなく“合法”となってしまう。現に戦後日本は他国の情報機関に自由なスパイ活動をすすめるに等しい愚を重ねてきた。したがって機密情報を守ろうとする最も相応しい意思表示はスパイ防止法の制定にほかならない。
 そもそもスパイ行為そのもので逮捕できないのは世界で日本1国だけである。他国の場合、米国が連邦法典794条(最高刑=死刑)、イギリスが国家機密法1条(同=拘禁刑)、スウェーデンが刑法6条(同=終身拘禁)など刑法や国家機密法でスパイ罪を設けている。わが国の機密保持に関連する法律は、①日米相互防衛援助協定(MSA協定)に伴う機密保護法②日米安保条約の地位協定に伴う刑事特別法(第6条)③自衛隊法(第59条)④国家公務員法(第100条)⑤地方公務員法(第34条)などだが、①②は在日米軍に関するもの(最高刑は懲役10年)、③④⑤は公務員が職務上知りえた秘密を守る義務を定めたにすぎず微罪である(同懲役1年)。07年に米軍事機密の第3国への漏洩を防ぐ包括的な枠組み「日米軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)を締結し、電子情報なども含め米国と同様の秘密保全措置が義務付けられたが、協定は政府間のものであって、罰則規定がなく米軍情報の保護だけで日本の情報は無関係なのである。
 まずスパイ防止法を制定せよ。それなくして国家の情報保護などあり得ない。

2011年1月7日

この記事は2010年12月11日に記述されました。

まずスパイ防止法を制定せよ

情報保全検討委員会は主客転倒した議論に陥るな

「政府における情報保全に関する検討委員会」(委員長・仙谷官房長官)は9日、情報漏えいに対する罰則強化の法整備などの検討を始めた。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ流出を受けてのものだ。だが、情報漏えいで最大の問題は外国スパイを野放しにしていることだ。

 法治国家かつ民主国家であるわが国は、罪刑法定主義をとっており、何人も法律の定める手続きによらなければ、刑罰を科されることはない。それゆえスパイ防止法がないことによって「スパイ天国」に陥っている。海外の民主国は刑法や機密保護法などに「スパイ罪」を設け(例えばスウェーデン刑法6条)、スパイ活動を取り締まっているのである。そのうえで機密保護法などの法整備を行い、何が「防衛機密」や「外交機密」なのかを明示し、その保護措置をはっきりさせ、秘匿の必要がなくなった場合の解除規定を設けている。そのことによって行政側の恣意的な情報隠しの「裁量」も防ぐことができ、「情報公開」と「機密保護」の整合性が図れるのである。

 検討委員会では守秘義務の対象となる「機密情報」の範囲や機密指定の期間、情報に接触する関係者の制限やセキュリティークリアランス(身辺調査)の導入などを論点にするとしている。また国家公務員法は情報漏えいに対する罰則を「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」と規定しているが、自衛隊は「5年以下の懲役」と定めており、国家公務員のる自衛隊法などより軽く、「抑止力が十分でない」としている。こうした論議の前に、スパイ防止法の制定論議を進めねば、真の機密保護に至らない。主客転倒の論議であってはならない。

2010年12月11日

スパイ防止法とは

第一条(目的) この法律は、防衛秘密の保護に関する措置を定めるとともに、外国に通報する目的をもって防衛秘密を探知し、若しくは収集し、又は防衛秘密を外国に通報する行為等を処罰することにより、これらのスパイ行為等を防止し、よって我が国の安全に資することを目的とする。

キーポイント

世界いずれの国にもあるスパイ行為を取り締まる法律。我が国になかったことから、スパイ天国となってきた。防衛秘密の保護に関する措置を定め、スパイ行為を防止することによって日本の平和と安全を守るのが立法の趣旨だ。現行では国家公務員法、自衛隊法などの公務員の守秘義務だけ、あるいはスパイ行為に付随する行為(電波法や出入国管理法など)だけで取り締まっており、コソ泥並みの軽い刑罰にすぎない。スパイ行為そのものを摘発する法律となる。

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