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唯物弁証法その1

闘争を正当化する弁証法
[キーポイント]

今回から唯物弁証法です。弁証法という言葉は元来、対話や問答を意味するギリシャ語に由来します。ですから対話術または問答法を意味していますが、ヘーゲルはこれを世界全体を貫く一般法則として捉えました(ヘーゲル弁証法または観念的弁証法)。マルクスはこのヘーゲルの弁証法の思考パターンをほぼそのまま受け入れ、それを唯物論にひっくり返して自己の目的(革命)を遂行するための理論として作り上げたのが、唯物弁証法(弁証法的唯物論)です

その主張

アリストテレスによれば古代ギリシャ・エレア派のゼノンが弁証法の創始者といい、ヘーゲルによればヘラクレイトスが真の弁証法の創始者といいます。古代からあった弁証法ですが、マルクスは自らの弁証法についてこう述べています。
「私の弁証法的方法は、根本的にヘーゲルのものとは違っているだけではなく、それとは正反対なものである。…私にあっては、これとは反対に、観念論的なものは、物質的なものが人間の頭のなかで転換され翻訳されたものにほかならないのである。…弁証法はヘーゲルにあっては頭で立っている。神秘的な外皮のなかに合理的な核心を発見するためには、それをひっくり返さなければならないのである」(『資本論』第二版後記)
 つまり、逆立ちしたヘーゲルの弁証法を正しく立てたのが自分の弁証法であるというのです。ヘーゲル弁証法は観念的弁証法ですが、そこから「観念」を取ってしまい「唯物論」に結合させて「唯物弁証法」を作ったわけです。
 では、ヘーゲルの弁証法とはどんなものでしょうか。
 ヘーゲルの弁証法は、絶対者(絶対精神)が自己を実現していくプロセスをいうもので「概念の自己展開」「理念の自己展開」といわれ、そこで概念弁証法とか観念弁証法と呼ばれます。
 それによると、一つの概念または一つの事物は、それ自身のうちに自己と対立する契機をもっており、この対立・矛盾を止揚(アウフヘーベン──あるものを否定しながら、より高い段階でこれを保持すること)することによって、より高次なものへと発展していくという法則があります。その発展過程をヘーゲルは「即自─対自─即自対自」といい、それは普通「正─反─合」とか「定立─反定立─総合」の三段階過程として知られています。
 これをさらに詳しくみると、絶対精神は自己展開において、まず論理において、「有─本質─概念」の三段階過程を経るが、概念の段階で絶対精神が「主観性─客観性─理念」の三段階を経て絶対理念にまで高まり、その後に自己を外化(疎外)して自然となり、「力学─物理学─生物学」の三段階を経て、次に人間を通じて「主観的精神─客観的精神─絶対精神」と発展して、弁証法的展開の出発点であった本来の段階に帰還するというのです。

このヘーゲルの思考法を受け継ぎ、そしてマルクス自身がいうように唯物論にひっくり返したのが唯物弁証法です。これを体系的に整理し、さらに自然界においてそれを検証しようとしたのが、エンゲルスです。彼は『自然の弁証法』の中で「弁証法とは自然、人間社会および思考の一般的な運動・発展法則に関する科学」であるとして、弁証法を次の三つの法則としてまとめました。
【1】量から質への転化、またその逆の転化の法則
 質的な変化は量的な変化によってのみ起こるという法則であって、量的な変化がある一定の段階に達すると、飛躍的に質的変化が起こる、というもの。
【2】対立物の相互浸透の法則
 「対立物の統一と闘争の法則」もしくは「矛盾の法則」とも呼ばれる。事物の内部には互いに分かちえない関係(統一)にありながらも、互いに排除し合う(闘争)もの、すなわち対立物があり、その対立物の統一と闘争によって発展がなされる、というもの。精神的発展はこのような物質的発展が脳に反映して現れた二次的なものと考える。
【3】否定の否定の法則
 発展運動の前進的・上昇的であることを示す発展の法則で、事物の発展において古い段階が否定されることによって新しい段階に移り、それがふたたび否定されることによって第三の段階に移る。この第三の段階への移行は、高い次元における第一の段階に復帰することを意味し、このように発展は螺旋形の発展になる、というもの。
 唯物弁証法はスターリンの時代に入るとさらにまとめられ、要点は次の四つになりました。
【1】相互関連性と変化
【2】量的変化の質的変化への転化の法則
【3】矛盾の法則(対立物の統一と闘争の法則)
【4】否定の否定の法則

こうして見ると、ヘーゲル弁証法は思考の発展過程を扱いましたが、マルクス主義弁証法は物質(自然と歴史)の発展過程を扱うところに両弁証法の本質的な違いを見いだせます。もう一つ重要な相違点は、両者における「対立」「矛盾」の概念が異なっているということでしょう。
 つまり、ヘーゲル弁証法においては、二つの契機(要素)が同一の基盤(同一性)の上で互いに向かい合っている状態を「対立」といい、「対立」がより尖鋭化した状態を「矛盾」といっています。この「矛盾」は一つの要素が他の要素を排斥(否定)しながらも相互の関係を維持する状態なのであって、そこには一方が他方を打倒する、あるいは絶滅させる、というような意味はありません。
 ところが、マルクス主義弁証法では「対立」にも「矛盾」にも、一方が他方を打倒、絶滅させるというような闘争の意味が加えられています。
 マルクス主義は対立物は統一と闘争が矛盾の本質といいながら、実際は発展における統一は無視して闘争だけを強調しています。事実、レーニンは「対立物の統一(一致・同一性・均衡)は条件的、一時的、経過的、相対的である。たがいに排除しあう対立物の闘争は、発展、運動が絶対的であるように、絶対的である」(『哲学ノート』)とまで表現しています。
 マルクスがヘーゲルの弁証法を継承しながらも、そこに一方が他方を打倒、絶滅する意味での闘争の概念を包含させたのは、いうまでもなく、プロレタリアート革命を哲学的に裏付けるためでした。
 次回から唯物弁証法の中身を批判していきます。

登場人物
ゼノン(BC490頃~同430頃)

 古代ギリシャ・エレア派の哲学者。彼の弁証法は相手の主張の矛盾を暴露して、自己の主張(多様の否定、運動の否定)の正しさを論証しようとする弁論術。「飛ぶ矢は静止している」「アキレスはカメに追いつけない」などの難問を提起したことで知られる。ソフィストの詭弁も一種の弁論術、弁証法といえる。

ヘラクレイトス(BC540~?)

 古代ギリシャの哲学者。万物は常に転化しつつあることを見ることを強調し、これを「万物流転」といった。「永遠に生きている火」によって万物の根源を生成と説き、その万物の生成は対立物の闘争によるとして「戦いは万物の父」との言葉を残した。ヘーゲルは彼を真の弁証法の創始者と呼んでいる。

ヘーゲル(1770~1831)

 カント、フィヒテから継承されたドイツ観念論を完成させた哲学者。イエナ、ハイデルベルク、ベルリン各大学で哲学を講じる。彼の哲学を貫く最大の特徴は弁証法と理性主義で、弁証法によって絶対精神に向かって展開する世界を理性的に捉えた。ドイツ観念論の中に弁証法を完結させ、その影響は世界に及び、ヘーゲル学派を生んだ。『歴史哲学』『法の哲学』などを著す。

ヘーゲルから借用した弁証法

 「これら(唯物弁証法の)三法則はすべて、ヘーゲルによって彼の観念論的な流儀にしたがって単なる思考法則として展開されている。すなわち第一の法則は『論理学』の第一部、存在論のなかにあり、第二の法則は彼の『論理学』のとちわけ最も重要な第二部、本質論の全体を占めており、最後に第三の法則は全体系の構築のための根本法則としての役割を演じている。……われわれがもし事柄をひっくりかえしてみるならば、すべては簡単になり、観念論的哲学ではことのほか神秘的に見えるあの弁証法の諸法則はたちどころに簡単明瞭となるのである」(エンゲルス『自然の弁証法』)

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