新潮45「LGBT杉田論文」へのメディアリンチは正当か

「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」へ大バッシング 新潮45が休刊へ

 9月25日、新潮社の月刊誌『新潮45』が休刊することになった。原因は、同18日に発売された10月号特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」。もともと8月号掲載の杉田水脈衆院議員の「『LGBT』支援の度が過ぎる」が、「LGBTに生産性がないとは差別」という大バッシングが起こった世相に対し、論壇に冷静な議論を促した好企画とさえ言える。

 ところが、多くの人気作家を抱える新潮社出版物の不買運動や作家らの「撤退」の動きに、出版社が遂に白旗を上げた。新潮としては、ドル箱作家から出版拒否されるよりは「お荷物部署」の月刊誌を閉鎖し幕引きを図った格好だ。『新潮45』はピーク時が16年前で10万部を数えたが、最近では1万7千部と低迷していた。

 新潮社は「ここ数年部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになった」と謝罪。

 しかし、この「特別企画」は本当に問題だったのか。特に槍玉に挙げられたのは「安倍応援団長」とされる小川榮太郎氏の「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」で、「LGBTの人たちを性的趣味とし痴漢などの犯罪者と一緒にした」という批判の声が大きい。ところが、新潮の「謝罪」にもかかわらず、企画全体としての素晴らしさは、その「相補性」にある。

 

当事者 松浦大悟氏は「リベラル野党勢力の政治利用」を懸念

 冒頭に登場したのは、藤田信勝氏の杉田論文批判への概論的な内容で、これさえ読めば、何が原因で何が問題なのかがよく分かり、さらにマルクス主義と生産性発言の問題に斬り込んだ秀逸な論稿だ。加えて性的志向のカテゴライズが拡張される問題も提起される。

 それを受け小川論文は「変態」視される「SMAG」もLGBTと同じ生きづらさを抱えるとした。敢えて言えば「性倒錯」という概念を使わずにややエキセントリックな文章を並べたことか。

 

 だがそれも次の「LGBT当事者」である松浦大悟・元参院議員の論文が明らかにする。つまり、米国で「小年愛者」団体(NAMBL)がLG団体・国際レズビアン・ゲイ協会と一緒に活動していたが、国連に加盟登録するために切り捨てられた例を紹介する。「性倒錯」かそうでないかの「線引き」をした欺瞞そのものだ。

 しかも松浦氏(ツイッターでは「大悟」)が問題視するのは、リベラル野党勢力が政治利用していることで、LGBT差別解消法案では「LGBTの障壁」と断定された言動はおろか習慣や個人の観念までも処罰対象になり表現の自由が奪われると懸念し、「野党案には国家主導のポリティカル・コレクトネス社会を作りたいという下心が透けて見える」という。もちろん、松浦氏は杉田氏にも「誤解」があるが、「LGBTツーリズム」で復興予算が使われているのはやはりおかしい、杉田氏の姿勢は間違っていないとしている。

 

LGBT運動への公正で透明、率直な議論を

 次は、ゲイ当事者でブロガーのかずと氏は尾辻かな子氏を、行政から受託される「弱者」ビジネスモデルを展開する「単なる同性愛者の恥さらし」と指弾している書簡形式の論稿だ。

 これに続くのが八幡和郎・徳島文理大教授による杉田議員を脅威とした「偽リベラル」勢力の反発が問題とする論文だ。文章も読まずよってたかって杉田攻撃する「メディア・リンチ」の本質に迫っている。

 人気ユーチューバーのKAZUYA氏、評論家の潮匡人氏らも寄稿している。今回の騒動の最も由々しき問題は、冷静な議論そのものを受け付けない「LGBT運動」がもはやアンタッチャブルな「聖域」にされつつあることだ。それは公正で透明、率直な議論が封殺されることを意味する。その「不寛容さ」こそが実は「政治的公平性」の「公平」でも「寛容」でもないゆえんである。

 

 そのなれの果てがどうなるか。なぜ「子を生む生産性を論じた上野千鶴子に抗議しないのか」という藤岡氏は、「偽リベラル」勢力の主張の行き着く先は婚姻制度の廃止だと主張する。同性婚を認めれば一夫多妻や一妻多夫、兄弟婚や親子婚なども「排除」できなくなる。レズビアン哲学者バトラーも社会習俗の象徴「近親相姦タブー」を破ることが「同性婚」の市民権を得るアナロジーと捉えているのだ。

 

思想新聞「文化共産主義に警戒を」11月1日号より掲載のニュースは本紙にて)

11月1日号 危険な文政権の「制裁緩和」行動、鉄道・道路連結は「制裁違反」/ 愛知県で安保研修会に420人参加 / 主張「臨時国会、改憲の一歩を刻め」 etc

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