トランプの闘い ー「左傾化」に警鐘 建国の価値を訴え

 

世界思想3月号を刊行しました。今号の特集は「トランプの闘い」
ここでは特集記事の一部「左傾化」に警鐘 建国の価値を訴え についてご紹介します。

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 トランプ政権を支える岩盤支持層の中核は、言うまでもなくキリスト教福音派だ。

 2度の離婚歴があり、女性スキャンダルにも事欠かないトランプ大統領は、決して模範的なキリスト教徒ではない。では、なぜ、聖書の教えに最も忠実な福音派の人々が、トランプ氏を熱狂的に支持するのだろうか?2016年の大統領予備選では、キリスト教系メディアに次のようなコメントが投稿されていた。
 

 「トランプが困った奴でも構わない。彼が我々の安全を保ってくれればそれでいい」「私は最高の牧師ではなく、最高司令官を探している」

 福音派の人々は、しばしばトランプ氏をペルシャのキュロス王になぞらえた。キュロス王は、神の「選民」であるユダヤ人を圧制から解放した英雄だ。王は異教徒だったが、神の民を守ってくれた。同様に、トランプは敬虔な信仰者ではないかもしれないが、オバマ政権下で苦しむキリスト教徒を救う英雄とみなされたのである。

 したがって、トランプ氏の評価は、その人格ではなく、成し遂げた業績によって決定する。その点で、彼は見事に福音派の期待に応えているのだ。

 

最大の実績は最高裁の奪還

 
 

 米国社会では、価値観をめぐる左右対立が激しさを増している。

 日本メディアは、トランプ氏を分断の元凶であるかのように報じるが、左派の政策を急進的に推し進めたオバマ政権下で、すでに対立は先鋭化していた

 

 オバマ政権末期の世論調査では、福音派の8割が「米国内で不寛容にさらされている」と危機感をあらわにしていた。

 トランプ氏の過激に見える言動は、左に振れすぎた米国社会を正常な軌道に戻す働きを持っているのだ。
 

 オバマ時代に福音派が最も衝撃を受けたのが2015年の同性婚合法化だ。それまで、同性婚容認に向けた社会的潮流に対して、保守的な州は「結婚を男女に限る」法律を制定して抵抗していた。しかし、連邦最高裁がそれらの州法を違憲と判断。全米で同性婚が合法化されてしまったのである。
 

 当時、連邦最高裁の構成は、保守とリベラルが4人ずつ、残る1人が中道だった。この1人が同性婚支持にまわったことで、保守系の州の民意が否定されてしまったのだ。福音派など保守派の危機感は頂点に達した。
 

 さらに、「信教の自由」も深刻な危機にさらされていた。キリスト教の信条を持つ花屋、カメラマン、ケーキ職人などが、同性婚へのサービスを断ったことを「差別」と糾弾され、裁判で有罪となるケースが相次いだのだ。
 

 信教の自由を国是としてきた米国で、キリスト教信仰に基づく実践が、差別・人権侵害とみなされ、司法の場で断罪される状況が生まれたのである。
 

 

 大統領選挙を控えた16年1月、最高裁保守系判事の1人、アントニン・スカリア氏が死去した。もしも民主党政権が継続してリベラル系判事が任命されれば、最高裁は更に左傾化してしまう。その意味で前回大統領選挙は、保守派の生存権をかけた戦いだった。
 

 中道系判事の引退もあり、トランプ政権では2人の保守系判事が任命され、保守派優位が確立した。これがトランプ政権、第一の実績である。

 

本来の米国を取り戻すトランプ

 
 中絶問題についてもトランプ政権は、保守派と足並みをそろえ、中絶反対の「プロ・ライフ(生命尊重)」の立場をとり、中絶を個人の選択として、ほぼ無制限に容認する「プロ・チョイス」に傾いた政策の修正を図っている。
 

 1月23日には、中絶反対派の大規模集会「マーチ・フォー・ライフ」に歴代大統領として初めて出席した。

中絶反対派の大規模集会「マーチ・フォー・ライフ」でトランプ大統領は「全ての子どもと胎児の権利を守り、彼らに神から与えられた可能性を実現するためここにいる」とスピーチした。

   

 トランプ氏は「自分は強姦、近親相姦、母体の生命保護という例外を除いて強固なプロ・ライフだ」と明言しているが、この立場は決して偏ったものではない。最新のギャラップ調査では、明確な中絶反対派(49%)を含め、約7割の米国人が中絶に何らかの制限が必要だと考えている。
 

 オバマ政権下では、米国版「自虐史観」も幅を利かせた。「建国の父」は差別主義者として糾弾され、米国史そのものが呪うべきものとして批判された。その挙句、首都ワシントンDCの改称を主張する者すら現れている。
 

 

 完璧な歴史はあり得ず、米国にも恥ずべき過去がある。しかし、建国精神を軽んじ、先人たちへの敬意まで否定するのは明らかに行き過ぎだ。
 

 大学界の左傾化も深刻だ。ポリティカル・コレクトネス(政治的公正)の名の下で、保守派の講演会中止など、言論弾圧に近い状況が生まれている。
 

 その結果、愛国心が薄れ、社会主義・共産主義を容認する若者が増加ギャラップ調査では18~39歳の51%が社会主義に好意を示し、資本主義の49%を上回った。19年3月、トランプ大統領は、言論の自由を守らない大学に対して連邦政府からの補助金を停止する大統領令に名。更なる左傾化を食い止める布石を打った。
 

 「米国を再び偉大にする」と主張するトランプ氏は決して過激な右派大統領ではない。

 建国精神に基づき、信教・言論の自由や生命と家庭倫理を尊重する、本来の米国の姿を取り戻そうとしているだけなのだ。

 

(平和大使協議会「世界思想」3月号から)

 

 

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