「反共」と「勝共」
共産主義に対して長く「反共」が叫ばれてきましたが、国際勝共連合の創設者・文鮮明総裁の提唱した「勝共」は、単に共産主義に反対するだけでなく、理論と実践において共産主義者に勝つとともに、代案を提示し、共産主義者をも救い出そうというものです。その意味で勝共の道はいまだ道半ばと言えますし、世の中に共産主義者が一人でも残る限り、勝共の使命が達成されたとは言えません。
「勝共運動の3段階論」
1989年11月に「ベルリンの壁」が崩壊した際、今後の共産主義に対応するため、李相憲・韓国国際勝共連合理事長(当時)が文総裁の指導の下に「勝共運動の3段階論」をまとめました。これは、勝共運動の目標を達成するための3段階のプロセスを示したものです。
第1段階「防衛」
自由世界を守るため、確固たる安保を推進
勝共運動の第1段階は「防衛」、すなわち安全保障です。
これは何事においても悪と対峙する時の原則です。
例えば、重武装した強盗が銀行に立てこもり、周辺の人々に危害を加えようとしたら、まず必要なのは人々を守ることです。
共産主義が攻勢期にあれば、私たちはその脅威から自由世界とその国々を守らなければなりません。この段階では安全保障が最大の課題です。
世界的には1991年12月のソ連共産党解体、ソ連邦崩壊までの期間が第1段階の「防衛」に該当すると考えられます。その意味で、この期間は「反共的」であると言えます。
ただし、留意すべきは、東アジアにおいては現在もなお、冷戦構造が終焉したとは言えません。とりわけ共産中国は、経済発展を背景に軍事力増強を図り、帝国主義的傾向に拍車を掛け、北朝鮮は核ミサイル開発を止めず、韓半島の赤化統一と対日工作を強めています。よって現在も「防衛」が最重要課題なのです。
第2段階「解放」
対話と圧力で関わり、「自由の風」を送る
第2段階は「解放」すなわち共産主義からの救出です。ここからが真の勝共運動と言っても良いでしょう。共産主義が攻勢期から後退すれば、安心して手をこまねいているのではなく、自ら積極的に働きかけ、その縄目を解き放つ。それが「解放」の意味です。
これも悪勢力に対する基本的原則と言えます。先の例えでは、重武装した強盗から人々を守り、また強盗が危害を加える力を衰えさせるだけで良しとせず、強盗に自首を迫るなど積極的に関わり、事件解決へと導くのは定石です。
対峙するばかりでは「解放」はできません。民間交流や経済援助など積極的に関わり、それを通じ「自由の風」を送り込み、価値観を転換させなければなりません。
ただし、ここでも留意すべきは、この段階は不安定であり、可逆的であるということです。経済援助をよいことに共産主義が息を吹き返し、再び攻勢期(第1段階)に戻りかねません。それを防ぐには、関わりつつ「防衛」を疎かにはしないこと。対北政策の「対話と圧力」はその一つです。
「防衛」を推し進めてこそ「解放」が可能であり、この第2段階を可逆的なものから不可逆的なものへと押し進めなければならないのです。
第3段階「統一」
価値観を共有すれば、共同体の道が拓ける
「解放」を進めて価値観を共有することができれば、一つの世界、すなわち「統一」あるいは共同体の創建が可能になります。これは韓国においては南北統一、中国においては中国共産党政権の解体を意味し、それを通じて真のアジア共同体の道が拓けることになります。国際新秩序とはそれをさらに拡大し、人類一家族世界を創建すること。これが第3段階の「統一」の意味するところです。
もとより、ここに至るにはまだまだ長い道のりがあるでしょう。
以上の「勝共運動の3段階」によって理想社会を目指すのが、文鮮明総裁が提唱された勝共運動にほかならないのです。