共産主義勢力の策動に警鐘鳴らす愛国運動を(2024年1月年頭挨拶)

 あけましておめでとうございます。令和6年、新しい年を迎え、皆様方におかれましても益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

 さて、ロシアが「特別軍事作戦」と称したウクライナ侵攻から間もなくまる2年が経過するウクライナ戦争に加え、昨年10月にはイスラム組織ハマスの奇襲攻撃に端を発した「イスラエル・ガザ戦争」が勃発、事と次第では大規模な中東戦争につながる可能性も指摘され、国際社会が大きく揺れる事になりました。

 緊迫する中東情勢に対し、10月25日の国連安保理では、米国が「戦闘の一時的な停止」を求める決議案を提出しましたが、中露の拒否権により否決。その一方で、ロシアは一時的停止では不十分とし「即時停戦」を求める決議案を提出、こちらは米英の拒否権などによって否決されました。

 このように国連安保理では中露と米英の対立により決議案の採択に至らなかったのとは対照的に、10月27日の「人道的な休戦」を求める国連総会決議では、投票国の3分の2にあたる121カ国の圧倒的多数の賛成により採択されました。

 ここでは、中露仏などは賛成、米英はハマスへの非難が含まれていないとして反対、日本を含むその他のG7(主要7カ国)諸国は棄権するなど、その立場を違えており、分断された国際社会においてG7がそのリーダーシップを発揮できていない現実が突き付けられた印象を受け、まさに混迷する世界秩序の中で、現在の状況は「指導者なき世界」、あるいは「羅針盤なき世界」の様相を呈しています。

 かつて米ソ冷戦においては、米国陣営にもソビエトの陣営にも入らない、第3の勢力を指して「第3世界」と言いました。こうした、かつての第3世界に含まれる多くの国々を指して、今日では「グローバルサウス」と呼んでいます。

 ただ、かつての第3世界の国々よりも、今日のグローバルサウスの国々の存在感・発言権は、非常に大きくなっています。もはやG7(主要7カ国)首脳による決定だけで世界の秩序を牽引することは難しくなり、グローバルサウス諸国の意見を無視できない状況があるのです。現在、G20においては、西欧の伝統的な先進諸国とともに、グローバルサウスの新興国家群も含まれており、奇しくも昨年のG20サミットでは世界一の人口大国となったインドのモディ首相が議長を務め、「グローバルサウスの盟主」の存在感を示しました。


 こうしたインドの台頭を、いち早く読み取り、手を打ったのが、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を提唱した安倍晋三元首相でした。

 安倍氏はモディ首相と何度も会談を重ね信頼関係を築いた上で、「自由で開かれたインド太平洋」構想の中核となる「クァッド」(日米豪印4カ国枠組み)として結実させました。この構想が中国の覇権主義を牽制し日本のシーレーン航行の安全を確保する経済安全保障にも繋がります。

 その安倍氏が凶弾に倒れる前の首相在任中、2017年総選挙に名付けたのが「国難突破選挙」。この時言われた国難は「内憂外患」、つまり内なる国難と外から来る国難が共に来ている状況です。このうち「内なる国難」とは少子高齢化と日本の人口減少によって国や社会の形が大きく変わり、当たり前のように享受してきた豊かさが、もはや当たり前でなくなるという状況の変化です。もう一方の「外からの国難」とは、安全保障環境の大きな変化に、果たして国民の意識と法制度が間に合っているのかとの問題意識で、幾分引き上がってはいるが十分と言えない状況です。この点、17年当時の「2つの国難」が、今なお未解決のまま眼前にあると言えましょう。

 今年は、1月に台湾総統選挙、3月にロシア大統領選挙、5月に韓国国会議員選挙、9月に自民党総裁選挙、11月に米国大統領選挙と主要国の「顔」が決まる重要な選挙が目白押しとなる「選挙イヤー」です。

 その中でも、国際情勢の未来を占う上で、最も世界の耳目を集めるのは米国大統領選挙の行方でしょう。最近の世論調査で、2020年大統領選挙に「不正があったか」という質問に、「あったやもしれない」と答えた米国民は、全国民の60%に達するなど、米国の民主主義や司法制度は大丈夫か、と世界中がこれを不安げに見ている状況です。

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 さてその4年前の夏、トランプ政権を支えるマイク・ポンペオ国務長官が、ニクソン記念図書館で「共産主義の中国と自由主義の未来」と題した講演で「中国の脅威と相対峙して克服していかなければ大変なことになる」「今、私たちが変わらなければ、やがて中国共産党が、私たちの未来を変えてしまうだろう」と語りました。米国民の意識が、中国共産党や国際情勢や世の不穏な空気によって米国の善き伝統・文化が失われつつあるとの危機意識です。

 その一端として、指摘すべきは、「ユーロ・コミュニズム」の流れを受け形成された「フランクフルト学派」の人々が米国に亡命しコロンビア大学を拠点として拡散した文化マルクス主義、文化共産主義です。これらが米国にはびこり、大きく社会を二分させる原因となりました。この米国の内情を仔細に叙述したのが、P・ブキャナンの『病むアメリカ、滅びゆく西洋』で、暴力革命とは異なる内側から文化そして国家を破壊する共産主義の脅威について警告しました。その流れが今日、BLM(ブラック・ライブズ・マター)など「キャンセル・カルチャー」の運動を後押ししているのです。

 翻って現在の日本でも、これは決して「対岸の火事」ではなく、こうした「内なる戦い」が熾烈に繰り広げられているのです。特に昨年、統一地方選で大きく議席を減らした日本共産党では、公に党綱領では「敵の出方論」を封印しているように見えますが、暴力革命を完全否定しているわけではありません。その代わりに文化・伝統を古い改めるべき陋習のように敵視し、これを破壊する文化マルクス主義的施策の実現にひたすら邁進し「司令塔」的役割を果たしているのです。

 しかるに私たちは、日本の国の伝統と文化を守り、さらに世界の平和と安定の秩序を守っていくために、この共産主義勢力と相対峙し克服していかねばなりません。

 今こそ、日本社会の背後で暗躍しながら文化と体制を壊そうとする共産主義者の策謀を正しく見極め、その脅威をしっかり伝えることで国民を覚醒させ、日本を誇りある道義大国とする救国愛国運動を力強く展開してまいりましょう。

2024年1月吉日

国際勝共連合会長 梶栗正義