「国のかたち」を定める憲法改正を実現せよ

世界思想11月号を刊行しました。今号の特集は「新政権への提言~安倍政権のレガシーの継承と発展を~です。
ここでは特集記事の一部 「国のかたちを定める憲法改正を実現せよ」 についてご紹介します。

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 安倍政権が残した功績、そして最大の課題は「国のかたち」を定めることである。

 新政権には引き続き、「国のかたち」を実現するよう提言する。

 

憲法の意義は「国のかたち」を示すこと

 
「国のかたち」とは抽象的な表現であるため、観念的でわかりづらい。具体的には憲法改正、北方領土問題、北朝鮮による日本人拉致問題として現れる。これらの問題の本質にあるものとして説明したい。

 憲法改正は安倍氏の悲願であった。そもそも自民党は憲法改正を党是とする政党だが、とりわけ安倍氏は憲法改正を前面に掲げて政治活動を行ってきた。何としても自らの政権下で憲法改正を実現したいと安倍氏自身が願い、多くの国民もそう考えていただろう。

 しかし、戦後初めて「改憲派」が衆参両院で3分の2を超えたにも関わらず、改憲議論は一向に進まなかった。

 マスコミ、野党の左派勢力が強硬に反発し、議論にすら応じなかったからである。中には立憲民主党の枝野幸男代表のように、自らは改憲論者であるにも関わらず、「安倍政権下での憲法改正には反対」などと公然と子供じみた発言をする者もいた。

 

 その動機は、単に安倍政権による戦後初の快挙を阻止したいという極めて単純なものであり、突き詰めれば自身の国会議員の立場を維持するためだ。保身のために国民の国民投票権を奪ったのは、まさに「権力の私物化」に他ならない。

 

 通常の法案と違い、改憲の議論に内閣は関与できない。安倍氏はこうした現状を、忸怩(じくじ)たる思いで眺めていただろう。退陣表明の会見では、「憲法改正、志半ばで職を去ることは断腸の思い」と無念さをにじませた。

 

 安倍氏が憲法改正を掲げた最大の理由は、「国のかたち」を求めたからである。

 

 一方で左派勢力は憲法の意義を、権力の抑制にあると断言する(立憲主義的憲法)。それゆれに権力者である安倍総理(当時)自身が、憲法改正を論じるのは許されないと主張したのだ。

 しかし憲法は宗教の聖典ではない。必要があれば改正するのは当然だ。総理が主張しても、何ら問題ないはずである。

 

 憲法の意義として、立憲主義を掲げること自体は間違いではない。しかしそれは一面的な意義に過ぎない。

 

 そもそも憲法の語源たるconstitution という単語は、「国のかたち」という意味である。

 

 長い伝統を持つ国、あるいは自由のために独立した国、それぞれの国が持つかたち、目指すかたちを示したものが憲法なのだ。

 

 独裁者が登場し、「国のかたち」を恣意的に変えることは許されない。その意味で、憲法は立憲主義的側面を持つ。しかし立憲主義も、「国のかたち」があってこそ本来の意味をなす。「国のかたち」を無視し、立憲主義だけを語るのは本末転倒である。

 周知のように日本国憲法は、連合国軍総司令部(GHQ)の支配下にあって制定された。

 GHQは戦略的に間接統治を採用したため、形式的には日本の国会が大日本帝国憲法を改正したかたちとなった。

 

GHQと共産主義勢力の怨念から生まれた現憲法

 

 しかし憲法の原案は、GHQ職員らが作成したものだ。GHQの目的は日本の軍国主義化の阻止にあり、職員らには共産主義者が多数侵入していた。

 そのような憲法に、日本の「国のかたち」が描かれるはずがない。

 

 だから日本国憲法には日本の歴史が書かれていない。

 国を構成する要素は主権、領土、国民だが、憲法には領土を守るための自衛権すら書かれていない。

 

 さらに国民を守るための手段もない。

 

 たとえ国民が北朝鮮に拉致されても、憲法は救助する力を持たないのだ。

 そして、社会の基本単位としての家庭の価値が書かれていない。書かれてあるのは、戦争の過ちと反省の言葉ばかりである。

 

 日本はまず、「普通の国」になるべきだ。

 

 人間に例えれば、他人が作ったルールを押し付けられ、身体を拘束されても解放できず、所有地を奪われても取り戻せず、絶えず批判と反省を強いられる。そんな人間が「普通の人」であるはずがない。

 日本人自身の手で「国のかたち」を定めることが必要だ。最大の弊害は、GHQと共産主義勢力が残した政権敵視政策である。

 GHQの政策は、太平洋戦争で犠牲を支払った米国の怨念から生まれ、共産主義思想は、宗教と資本主義体制に対するマルクスの怨念から生まれた。それらは政権を敵視し、伝統・文化・宗教を敵視するという点で共通する。この価値観が、日本の左派・リベラル勢力に深く根付き、「普通の国」になろうとする動きを徹底して批判するのである。

 

 日本をそれらの怨念から解放しなければならない。自らの国への愛情と誇りを取り戻すとともに、国力に相応する、国際平和により積極的に貢献する国となるべきだ。

 

 少なくとも、憲法論議を深めることは、日本人が願う「国のかたち」がいかなるものであるかを深め、共有するまたとない機会となるだろう。安倍氏が政権を去った今、枝野氏をはじめとする野党勢力に議論を拒む大義名分はない。

 

 安倍政権を承継する菅新政権には、憲法改正に全力で取り組んでもらいたい。

 

(「世界思想」11月号より )

◆2020年11月号の世界思想 特集【新政権への提言~安倍政権のレガシーの継承と発展を~】
提言1 安倍政権で高まった日本の存在感 「菅外交」の行方に世界が注目
提言2 緊迫度を増す周辺情勢 安全保障政策のさらなる充実を
提言3 結婚・家庭の強化こそ最大の少子化対策
提言4 「国のかたち」を定める憲法改正を実現せよ

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