中国人民よ、「不要共産、要民主」目指せ

 ちょうど4年前の2021年12月、とある経済雑誌は翌年の日本を取り巻く内外10大リスクのトップに「『終身独裁』習近平が台湾侵攻」を掲げたことがある。翌22年は無事に過ぎたが、これこそ来たる2026年の世界的な「リスク」になる可能性が大であると我々は考える。その意味で高市早苗首相の「存立危機事態」発言はリスクをリアルに浮き彫りにした。曖昧戦略ではもはや平和は守れない。高市首相発言は時宜を得ていたと言えよう。

 中国の習近平国家主席は20年に香港を「共産化」した後、「終身独裁」を目論み、台湾の武力統一(赤化統一)を自らの「歴史的偉業」にしようと企てている。中国人民の自由を奪い、チベット、ウイグル、内モンゴルなどでジェノサイド(民族抹殺)を繰り広げ、邪悪な世界覇権を「中国の夢」とうそぶいているのである。そのような中国共産党に決して未来はない。中国人民は「真の夢」に目覚める時だ。

民権なき中共に正統性あり得ず

 「中国革命の父」であり、中華人民共和国憲法に「孫中山先生」と明記されている孫文は、習近平の「中国の夢」を一刀両断するだろう。中国とは縁もゆかりもない「悪夢」であるからだ。

 辛亥革命を指導した孫文の夢は列強諸国から「独立」を果たし、バラバラになった中国を「統一」し、人々を豊かにする「富強」を実現する。それを担うのは共和制の中国、「民権」の中国としたのである。

 これが近代中国の標柱であった。すなわち「独立」「統一」「富強」「民権」の4つの目標である。共産党もこれを意識し、毛沢東が「独立」の偉業を果たし(実際は蒋介石だ)、鄧小平が「富強」の道筋をつけたとし(現実は共産党員だけの富強だ=それも今、揺らいでいる)、習近平は台湾の「統一」に執着している(孫文が求めたのは民族共和による統一だ)。

 こんな風に孫文の目標を自らの正当化に捻じ曲げ、おまけに肝心の「民権」については口にすら出さない卑劣極まりないのが中国共産党なのだ。

 中華人民共和国と名乗るが、そもそも共和国とは民主主義に基づき主権が国民に所有されている国を指す。それは国民によって直接あるいは間接の選挙によって選ばれた代表が統治する制度である。選挙で統治者を選んでいないで共和国とは噴飯モノだ。人民共和国を名乗る資格は全く無いのである。

 孫文は1924年、神戸の第一高等女学校での「大アジア主義」を掲げた名高い講演で、西洋の物質文明は武力となってアジアを圧迫する「覇道」の文明と化し、これに対して東洋には仁義・道義を基礎とする「王道」の文化があると説いたが、まさに習近平の中国は「覇道」を体現し、周辺諸国を圧迫している。

 中国人民は今こそ、「王道」を取り戻さねばならない。自分の生活にのみに関心を抱く利己的な考えを捨て、「散砂の民」(孫文の言=砂のようにバラバラな民という意味)を超克し、真の中国を取り戻すために決起しなければ、いつまで経っても邪悪な独裁政権の下で呻吟するであろう。

 中国には「悪魔の共産党」に果敢に立ち向かう人々が地下水脈のごとく隠れて存在していることを世界の良識ある人々は知っている。そしてその存在を決して忘れない。

 その水脈が地上に現れた一つの例が2008年に発表された「08年憲章」である。起草したのは反体制作家でノーベル平和賞を受賞し、獄中で非業の死を遂げた劉暁波氏とされる。これに学者や弁護士、民主・人権活動家のみならず、炭鉱労働者、企業経営者、軍人、退役兵士、大学生、失業者など1200人が名を連ねた。憲章は序文で、次のように言う。

 「今の中国は共産党の天下だ。党は文化大革命、天安門事件や人権擁護運動の弾圧などで数千万人の命を奪った。政治改革を拒み、官僚腐敗や法治の不備、社会の二極分化、いびつな経済発展、自然破壊を招いた。公民の自由は保障されていない。現体制は時代遅れで、もはや改革は避けられない」。その上で憲章は「自由、人権、平等、共和、民主、憲政」を基本理念とする改革の指標を示したのである。

 これこそが100年以上に渡って中国人民が求めてきた「中国の夢」であると憲章はうたう。習近平のいかさまの「夢」とは大違いなのである。

「不要領袖」の人民の叫び聞け

高架橋に掲げられた横断幕

 

 また2022年10月には別の水脈が現れ出た。すなわち北京市の「大学区」と呼ばれる地域の高架橋に次のような巨大な横断幕が掲げられたのである。

 「不要封鎖、要自由」(封鎖は要らない、自由は欲しい)、「不要文革、要改革」(文化大革命は要らない、改革は欲しい)、「不要領袖、要投票」(独裁者は要らない、投票が欲しい)。横断幕には「独裁の国賊、習近平を罷免せよ」とあり、「不要共産、要民主」の叫びを体現していた。

 こうした自由を求める真の中国人民の地下水脈は涸れることなく「時」を待っている。自由と民主主義の戦いは他ならない中国本土から始まるのである。我々は中国人民と勝共連帯の輪を広げる決意である。

【思想新聞 12月15日号】スパイ防止法制定目指しシンポジウム/パネルディスカッション・基調講演/三浦小太郎氏インタビュー/共産主義定点観測

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