世界思想3月号を刊行しました。今号の特集は「習近平の中国」です。
【インタビュー】「同化」で日本消滅の恐るべき中国戦略
在日中国人200万人や中国人配偶者が増えスパイだらけの日本で、チベット・ウイグルの悪夢が再現されてしまうのかー
元中国共産党員で、月刊中国主幹・元近畿福祉大学講師の鳴霞(めい・か)氏に聞く
「月刊中国」主幹・元近畿福祉大学講師
鳴 霞 氏
本インタビューには
▽年間20万人! 中国で親が目を離した隙に子供が連れ去られるのは日常茶飯事。
▼尖閣諸島は1969年発行の中国地図には日本領と明記されていた。
▽日本在住の新華社記者の3分の2以上は人民解放軍でスパイ訓練を受けている。
▼人間不信の習近平は第2の毛沢東。これから人権弾圧がもっと激しくなる。
などなど、中国共産党の暴露話が満載です。
蒋介石が驚いた日本の満州開発
-- 戦前戦中の旧日本軍や日本人について、中国共産党の「教育」と身近な家族の証言とでは、だいぶ食い違っていたとうかがっているが。
私は旧満州出身で、学校で「日本人が中国に侵略し、中国人を殺した」と教えられたが家に帰ると、祖母は「侵略ではない」と言う。ロシアが清国に侵略して領土を奪い、腐敗した清はロシアに負け続け、日本に頼むと日本軍が満州に入ってきて、一緒にロシアと戦った。その時に日本軍は15万人戦死したので、清国は感謝し満鉄と領土の管理を日本軍に任せたのであって侵略ではない、と。
旧満州国は18カ国と国交を結んでいた。日本は日本の国費で満州を開発し、都市ガスや水道などのインフラも整備した。奉天駅は東京駅に次ぐ規模で満州は発展した。蒋介石の国民党軍が満州に入って来た時に驚いた。鉄道には超特急「アジア号」が走っていた。日本の内地でも走っていなかったが、満州で1997年まで走っていた。今は歴史博物館に保管されている。このように満州は1930年代に飛躍的に発展した。私が通った学校では「南京大虐殺」も教えられたが、祖父は商売で上海にも行っていたし、南京には友達もいたが、「大虐殺」の話など聞いたことがないという。「30万人」については私も調査し、過去の中国の出版物や教科書などには書かれていなかった。10年前、台湾国軍の博物館でも調べた。日本軍が戦ったのは中国共産党の八路軍ではなく蒋介石の国民党軍で、蒋介石が「30万人」を言い出した(後に改築で削除)。
社会党の援助で「南京虐殺記念館」
1982年頃から中国政府がこれを利用し始めた。共産党幹部も本棚に『毛語録』しかない貧しい80年代、日本の専門家によると日本社会党が「日中友好のため」と資金援助。少なくとも3千万円が提供され南京市に「南京大虐殺記念館」ができた。日本から資金援助を受けるため中国が歴史カードを使った。
最近、中国政府が南京大虐殺を前ほど言わなくなったのは歴史的な証拠がないため。学者らもそれが分かってきた。原爆投下された広島・長崎のような史跡や史料は南京にはないのだ。
尖閣諸島(中国名・釣魚島)の資料も同じで、日本領と表記した1969年発行の中国地図のあることが明らかになった。最近、その接続水域を中国の潜水艦が浮上したまま通過したのを日本政府は抗議しただけ。中国は21世紀は海と海洋資源の世紀だとし、軍事力で領海を拡大しようとしている。南シナ海では南沙諸島に軍事基地を建設している。航空母艦や潜水艦を遊弋(ゆうよく)させ、去年だけで軍艦20数隻を建造した。今年も同じ勢いで海軍を増強している。アジアの海洋資源を手に入れるためだ。
中国大陸は日本の26倍の面積があるが、天然資源には恵まれていない。水資源も乏しく、公害で地下1㎞キロまで汚染されている。その影響は1分に2人の障害児が生まれているほどだ。今、中国で障害者は1億人いるという。10年前『週刊新潮』で話した時より、今はもっと酷ひどい。中国産の漬物など食料品は着色剤も有害なものが使われる。特に中国産の蜂蜜は劣悪で鉛分が多く、脳血管が詰まる恐れがある。日本の蜂蜜も、中国産を国産に混ぜたものがある。
中国の沿海も工業廃水や農業排水で汚染され、魚も取れなくなっている。長江は中国で一番長い「泥水道」になっている。こんな劣悪な環境だから障害児が多く生まれてしまうのだ。
日本に3万人いる中国スパイ
-- 中国の日本に対するスパイ工作の実態についてお聴きしたい。
私は1982年に来日したが、72年に日中国交正常化し、74年から日本に来る中国人が増え始め、現在では国内に少なくとも3万人の中国人スパイがいるようだ。
オーストラリアに亡命した外交官の証言によると、豪州では約3千人の中国人スパイがいるのだが、日本ではその10倍はいるという。
日中友好とか日中合弁で会社を作ったり、鉄道開発事務所に入ったり、大学の中国語講師、日本人と結婚した配偶者など各方面に分散する。中でも学生は多くが「スパイ予備軍」だ。
例えば2008年に北京五輪の5大陸聖火リレーの際、長野市のリレーでチベット人抗議を阻止するとし、中国人留学生リーダーの電話1本で各大学から3万人が集まり大騒ぎになった。
現在、日本には8万人の中国人留学生がおり、各大学の中国語の講師もスパイ予備軍だ。さらに、日本駐在の新華社通信や人民日報などの記者は100人ぐらいいる。彼らは人民解放軍の総参謀2部の海外派遣局から選ばれた者が多く、記者とは名ばかり。新華社記者の3分の2以上は人民解放軍で訓練を受け、日本の情報をスパイする目的で活動している。
今は東京だけで中国系の新聞や雑誌が、中国政府の資金で40種以上発行されている。どれも無料で配布され、読者は留学生や日本人配偶者らが多い。さらにこれら媒体は、企業広告を通じ中国シンパの日本人を広げ、アメリカでも同じようなやり方をしている。
中国系の銀行にもスパイがいる。帰国した中国残留留孤児の中にもスパイがいる。さらに農業などの研修生や帰化した中国人配偶者の中にもいる。
いろいろなスパイのやり方がある。自動車などの機械もそうだし、農業もそうだ。中国の農地は化学肥料で固くなっている。土を軟らかくする菌を中国に持ち込めば、それが高く売れるのだ。元警視庁通訳捜査官の坂東忠信氏によると、捕まった中国人の男の携帯とパソコンを調べてみたら、日本語ができなくて毎月生活費をもらっており、上海や広州などに持っていくと高額のお金が手に入る仕組みがあった。いわば「農業スパイ」だ。
日本では産業スパイと呼ぶ。80年代、日本の高級ブドウ品種「巨峰」を、税関を通る時に口の中に入れて中国に持ち帰ったというスパイもいた。
農業も印刷も技術は日本に学ぶ
ところが、それにもかかわらず、日本人の専門家たちが中国でイチゴ栽培などを教えている。寒冷地の満州での米作も日本人が教え、今ではおいしい米ができている。20~30年かけて開発した技術を無償で教えているのだ。
例えば、1972年の国交正常化から80年代半ばにかけ、多くの日本人が中国の農村で技術指導した。その時、丈夫な作業服を持ち込んだ。それまでは綿製の作業服だったのですぐに破れた。
少し富裕な農民だと丈夫な日本製の20㎏の肥料袋を安い値段で買い、2枚合わせてズボンを製作した。袋に印刷された日本語の文字が洗っても消えず、印刷技術のすごさを思い知った。田舎に水道はなく、井戸水で洗濯していた。洗濯機はないので、たらいで手で洗う。70年代末まで、名だたる共産党幹部の家庭ですらも状況は同じだった。
胡錦濤や習近平が卒業した清華大学は今はエリートの名門大学だが、80年代初め頃は「日本の中学校レベル」で誰でも入れた。大学だけでなくどの学校でも、日本から印刷機やコピー機、コンピュータから紙までみな支援してもらった。
1980年代後半、中国にはまだプラスチック製のハンガーがなかった。私は息子が2歳くらいで、日本から帰国する時、母に頼まれてハンガーを買って帰った。子供のオムツを干すのにいいと。周りの人たちが見て、珍しがっていた。当時は紙オムツもなかったので、日本から買って帰った。そんな80年代当時は、まだ今のような「南京大虐殺」などということは誰も言わなかったのだ。
在日中国人が200万人超える
上海浦東国際空港や広州白雲国際空港、北京首都国際空港などは日本のODA(政府開発援助)で建設されたが、中国政府は日本の支援を公表せず、ほとんどはそんな事実を全く知らない。1992年から98年まで、合計6兆円が援助された。ところが、大部分は共産党員が自分のポケットに入れた。中国は昔から賄賂の国である。
1989年の天安門事件でアメリカはじめ西側諸国は中国に対する経済制裁を行った。それが続けば中国の発展は止まっていたが、日本が率先して中国との経済関係を再開したので、中国は息を吹き返した。その意味で、中国共産党政権の「危機を救った」のは、実は日本だったと言えるのだが、中国政府はそれを認めず公言しない。「中国の現代化は日本の援助で可能になった」と海外在住の中国人学者が語っていた。
現在、日本国内にいる中国人は200万人を超えた。東京には60数万人いる。大阪には残留孤児を含め20数万人、北海道や沖縄にも多く住むようになった。中国人の富裕層の多くは人民解放軍の幹部の家族で、日本で多くの不動産を買っている。その中でも最近多いのが墓地だ。特に多いのは埼玉県で、中国人がどんどん買いまくっている。
死刑囚の臓器が「再利用」される
ーー 数年前に韓国で話題になった死産児の「人肉カプセル」の問題や法輪功信者の臓器売買といった闇取引についてお聴きしたい。
韓国に輸入されて問題になったいわゆる「人肉カプセル」の問題だが、中国では毎年1万人が死刑囚として銃殺されている。それに絡んでくるのが、銃殺された死刑囚の「臓器」が「再利用」されていることだ。特に中国政府が危険団体として禁止している「法輪功」の信者たちが、アメリカなど欧米諸国で、信者の「臓器」が利用されていることを訴えている。そもそも昔から中国では死刑囚の「臓器」などが「再利用」されている。
例えば、日本が作った奉天の満州医科大(現瀋陽・中国医科大)で医師をしていた友人の父が、今日は何人処刑するから臓器移植が何人できると話していた。それが平気で行われている。法輪功の信者だけでなく臓器目的で処刑される政治犯など死刑囚も多くいるのだ。
また、中国の火葬場では、焼け残った脂や骨を「肥料」として売っている。これは10年前、東京で開かれた国際ペンクラブ(民主化運動でノーベル平和賞を受賞した劉暁波(りゅう・ぎょうは)は氏が中国の会長を務めていた)の大会に参加した福建省の作家から聞いた話で、そんな気味の悪いことが中国では実際に横行している。
都市部の再開発で不当な強制立ち退きなどが行われている。最近では、日本人でも財産を取られるようになってしまった。5~6年前に上海で日本料理店を営んでいた杉本さんという日本人夫婦が、税金の問題で財産を没収の上、立ち退かされた。
北京で下層民20万人を強制排除
そこで杉本夫妻は日本に帰って東京の中国大使館前にデモに行って「上海市政府は私から奪った財産を返せ」と叫んでいる。中国に行った台湾人に対してもそうだ。習近平政権が「反腐敗闘争」とか言っても、実際こんな不当なことをやっているのだ。
17年12月現在、北京市の人口は2400万とも言われる。こうした北京の再開発で強制的に住宅が壊される例も多い。飲料水も不足していて、5年後には水不足が懸念されている。
学校に行けず読み書きもできないような下層の人々に対して、家を壊すから1週間以内に立ち退くようにと当局が通告し、一度に10万人、合計で20数万人以上も北京から追い出したこともある。彼らは子供を幼稚園や学校に通わせることもできず、非常に不満が高まっている。その点、労働者や農民、下層民たちに配慮した毛沢東時代ですらしなかったことが今起こっているのだ。
下層民の一方、共産党幹部の家族はどんな生活をしているか。胡錦濤から習近平に全ての権力ポストが譲り渡されたので、習近平は感謝の気持ちで、胡錦濤の一人息子(胡海峰氏)を嘉興市長に抜擢した(現・浙江省台州市長)と言われている。習近平の娘もハーバード大学を出て中国に戻った。李克強の娘も戻ってきた。また、王岐山の家族もアメリカに家と土地を買っていたことが暴露された。
敵を作り権力闘争仕掛ける歴史
ーー習近平政権の「独裁強化」についてはどう見るか。
習近平政権は、江沢民と胡錦濤の影響力がまだ残っており、権力基盤は実はそれほど強くなく、むしろ脆弱だと見ている。だからこそ、「独裁」を強めているとさえ言える。
そもそも中国共産党の歴史は、時の権力者が敵を作り戦ってきた闘争史。毛沢東は劉少奇(りゅうしょうき)や林彪(りんびょう)を「敵」と見なし失脚させ、鄧小平(とうしょうへい)は楊尚昆(ようしょうこん)、晩年は天安門で学生を虐殺し、江沢民は法輪功と戦う、胡錦濤は新疆ウイグルやチベットを弾圧する、といった状況で、歴史を見たら全部そうなのだ。
だから習近平政権も、王岐山が取り締まる「反腐敗闘争」では、江沢民派と言われた郭伯雄(かくはくゆう)、徐才厚(じ・さいこう)ら人民解放軍の最高幹部が失脚。これは習近平の仕掛けた「戦争」だ。だが、習近平の家族が資産をアメリカやイギリスなどに投じていることこそ、「腐敗」ではないのか。今年はもっとこのような政治闘争が熾烈になってくると見られる。
もし「権力集中」が弱まると、暗殺や失脚の可能性が出てくる。これまで少なくとも6度の暗殺未遂事件があった。さらに最近1月、李克強の家に脅迫文書が届いたこともある。だから現体制に不満を持つ者が少なくないのだ。3月の全人代(全国人民代表大会)で、反腐敗運動の牽引役だった王岐山が国家副主席に就任する確率が高いとも香港のメディアが報じている。
文革の下放で猜疑心が肥大化
そもそも権力に執着する習近平は、まともに教育を受けた境遇になかった。文化大革命の際に父・習仲勲が反革命罪で逮捕・拘留され、母親も刑務所に入れられた。習近平自身も小学生の時に警察に「父は悪いことをしていないのになぜ刑務所に入れるのか」と談判して少年刑務所に送られ凄く傷ついた。
彼はその後陝西省延安の農村に7年間も下放(政治犯らを田舎で労働に就かせ「思想矯正」させる)され、穴を掘りその中でノミだらけになり暮らした。私も4年間下放されたのでよくわかる。ある年の正月、母親が仕送りしてくれた金で買った豚肉を、肉が食べたいあまり、生のまま食べたという。
そんな人間以下の生活を通過し、怖いものはなくなった。アメリカですら怖くない。だから一度手にした権力は、絶対手放さないし、誰も信用などしない。その意味で、習近平は「第2の毛沢東」になる可能性は十分ある。だから今後、人権の弾圧がもっと厳しくなるだろう。
例えば昨年、ネットである青年が友人にメールに「習包子(肉まん)」と書き込むと、ネット監視していた警察が問題視して逮捕、懲役2年の実刑に処された。それが今後もっと過酷になる。自分の政治権力をしっかり握るためには絶対許さないということなのだ。
日本だけ標的にされる「スパイ容疑」
--2016年12月、日本人が中国国産空母を撮影、スパイ容疑で逮捕・拘束事件もあった。
中国初の空母・遼寧はウクライナの「ワリャーク」であり、その設計者をウクライナから招き、中国で国産空母を造るのに遼寧をマネて造っている。しかもその造船現場は公開され誰でも入れるようになっていたものだ。だから問題は日本人の写真記者がスパイ行為の意図をもって撮影したという事件なのではなく、日本人だけでなく、アメリカやイギリスなど他の諸外国メディアも同じように撮影しているもので、おかしなことに日本人だけが当局から「スパイ行為」と指弾され逮捕されたことにある。
これが意味するものは、日本政府の対応が弱すぎるということ。これは海外の学者たちが言っていることだ。中国の戦闘機も軍艦も頻繁に入れるような日本は、拘束された日本人は16人もいるのにおとなしすぎる。アメリカなら大使館前ですぐデモが起きる。ニュージーランド国民が中国で捕まった時、首相が怒るとすぐ返した。そう考えると日本が弱すぎる。
--拉致問題も40年間解決できず、今なお引きずっている。
だから安倍政権はもっと強く出るべきだ。
北朝鮮の核・ミサイル実験の影響を中国が受け吉林省で放射能の被害を受けたが、北朝鮮のミサイル技術はほとんど中国のハルビン大学で学んだ技術者が開発したとアメリカ側資料により明らかにされている。
スパイが利用する残留孤児問題
中国残留孤児帰国者の「日本帰国者協会」が政治家・自衛隊・自民党関係者と交流し、北大阪帰国者協会会長の阿部子臣(王子臣)が偽装帰国者と発覚・逮捕された事件があった。こうした中国残留孤児帰国者は現在、その子供らの「第2世代」になり、社会の各界各層に入っている。帰国者協会のような団体はほかにもあり、帰国者2世らのヤクザ組織も存在する。
--大陸からの復員兵らの「中帰連」という組織もあった。
今も関係者は生存し活動は続けられ、日本共産党が利用している。「南京虐殺の証言」のほとんどが、中国共産党により洗脳されて帰国した人たちのもの。それを、極左の「革マル系」のJR東日本労組などが “南京虐殺” を政治問題視してきた。
中国では子供を学校にあげるために貧しい農村では親が血を売って金を作ったりする。しかし、知識のない田舎では、そのためにエイズや肝炎が蔓延。河南省では1億人の人口のうちエイズ患者が200万人まで拡大。当時トップは李克強だった。ところが中国政府はその対策をせず、むしろ、スパイ網を張り巡らすため親中人脈からスパイを養成する目的で、「孔子学院」を150以上の国々に建設することに惜しみなく資金を投じた。
皮肉なことに、毛沢東の文革時代には中国全土で「孔子」関係の建築建造物が「反革命」の名の下に破壊され尽くしたが、その孔子を中国共産党は巧妙に利用している。ところが今、その目的が「友好」ではなくスパイ養成だと暴露されて、カナダやオーストラリアなど各国で禁止する動きが出てきた。日本でも反対運動が起きるようになった。
ウイグル・チベットで同化政策
今、私が最も恐れているのは、あと20年もしたら大和民族の3分の1が中国系と混血してしまうのではないか、ということだ。結果的に中国の「同化政策」が完成していくのではないか。
最近20年間で、日本人と結婚する中国人女性が11万人いる。その子供たちも8万人いるという。それがどんどん進んでいくと、新疆ウイグル自治区やチベット自治区で漢民族に移住させる中国政府が行ってきた「同化政策」と同じ状況になる。ウイグルやチベットへの漢民族移住を促すことで劇的に混血が進み、民族固有の文化や習慣、言語がたちまちなくなっていくわけだ。
もう一つ恐ろしいのは、中国人による日本の不動産の買い占めだ。それを防ぐには一刻も早く法律を作るべき。ニュージーランドやカナダ、豪州ではこれを規制し外国人に対し不動産を売らない法律ができた。日本もこれが絶対必要だ。不動産だけでなく、水源地や森林もそう。
--かつて李鵬首相は、豪州の首相と会談し「日本?あんな国は50年後には地上から消えてなくなっている」と言った。
それが中国の国家戦略。スパイを日本に送り込んで、あとは移民によって内側から崩れるようにしていく。海洋資源もどんどん国際条約を無視して勝手に採掘している。それに対して日本は甘すぎるのだ。
年間20万人が拉致され人身売買に
ーー 中国の人身売買問題についてはどう見ているか。
1980年代初め頃から、中国全土で「人身売買」が特に貧しい地方、河南省や山東省、雲南省などで、女の子も男の子も「売買」されるようになった。山奥だと地方ごとに言葉も通じず、電話もつながらず警察も入り込めない。
例えば北京で女の子がさらわれたとすると、北京の警察が山東省に行って捜査ができないのだ。そのため一生その山奥から出られないような状況になる。子供だけで年間20万人が「失踪」する。
親が子供連れで買い物に行き、目を離した隙に子供が連れ去られるのは日常茶飯事だ。こんな最悪の人権状況だから、中国に行く友人には絶対に手を離してはいけない、と言うようにしている。
【鳴 霞(めい・か)】1957年、中国瀋陽市生まれ。満洲人。元中国共産党員、元近畿福祉大学中国語課講師。瀋陽市科技日本語学院を卒業し、中国航天部瀋陽市軍工企業の情報課日本語担当に。1982年訪日、京都日本語学校を卒業し、兵庫・大阪の中国語学校で講師を務める。2002年、『月刊中国』で中国の内部情報の発信を始めた。著書に『母性の危機 苦悩の中国』(文芸社)『中国人民解放軍の正体』(日新報道)『中国人民解放軍知られたくない真実』(潮書房光人社)『日本掠奪』(桜の花出版)『あなたの隣にいる中国のスパイ』(飛鳥新社)『中国 驚愕の性奴隷』(青林堂)などがある。
3月号特集 「習近平」の中国 ~ 見果てぬ「第2の毛沢東」への夢と現実 ~ は本誌でお読みください