中国「海警法」と日本の法制度の限界

世界思想4月号を刊行しました。今号の特集は「尖閣を守れ!です。
ここでは特集記事の一部 「中国【海警法】と日本の法制度の限界」 についてご紹介します。

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 日本政府は「現在の法律でもあらゆる事態に対応できる」との立場だが、与党・自民党内では尖閣海域で中国海警が日本の領海侵入を繰り返している実情を踏まえ、海上保安庁の武器使用の要件を緩和する新たな法整備、具体的には「領域警備法」を新たに定めるべきだとの声が、防衛問題に詳しい議員らから上がっている。

 世界標準の「沿岸警備隊(コーストガード)」とは異なり、日本の海保は自衛行動を取ることができず、同法には領域警備すら任務として明記されていないからだ。

 

中国海警は「第二の海軍」、海上保安庁(日本)は警察官で自衛隊とも連携が困難

 

 具体的に提言されているのは海上保安庁法25条の改正だ。現在の条文は以下の通りである。

「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」。

 

 つまり、通常の沿岸警備隊が準軍事組織として位置づけられているのに対して、日本の海保はあくまでも警察権の範囲内でしか活動できず、海上自衛隊への「軍隊機能としての支援」はおろか、共同訓練すら認められていないのだ。
 

 一方で海保が対峙する中国海警は、わが国の国土と主権を明確に脅かそうとする「第二の海軍」としての性格を強めている。

 実際に、想定される対象の中国海警は、背後に巨大な中国海軍を控えつつ、準軍事組織としての能力と法制上の位置づけを備えている。つまり現状の海警と海保の関係は、能力面でも法制面でも、軍隊と警察官が対峙するような非常にアンバランスな状態なのである。

  もとより現状でも、自衛隊法第80条により「防衛出動時」などに海保を統制下に入れることが可能だ。しかし、軍事機能を禁止する海保法25条がある以上、実際の連携には中央の判断を仰ぐ必要があり、現場レベルでの即時対応には困難が伴う。いずれにせよ、同条の改正は必須なのだ。

主権侵害には自衛権行使での対応しかない。憲法改正で「当たり前の国」に

 

 最後に「当たり前の国」になるということでは、政権交代でしぼんだ感のある「憲法改正」論議を、海警法施行を機に再び活発化させるべきだ。 

 中国海警の行動如何によっては、実際に海保ないし海自が武器使用を行う事態が訪れる。それは前述のように「警察権の行使」としては国際社会の承認を得ることができないため、明確に主権侵害に対する「自衛権の行使」として位置づけ、安保理に報告し、国際社会の支持を得なければならない。 

 わが国は法治国家であり、国際的にも「法の支配」を主張している。

 日本政府と国民に「尖閣を守る」、すなわち主権侵害に対して自衛権を行使する強い意思があるのなら、憲法に自衛隊を明記するのは当然のことだ。

 

 

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