アジア太平洋地域の安全保障 日本が主導する覚悟を

世界思想11月号を刊行しました。今号の特集は「米アフガン撤退と残された教訓」です。
ここでは特集記事の一部 【アジア太平洋地域の安全保障 日本が主導する覚悟を】 についてご紹介します。

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 米軍のアフガン撤退は日本が抱える大きな課題も浮き彫りにした。邦人保護の問題である。

 米国は10万人以上、英国は1万5千人以上、ドイツは約5千人、韓国は390人を救出した。
  

「ミラクル作戦」と名付けられた韓国のオペレーションでは、現地大使館などのアフガニスタン人職員やその家族、391人が軍の輸送機で退避に成功した。

 

 一方で、日本の救出作戦はどうだったか。

 自衛隊機派遣決定後、共産党の小池晃書記局長は「何のために自衛隊を派遣するのか」と政府を追及。反対理由は「海外で人殺しをするな」など意味不明な内容。

 日本政府は民間チャーター機による救出を試みたが、カブール陥落によりアフガン政府の統治が及ばなくなり、民間機の運航が停止されたため頓挫した。やっと自衛隊機派遣の検討を始めることになる。

 

救出活動を縛る「安全な実施」要件

 

 しかし、自衛隊法84条の4は、作戦の「安全な実施」を要件として挙げている。

 危険な地域だからこそ軍隊が派遣されるのに、日本では安全が確保できなければ自衛隊を派遣できないのだ。これが他国との大きな違いである。

 この要件が課された理由は、自衛隊を忌み嫌う左派勢力が「自衛隊員の命を軽んじるな」と言い出し、メディアが総出で安保法制を徹底批判。この要件は大きな縛りとなってしまった。

 

政府は23日、イスラム主義組織タリバンが実権を掌握したアフガニスタンに残る邦人や、大使館や国際協力機構(JICA)で勤務していた現地職員らの退避支援に向け、航空自衛隊のC-2輸送機1機を出発させた。

 

 

 「安全な実施」を担保できるか、政府は慎重な検討を強いられ、検討を行う間にカブール情勢が悪化し、救援は困難になってしまった。

 市内にタリバンが検問所を置き、救出対象者が空港に近づけない。安保法制の下では、空港外の活動には現地政府の承認が必要となるが、交渉可能な政府は存在せず、対象者が自力で空港にたどり着くのを待つしかない。

 結局、邦人1人(共同通信・女性記者)を救出したのみで、日本大使館やJICAに勤める現地アフガン人職員や家族ら約500人の救出はかなわなかった。

 邦人の生命保護を最大の使命とする自衛隊が自国の法律の壁により救出活動を阻まれる。

 こんなことが2度とあってはならない。国会はこの点を早急に議論すべきだ。

 

現実を直視し、国家の究極の使命を追求すべき

 

 パワーゲームに支配される世界の中で、インテリジェンスと軍事力は欠かせない要素である。

 日本がこれまでにアフガニスタンに投入したODAは総額約億ドルに上る。凶弾に倒れた中村哲氏などの犠牲も忘れることはできない。しかし、それらの投入もタリバンの復権によって水泡に帰してしまった。

アフガニスタンで人道支援に取り組み、2年前、銃撃を受け死亡した中村哲さんの追悼のため現地の壁に描かれた肖像画が塗りつぶされた。イスラム主義組織「タリバン」の指示とみられている。

 

 同じように、戦後、築き上げてきた日本の経済的繁栄や東アジアの自由と民主主義も、中国の強大な軍事力と覇権的行動に脅かされている。米国の弱体化も考えれば、日本がアジア・太平洋地域の安全保障を主導するような覚悟が必要だ。

 高市早苗氏は、国家の究極の使命について「国民の生命と財産」「国土と資源」「国家の主権と名誉」を守り抜くことだと述べた。これは世界標準の認識である。

 

大好評の、ほぼ5分でわかる勝共理論で『米軍のアフガン撤退』を扱っています。4つのトピックでわかりやすく解説していますので、上の画像をクリックしてぜひご視聴ください!

 

 

(「世界思想」11月号より )

◆2021年11月号の世界思想 特集【米アフガン撤退と残された教訓
Part1 混沌のタリバン体制 拭えない恐怖支配の記憶
Part2 露わになった米国の弱体化 自由世界全体のリスクに
Part3 アジア太平洋地域の安全保障 日本が主導する覚悟を 
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