総選挙で立憲民主党が日本共産党、社民党、れいわ新選組との「野党共闘」を組み、なりふり構わず「野党政権」を実現しようとうごめいている。
とりわけ立憲民主党は国民の目をごまかそうと、共産党との「野党連合政権」は行わず「限定的な閣外協力」にすると表明した。
だが、限定的であろうとなかろうと、暴力革命を隠し持ち、中国と同じく共産主義を信奉する共産党と「共闘」するのは民主主義への背信であり、中国に国を売り飛ばす暴挙と言わざるを得ない。
「野党共闘」に鉄槌(てっつい)を下さねばならない。
日本共産党の「共産」はマルクスに由来し、コミンテルン日本支部(日本共産党)として創設されて以来、一貫して名乗ってきた。終戦直後の1946年に創刊した同党の理論政治誌は「前衛」と言い、今年5月号で通算1000号に達したが、この名称も手放さない。
「前衛」はロシア革命の指導者レーニンの組織論に基づく。マルクス・レーニン主義の政党であることは自明である。
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革命政党との共闘は「立憲」と「民主」の否定
レーニンによれば、革命を成就するために絶対容認できない3つの思想がある(『何をなすべきか』1902年)。
それは法の支配を主張する「自由主義」、労働者が豊かになることを望む「経済主義」、議会政治を最上のものとする「民主主義」で、いずれも革命への意欲を殺(そ)ぎブルジョアジー(資本家階級)の味方となり、プロレタリアート(労働者階級)の行く手を阻む。
そこで労働者階級の革命意識を常に高揚させ指導する革命エリート集団「前衛党」が必要だとした。それが共産党で、機関誌「前衛」は「日本における革命的闘争の指導的な灯台」と称している。実際、共産党は数々の暴力闘争を行ってきた。
こういう政党だから警察庁は「暴力革命の方針」を堅持しているとし、公安調査庁は破壊活動防止法の調査対象団体に指定しているのだ。
それにも関わらず、立憲民主党が共産党と共闘するのは、それこそ立憲の否定、民主主義の否定にほかならない。それをよしとするのは党内に少なからず容共勢力(隠れ共産党)が存在する証左であろう。
同様に容共勢力である朝日新聞は自民党政権を倒すため、かねがね「野党共闘」を叫んできた。今年4月の国政選挙で野党側が全勝すると、「近づく衆院選に向け、選挙区での候補者の一本化と同時に、共通の公約づくりや政権の枠組みに対する考え方のすり合わせを急がねばならない」(4月26日付社説)と、共産党を加えた野党共闘を急き立てた。
共産党が野党政権に加われば、いかなる事態が生じるか
1970年代に共産党は「民主連合政権構想」を発表し野党政権への意欲を示したことがあるが、これに対して身内である学者党員の田口富久治・名古屋大学教授が異議を唱えた。共産党の一枚岩主義では「支配政党の組織的質が国家体制の政治的質を規定」するのは避けられず、党と国家の癒着によって一党独裁の危険が生じるとし、党改革を訴えたのである(『先進国革命と多元的社会主義』大月書店)。
だが、党中央は解党主義だと激怒し榊利夫・党理論委員長は「『学問研究の自由』の名で党規律を否定することができないことはいうまでもない。学者であっても、党規律の前では特権は許されないのであり、『研究発表』や『学術論文』であっても党員としての責任をとらねばならない」(党機関紙「赤旗」78年9月10~11日付)と田口氏を指弾した。
それでも飽き足らず不破哲三書記局長(当時)は「前衛」(79年1月号)に14万4千語、実に百頁にわたる田口批判を展開した。田口氏は党執行部の民主的選挙を唱えたが、志位和夫委員長が20年以上もトップの座に君臨するように党体質は全く変わっていない。
学者党員に学問の自由はないのだ。これが日本学術会議問題の本質だ。
ひとたび政権に加われば、学者党員のみならず官僚党員らが「忖度(そんたく)」どころか党指令で動き、〝赤い政府〟が出現する。
それゆえに国民は野党共闘に懐疑的なのである。
最近の共同通信社の世論調査でも(各紙10月5日付)、衆院選で立憲民主党や共産党などの野党の選挙協力に「期待している」は36・1%にすぎず、「期待していない」は60・4%に上っている。
共産党に国会が乗っ取られる罠
そこで国民とりわけ保守・中道層の目を欺こうと出てきたのが共産党隠し、すなわち共産党は野党政権に加わらず「閣外協力」にするという共闘案である。
入れ知恵したのは左翼リベラル学者の山口二郎・法政大学教授である。「週刊金曜日」(4月30日付)で、共産党は閣外協力の位置付けとし国会の重要な委員長ポストを同党に与え、「法案審議と調査機能の充実を図ることで、共産党の活躍の場を広げる」という野党共闘の落としどころを指南した。
立憲民主党はそれに従い「限定的な閣外協力」としたが、国会の「法案審議と調査機能」を共産党に乗っ取られ、民主主義は絞殺され、国は共産中国に売り飛ばされる。これこそ「サタンの罠」である。
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