【徴用工問題】予想される日本の対抗措置とは

 

韓国原告団:新日鉄に続き、今度は三菱重工業に差し押さえ手続き開始

 

 韓国がついにルビコン川を渡る。いわゆる徴用工問題で、韓国の原告弁護団が三菱重工業の国内財産に対する差し押さえ手続きを、近く開始すると表明したのだ。

 

 なお、当時の日本では国家総動員法に基づく募集、官斡旋、徴用があったが、この原告4人はいずれも募集に応じた労働者達であったことが明らかになっている。

 

 だから彼らは徴用工ではない単なる労働者だ。日本政府は「旧朝鮮半島出身労働者」と呼ぶらしいが、これでは何を言っているのかよくわからない。それで本欄では、彼らを「自称徴用工」、判決を「いわゆる徴用工判決」と呼ぶことにする。

 

 

 原告弁護団は声明で、三菱重工業に対して次のように宣言した。

 

 「われわれが期限として提示した2月までに交渉要請に応ぜず、信頼構築と和解の機会を自ら放棄した」

 「今や他の道はない」

 あくまでも実力行使に出るとの内容である。

 

 弁護団にとっては、カネをもらえなければ成功報酬が手に入らない。彼らには日韓関係の決裂など関係ない。

 

 だから和解に失敗した以上、差し押さえを実施しないという選択肢はないはずだ。

 

 問題は、1965年の日韓請求権協定の規範を根本から否定した大法院(最高裁)の判決と、判決を静観する文在寅政権の対応にある。

 

 

問われる文政権下「韓国司法」の信憑性

 

 ここで理解しておくべきことが一つある。そもそも韓国大法院長(最高裁判所長官)の金命洙氏は、文氏が指名した判事である。議会での正式な決定の際には、そのリベラル的価値観が問題視された。「司法の中立性」に問題ありとの評価だったのだ。

 

 

韓国の最高裁「大法院」の正面

 

 

 特に不安視されたのが「自称徴用工」問題への判断だった。つまり文氏は、自らこの問題で不当な判断をし得る判事をわざわざ指名しておきながら、予想通りの最悪の結果が出ると、「司法の結果だからやむを得ない」と開き直ったのである。これは余りにも無責任だ。

 

 

 特に日本では、朴槿恵前大統領の弾劾裁判を通して韓国司法への信頼は地に落ちている。

 

 国会前でデモを行えば証拠不十分でも大統領が弾劾される。過去の親日行為は事後法で処罰される。それが韓国の司法であり、日本の司法制度とは完全に異なる。そんな印象ができあがっている。それを「日本も理解しろ」と言われても到底受け入れられない。文政権も今さら撤回できない。やはり韓国は、ルビコン川を渡ることになってしまうのだ。

 

 

文政権は思想中心から、国民中心へ転換せよ

 

 一方の日本政府は、差し押さえが実行された場合、対抗措置を取ると通告済みだ。ご存知の通り日韓の請求権問題は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」されている。差し押さえを日本側が受け入れる理由はない。今のところ予想される対抗措置は以下の通りである。

 まずは国際司法裁判所(IJC)への付託を韓国に申し入れる。もちろん韓国側が同意することはないから、この段階で解決される見込みはない。

 

 

 次は、国際法違反があった場合に行使することを国連が認めている、「損害と均衡する措置」(2001年明文化)である。具体的には、「韓国輸入品の関税引き上げ」「韓国人入国ビザの厳格化」「日本からの部品・素材提供の停止」「日本企業の資産引き揚げ」などが考えられる。

 

 現在、日本に観光目的などでやってくる韓国人の数は年間750万人にも達する。総人口が約5千万人だから、単純に計算して国民の6・7人に1人だ。ここに規制がかかれば、国民への理解はかなり浸透するだろう。正直に言って、韓国内ではこの問題の深刻さがまだ理解されていない。これは文政権の責任でもある。

 

 

 

 これでもダメなら、請求権協定に基づき、第三国に仲裁を依頼する。おそらくは米国になるだろう。客観的に見て韓国側に勝算はないが、この時点までくれば日韓の分断は決定的だ。国際社会でも韓国の孤立が進み、経済運営が立ち行かなくなるのではないか。

 

 

 もし文政権が国民最優先ではなく、思想最優先で政治を進めれば、残念だが問題が収束する見込みはない。日本としては、粛々と手続きを進める以外にないだろう。

 

 

 

思想新聞「体制共産主義に警戒を」3月15日号より掲載のニュースは本紙にて)

3月15日号 米朝首脳会談「挫折した北の賭け」/ 日韓トンネル推進熊本総会 釜山・大邱からも来賓/ 主張「辺野古移設を毅然と進めよ」 etc

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