北朝鮮から見捨てられる文政権

 

文政権の対北追従は、米国への背信行為

 

 「韓国は米朝の仲裁者ではない」

 

 これは北朝鮮の崔善姫外務次官が平壌で、3月15日に記者会見を開いた際の言葉である。
「われわれは米国の要求に対し、いかなる形であれ譲歩するつもりはない」と語り、「非核化交渉の中止を検討している」と指摘した上での言葉である。

 

 韓国の文在寅政権はこれまで一貫して、北朝鮮の擁護者の立場をとってきた。

 

 米国が核兵器リストの提出を北朝鮮に迫った際には、康京和外相が米メディアに対して、米国がまず朝鮮戦争の終戦宣言に応じ、その見返りとして主要核施設の廃棄を求めるべきだと訴えた(昨年10月3日)。

 

 核兵器リストの提出については、非核化のプロセスを妨げるリスクがあるから先送りすべきと述べたのである。

 これは実に、昨年9月の南北首脳会談で、金正恩朝鮮労働党委員長が文大統領に主張したのと全く同じ内容である。

 

 しかも金委員長が語った「核施設の廃棄」とは、寧辺の閉鎖のみを指していた。すでに老朽化が進み、使い物にならない施設の閉鎖に何の意味もないのだが、たとえ米国が朝鮮戦争の終戦宣言に応じても、その閉鎖すら本当に行われるという保証はない。「ムービング(動く)ゴールポスト」は彼らの常套(じょうとう)手段であり、信用する価値のないことは歴史が証明している。

 

 康氏はさらにその1週間後、北朝鮮との経済取引を禁じた韓国政府の独自制裁「5・24措置」(韓国哨戒艦撃沈事件以来の経済制裁)の解除について、「関係部署と検討中」だと述べた(10月10日、韓国国会)。これまた北朝鮮の思惑通りの発言であると同時に、制裁維持を呼び掛ける米国に対する背信行為でもあった。

 

 こうした文政権の対北追従の態度は、今も一貫して変わらない。

 

 北朝鮮と言えば、国連決議に反して核・ミサイルを開発し、周辺諸国を恫喝(どうかつ)し、大量破壊兵器をテロ国家に売り飛ばし、偽米ドル札を製造し、サイバー攻撃で他国の銀行強盗を行い、国内で反乱する者は粛清し、政敵となりうる腹違いの兄を殺害する国家である。なぜそんな国を擁護するのか理由は全くわからないが、米国を敵に回してでも、今もその立場を保ち続けている。

 

文政権の最大の失敗は、北朝鮮を信じたこと

  

 崔氏の発言を受け、韓国大統領府は次のようにコメントした。

 「いかなる状況にあっても韓国政府は朝米交渉の再開に向け努力したい」この文政権の試みが、破綻寸前であることは明らかである。どれだけ仲介に立とうとも、米国が北朝鮮の要望に応じる気がなく、北朝鮮にも譲歩する気がないのだから仕方がない。

 

 この事実が、もはや韓国内にも認識されつつある。以下、朝鮮日報日本語版(3月16日)の抜粋である。

 「これまで米国と足並みがそろっていないと批判されてきたのにもかかわらず、米朝対話再開のため南北経済協力を推進してきた韓国政府が、北朝鮮にも信じてもらえない状況になっている

 

 ここで一言、言わせてもらおう。北朝鮮はそもそも、文政権を始めから信頼などしていなかった。平昌冬季五輪に選手団を派遣したのも、板門店で南北首脳会談を行ったのも、要は米国の譲歩を引き出すための手段でしかなかったのだ。「信頼を失った」というのは幻想に過ぎないのである。

 

 ここにきて北朝鮮が韓国を突き放したのは、もはや米国を譲歩させる能力がないと判断したからだろう。利用できると踏んだ時には微笑みかけ、利用できないと思えば即座に突き放つ。わかりきったことではあるが、その術にまんまとはまっていたのが文政権だったのである。

 

 

 ただ、文政権としてはこの立場を変えるわけにもいかない。経済政策で迷走し、支持率が急速に落ちている。イデオロギー優先で弱者保護の社会主義経済を主張したのだから当然だ。それで支持率を維持するためには、南北統一の「夢」を見せる以外にない。わかっていても、引くに引けない状況にあるのが今の文政権なのである。

 

 最大の失敗は北朝鮮を信じたことだ。

 

 何しろ北朝鮮は、共産主義思想を根底に金一族の独裁体制を正当化する国家である。

 

 この体制が崩壊しない限り信頼などあり得ない。この認識がさらに韓国内に広がれば、第二のろうそくデモで文政権が退陣する可能性もあるのではないか。

 

 

 

 

思想新聞「体制共産主義に警戒を」4月1日号より(掲載のニュースは本紙にて)

4月1日号 米国の影、中国・全人代を覆う 対米慎重姿勢 / 神奈川県連合会が定期総会「東アジアは地殻変動機に」/ 主張「憲法に緊急事態条項を設けよ」 etc

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