コロナ禍との闘いが続くトランプ米大統領。11月の大統領選挙を3カ月後に控え、支持率回復の契機を掴みきれないでいる。各種の全米世論調査の平均値では、全米、激戦各州でも、バイデン氏が上回っている。しかしバイデン氏への熱狂的な支持層は薄い。そこで有権者の関心を高める作戦として、野党・民主党のバイデン氏は人種差別撤廃を求める動きをとらえ、副大統領候補に黒人女性のカマラ・ハリス上院議員を指名した。
米政治情報サイト「リアル・クリア・ポリエィクス」がまとめた全米世論調査(7月15日発表)結果は以下のごとくである。
全米平均でトランプ支持が40・1%、バイデン支持48・7%。さらに2016年大統領選挙でトランプ氏が勝利した激戦区をみる。
・ウィスコンシン州ではトランプ支持が41・8%、バイデン支持47・8%
・ミシガン州ではトランプ支持40・3%、バイデン支持48%、
・アリゾナ州ではトランプ支持45%、バイデン支持47・8%、
・ペンシルベニア州ではトランプ支持42%、バイデン支持49%、
・フロリダ州ではトランプ支持42・8%、バイデン支持49・2%
―などとなっている。いずれもバイデン氏優勢だ。
しかし本当の闘いはこれからだ。
今から32年前の大統領選挙の年だった1988年7月、民主党のマイケル・デュカキス・マサチューセッツ州知事(当時)が民主党候補に指名された。対する共和党の候補者は父ブッシュ副大統領(当時)だった。この時の「ギャラップ社」の調査では、デュカキス氏の支持率は55%、ブッシュ氏は38%、17ポイントの差があった。大勢はデュカキス勝利だった。
しかしふたを開けてみたらブッシュ氏の圧勝となった。勝負は秋の本選で決まる。
民主党のコロナ対応こそ間違い
トランプ大統領のコロナ対応に批判の声が強い。しかし実際は民主党や各種メディアも当初はトランプ氏以上に「楽観視」していた。
トランプ氏は1月22日、「我々は完全に(状況を)コントロールしている」と語っていた。そして2月27日、「(コロナは)消えつつある。ある日、奇跡のように消えるだろう」とも語っている。トランプ氏の支持率劣勢の背景に、コロナ対策が「一貫性を欠く」との批判がある。
しかし民主党はもっとひどい。
最もはっきりしている事実は、トランプ氏が1月31日、中国からの入国禁止を発表した時、民主党と主要メディアこれに激しく反発したのだ。バイデン氏は「ヒステリックで外国人嫌い、そして国民に恐怖を植え付けるトランプのいつものやり方。国家指導者として最悪の人物」と述べ、バーニー・サンダース氏は「国境封鎖などすべきでない」と明言した。
さらにナンシー・ペロシ下院議長(民主党)は2月24日、サンフランシスコ市のチャイナタウンを訪れ、「この町にやってくるとわくわくします。(中略)ここはとても安全です。みなさんもぜひチャイナタウンに来てください」と発言していた。
CDCの機能を奪った中国
この新型コロナウイルスの世界感染拡大(パンデミック)は天災ではない。間違いなく人災である。その最大にして根本理由は中国政府にある。適切に対応していれば、その大規模侵入を防ぐ、或いは抑える方法はあった。
湖北省武漢市での異変が確認されたのは昨年(2019年)12月のはじめだった。それから新年元旦を挟んでの2020年1月後半までの2カ月間で何が行われたのかを明らかにしておかなければならない。
1月5日、武漢市政府は「人から人への感染は確認していない」「医療関係者の感染は確認されていない」などと述べ、1月17日の時点でも、武漢市衛生健康委員会は「1月3日以降、新たな感染者は確認していない」という虚偽の発表をしていた。
1月9日には武漢での新型コロナウイルスによる初の死者が確認され、1月20日の国務院の会議で正式に新型コロナウイルスの感染の拡大を認め、政府として正面から防疫対策にあたることを決めている。この時点でタイ、日本、韓国などでも感染者が確認されていた。中国共産党政府こそが、新型コロナウイルスをグローバルに感染させた最大の容疑者集団といわなければならない。
米国のロバート・オブライエン補佐官は3月11日、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」で講演し「もし中国政府が当初から協力的であれば、世界保健機関(WHO)や米国疾病管理予防センター(CDC)の専門チームが武漢で現地調査をして、中国や世界で今起きている感染拡大を劇的に減らすことができただろう」と述べた。
世界最強の感染症対策チームといわれるのがCDCだ。CDCは1月6日に武漢への調査団派遣を中国に申し入れている。しかし拒否された。中国当局が協力していれば、1月の早い時点で中国から米国や世界への人の移動を制限したはずである。感染症対策において最も重要なウイルス侵入を抑える機会を失ってしまったのだ。CDCはその機能を中国政府によって奪われたといっていい。
共産独裁・中国を誰が止める
バイデン氏は「反中」というのは間違っている。息子のハンター・バイデン氏は中国の投資会社の重役になり、10億ドルものカネを懐に入れているという。「バイデンファミリーは完全に中国政府に取り込まれている」とっても過言ではない。
バイデン氏自身もスキャンダルを抱えている。故郷ペンシルベニアのペンシルベニア大学の傘下に外交公共政策研究組織としてバイデン・センターを設立した。そこに自ら出資している。ところがこのセンターに、中国から過去3年間にわたって約7000万ドルに上る寄付金が流れていたことが判明した。
NPO団体の国家法律政策センターが米国教育省に全面的な調査と情報公開を求めている。米国の大学は外国から25万ドルを超える寄付金を受け取った時には、政府に報告することが義務付けられているのだ。バイデン・センターは何ら回答していない。
米国の選択は、誰が共産主義と闘えるのか、決着をつけることができるのかということなのだ。
思想新聞 内外の共産勢力と闘うトランプ氏 「バイデン政権」は中国に屈する 8月1日号より(掲載のニュースは本紙にて)
8月1日号 内外の共産勢力と闘うトランプ氏 「バイデン政権」は中国に屈する / 名古屋で青年学生勝共安保研修会 / 主張 コロナ第2波に「緊急事態」再考せよ