【救国救世勝共大会2021】梶栗正義会長 記念講演「太平洋文明圏時代と日本のかたち」

国際勝共連合 梶栗正義 会長

11月7日、国際勝共連合の主催により「憲法改正と道義国家日本の再生」をテーマに掲げた「救国救世勝共大会2021」(共催=勝共UNITE、後援=IAYSP-Japan、世界平和連合、UPF-Japan、平和大使協議会)が東京都内で開かれ、会場には約120人が参加、同時中継されたインターネットのライブ配信では6千人超の人々が視聴しました。ここでは、梶栗正義会長の記念講演の要旨を紹介します。

 

 講演の演題に込めたのは「日本と向き合うこと」だ。日本人に限らず、誰しもこの世に生を受ければ、時空の制約を受けて生きねばならない。私達が生まれ育った日本は「与えられた舞台装置」であり、私達はその舞台上において自由が享受できるのだ。与えられた「舞台」とは、過去の連続性即ち歴史を、そして過去を選ぶことはできない。だからこの選べない過去に対し、責任の負いようがない。だが、今を与えられ、未来を見据えている私達は、その未来に対しては責任を負っている

 この未来を正しく選択する責任を与えられた私達は、過去の教訓を自分のものとし、未来に正しい選択ができる者とならなくてはいけない。それが「過去・現在・未来」の三つの時代を、共に見つめていくべき時間軸の中に生かされている者としての宿命だ。

 

 そこで「日本と向き合う」ために、日本の近現代の歴史を振り返ってみたい。

 

 1840年のアヘン戦争で清国が赤子の手をひねるように大英帝国の餌食になり敗戦した衝撃から13年後、浦賀にペリー艦隊の「黒船」が来襲し門戸を開放し日米和親条約や日米修好通商条約が結ばれた。だがこうした条約はすべて関税自主権がないなどの不平等条約だったが、日清・日露の戦争の大きな犠牲で得た勝利の土台の上で、外交において平等を勝ち取り国際的な地位を向上させていった。

 当時、「富国強兵」の国家ビジョンでひたすら走り、昭和の時期に日中戦争、第2次世界大戦と突入し、1945年の敗戦で「富国強兵」の国家ビジョンは崩壊。敗戦国・日本が再び地を這うように国の復興を求めた国家ビジョンは、「富国強兵」から「強兵」を取り去った「富国」。米軍に国防を委ね、ひたすら国民の生活向上の一念でやってきたのが昭和中期以降の日本だった。

 

 さて、これまでの国際情勢を改めて見てみたい。

 「日の沈まぬ国」と言われ「七つの海」を支配した大英帝国による「パックス・ブリタニカ」と呼ばれる英国の力による国際秩序から、第1次世界大戦でほぼ無傷を保った米国がにわかに国際社会に頭角を現し、「パックス・アメリカーナ」つまり「米国の力による国際秩序」の状況となり、第2次世界大戦に突入。そうして1945年に連合国の勝利で戦争を終え、国際連合(UN)が産声を上げた。戦後の世界は、国連と米国が車の両輪となり新しい国際秩序を牽引する時代となった。ところが、自由民主主義と共産主義とが真っ向からぶつかる冷戦の最中の状況で、世界平和を牽引しなければならないはずの国連は、共産主義の脅威を克服できなかった

 これを国際勝共連合の創設者である文鮮明総裁は、国際共産主義の脅威を悟り、これを排除できなかったことが国連の生まれながらの弱点であり、限界であると看破した。そこで国連に代わり、冷戦下にあって世界を共産主義の脅威から救い、真の平和を実現するために、国際連合の不足の部分を埋め合わせるように設立されたのが国際勝共連合である。文総裁はまた米国で「米国が病気にかかったから、私は医者としてここに来た」と、米国を鼓舞し「本来の使命」を訴えた。

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 アメリカが自由主義の盟主としての地位を守り、ソビエト連邦とベルリンの壁の崩壊で「ポスト冷戦」時代を迎えると、「アメリカ1強の時代」として、「新世界秩序」を米国主導でつくり出そうとした。ところが、その国際秩序が今日、大変な岐路に立たされているのが、日本をはじめ世界が直面する現在の国際情勢だ。その引き金となっているのが「中国の台頭」だ。

 

 鄧小平の「改革開放路線」では共産主義の一党独裁体制を維持し、一部市場経済を受け入れ国を富ませていく先富論を説き、やがて「世界の工場」とまで言われる経済大国となった。

 習近平政権の中国が目指すのは「中国の夢」に象徴される「中華治世」。アヘン戦争後の約百年間を「百年国恥」とし克服するため「百年計画」即ち、共産中国建国百年の2049年までに「中華治世」即ち「パックス・シニカ」を実現させようとしている。

 中国やアジアが犠牲となり日本も加担した植民地争奪戦は、「大西洋主義」が背景にあった。それは「略奪と搾取」に彩られたが、新しく私達が築くべき平和の文明は、略奪ではなく「為に生きる与える文明」として、共に平和を享受できるものとしなければならない

 

 改めて日本が、「自由と民主主義、基本的人権の尊重、法の支配、市場経済」という人類が大変な犠牲を払った「共通分母」をさらに深め、大西洋主義ができなかった「人類全体を包括・包摂する平和思想」を背景とした一大平和勢力をつくらなければならない。これを「太平洋文明」と呼び、その平和理想は「共生共栄共義主義」と言えるものだ。

 「共産主義の看板が降ろされるまで看板を先に降ろすな」との文総裁の遺志を継いだ国際勝共連合は、共産主義の間違いと矛盾を理論的・科学的に立証。ゆえに勝共運動は、感情的な反共ではなく、愛により共産主義を克服する「救国救世」という世界平和をもたらす人類普遍の共通の価値観に基づいた愛国運動なのだ。

 

 他国を侵略する一国主義の「愛国」ではなく、多くの国々に平和と安定と幸せをもたらす「強くて優しく、たくましい国」として、日本を再生させていかねばならない

 

 大西洋文明の限界を超え、太平洋新文明による「共生共栄共義」という平和文明により真の解放と繁栄とを実現する。

 日本がその歴史的使命を果たせる「国のかたち」を持っているかとの問いが、今日の「憲法改正」論議とつながらなくてはいけない

 そのためにも「道義国家・日本」としてこの国を再生させる責任が、ここに集まった若い皆さんの手にかかっている

 (構成・文責=編集部)

最後までお読み頂きありがとうございました!

(掲載のニュースは本紙にて)

思想新聞12月1日号  【中国6中全会】大動乱をはらむ「歴史決議」鄧・習氏で「社会主義現代化」実現/ 救国救世勝共大会2021 梶栗正義会長が記念講演 /【主張】各界に巣くう親中勢力の策動許すな

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