共産中国の「民族抹殺法」を糾弾する

 「悪鬼の頭」はその正体を一層、露わにした。見よ、「赤い竜」は悪の束縛、くびきの縄目を新たにつくり出し、人々を締め上げ奈落の底へ突き落とそうとしている。その縄目の名を「民族団結進歩促進法」と呼ぶ。共産中国(中共)が7月1日にこの邪悪な法律を施行した。それも中国国内だけでなく、世界に向けてである。民族団結と言う名の「民族抹殺法」を断じて許してはならない。

55民族に向けた恐るべき赤い牙

「民族団結進歩促進法」を可決した3月の全人代(NHKニュースから)

 民族団結法は中国当局(すなわち一党独裁の共産党だ)が「民族の団結を損なう」「分裂を煽っている」と判断した行為に処罰を下す法律だ。全ての人民に「標準中国語」での基礎教育を徹底するように求め、漢族以外の民族の言語継承を潰そうという法律だ。地方政府が公共施設の建築や地名を決める際に「中華民族の象徴を表現」するよう強要する法律だ。全ての家庭で子供が中国共産党と中国人を愛するよう導けと脅迫する法律だ。台湾の人々に対して「中華民族」への帰属感を増進させ、中国人である認識を強化せよと迫る法律だ。そればかりか「民族の団結」を妨害した外国の組織や個人の法的責任を追及する法律だ。

 想起すべきは中国(中共の支配地をこう呼んでおこう)が多民族地域であるということだ。元来、「五族」(漢・満・回・蔵・蒙)と呼ばれた。すなわち漢族と満州族、回族、チベット族、モンゴル族だが、そのほかにウイグル族、朝鮮族、チワン族、アチャン族、ミャオ族など56の民族が存在し、独自の宗教、文化、言語を有しているのだ。

 言語で言えば、漢語、チベット語、チワン語、ミャオ語、ウイグル語、モンゴル語、満州語、朝鮮語など多種にわたる。ちなみに漢語も標準中国語の基礎となっている北京語のほか、上海、広東、潮州、客家など方言も数多い。

 人口で見れば、漢族が12億人(全体の9割)と多数だが、チワン族の1600万人を筆頭に満州族、回族、ウイグル族、モンゴル族、チベット族など500万人を超える民族が10を数える。このうち民族自治を認めてきたのは新疆ウイグル、チベット、内モンゴル、広西チワン族、寧夏回族の5区域で、中国国土の実に6割の面積を占めているのである。それを中共は宗教・文化・言語を消し去り「赤一色」に染め上げようというのだ。それが民族団結法だ。

 これは史上最悪の「民族浄化法」「ジェノサイド法」と言うほかない。ジェノサイドとは「国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を、その集団自体として破壊する意図をもって行われる行為」を言う。 具体的には「殺害、重大な肉体的・精神的危害、集団の破壊をもたらす生活条件の強制、出生の妨害、子供の強制移送」の5つが含まれる。

 中共はチベットやウイグルで長年に渡ってこの5悪を実行してきた。1994年にチベットを愛国主義教育基地に指定して以降、ダライ・ラマ14世法王を否定する思想教育を強要、漢族が多数移住しチベット語を排除した。2006年に「青蔵鉄道」(ラサ│青海省)の開通によって漢族支配によるチベットの「文化的虐殺」が一層進み、08年3月には騒乱が発生した。これにも軍を投入し、多数の命を奪った。

 新疆ウイグルのウルムチでは09年7月、中共がウイグル族住民を武力弾圧し、150人以上の死者を出した(これは当局発表で実数はもっと多数)。発端は広東省の玩具工場でウイグル族の労働者2人が漢人に殴殺された事件で、ウルムチで民族差別への抗議と真相究明を求めるウイグル族約1万人のデモ行進を武装警官が武力で鎮圧、騒乱へと発展したものだ。中共は「漢人支配」で宗教・文化抹殺、資源簒奪を進めてきたのである。

人民も共和国も虚偽の悪鬼の国

 このように今日までジェノサイドを繰り広げてきたが、民族団結法をもってさらに拍車を掛けようというのだ。外国の組織や個人の法的責任まで追及する同法に対して日本の親中派を代表する朝日新聞ですら「東京で集会を開いて中国の民族政策を批判すれば、関わった在日中国人、日本人とも罪に問われるおそれがある。実際に、日本でのネット投稿を問題視された香港の留学生が、香港に戻った後に国家分裂扇動罪で実刑判決を受けた例もある」と憂慮の声を上げている(7月6日付社説「国外適用は容認できぬ」)。我々は中国の国内外を問わず、同法適用を断じて許さない。

 中華人民共和国と名乗るが、そもそも共和国とは民主主義に基づき主権が国民に所有されている国を指す。国民によって直接あるいは間接に選挙によって選ばれた代表が統治する制度である。選挙で統治者を選んでいない中華人民共和国が共和国を名乗る資格は全くないのである。
 22年10月、共産党大会の開催直前に心ある中国人が北京の高架橋に掲げた巨大な横断幕を思い起こそう。「不要封鎖、要自由」(封鎖は要らない、自由は欲しい)、「不要文革、要改革」(文化大革命は要らない、改革は欲しい)、「不要領袖、要投票」(独裁者は要らない、投票が欲しい)。まさに「不要中共」なのである

【思想新聞 7月15日号】中国の威嚇 新法施行とSLBM発射は歴史的転換点/連載・「辺野古沖転覆事件」の深層/文化マルクス主義の群像/共産主義定点観測

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