世界思想1月号を刊行しました。今号の特集は「2022 日本の針路 衆院選が示したもの」です。
ここでは特集記事の一部 【家庭再建を軸にした子供政策を】 についてご紹介します。
心有る議員・有識者の尽力によって、子ども政策を一元化するために新しく作る組織の名称が「こども庁」から「こども家庭庁」になりました。本記事は「こども家庭庁」になる以前の「こども庁」という名称で設置を進めていた時点に執筆した記事となっていますが、子供を巡る政策に「家庭」の文字が入る重要性を訴える内容となっています。このことを踏まえて、ぜひご一読ください。
今回の衆院選では、当初、選択的夫婦別姓や同性婚に対する姿勢が大きな争点の一つとされていた。
しかし、NNNの出口調査を見ると、これら「ジェンダー平等」に関わるアジェンダが、それほど大きな関心事ではないことが明らかになった。
最も重視した政策として上位を占めたのは景気対策やコロナ対応、子育てなど、より現実的な課題で、「ジェンダー平等の推進」を挙げたのは最も多い10代でも8・3%と1割に満たず、30代以上では0・6〜2・5%と極めて少数にとどまった。
特殊な事情で苦しむ「当事者」の事情が強調される一方で、婚姻・家族制度が持つ意味や、それが崩れた時の悪影響については一切語られない。
メディアはさかんに「伝統的な家族」から「多様な家族」への時代の変化を強調するが、「家族は大切だ」と考える国民は多いのだ。
衆院選で夫婦別姓に唯一、賛意を示さなかった自民党は絶対安定多数を確保した。
政治家、専門家は家族の重要性を強調したり、「家庭再建」を叫ぶことに躊躇する必要はない。
子供の幸福と家庭再建は切り離せない
その意味で最も懸念されるのが、子供を巡る政策の方向性だ。
問題は、これらの議論の中核に来るべき「家庭再建」が不当に軽視されていることだ。
象徴的なのが「子ども庁」という名称それ自体だ。当初は「子ども家庭庁」という名称だったが、被虐待児にとって家庭は安全な場所ではないという理由で「家庭」の文字が削除されてしまった。
この論法は明らかにおかしい。
被虐待児にとって忌避されるべきは、虐待を生み出した歪な家庭環境であって、「家庭」そのものではない。
むしろ、彼らにとって必要なのは、親代わりとなって自らを愛情で包んでくれる新しい「家庭」だ。
子供の成育における父母や家庭の役割を軽視する左翼系の活動家が、武器として用いるのが「子どもの権利条約」だ。活動家らは同条約によって子供が「保護される対象」から「権利の主体」に変わったと主張する。
実は、この条約には当初から拡大解釈を懸念する声が上がっていた。西独(当時)は批准議定書に「子どもを成人と同等の地位に置こうというものではない」と明記し、米国に至っては「自然法上の家族の権利を侵害するもの」として批准しなかった。
日本では、増え続ける虐待や子供の貧困をひきあいに「子どもの権利」を法律に書き込んでいないことが問題だと短絡的に考えられている。
しかし、虐待が起こるのは子供の権利が法律に書き込まれていないからではない。夫婦や三世代が一体となって子供を愛情で包み込む家庭や共同体が壊れているからだ。
子供政策は、家庭再建とセットで考えるべきである。
当然、憲法改正においても、家族保護条項の追加は欠かせない。
(「世界思想」1月号より )
◆2022年1月号の世界思想 特集【2022日本の針路 衆院選が示したもの】
Part1 軍事力を使わない戦争 経済安保政策の構築待ったなし
Part2 家庭再建を軸にした子供政策を
Part3 憲法改正に踏み出す時
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Leaflet – やっぱり危ない!選択的夫婦別姓論