「世界思想」6月号特集【誰が若者の命を危険に晒したのか~辺野古転覆事故から読み解く偏向した「平和教育」と左派運動の闇~】から
【Part2 共産主導の「オール沖縄」原型̶ヘリ基地反対協議会】
をお届けします。
事故直後の「ヘリ基地反対協議会」(以下、反対協)の記者会見では、辺野古漁港を不法占拠している活動拠点「テント村」の元村長・安次富浩顧問が頭を下げず、ふんぞり返った姿勢が話題になった。
事故当日、現場海域には波浪注意報が発令されており、海上での活動には極めて高いリスクが伴う状況だった。リスクを冒してまで出航の判断をしたのは、反対協メンバーで「平和丸」と「不屈」の船長2人だった。
「オール沖縄」の原点過激化する「反対協」の実態
反対協は、普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設阻止を掲げて結集する「オール沖縄」勢力の有力な構成団体の一つであり、原点とも言える。
反対協の正式名称は「海上ヘリ基地建設反対・平和と名護市政民主化を求める協議会」。1997年10月、辺野古沖に計画されたヘリパット建設反対を旗頭に、共産党を中心とした革新政党のほか、自治労などの労組や「市民団体」が集まって結成された。辺野古の米軍基地キャンプ・シュワブのゲート前や海上で抗議活動を行っている。亡くなった高校生を乗せた「平和丸」の船長は、今帰仁村議会選挙にも共産党公認で立候補したことがある人物であることも分かっている。
オール沖縄会議ができたのはその7年後のことだ。政党や団体、経済界を束ねる政治運動として発展してきているが、反対協の主張が色濃く出ている。
2021年9月の沖縄県議会定例会では、県警本部長は「基地反対運動には極左暴力集団も参加していることを確認している」と答弁した。
以前は、威力業務妨害などの容疑で多くの逮捕者を出している関西生コン(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部)の職員などもテント村に常駐していた。
繰り返される事故と地域住民への深刻な被害
14年に、辺野古漁港そばの汀てい間ま 漁港から出航した抗議船の船長が亡くなる事故が起きている。昨年1月には、名護市議で反対協事務局長の東恩納琢磨氏のプレジャーボートが、地元記者を乗せて出発すると、辺野古沖で潜水中の漁業者に接近するトラブルを起こしたことも分かっている。漁師の命を落としかねない危険な行為だった。
キャンプ・シュワブのゲート前での座り込みがある日には、沖縄本島北東部をつなぐ幹線道路である国道329号線など周辺道路で渋滞が発生している。通勤・通学、通院といった生活動線の阻害が報告されている。また、拡声器によるシュプレヒコールが近隣住民の安眠や静穏を妨げている。
辺野古からそれほど遠くない東村高江の米軍北部訓練場におけるヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設工事の際にも、反対協をはじめオール沖縄系の反基地活動家らは暴力的な抗議活動をした。ゲート前で警備員を恫どうかつ喝した上に顔写真をネットに公開するなど、嫌がらせ行為を繰り返した。
さらに、辺野古埋め立てに使う土砂の搬入地である名護市と本部町の港でもダンプカーの通行を妨害する行動をしている。24年6月には、女性活動家が通行を止めようとダンプカーの前に出ようとしたところ、それを制止しようとした警備員がひかれて死亡する事故が起きた。
問われる玉城知事の責任と先細る運動の独善性
当然、これらの事故の政治的責任は玉城デニー知事に及ぶ。 玉城氏は活動家を激励するため、たびたび辺野古を訪れ、抗議船にも乗船している。知事のこうした行動は、抗議活動にお墨すみ付つきを与えているのだ。今回の事故後、弔意は表しているものの、反対協や「平和学習」の枠組みそのものに批判せず、事故検証には消極的だ。これに対し、県内外からは「自身の支持基盤である活動家グループに忖そんたく度している」と批判が上がっている。
地元紙の沖縄タイムスと琉球新報は、事故の原因や反対派の過失を深掘りしようとせず、「基地建設の是非」に焦点を当てた報道に徹している。県政と反対協、メディアがスクラムを組んで反基地運動を展開。今回の事故が矮小化されている背景には、「ムラ社会的な構造」があるといえよう。
沖縄の反基地運動など社会問題に詳しい批評家の篠原章氏は言う。
「反対協の人たちの認識は“すべての原因は政府にある”というもの。つまり政府が辺野古を埋め立てさえしなければ、反対運動など起きなかったという理屈を押し通している」
現在の反基地活動の中心は自治労や日教組出身の元公務員や元教員だ。常駐する人数も減り、活動は週末に限定しているなど、運動は先細っている。
篠原氏によると、作家の大江健三郎氏も抗議船に乗ったことがある。ただ、同氏は熱中症で体調を崩し、ゲート前の抗議集会であいさつせずに早退しようとした際、反対協メンバーが「卑怯者」と罵倒した。こうしたエピソードからも、独善的で排他的な体質が見て取れるのである。
◆2026年6月号の世界思想 特集・誰が若者の命を危険に晒したのか~辺野古転覆事故から読み解く偏向した「平和教育」と左派運動の闇~
Part1 政治的中立性無視し左翼が利用する「平和学習」
Part2 共産主導の「オール沖縄」原型̶ヘリ基地反対協議会