韓国に対する米議員の「最も厳しい」警告

 

対中・対北強硬派の米議員、北朝鮮に対する経済協力に痛烈批判

 

 米議会上院外交委員会のテッド・クルーズ議員(共和党)が、韓国への懸念をポンペオ米国務長官に書簡で伝えた。ロバート・メネンデス議員(民主党)とともに行ったもので、韓国内で「最も厳しい」(朝鮮日報日本語版、2月16日)警告として、問題になっている。警告の内容はもちろん、北朝鮮に対する経済協力への批判だ。

 

 クルーズ氏は16年の米大統領選で、トランプ現大統領と共和党候補の座を争った人物である。熱心なクリスチャンとしても知られ、13年の医療保険制度改革(オバマケア)の成立時には予算の成立を阻むために21時間以上の演説を行った。もちろん米議会史上、最長の演説である。対外的には対中、対北強硬派として知られ、仮に韓国側が警告の内容を無視すれば、さらに強硬な手段に出ることが予想される。

 

名指し批判され、改めて赤裸々になった文政権の親北ぶり

 

  クルーズ氏は書簡で、韓国の文在寅大統領と康京和外相(外交部長官)を名指しで批判した。理由は、米国の対北朝鮮制裁関連法(北朝鮮との金融取引等を禁止)に両者が違反している可能性があるというものだ。

 

 「文大統領は昨年9月の南北首脳会談の際、複数の韓国企業トップを同行させ、開城工業団地と金剛山観光の正常化や年内の南北鉄道連結などについて話し合った」

 「文大統領は南北による共同宣言の中で、西海(黄海)経済共同特区と東海(日本海)観光共同特区に合意した」

 以上のような内容である。

 

 他にも、文大統領が英仏両国や欧州連合(EU)に対して北朝鮮制裁の緩和を求めたこと、康外相が開城工業団地に現金ではなく現物を持ち込む方策を検討中と発言したことなども指摘されている。

 さらに書簡では、文政権だけでなく、韓国の民間企業が制裁に違反している可能性にも言及している。

 

南北首脳会談で、15万人の観客の前で演説し手を散る文氏と正恩氏。

 

  具体的には、昨年5月に韓国の複数の銀行が北朝鮮への投資を目的とする部署を立ち上げたこと、昨年9月の南北首脳会談に複数の韓国大手企業トップが同行したことなどだ。たとえ民間企業でも抜け駆けは許さない。そんな厳しい態度を示したのである。

 

 書簡では、米議会で16年に成立した対北朝鮮制裁増進法など、米国の6つの法律にも言及している。これが極めつけに重要だ。なぜなら、たとえ国連安保理による制裁決議に違反していなくとも、米国の制裁関連法に違反すれば米国による制裁を受けることになるからだ。米国による制裁とは米銀行との取引停止を意味する。国際社会での取引はすべて米ドルで行われているから、米ドルが手に入らなくなれば銀行は廃業せざるを得ない。極めて強力な制裁である。

 

 しかも関連法は議会で制定されたものだから、制裁はトランプ氏の意向とは別に発動する。つまりトランプ政権が大目に見ても、米議会の意向で制裁を発動できるということである。これが韓国内で、クルーズ氏の書簡が問題になっている理由である。

 

 朝鮮日報(日本語版)は2月16日、社説で次のように述べている。

 「両議員(=クルーズ、メネンデス両議員)が、文大統領と康京和外相を名指しし、米国における制裁関連の法律に違反している可能性に言及したことは大きな問題だ」

 「米議会とメディアを通じて伝えられた警告を今後も聞き流しているようでは、韓国の企業や銀行がある日突然厳しい困難に直面してしまうかもしれない

 

 

文政権は目を覚まし警告を受け止めよ

 

 文政権の従北政策は目に余るものがある。

 核兵器で周辺諸国を脅して独裁体制の温存を図る北朝鮮を擁護するなど、現代の国際社会において認められるはずがない

 

 しかし韓国内では、北朝鮮が長年にわたり懐柔工作を浸透させてきたために、政権を支持する国民も多い。韓国はますます国際社会から孤立しつつある。

 

 

 しかし米議員による「最も厳しい」懸念に加え、日本もいわゆる「徴用工」問題に関連して、韓国への経済制裁を検討しているという話がある。いずれも実際に発動すれば、ただでさえ不況が続く韓国経済にとって致命的な打撃となるだろう。

 

 韓国の独りよがりが通用する見込みはない。政権の支持率低下を対北擁護でカバーするなどもっての他だ。韓国政府はクルーズ氏の書簡で目を覚ますべきである。

 

 

 

思想新聞「体制共産主義に警戒を」3月1日号より掲載のニュースは本紙にて)

3月1日号 米中貿易協議「延長か関税引き上げか」/ 勝共50週年記念鹿児島大会 / 主張「自衛官募集を自治体の義務にせよ」 etc

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