【衆院総選挙総括】 共産は議席減でも反省なし。狙いは立民の分裂・崩壊か

 49回衆院総選挙は、大方の予想を裏切って自民党と公明党の与党が大健闘。立憲民主党と日本共産党を中心とする野党共闘は不発に終わった。自民は単独で絶対安定多数の議席を獲得し、岸田政権は国民から承認された。内外の喫緊の課題にむかって果敢に前進してもらいたい。一方、政権交代が実現した場合の立民・共産の枠組み合意=「限定的な閣外からの協力」は、両党が議席減となり、完全に破綻した。立民の枝野・福山体制は退陣を余儀なくされ、年内に代表選が行われる。しかし例によって共産党には全く反省はない。
 ここでは思想新聞11月15日号トップ記事【第49回衆院総選挙総括】の記事の一部「共闘」の総括を紹介します。

共闘の「大義」を強調する共産

 

 共産は衆院選で公示前から2議席減となり、10議席に退潮した。国民が1議席上回っている。

 しかし共産は成果を強調し、反省の色はない

 

 共産党委員長となって21年目となる志位和夫委員長は10月23日、衆院選で「一つの到達点に手をかける」と述べた。共産が野党共闘路線に舵を切ったのは2015年、今は「野党連合政権」を提唱している。

 巨大与党の前に共闘を実現しなければならないと繰り返し、全選挙区の3分の2以上で候補者の一本化をリードした。そして立民による政権が誕生した場合、共産は「限定的な閣外からの協力」をすることで9月30日の党首会談で一致した。「画期的な成果」であると志位氏は明言する。

 

 代償は少なくない。小選挙区での擁立は半減し、比例票獲得にも影響が出てくる。その懸念は的中した。しかし共闘の「大義」を強調し続けている。共産党の狙いは一時的な議席増ではなく、中長期の目標があるとみなければならない。

 

 11月1日、日本共産党中央委員会常任幹部会が開催され、その後、声明が公表された。要約して紹介する。

 選挙結果を受けながらも、「最初のチャレンジとして大きな歴史的意義があったと確信」すると述べ、この選挙での野党共闘を評価し、「共通政策、政権協力の合意という大義を掲げて戦った」ことによって「一定の効果を上げたことは間違いない」という。「全国62の選挙区で、野党一本化をはかった候補が激戦に競り勝ち、何人もの自民党の重鎮、有力候補を落選させたことにも示された」と述べている。

 一方、「野党共闘」の「課題も残した」として「特に野党が力を合わせて、共通政策、政権協力の合意という共闘の大義、共闘によって生まれうる新しい政治の魅力を、さまざまな攻撃を打ち破って広い国民に伝えきる点で、十分とは言えなかった」「共闘の大義・魅力を伝えきれなかったことが、自公の補完勢力=『日本維新の会』の伸長という事態を招いた一因に」なったとの判断を示している。

 

 結局党の方針と戦略は間違っていないが、さまざまな攻撃のゆえに国民に伝えきれなかったことが明確な成果を上げることができなかった原因であると述べているのだ。

 

 そして、「国民の声を聞かない自公政治がいつまでも続いていいわけがありません」「いまの選挙制度のもとでは、日本の政治を変える道は共闘しかありません」と述べている。

 

 「比例代表選挙で、前回獲得した11議席から9議席に後退」したことは大変残念な結果であり、「得票数は440万から416万票へ」「得票率は7・90%から7・25%への後退」も「わが党の力不足」故であり、共闘路線という基本戦略に間違いはなく、反省に及ばないと強弁している。

 

 そして「4つのチェンジ」の「どの訴えも、国民の利益にかない、声が届いたところでは共感を広げた」とし、「とくに、暮らし、平和の問題とともに、『気候危機打開』『ジェンダー平等』という新しい世界と日本の大問題を、選挙戦の大きな争点に位置づけて訴えぬいたことは、若い方々を含めてこれまでにない新しい方々への共感を広げる、重要な意義をもつものとなりました」「これを、総選挙での訴えにとどまらず、今後の国政選挙でも、国民運動の面でも大いに重視し、とりくみを発展させたい」と述べている。

 最後に、「来年夏には、参議院選挙」であり「日本共産党は創立100周年を迎える」。「市民と野党の共闘を成功させながら日本共産党の躍進をかちとるという『2大目標』をやり遂げ、党創立100周年を、新しい政治変革のうねりのなかで迎えられるよう、参院選勝利をめざす宣伝・組織活動と、強く大きな党をつくりあげる仕事に、ただちに足を踏み出す」とまとめているのだ。

 

 共産党が目指すのは、「立民・共産合作」から立民の分裂・崩壊。

 そして共産党が野党共闘の主導権を握ることにあるとみなければならない。

 レーニンのロシア革命への道、毛沢東の中国革命への道、すべて統一戦線方式によって開いてきたことを忘れてはならない

 「最初のチャレンジ」「歴史的意義」の意味は立民との政権枠組み合意により、立民が分裂と崩壊の危機にあることに、共産の正しさがあるといわねばならない。

参考記事)立・共共闘 共産支持層8割「続けた方がよい」(産経・FNN合同調査)

(掲載のニュースは本紙にて)

11月15日号  【第49回衆院総選挙総括】国民が承認、第2次岸田政権始動・共産の「共闘路線」は否定された/ 2021年国際情勢の認識と日本の国益 目標・ビジョンこそ不可欠(上) /【主張】自民党は「立党の悲願」成就せよ

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