『世界思想』表紙とメディアの不都合な真実

 昨今、多くのメディアで月刊誌『世界思想』の表紙を並べて、「安倍晋三元首相がこれほど多く登場するのはズブズブの関係」といかにも短絡的な決めつけを行っている。その奔りとも言えるのが、昨年9月の日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」電子版だ。

ネット上で拡散された印象操作

  現在の『世界思想』は発行元が「平和大使協議会」になっているが、「世界思想出版」として発行していた旧『世界思想』で2019年3月まで続いたデザイン・装丁だ。

 もともと「世界思想」の表紙を並べたのは、いわゆる「陰謀論」界隈で無断使用され、ネット上で印象操作と拡散。この印象操作を剽窃したのが、破防法調査対象団体である日本共産党の「しんぶん赤旗」だ。21年9月18付電子版で安倍氏のUPFインターナショナルへのビデオメッセージと共に『世界思想』誌も「宣伝利用」されているとし、「安倍氏の道義的責任が問われる」などと、安倍元首相の戦後政治史に残る業績を矮小化する道具に用いるのは、今の大半のメディアと同じである。

 言い換えれば、「共産革命」の野望にとって最大の敵が、自民党タカ派であり、理論的には勝共思想ということだ。それを各メディアがなぞることで、結果的に共産党の野望に加担することになることを、一部の保守知識人はうすうす気づき始めている。

旧『世界思想』の表紙を並べた「しんぶん赤旗」電子版

写真は選挙で撮影したもの。「特別な関係」ではない

 さて、安倍元首相の名誉のためにあえて言えば、表紙の写真はいずれも国政選挙の際にカメラマンが撮影したもの。時の首相が表紙に登場するのは安倍氏だけではない。

 その「証拠」として他の方々も表示させていただこう。要するに、言いたいのは「特別な関係」ではなく、選挙の際に撮影したものだからであって、安倍氏だけを並べるのは稚拙な印象操作であり、とても公正公平なジャーナリズムとは言えないということである。安倍氏の登場回数が多いのは長期政権で選挙の回数が多かったからである。もっとも「しんぶん赤旗」は、公正公平なジャーナリズムではなく、共産党のプロパガンダ紙でしかないが。

 1995年の自社さ連立政権で選挙を迎えた村山富市首相、2005年の「郵政解散」における小泉純一郎首相、2009年の政権交代時の鳩山由紀夫民主党代表(後に首相)、2010年の菅直人首相の際の表紙を掲載する。このようにしてみると、決して安倍氏だけが「特別な関係」というわけではないことがわかるだろう。

過去の旧『世界思想』の表紙より。村山富市元首相、小泉純一郎元首相、鳩山由紀夫元首相、菅直人元首相と、いずれも国政選挙の際にカメラマンが撮影したものである

 

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