共産党の「宗教弾圧」工作を許すな

  共産主義の祖、マルクスは「すべての神々を憎悪する」と述べ、「宗教はアヘン」と断じた。このことについて英国の政治学者E・H・カーは、こう述べている。 「マルクス主義は、1840年代の初めにその創始者によって採られた立場から、永久に後退しなかった。それはつねに、宗教論争をその本質的な仕事の一つとみなしてきたのである」(『カール・マルクス』未来社)
レーニンもまた、「宗教への妥協なき闘争」をロシア革命とそれ以降の共産主義革命の主題に据えた(『唯物論と経験批判論』1908年)。むろんコミンテルン(国際共産党=事実上のソ連共産党)日本支部として100年前に創設された日本共産党も同様である。
スターリン憲法と称される「ソビエト社会主義共和国同盟憲法」は良心の自由を保障する一方で(建て前だけの話だが)「反宗教的宣伝の自由は、すべての市民に認められる」(第124条)とし、これを引き写して終戦直後に日本共産党が作った「人民共和国憲法草案」も「反宗教的宣言の自由もまた保障される」(第10条)としている。

弾圧の口実に使うカルトのレッテル

  中国共産党の場合は、憲法で「信仰の自由を有する」とする一方で「国家は、正常な宗教活動を保護する」(36条)とし、その「正常」の判断は当然のごとく共産党が行うのである。「正常」なのは国務院宗教局が認めた管制団体すなわち「中国仏教会」「中国道教協会」などにすぎない。管理下の僧侶らは国から給与をもらって国家公務員扱いされ、管制団体には布教の自由を与えず、むろん一切の政治活動も禁止しているのである。

 これに対して「正常」と見なさない宗教団体には「カルト」のレッテルを貼って弾圧してきたのが実態である。1999年4月に気功集団「法輪功」の会員ら1万人が北京・中南海を取り囲む事件が起こると、共産党はまず法輪功を「危険なカルト」とのレッテルを貼り、創始者の李洪志師への個人攻撃など反法輪功キャンペーンを張り、幹部らを逮捕。99年以降、3千人以上が拷問死し、虐殺された会員は6万人以上に上るとされる。

 日本共産党は宗教団体を保守基盤の票田とみなし、「わが国の反共風土」を形づくる大きな要因と捉え、絶え間なく宗教界の弱体化と無力化、あるいは懐柔を画策してきたのである。 「宗平協」(日本宗教者平和協議会=1962年創設)という日本版「管制団体」を作って仏教会やキリスト教団に「憲法9条を守る」と唱え巧妙に入り込むなど護憲教団を取り込んだ(統一戦線である)。東本願寺紛争や大本教団紛争では「民主化」の名の下に介入。神道は「軍国主義に連なる」とし、創価学会など反共産党の新興教団には反社会的、狂信団体とのレッテルを貼って攻撃した。

 教主のカリスマ性の高い新興教団に対しては教主の対する信徒の崇拝心や団結心を打ち砕くために私生活上の汚点や教団財政、役職をめぐる争いなどを潜入党員や共産党系ジャーナリストを動員して探らせ、反教団キャンペーンを張った。

 70年代後半には「宗教界の右翼的再編が深く静かに進行している」として、「右派団体といわれるグループと、新宗連(新日本宗教団体連合会=いわゆる新興教団)を中心とするグループと創価学会という三つがそろそろ手を握り始める傾向がある」(共産党機関誌『文化評論』79年10月号)と危機感を露わにした。

 創価学会に対しては当初、取り込みを図り「創共協定」(74年12月)を結んだが、80年に破綻すると学会攻撃に転じ、これに同調する月刊誌や週刊誌とともに反学会共闘を演じた。

 80年代に入ると、本連合が推し進めたスパイ防止法制定運動が高まったことに驚愕し、これを潰そうと世界平和統一家庭連合(旧統一教会)攻撃を朝日新聞と組んで繰り広げた。それが霊感商法キャンペーンである。第2次安倍政権下の2010年代に改憲の機運が高まると、全国的な運動を進めてきた日本会議を標的に「神道=軍国主義」のレッテル貼りに狂奔。これにも朝日新聞が同調した(例えば、連載「日本会議をたどって」16年11月など)。

中国共産党による迫害を訴える法輪功のサイト

中国ばりの弾圧めざし暗躍する

  安倍晋三元首相の銃撃事件について中国は世界平和統一家庭連合をいち早く「邪教(カルト)」と認定し非合法化してきたと自賛。共産党系の環境時報は「中国のカルト一掃の正しさを示した。…(山上徹也容疑者が)もし中国で暮らしていれば、政府は彼が正義を追求するのを助け、この宗教団体を撲滅しただろう」とし、日米などは「中国の(カルト排除の)努力を『宗教上の自由への迫害』だとゆがめている」とウイグルやチベットでの宗教弾圧を正当化している(共同通信=毎日7月30日付ネット版)。

 これと思考回路を同じくする弁護士や左翼マスコミは教団を「カルト」と断じ、山上容疑者への同情論をおあり、「正義を追求するのを助け」るかのようなキャンペーンを張り、教団の撲滅を目指し、中国ばりの宗教弾圧を策動している。背後に日本共産党が暗躍しているのは論を待たない。

 

【思想新聞9月1日号】中国 今秋党大会に向け最終調整/名古屋支部で安保セミナー/マルクス・レーニン主義/共産主義定点観測

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