偏向テレビは免許剥奪も視野に

 言論界に共産主義者が入り込み、日本を貶めて革命の機会を狙う─。これが戦後日本の宿痾である。とりわけ新聞のイデオロギー的偏向報道は枚挙に暇がない。その新聞社を母胎に系列化されているのがテレビ各局である。立憲民主党の議員が総務省の「行政文書」を持ち出し、2015年の安倍晋三政権時の放送法の「政治的公平」の解釈を巡って「政治介入があった」などと騒ぎ立てているが、笑止千万の茶番劇というほかない。テレビの偏向報道もまた枚挙に暇がないからである

 終戦直後に共産党員が新聞社に入り込んだことは広く知られている。例えば、読売新聞社では労組が正力松太郎社長(当時)の「戦争責任」を追及して読売争議を起こし経営に介入しようとした。社内に「赤い社員」(正力氏)が闊歩し、紙面で「人民の機関紙たること」を宣言、これを共産党が支援したのである。読売はこれと戦い1946年10月、労組幹部を退社させ正常化したが、多くの新聞社で「赤い社員」が温存された 。

共産党に同調の朝日社説の欺瞞

  その代表が朝日新聞社である。朝日が共産党の主張に歩調を合わせてきたことは常識の範疇に入る。戦後日本が自由陣営の一員となったのはサンフランシスコ講和条約(52年)に拠るが、朝日は「全面講和」(47年8月19日付社説)と「永世中立」(49年4月12日付社説)を社論の両軸に据えた。

 これはソ連共産党が唱えていたもので「〝進歩的グループ〟や日本共産党の主張と酷似していた」(外交評論家・曽野明氏『正論』85年1月号)。爾来、朝日の論調はほぼ共産党のそれと言ってよいであろう。

 新聞社とテレビ局の系列化については朝日新聞が言うまでもなくテレビ朝日であり、毎日新聞がTBSであることは周知の通りである。したがって両テレビ局もまた、新聞の左派論調の影響を受けた偏向報道が少なからず存在すると指摘されてきた。これを看過することは許されない

 元来、テレビは報道機関と言っても新聞とは違い、公共の周波数を優先的に割り当てられ、放送免許を総務相から与えられているからである。

 すなわち放送法第4条は、①公安及び善良な風俗を害しない②政治的に公平である③報道は事実をまげないでする④意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする─ことを定めている

 これがしばしば破られる。例えば、テレビ朝日の看板番組だった「ニュースステーション」の所沢ダイオキシン虚偽報道(99年)がそれである。埼玉県所沢市で丹精を込めて作られた野菜がテレビ朝日の番組によって一夜にして売れなくなった。報道は事実を曲げないでするのを平然と破った「虚偽報道」による風評被害である。

 また政治的に公平を破った典型例がテレビ朝日の椿事件である(93年)。同年の総選挙で椿貞良報道局長(当時)は「今は自民党政権の存続を絶対に阻止して、なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」との方針を出し、自民党幹部を悪代官に描く「リピート手法」(ある映像を何度も繰り返す)でイメージダウンさせ、下野に追い込んだ。

 椿氏は日本民間放送連盟(民放連)の放送番組調査会の会合(同年9月21日)で、政治的公平を破ったことを自ら白状し、国会に証人喚問された。テレビ朝日は椿氏を解任することによって放送法違反による免許取り上げの事態を免れた。その後もテレビ朝日に限らず、政治的公平を欠く(偏向報道)テレビ番組が少なからずある

テレビ朝日「椿事件」の椿貞良報道局長

政治的公平でない「極端」偏向報道

 「政治的公平」については放送法が制定された50年に「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体で判断する」という見解が採られただが、「放送事業者の番組全体」を口実に個々の偏向は目を覆うばかりとなったのである。とりわけ椿事件のあった1990年代は世界的にそういう傾向が噴出した時代だった。

 フランスのジャーナリスト、アラン・マンクは、90年代初めの湾岸戦争の時からテレビ報道は「ショー的な報道」に傾斜し、事件映像の反復・誇張を繰り返し、その解釈をキャスターや記者の思いあがった「価値決定」によって画一的に押し付けるようになったと指摘している(『メディア・ショック』新評論)。

 まさに、わが国のワイドショー番組がそうである。椿事件のみならず自民党政権に批判的なコメンテーターを並べて好き勝手なことを言わせ、これを批判されると「番組全体」という見解を持ち出して言い逃れた

 そこで2015年の安倍晋三政権時に総務相だった高市早苗氏(現・経済安全保障相)が従来見解に「一つの番組でも極端な場合、政治的公平を確保しているとは認めがたい」を加えたのである。これが今回、首相官邸からの「政治介入」だと騒ぎ立てられているが、「極端な場合」は政治的公平でないと判断するのは当たり前の話ではないか。 「赤いメディア」の徘徊を許さず、テレビ免許の剥奪も視野に入れよ

国会で答弁する高市早苗氏

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