中国の「反日世論戦」を粉砕しよう

 中国共産党(中共)政権の欺瞞性が一層、浮き彫りになっている。東電福島第1原発の処理水の海洋放出について中共はこれを「核汚染水」と呼び、海への放出は「最悪の環境破壊だ」とわが国を罵倒し、中国人民にニセ情報を垂れ流して「反日」を煽動している。事実隠蔽、歴史捏造を繰り広げている。わが国はこうした中共と全面的に戦って勝利(勝共)しなければならない。

 処理水について一言しておこう。原発からの処理水には放射性物資トリチウムが残るが、これは自然界に存在するもので人体への影響はほとんどない。その安全基準を大幅に下回らせ、さらに海水で薄めて放出するのが福島原発の処理水だ。

 ならば中国の原発はどうか。共同通信北京電(8月8日)は中国の原発から2021年に放出された排水に含まれるトリチウムの量が計17カ所の観測地点のうち、7割を上回る13カ所で福島原発の処理水の年間放出予定量の上限を超えていたことが中国の公式資料で判明したと伝えている。

 それによると、原子力専門書「中国核能年鑑」が13カ所の原発から排水されたトリチウムなどの放射性物質に関する計17カ所の観測データを記載。浙江省の秦山原発は21年の1年に218兆ベクレルと、福島での処理水海洋放出計画が設ける年間上限「22兆ベクレル」の約10倍に当たるトリチウムを放出していた。

福島の処理水放出計画の約10倍にあたるトリチウムを放出していた中国・秦山原発

「愛国=反日」の歪な共産党歴史観

  中共は、このような自らの情報は人民に知らせもせず、わが国の処理水を「核汚染水」と罵っている。一事が万事である。処理水問題だけでなく、事あるごとに日本への憎悪を駆り立て、人民に「鬼畜日本」を浸透させようとしているのだ。中共政権は虚偽にまみれた反日政権なのである。

 事実を隠蔽するのは本当のことが知れれば、自らの「犯罪」が明らかになり、政権の正当性が消滅するからである。「嘘は泥棒の始まり」というが、中共は幾多の人民の命を奪った極悪の泥棒集団である。それを覆い隠すために、自らの保身のために虚偽情報を撒き散らしているのである。

 それは何のためか。1989年の人民弾圧の天安門事件以降、ソ連・東欧の崩壊も加わって共産主義は精神的規範として通用しなくなった。そこで共産党の吸引力を維持するために持ち出したのが「愛国主義」である。

 中共中央委は94年8月、「愛国主義教育実施要綱」を全国に送り、徹底して愛国主義教育を行うことを指示した。同要綱は「(愛国主義は)わが国の社会の歴史的前進を推し進める巨大な力であり、各民族の共通の精神的支柱である」と中華ナショナリズムを押し出した。それを習近平国家主席はさらに〝進化〟させている。

 だが、この「愛国」が歪んでいる。本来、歴史をもって愛国を言うなら、中国の5000年の歴史を誇ることから始めればよい。世界遺産として万里の長城や北京の天壇など多数の歴史的建造物があり、中国文明は世界に誇れるはずではないか。

 ところが、共産党の「愛国」はそうした歴史や文明ではなく、あくまでも「愛共産党」なのだ。唯物史観に基づき、中国5000年史は「階級歴史」で古代からの遺産の大半は支配階級のものと断じ、支配階級への憎悪を教育こそすれ誇りは教えない。中国史で最も偉大なことは帝国主義と戦い、社会主義政権を樹立したこととし、その〝輝かしい〟共産党の歴史賛美が「愛国主義教育」にほかならなかった。

 だから必然的に愛国イコール反日となる。90年代以降、愛国主義教育拠点を200カ所以上も作ったが、それらの大半は北京の抗日戦争記念館(731部隊の人体実験の蝋人形設置)や南京の虐殺記念館(白骨を並べた万人杭の設置)といった反日テーマ館である。

 中共は日本の「侵略」「虐待」への中国人の反感を高めれば高めるほど、その日本との抗日戦争を戦い勝利したとする共産党の正当性が高まるとの構図を描いてきた。むろん、これも虚偽である。共産党は1937年の第2次国共合作以降、国民党の「八路軍」にすぎなかった。その事実をねじ曲げ、中共がまるで大陸から日本を追い出し人民を救ったかのように言う。

共産党の大虐殺弾圧は隠蔽する

 中国の教科書でも歴史捏造を繰り広げてきた。民間シンクタンク「日本政策研究センター」の調査によれば、旧日本軍が中国人に細菌実験を行っている場面として中国の教科書に掲載している写真は昭和3年の済南事件で虐殺された日本人居留民を検視している写真だった(産経新聞2005年4月1日付)。

 中国は日中戦争の犠牲者を1960年までは「1000万人」としていたが、60年代末には「1800万人」、85年には「2100万人」、今日では「3500万人」に膨れ上がらせている。 その一方で中共政権下の大躍進運動や文革での数千万人規模の犠牲者については一切教えない。天安門事件に口を閉ざしチベットやウイグルなどでの虐殺は隠蔽している。

 この延長上で、わが国の原発処理水を「核汚染水」と罵っているのだ。中共の反日「世論戦」に対して果敢に戦い粉砕しなければならない

【思想新聞月9月1日号】辺野古移設、沖縄県が最高裁で敗訴/真・日本共産党実録

機関紙「思想新聞」へのお問い合わせ・購読はこちらへ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

「いいね」と思ったらシェア!