高市早苗内閣は4月、防衛装備品の輸出ルールを定めた防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、従来の非戦闘目的に限定する「5類型」を撤廃し殺傷能力のある武器の輸出を原則容認することとした。この方針転換を我々は歓迎する。自由と民主主義を愛する諸国民も歓迎するであろう。
「最高の贈物は剣」アラブの諺 生かせ
アラブの古い諺に「最高の贈物は剣」というのがある。アラブに限らず古今東西、人々は「剣」を最高の贈物にした。自分の命を守る、部族や民族の命を守る。その武器たる「剣」が重宝がられたのは当然のことだ。逆に言えば、「剣」を贈らないのは矛先を向ける魂胆を隠し持っているのか、それとも自らのみ生き残ればよいとの偏狭な「利己心」からか、いずれにしても在らぬ疑いを抱かれ歓迎されることは全くないのである。
そもそも、わが国には武器輸出を禁止する法律は存在しない。1967年に当時の佐藤栄作内閣が軍事転用される技術流出について問われ、①共産圏②紛争当事国または紛争の恐れのある国③国連決議で武器輸出を禁じた地域―への武器輸出を認めないとする「武器輸出三原則」を表明したのが始まりである。それをリベラルな三木武夫内閣が76年に「三原則対象地域以外の地域についても慎重に対処する」と事実上、武器輸出が不可能な「武器禁輸三原則」に変質させた。それも政治判断にすぎない。
こんな故事もある。1970年代のオイルショック(原油価格高騰)では巨額の資金がOPEC(石油輸出国機構)加盟諸国に流れたが、産油国はその資金で武器を買ったので売った先進国側は経済悪化をしのいだ。それで野党議員から「日本は武器を売らないのか」と問われた宮澤喜一外相は、「わが国は兵器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれてはいない」(76年5月、衆院外務委員会)と、はぐらかした。当時は世界第二の経済大国で金に困らなかったからだが、武器禁輸三原則で自らの手足を縛っていたので売りたくともできなかったのだ。
80年に園田直総理特使が中近東6カ国を歴訪した際、相手先の首脳から「経済援助も大いに結構だが、日本が我が国に真の友情をもっているなら、武器を援助してほしい。これこそ本当の友好の証だ」と迫られたが、返答に窮した。これに対して西ドイツのシュミット首相は同様の要求に応じ、サウジアラビアに最新式レオパルド2型戦車など総額10億ドル以上の「最高の贈物」を行って関係を強固にした。
81年にASEAN諸国を歴訪した鈴木善幸首相に対して某首脳は「日本は64式小銃や74式戦車、艦船など優秀な兵器を持っていながら我々に供与しないで自分だけで所有し続けている。それこそ軍国主義復活につながるとみなされますよ」と忠告された。
共産・容共政党や左翼オールドメディアは高市内閣の武器輸出政策を「平和国家の柱として、曲がりなりにも維持してきた武器輸出への自制が大きく解かれる」などと批判しているが(朝日新聞4月22日付社説「平和国家の理念はどこに」)、話があべこべだ。武器輸出こそ平和国家の証なのである。武器反対すなわち非武装論にすがる陳腐な空想的平和主義こそ非難されてしかるべきだ。
武器を輸出しない国を平和国家と言うなら、永世中立国スイスも北欧ノルウェーやスウェーデン、そして世界の大半の国々もそれに該当しない。武器製造の技術を持つ国はおしなべて武器輸出国なのである。それら諸国は武器輸出の理由として①兵器の量産によってコストが下がり国民の負担が軽くなる②それが自国の防衛産業の育成につながり自衛力の保持につながる③自国の安全保障上、重要な地域での勢力均衡に貢献し平和を守れる④輸入資源確保に武器供与が決め手となる―などを挙げている。しごく当然の考え方であろう。
他国に武器を提供すれば、その国はメンテナンスや部品提供などから同盟関係を一層深め、決して武器提供国に弓を引かない。武器輸出をしなければ、その国を信頼していない証拠と解され友好関係が崩れていく。旧ソ連や共産中国の場合は武器輸出をもってその国を自らの影響下に置こうとしてきた。武器を買った国はいつの間にか支配下に置かれてしまったのである。
こうしたことから民主党政権時代に野田佳彦内閣は武器輸出三原則の例外を広げた。安倍晋三内閣は新たに防衛装備移転三原則を定めた。しかし武器輸出という肝心要は公明党の反対で実現できなかった。それを高市内閣は突破した。大いに称えられるべきである。
武器輸出拡大で同盟関係強固に
防衛装備品すなわち武器の輸出拡大によって日本の防衛産業の技術力が維持され、生産基盤の安定化が図られ、防衛事業からの撤退を防ぐことできる。有事の際に必要な装備品の調達や安定的な修理・整備すなわち継戦能力を維持することができる。同時に武器輸出を通じて同志国と安保関係が強化される。武器輸出を通じて世界平和に貢献できるのである。国民はこのことを肝に銘じようではないか。
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