VOC創立55周年大会

共産主義の克服こそ真の愛国運動

国と家庭を守るのが勝共の使命
梶栗正義会長が記念講演

 6月15日、国際勝共連合(IFVOC)は東京都内で「国際勝共連合創立55周年記念大会」を開催し、全国の事務局長・役員ら約330人が参加した。本連合は、左翼学生運動全盛期の1968年に産声を上げて以来、一貫して「共産主義は間違っている!」と訴えてきた。89年の冷戦終焉で共産主義は敗北したかに見えたが、中国や北朝鮮などの残存する体制共産主義や、家族的価値や文化を破壊する内なる文化共産主義の脅威が未だに残ったままだ。加えて、昨年7月の安倍晋三元総理暗殺事件以降、「勝共連合との最終戦争」を宣言する日本共産党をはじめ共産主義勢力が、本連合や友好団体の「世界平和統一家庭連合」を潰そうと狂奔。そこで改めて共産主義の脅威と対峙し超克する愛国運動として、梶栗正義会長の記念講演を軸として、「勝共強化プロジェクト」を本格出発させる起爆剤と位置づける大会となった。

 司会による開会宣言、国歌斉唱に続き、渡辺芳雄副会長が開会の辞として「今、日本はロシア、北朝鮮、中国という3方面の危機に直面している。また国内では、安倍元総理が皇統に大きな影響を与えると危惧されたLGBT問題。文化伝統、倫理道徳・慣習といった価値観を、『差別なき社会の実現』を唱え破壊する文化マルクス(共産)主義の策動が大きな危機として広がってしまった。我々以外にこれを克服できる勢力はない。梶栗会長の講演を期に、情熱と的確な判断力をもってこの日本を変えていこう」と呼びかけた。

開会の辞を述べる渡辺芳雄副会長

 この後、勝共運動の歴史を紹介する映像「相続と発展 勝共のたいまつは輝き続ける」が上映された。

 次に来賓を代表し増渕賢一・元栃木県議会議長が勝共運動との関わりを披瀝し次のように挨拶を述べた。
「私が勝共活動と出会ったのは1974年。今回の問題で、マスコミに騒がれ叩かれている時に、これは保守系の政治家である我々が人権問題について語らなければと初めて思い、『基本的人権を守る栃木県民の会』をつくった。そして栃木県下の全市町に陳情書を出した。全市町が同一歩調で『審議未了・不採択・議長預かり』にされ、残念ながら一つも可決されなかった。皆さんを擁護するわけではなく、日本の保守に私みたいな者もいると、地方から声を上げ続けたい。この考えも、久保木修己会長以来、勝共の皆さんにご指導頂いたものだ」。

 続いて青年合唱隊による勝共青年歌が披露。

 大会メインプログラムである記念講演に移り、梶栗正義本連合会長が講演した。梶栗会長は1時間にわたる講演で、3つの観点から熱弁を振るった。

記念講演をする梶栗正義会長

 まず第1に、国連安保理が機能不全に陥っていること。ウクライナ侵略を正当化したロシア(パーマネント5の一角)を処罰できず、国際法に頼っても、国際司法裁判所、国際刑事裁判所にはロシアもウクライナも加盟していない難点。そして国際社会が二分され、ロシアと欧米民主主義諸国、かつて「第三世界」と呼ばれた「グローバルサウス」の台頭が米欧の凋落とともに声を上げ始めたと解説。

 第2に、抑止力の問題としてウクライナに核廃棄させたブダペスト覚書に触れ、ウクライナは独立したが抑止力にならず、プーチンが一方的に破り侵略。これを防げなかったのは「米軍、NATOも軍事介入しない」とのバイデン米大統領の決定的な失言だ、として「集団的自衛権、地域安全保障が機能しない時、『自分の国は自分で守る』との国防意識があったウクライナは日本への教訓となる。ゼレンスキー大統領が広島サミットの影の主役としてウクライナへの国際支援を取りつけた」と述べ、日本は日米同盟の機能と国連の支援のためにも国家を自分で守る国防意識を国際社会に示すべきとした。

 第3に、「米中対立の本質は何か」に言及。

 中国の台頭を考える時、覇権国の前に台頭する新興大国が、両国の衝突を回避したくても、結局衝突せざるを得なくなる『ツキディデスの罠』は、米中はまさにその状況だとし「3期目の習近平政権で自由民主主義よりも優れるのが『特徴ある社会主義』と称し一党独裁を美化。ピルズベリー博士が『中国2049 100年マラソン』で対中関与政策への転換を唱え、トランプ政権末以降、対中政策は一貫。ポンペオ国務長官のニクソン記念図書館講演で『我々が変わらないとやがて中国共産党により我々の世界が変えられる』との警告が象徴的だ」と解説。

 その恐ろしさは具体的に「米国を二分し、伝統的価値観に挑戦する文化にはびこる共産主義の脅威が、米国の屋台骨を弱体化させている。ブキャナンが『病むアメリカ、滅びゆく西洋』でフランクフルト学派ら文化マルクス主義者の、『堅牢なキリスト教文化を破壊すれば、国家という外堀は労せず崩壊する』に言及したが、これは日本にとって対岸の火事ではない」と警告し、「米国で伝統文化尊重を訴える稀有な保守メディアがワシントンタイムズ。これを米国の保守政治家たちが評価している」と指摘。

 さらに「台湾海峡危機と並ぶのが朝鮮半島危機。金正恩総書記は『核の先制攻撃』を唱える。対して韓国の尹錫悦政権は、米韓首脳会談、日韓首脳会談と立て続けに外交成果を上げ、日米同盟そして米韓同盟が機能する状況が生まれ、日米韓3カ国に溝が入らないことの重要性を確認。このような日米韓を切り離そうとするのが実は背後にいる共産主義の暗躍。日本共産党はその司令塔の役割を果たしている」としこれと対峙し克服する運動こそが真の愛国運動だと強調した。

 最後に、「『共産主義は神と人類の敵』と言ったが、社会にはびこる共産主義は日本の敵で世界の敵。大混乱の世界秩序を正しい安定的平和秩序に導くため、この共産主義を克服する運動を先頭に立て、日本の国と家庭を守っていく運動が必要だ」とし、今の日本は「犯罪を犯した者よりも、犯罪を犯させた環境や社会が悪いという、被害者と加害者がひっくり返る状況が日本を覆っている。これをおかしいと思う感覚すら国民は奪われている」と断じ「日本を壊そうと背後で暗躍する文化と体制を壊そうとする共産主義者の策謀を見極め、脅威を国民に警鐘鳴らし覚醒させ、日本の愛国運動を復活させよう!」と講演を締めくくった。

 次に活動報告に移った。
「勝共女子」メンバーによる模範演説や街頭演説・遊説活動についての報告、さらに共産党批判のビラ配布の成果・反応について報告された。
 続いて魚谷事務総長が運動方針と「勝共強化」のための活動計画を発表。
 参加者全員で勝共青年歌を力強く斉唱し、顧問を務める前田外治元会長による万歳三唱で大会を締めくくった。

 

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