「世界思想」4月号特集【世界に波及 宗教迫害の「ドミノ現象」 日本家庭連合の解散命令問題】から
【Part2 中国によるSNS「反高市」工作の実態 「旧統一教会」問題を利用した選挙干渉と宗教統制の狙い
】をお届けします。
自民党が圧勝した2月8日の衆院選が公示される前の1月中旬から、Xの中国系アカウントが「旧統一教会」をテーマに反高市工作を行っていたことが分かったと、複数の報道機関が報じた。中国共産党は同教団を「邪教」認定し、解散命令を支持してきた。宗教問題をテーマに日本に対する影響工作を仕掛ける中国の意図を読み解く。
中国系アカウントによる大規模なSNS情報工作
2月22 日に『日本経済新聞』が発信した記事は、「衆院選、中国系400アカウントが『反高市工作』」という見出しが付けられ、高市政権の印象を下げるためのSNSによる情報工作とみられる動きについて、独自の分析結果を発表している。
同紙は、特異な動きをすることが多い情報工作アカウントの中から、中国の字体や表現が残存する投稿をしているもの、中国政府に近いアカウントと一定のつながりがあるものをおよそ400特定し、これらを中国系の工作アカウントとみなしている。
これらのアカウント群の投稿は、主に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と高市首相に関する内容が多いことも明らかにしている。こうした投稿は「反高市」のハッシュタグが多用され、高市首相と旧統一教会のつながりを強調する資料やその抜粋文が投稿されているのが特徴だという。
要するに、高市首相と旧統一教会とのつながりを印象づけ、批判が広がることによって選挙結果に影響を与えることを狙った工作と考えられるのである。
工作アカウントの少なくとも76%は選挙直前の25年12月以降に開設されており、実行部隊が大量登録したアカウントを随時投入している可能性を示唆する。
日経新聞は、こうした中国による情報工作が選挙に与えた影響は限定的だと分析。そして現時点の品質は文字に中国語の痕跡が残るなど、まだ低いが、今後のAIの進化で、より自然な画像や文章が量産できるようになれば、分断工作の脅威は増すだろうと警鐘を鳴らしている。
翌23日には『読売新聞』が、3000件規模のアカウント群が協調的に高市首相や日本の政策を批判する内容を投稿・拡散していることがSNS分析会社の調査でわかったと報じている。そしてアカウントや投稿の特徴から、中国系の影響工作の可能性があり、日本社会の分断をあおる狙いがあると分析している。
なぜ「旧統一教会」なのか?高市政権狙う中国の意図
それでは「旧統一教会」をテーマに「反高市工作」を展開した中国の狙いは何だったのだろうか。それは「反共保守」「スパイ防止法制定」「憲法改正推進」などを共通点とする両者を意図的に結びつけ、「反高市」の世論をあおって衆院選に影響を与えることであったと考えられる。
中国は高市政権の敗北を願い、同政権が実現しようとしている政策を阻止しようとした。そのうえで「統一教会ネタ」は格好の材料になると考えたのだろう。
教団の「邪教」認定と中国式宗教政策の波及
中国共産党が作成した2014年版「邪教禁止22団体リスト」には、法輪功や全能神教会などと共に、「The UnificationChurch 統一教」も含まれている。中国が「邪教」と認定する基準は必ずしも明らかではないが、統一教会の場合には反共主義のイデオロギーが「反革命的」であるとされて弾圧されたと考えられる。
2025年3月、東京地裁が統一教会の解散を命じる決定を下すと、中国共産党の統制下にある「中国反邪教協会」は、裁判所と日本の反カルト活動家の立場を支持する声明を、4月18
日付で発表した。
同声明は、冒頭で全国霊感商法対策弁護士連絡会を称賛している。また、このプロセスは統一教会という「個別の事例」から、宗教を異なる方法で規制する「制度的なシステム」へと移行すると予測している。
さらに同声明は、統一教会に対する判決は少数派宗教に対するより広範な取り締まりの第一歩に過ぎず、「日本社会にとって大きな前進」となるとみなし、東京地裁の判決が「他国にとってカルト問題への対処の手本となる」と確信している、と結んでいるのである。
要するに、中国式の宗教政策が日本を発信源として、世界に広まることを期待しているのである。
先の衆院選では、反創価学会の急先鋒だった有田芳生議員が中道改革連合に合流し、しかも比例名簿上位に位置付けられ、統一教会と自民党の関係性追及で選挙戦を戦うように命じられたという。
中道改革連合の母体の1つである公明党が中国と親しいのは周知の事実である。中国が自民党の敗北と中道の勝利を願ったの
は言うまでもないだろう。
◆2026年4月号の世界思想 特集・世界に波及 宗教迫害の「ドミノ現象」 日本家庭連合の解散命令問題
Part1 家庭連合の法人解散、遡及と推認に基づく高裁決定
Part2 中国によるSNS「反高市」工作の実態 「旧統一教会」問題を利用した選挙干渉と宗教統制の狙い