皇室典範改正 「戦後レジームの脱却」の一貫

 

「世界思想」9月号特集【衆院選圧勝から半年 検証・高市政権】から
【Part1 皇室典範改正 「戦後レジームの脱却」の一貫】
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皇室典範改正と「皇統の重み」

 7月17日、改正皇室典範が参院本会議で可決成立した(賛成=自民・日本維新の会・国民民主・公明・参政、反対=立憲民主・共産。7月24日公布、10月24日)。

 今般の改正ポイントは、①女性皇族が結婚した場合も皇族の身分を離れず保持する(現行典範12条を削除)②旧11宮家の男系男子の養子縁組を可能にした(第6章「養子皇族男子」を設け、養子の対象が旧11宮家の未婚の15歳以上の男子と規定。養子本人は皇位継承の資格はないが、子孫が男性であれば皇位継承順位を定めた現行典範2条を適用し、皇位継承資格を持つ̶̶というものだ。

 さらに、皇族数確保状況など勘案し、必要の場合は30年ごとに見直すとした「付則」も設けている。

 日本国憲法では日本国の「象徴」として世襲の天皇と定めているが、今上陛下は初代の神武天皇から数え第126代にあたり「万世一系」が維持されてきたと言われる。

 この「皇統の重み」について安倍晋三元首相は2011年のテレビ番組で次のように語っている。

 「日本が壮大な綴れ織、タペストリーだとすると、私は真ん中の糸は皇室だと思うんです。この糸が抜かれてしまっては、日本という国がバラバラになる」と(そこまで言って委員会)。

 なぜなら東日本大震災の起きたこの年、「天皇皇后両陛下(現上皇・上皇后両陛下)が何回も被災地に足を運ばれて瓦礫の山に向かって腰を折られて深く頭を下げられたお姿を見て多くの被災地の方々は癒される思いだったと語っておられた。あれを私達がやったって真似はできない。2千年以上に渡ってひたすら国民の幸せと安寧を祈ってきた皇室の圧倒的な伝統の力なんです」と、皇室の歴史的に果たしてきた「圧倒的な伝統の力」を熱く説いたのだ。

 つまり皇室の存在を抜きに日本の歴史を語れない、だから皇室の存続こそが日本のレゾン・デートル(存在根拠)と言っているに等しい重要な問題と言える。その証左に、今国会での審議では、維新の会の藤田文武代表が安倍氏の発言を引用しつつ「皇室の安定的継承」を訴えた。

皇室分断を狙う中国のサイバー工作

 ところが、国会では共産党や立憲民主党が反対論を煽り、改正典範成立を扱った翌日の大手新聞社説はまさに異様だった。

 各社見出しには「時代錯誤の『物語』賛同できぬ」(朝日)、「象徴天皇の土台揺るがす」(毎日)、「象徴天皇制の根幹を傷つけた」(読売)、「皇室の未来へ 総意探る議論を続けよ」(日経)などで、いずれも皇位継承が現行の「男系男子」に限られ、「女性・女系天皇容認案」が排除された批判が根底にある。

 だが改正の主眼は、皇族数を増やし典範第一条の「皇位は、皇統に属する男系男子が、これを継承する」の維持にあり、それが「圧倒的な伝統の力」に繋がるからである。

 そして注意しなければならないのは、メディアのミスリードと共に、先の総選挙でも明らかになった中国によるサイバー妨害工作だ。つまり、SNSなどで愛子様を天皇にとの待望論と共に、秋篠宮殿下の御一家を貶める執拗な誹謗中傷の投稿が異様に増えていること。これらの投稿では日本人が使わない中国語の簡体字のものも多くあり、サイバー問題に詳しい中曽根平和戦略研究所の大沢淳氏によると、こうした情報はほとんどが香港発(一部ベトナム発のものも)であり、明らかに「中国の情報工作」と分析している。つまり日本の皇室世論を分断する工作が暗躍しているのだ。

「戦後レジーム脱却」への第一歩

 一方、宗教的情操教育を否定された一般教師はフランスの思想家ルソーの「エミール」の影響を受け自由放任主義が広がった。あるいは米国の〝デューイ式民主主義教育〟を採用し、道徳教育を軽んじ実用思考(経験学習、○×的思考)を重んじるようになった。自由放任・実用主義教育と共産主義的唯物思考がドッキングし、戦後の教育現場が荒廃していった。

 宗教的情操や道徳、日本の歴史・伝統・文化が軽視され、個人の権利優先、悪平等、自由放任の私優先主義が闊歩し、子供たちは「滅公奉私」の利己主義に染まり、宗教心は薄れていった。これが「戦後レジーム」の実相である。

 ゆえに安倍晋三元首相は第1次安倍政権において「教育を取り戻す」をスローガンに教育基本法改正を成し遂げ、第2次安倍政権下の平成30年に道徳教育の教科化を実現させた。

 だが、道半ばだ。高市早苗政権は安倍晋三元首相の遺志を継ぎ、情報教育の充実に甘んじることなく、日本人を取り戻す本格的教育改革に着手しなければならない。

◆2026年9月号の世界思想 特集・衆院選圧勝から半年 検証・高市政権

Part1 皇室典範改正 「戦後レジームの脱却」の一貫
Part2 国家情報会議設置法からスパイ防止法へ
Part3 高市政権の経済安保政策 その成果と課題

 

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