「全国弁連」の不都合な真実(上)

 「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(「全国弁連」)は3月18日、「政治家の皆様へ 統一教会との関係断絶を求める声明」を公表し、同声明文を全国の1788自治体に送付した、と発表した。この「声明」には、4つの趣旨が掲載されている。この趣旨は、①正体隠し伝道や霊感商法による被害、家族・二世被害を防止・救済施策②議員へ関係断絶要望③議会での断絶決議④全議員と教団との関係調査・公表──というもの。だがそもそも全国弁連は共産党・旧社会党など特定の政治信条に基づく活動を行ってきた。国際勝共連合は旧統一教会(家庭連合)の友好団体だが、その政治的偏向と設立に経緯について世に問うものである。 。

「全国霊感商法対策弁護士連絡会」のホームページ

 

スパイ防止法制定運動の背景

  1968年に設立された国際勝共連合は、共産主義の間違いを訴え、世界が「革命前夜」と呼ばれた中、日本の共産革命化を阻止する運動を展開した。機関紙「思想新聞」で1970年の「よど号事件」、72年の「連合赤軍事件」は、日本共産党の陰惨な歴史が「原型」とする論陣を張った。

 さらに日本共産党との対峙を決定的にしたのが、1978年の京都府知事選挙で、勝共連合が共産主義の間違いを訴え28年に渡る共産府政を終わらせた。これに危機を感じた当時の宮本顕治委員長は「自民党に対しては“勝共連合と一緒にやれば反撃をくって損だ”という状況をつくることが重要だ。“勝共連合退治”の先頭に立つことは、後世の歴史に記録される『聖なる戦い』である」と「全面戦争」を宣言(「赤旗」1978年6月8日)。以後、左翼思想を持った弁護士、ジャーナリスト、左翼陣営に取り込まれた宗教者らが連携し、国際勝共連合及び統一教会に対する執拗な反対運動を展開するようになった。

 その一方で、1978年に日本人アベック(カップル)が突如失踪する事件が相次ぎ、それが北朝鮮の拉致による疑惑といち早く報じたのが「思想新聞」。当時、報じたメディアは産経新聞を除き皆無。この事件からスパイ工作員による拉致であるとし一大キャンペーンを展開した。77年の横田めぐみさん拉致もこの頃で、安倍元首相は「2カ月前の久米裕さん拉致事件で実行犯を逮捕していれば誤ったメッセージを送らずにすみ、横田めぐみさん拉致は防げた」と述べている。

 そもそも北朝鮮のみならずソ連や中国、戦前のゾルゲ事件から、スパイによる間接侵略への備えの必要性が指摘されていた。特に1970年代、日本赤軍やPFLP(パレスチナ解放人民戦線)らによる国際テロが相次ぎ、国家機密保護が国会で検討された。そこで勝共連合は78年に「スパイ防止法制定3千万人署名国民運動」を開始し、翌79年に「スパイ防止法制定促進国民会議」創設に参画。都道府県会議を全国で設置し、署名活動の他地方議会での同法案制定請願運動を牽引した。

 同法制定を求める請願・意見書が全自治体の過半数の28都道府県、1734議会で採択。これを受け自民党はスパイ防止法案をまとめ国会上程。対する野党は断固反対で審議拒否、それ以上に共産党系組織を総動員して朝日新聞など左翼メディアや日弁連などがこぞって反対。

 しかしこの左翼メディア幹部や政治家らが、実はソ連のスパイ網に属する工作員であることが、米国亡命したレフチェンコ元KGB少佐の82年の米国での証言で暴露された。社会党(現社民党)議員の名も挙がると本連合は機関紙号外で糾弾。これを社会党が「CIAと国際勝共連合の謀略」と「社会新報」に記載し、勝共連合が社会党を名誉毀損で訴えた(1994年、社会党が勝共連合に解決金200万円を支払うことで和解。同事件の判決文内容は別掲)。なお、レフチェンコ証言の正しさは、ソ連崩壊後に公開された旧KGB工作の全貌が窺える『ミトロヒン文書』からも明らかだ。

 実はこの裁判における社会党側の代理人弁護士こそが、「全国弁連」の世話人で元事務局長の山口広弁護士だ。

 実は「スパイ防止法制定促進国民会議」と共にスパイ防止法制定の国民運動を進める勝共連合に対し、運動を阻止しようとして設立された団体が全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、全国弁連)である。

 このようなスパイ防止法制定に危機感を募らせた左翼勢力が国際勝共連合および統一教会を潰そうと躍起になって乗り出したのは、1986年11月26日の「スパイ防止法案」の再提出からだ

スパイ防止法潰しが設立目的の「全国弁連」

  全国弁連の発足の「舞台裏」を、横浜弁護士会所属の小野毅弁護士は1986年10月23日、「日本ジャーナリスト会議」のシンポジウムで次のように述べている。 「開運壺商法弁護団というものを今年5月に正式に発足させて…弁護団は、青年法律家協会の神奈川支部が中心で…取り組んでいる弁護士と、もう一つは国家機密保護法(スパイ防止法)の平和問題を取り上げている弁護団と、青法協内部でも2つの大きな流れがある」 「消費部会で(「霊感商法」について)研究しましょうということになって、…統一教会といえば何かとやっつけたいと思っている弁護士が平和部会には多いので…弁護団を作ろうということになった」 「発足した時、被害者は一人しかいなかったが弁護団を発足させ、マスコミに取り上げてもらって被害者を発掘しようということになった」(『「霊感商法」の真相』世界日報社)

 青年法律家協会(青法協)とは、共産党系を核とする左翼的な活動家弁護士の集団で、全国弁連の発足当時は、「スパイ防止法」の国会再提出阻止のために組織をあげて取り組んでいた。

 また山口広弁護士は、全国弁連参加の呼びかけに、「社文」(社会文化法律センター)機関紙でこう述べた。 「『霊感商法』とは、統一協会が組織ぐるみで…『霊』を引きあいに、数百万円以上で売りつけるというもので、そこで得た金は統一協会や勝共連合の国家秘密法制定の策動の資金に流れている。…この度霊感商法問題に取り組んできた社文の会員も参加し、『霊感商法被害救済弁護士連絡会』(仮称)が結成されることになったので…」(「センターニュース」第2号 1987年1月31日付)

 さらに山口氏は、「霊感商法を統一教会が行っている」と断言し、それが「国家秘密法(スパイ防止法)制定運動の資金源だ」と決め付けた。つまり「全国弁連」の成立の背景に「統一教会つぶし」「スパイ防止法つぶし」という極めて政治的な目的があったことが分かる。

 こうして社会党(総評)系や共産党系(青法協、自由法曹団)の弁護士が共闘し1987年2月、全国弁連が結成され、記者会見の内容を朝日新聞をはじめとしたメディアが大々的に報道した。当時、「霊感商法」問題に関わった191人の弁護士のうち99人が共産党系と言われている(「思想新聞」87年3月29日付)。そして、「全国弁連」の呼びかけ人34人のうち19人が連合赤軍事件など過激派の裁判の被告弁護に関わった旧社会党系弁護士だ(『情勢年鑑88』)。全国弁連結成当時、中心的に活動していた東澤靖弁護士は特に北朝鮮・朝鮮総連との関わりが深かった(「思想新聞」同上)。

 代表世話人の一人、山口弁護士は「総評弁護団」(日本労働弁護団)及び過激派テロ事件などの裁判を扱うことが多い「社会文化法律センター」(社文)に所属する旧社会党左派系弁護士である。

 また代表世話人の一人、郷路征記弁護士は自由法曹団100周年を記念し8月23日、同北海道支部と青法協北海道支部の共催で行われた旧統一教会についての講演会で講演。郷路弁護士は「青春を返せ」訴訟を担当し、同訴訟で原告の8割が「拉致監禁による脱会者」との報告がある(『間違いだらけの「マインド・コントロール」論』)。

 自由法曹団の所属弁護士は約2,000人。役員の多くが共産党員とされ、所属法律事務所が「共産党」と言われるほど。「安倍元首相の国葬に反対」と公式サイトのトップに掲げ、「共謀罪反対」のデモを行っている。

 青法協は1954年に共産党系の学生・弁護士らが中心になり結成。学者や修習生・学生含め2500人が所属。

 このように見ると、「破防法調査対象団体」と深く関わっているのが、「全国弁連」ということになる

 では消費者庁の霊感商法対策検討会の委員として参加した紀藤正樹弁護士については、どうなのか。

(「全国弁蓮」の不都合な真実(下))

【思想新聞5月1日号】統一地方選 顕著な共産退潮と維新躍進

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