愛国心なき民は滅びると肝に銘じよ

 さる2月11日は「建国記念の日」であった。この日、街に国旗「日の丸」を掲げる家は僅かで、メディアではまったく取り上げられることがなかった。新聞で報じられた「首相の動静」を見ると、「終日、公邸ですごす」とある(2月12日付各紙)。建国記念の日に総理大臣も単なる休日であって祝いもしない。祝日法によれば、この日は「建国をしのび、国を愛する心を養う」日とされているにも関わらず、この体たらくである。いったい日本という国は何を考えているのか。その愛国心の無さに愕然とする。我々は断じてそうであってはならない。

 世界各国を見れば、米国のように独立宣言した7月4日という史実に基づく建国記念日がある。大半の国は独立記念日と呼んでいる。フランス革命(7月14日)や辛亥革命(10月10日、台湾の双十節)を始め、植民地だったアフリカやアジア諸国のほとんどの国がそうした記念日を持つ。その多数が独立記念日というのは、それだけ植民地が多かったからである。イギリスやタイのように植民地にならなかった国には当然、独立宣言日がなく、決まった建国記念日もない。

神話で建国記念は日韓の2カ国のみ

 むろん日本も植民地になったことがない(戦後の占領経験はあるが)。それで建国記念日は独立記念といった日ではない。神話に基づく建国記念日を持っていたのである。このことは誇るべきことである。世界広しといえども、神話に基づいて建国記念日を設けているのは196ヵ国中、わずかに日本と韓国の2カ国だけである。世界遺産モノと言わねばならない。

 アジアの東の果ての2カ国のみが建国神話を持ち、かつこれを記念日にしているのである。韓国は檀君が天から降りて国を開いたとする開天節(10月3日)をもって建国記念日とする。日本から解放された8月15日(光復節)としなかったのは歴史と伝統に誇りを持つ韓国の人々の見識と言わなければならない。

 同じ朝鮮でも共産国の北朝鮮は「朝鮮民主主義人民共和国」を宣言した日すなわち9月9日を建国記念日とし、開天節を黙殺している。自ら朝鮮の伝統がないと宣言しているのに等しい。

 わが国は明治期、「日本書記」に神武天皇が「辛酉年春正月」に即位したとの記述をもとに太陽暦で換算して2月11日を紀元節としたのが由来である。「紀元節の歌」(明治26年、高崎正風・作詞、伊沢修二・作曲)に「空に輝く 日の本の 万の国に たぐいなき 国のみはしら たてし世を 仰ぐ今日こそ 楽しけれ」とあるように、わが国はかけがえのない、歴史と伝統を誇る国なのである。

 もし明治の先人たちが北朝鮮と同じように伝統を省みず、自らが政権を奪取した日をもって建国記念日としたなら、差しずめ江戸幕府の大政奉還日である10月14日といった世俗の日が建国記念日になっていただろう。そうしていれば明治政府の正統性は揺らいだに違いない。そうはせず、建国神話をもって紀元節とした明治の先人の叡智は称賛されるべきものだ。

 ところが、大東亜戦争での敗戦、連合国軍総司令部(GHQ)による占領政策によって誇りある紀元節は抹殺された。昭和22年、片山哲内閣は日本国憲法にふさわしい祝日の法案に紀元節を「建国の日」として盛り込んだが、GHQは「天皇を中心とした日本の団結力を高める恐れがある」として認めなかった。

 昭和27年のサンフランシスコ講和条約による独立後、国を愛する団体や人々によって紀元節復活運動が起こされ、左翼・共産勢力の猛反対を退け、紆余曲折を経て昭和41年に祝日法が改正され「建国記念の日」が設けられた。ただし2月11日という日は祝日法には記載がなく、翌42年に政令によって決められた。

 ゆえに現在も建国記念の日を左翼マスコミは祝おうとせず、抹殺しようとこれを報じず、首相も一日、公邸にこもっている始末である。まことにもって戦後日本は恥さらしの連続である。

八咫烏に導かれる神武天皇(『神武天皇東征之図』)

愛天愛国愛人が日本精神の源流

 日本の建国精神はいったい何か。本連合創始者の文鮮明師は「モンゴリアン」に由来すると指摘する。モンゴリアンとは蒙古斑を持つ人々のことで、「ノアの長子であるセム」の子孫を表すもので、ユーフラテス川流域から世界に散らばった「巡礼者のような同族」である。そこからユダヤ教やキリスト教、イスラム教、仏教、儒教といった世界宗教が生まれた。

 このセムの子孫たちが形成した文明と宗教には普遍的な共通項がある。「モンゴリアンの文化の原型には敬天愛人と家族共同体を重視する生活文化意識」(文鮮明師)がそれである。

 敬天愛人と家族共同体の観念つまり天を敬い、家庭と性に対する倫理と純潔、霊性を指向するアガペー的な愛の精神的原型がモンゴリアンの心に脈打っている。わが国の建国の精神の源流がここにある。本連合の久保木修己初代会長は「愛天愛国愛人」と言い表した。

 国を愛する民がいなければ、弱肉強食のジャングルのような世界で国は生き延びることができようか。否、滅びるほかない。日本国民よ、愛国に目覚めるのは今である

【思想新聞 3月1日号】国連職員がハマスのテロ攻撃に協力/真・日本共産党実録/文化共産主義の群像/共産主義「定点観測」

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