「思想新聞」10月1日号から【共産主義定点観測】の記事を紹介します。
共産党の殺人、強盗、暴力事件を隠蔽する試み
日本共産党が、過去の暴力革命路線に基づく「罪状」を暴く市井の言動に対し、驚くべき「言論封殺」の暴走を始めた。これは、今年7月に行われた参議院通常選挙の最中に、神奈川選挙区の参政党候補者である、元警視庁警察官の初鹿野裕樹氏が、自身のブログで、かつての共産党の警察官殺し、火炎ビンなどによる警察署襲撃事件、暴力により日本革命をめざす武装闘争路線などを批判したところ、こともあろうに「事実無根」だとして、初鹿野候補を刑事告訴したのである(初鹿野裕樹氏は神奈川選挙区の4議席目で公明党現職を破り初当選)。
なぜこれが問題で、「言論弾圧」の暴走と言えるのだろうか。
これまで共産党は、「(暴力革命をめぐり)当時混乱が存在した」というのが「公式見解」であったため、せいぜい一方的に「デマ」だとレッテル貼りして執拗に抗議するという程度だった。ところが、ついに「事実無根」として刑事告訴する暴挙に出たのだ。人類の歴史から「革命の名のもとに」共産党が引き起こした殺人事件や銀行強盗、暴力事件など、被害者が存在するにも関わらず「なかったこと」として消去し隠蔽しようとする狡猾で凶悪な試みであり、絶対に容認することはできない。
警察への刑事告訴とは、犯罪被害に遭った場合に、捜査機関に犯人の処罰を求める意思表示をする手続きだ。告訴は被害届と異なり、警察(司法警察員)が告訴状を受理すると、検察官に書類や証拠物を送付する義務が生じる。警察が捜査を進め、検察官が起訴または不起訴の処分を判断し、告訴人に結果を通知する。
よって、今回の共産党の刑事告訴案件は、とてもデマでも名誉毀損にも当たらず、不起訴となり終了となる可能性は高い。また、よほどの新しい証拠などが見つからない限り、再審査はない。しかし、2度と共産党に過去の暴力革命路線による犯罪の問題で、「逆ギレ刑事告訴」を許さないように、事実関係を明らかにしておくことが必要である。
日本にも共産主義の罪を刻印する施設が必要
今回の事件で不明なのは、刑事告訴という指示を出したのは、共産党「中央委員会」か、それとも共産党「神奈川県委員会」が独自に実行したのかということである。刑事告訴は、中央委員会の賛成がなければできない。共産党神奈川県委員会委員長は、田母神悟氏という年配者が長期間務めていたが、昨年2月、51歳の藤原正明委員長に交代した。共産党神奈川県の世代交代が背景にある。
しかし、今では日本共産党の文献、中央委員会の声明などから、「民主連合政府」の実現から、「革命の実現の方針」が語られなくなって久しい。共産党の幹部ですら、科学的社会主義、資本論などに「確信」を失い、共産党は、「平和、差別反対、ジェンダー平等」を叫ぶだけの運動団体に転落した。
以前は、「敵の出方論」を主張し、日本の支配勢力は選挙で負けても権力の座を譲るはずがなく、「クーデター」を起こすから、その時は、共産党も武装決起すると公然と主張していたが、今は、表では触れない「秘密の教義」となったが、理論的に放棄してはおらず公安調査庁が「破防法調査対象団体」として堅持していることは政府見解からも明らかだ。皮相的には「革命の展望」も語らず平和を連呼する欺瞞が党勢をジリ貧にさせつつあり、「共産党の終わり」が近づいている。
ところで、東欧諸国、旧ソ連、米国、カンボジアなどに、共産主義の恐ろしさを新しい世代に伝えるための「共産主義犠牲者博物館」がある。子供たちが社会科見学等で訪れている。日本にもこうした共産主義の罪を刻印する施設が必要である。共産党が武装闘争をしていた時の、爆弾や火炎ビンの作成方法を記述した地下本、敗戦直後に公表した日本人民共和国憲法草案、1950年代の共産党の武装闘争を伝える当時の新聞記事、などの展示である。今回の「逆ギレ告訴」を阻止するためにも「共産党にとって暴力革命は必須である」–と全国民にこの共産党の宿命的本質を周知させる必要があろう。












