■ 「資本主義」と「社会主義」と「共産主義」を比較する

「共産主義とは何か」を説明するために、共産主義を資本主義、社会主義と比較して考えてみましょう。

 私たちが暮らす日本は資本主義の国です。アメリカをはじめ、世界中のほとんどの国が資本主義の国です。

 たとえば皆さんが1千万円や2千万円といったお金を準備することができたとします。そのお金を元手にして、会社や工場を作るとしましょう。その元手となるお金のことを資本、資本を提供した人のことを資本家といいます。

 会社を経営して、設備費や原材料費、従業員の給料などをすべて払い、残ったお金が資本家の利益になります。経営に失敗すれば借金になるかもしれません。それが資本主義です。つまり資本主義とは、自分のお金を自由に使うことができる体制を言います。ちなみに資本主義と共産主義の国が争っていた冷戦の時代、資本主義の国々は「自由主義陣営」と呼ばれていました。

 

 さて、資本主義が誕生したころ、つまりヨーロッパで産業革命が起きた後、たくさんの農民が都市にやってきて、工場の労働者になりました。当時はまだ労働者を守る法律がなかったため、労働者の賃金はとても安く設定されました。また労働環境もひどいものでした。こうして資本主義が広がるにつれ、貧富の差が拡大し、労働者の人間性が奪われていきました。そしてそのころ現れたのが、共産主義の思想を体系化したマルクスでした。

 マルクスは、工場や会社をみんなのものにすべきだと言いました。資本家がいなくなり、売り上げは労働者みんなで分配する。工場や会社といった生産手段をみんなで共有するので、生産手段の「産」と共有の「共」をとって共産主義です。共産主義社会では、労働者は誰にも支配されず、喜んで自主的に労働し、平等かつ十分な配給を受けることができるとされました。

 しかしそんなユートピアのような社会ができるはずはありません。考えればわかると思いますが、そんな無責任な体制では、不必要なものが作り続けられたり、仕事を怠けて配給だけをもらう人が現れたりするでしょう。しかしマルクスは、「共産主義は必ずうまくいく」といいました。もちろんこれはデタラメです。

 

 そして共産主義を実現するには、まずはその前段階の国が必要だとされました。その国では共産主義を信じる人々、つまり共産党が国家を独占的に運営します。経済はすべて共産党による計画に基づいて行われ(計画経済)、それ以外の国民はみな労働者になります。お金の使い方は制限され、必要な物資は国から配給されます。これが社会主義国家です。現在では、中国や北朝鮮などがこの体制をとっています。日本共産党も同じ理念を掲げています。

 つまり資本主義とは自由にお金を使うことができる社会、社会主義とは共産党一党独裁体制による計画経済の社会、共産主義とは共産党一党独裁の国家も消滅し、労働者だけになる社会ということになります。

 ですから共産主義社会は、世界に誕生したことはこれまでに一度もありません。中国や北朝鮮を共産主義国家と呼びますが、厳密には社会主義国家です。また中国は、計画経済が破たんした結果資本主義経済を取り入れるようになりましたから、厳密には社会主義国家でもありません。

 

 資本主義国家では、労働者を守る法律が整備され、人間性が奪われるようなことはほぼなくなりました。逆に中国などの社会主義国家では、共産党幹部などの経済活動だけが厚く保障され、むしろ貧富の差が拡大しました。また、共産党一党独裁体制を維持するために、人間性が奪われる事件が続発しています。

 ではなぜ、共産主義国(社会主義国)では暴力的な言行が許されてしまうのでしょうか。

【第一章】共産主義とは何か 
(プロローグ) 
①資本主義との比較
…共産主義が実現すると国家が消滅する 

共産主義の排他的暴力性
“暴力革命が唯一の選択肢だ!”と訴え続けたマルクス

共産主義の人間観
働かざる者食うべからず!? 人間の本質は労働か

共産主義の階級闘争史観
なぜ共産党の人は話が通じないのか

マルクスの動機
神と社会への復讐を果たすまで闘争は終わらない

 

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共産主義を信奉すると暴力的に。その納得の理由とは

 

        

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