危険な北朝鮮 ー 核ミサイルの脅威

 北朝鮮が核ミサイル開発を急速に進めています。日本に到達可能なミサイルは既に実践配備済みで、実際に発射される可能性もゼロではありません。日本は対応を急がなければなりません。

 北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験に初めて成功したのは1993年でした。ミサイルは日本の上空を越えて太平洋に落下し、その直後から実戦配備が開始されました。今や日本を射程に収めるミサイルは1,100基以上あり、同時に36発を発射できるとされています(ジョセフ・バミューデス氏の3月7日の会見による)。発射されてから日本に着弾するまでの時間は7~10分です。万が一、北朝鮮が日本を総攻撃するようなことがあれば、すべてのミサイルを迎撃するのは困難です。

 

 ただしミサイルの弾頭が通常の火薬であれば被害はさほどでもありません。命中した建物が半壊する程度です。しかも弾道ミサイルの命中率は低く、標的から数キロ離れることも珍しくありません。戦闘兵器としての価値は低く、主に相手国の世論を動揺させるという政治的目的で使われます。

 しかしこのミサイルの弾頭に核兵器、あるいは化学兵器が搭載されれば話は全く別です。北朝鮮の弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭は最大で30キロトンと言われます。ちなみに広島型は約15キロトン、長崎型は約21キロトンでした。これが東京駅上空で爆破したと仮定すると、半径6km以内(渋谷駅や新宿駅まで)の人は熱線や衝撃波でほぼ即死します。半径34km以内(町田市や磯子区まで)ではガラス片が飛び散って突き刺さり、熱線による深刻な火傷を負います。瞬時に10万人が死亡し、1か月で30万人以上が亡くなると推定されています。壊滅的なダメージとなるのは間違いありません。そして北朝鮮は現在、40個程度の核弾頭を保有しているといわれます。

「考えたくないことを考えるのが安全保障の鉄則だ」織田邦男氏 世界思想8月号

 

 また化学兵器も大変な脅威です。北朝鮮が化学兵器の開発を始めたのは1960年と古く、保有量は2500トンから5000トン。2014年には保有量で米ロに次ぐ世界第3位となりました。VXガスやサリンなど16種類の神経ガス、コレラや炭疽菌、発疹チフスなど約15種類の細菌類を生産・保管しているといわれます。

 

 もしミサイルが飛来すれば、日本はミサイル防衛システムでミサイルを迎撃することになりますが、迎撃率は100%ではありません。しかも北朝鮮はミサイルが迎撃されないよう、様々な技術開発を進めています。最近の特徴としては以下のものが挙げられます。

 

事前の発見を困難にする
 ▷ 固体燃料の使用(液体燃料と異なり注入が不要)
 ▷ TEL(移動式発射装置)による発射(どこでも発射可能)
 ▷ 不整地からの発射(監視対象地域が絞れない)
 ▷ 早朝、昼間、夕方の発射(いつでも発射可能)

迎撃を困難にする
  ▷ 高く打ち上げるロフテッド軌道で2000キロまで到達
    (現在の日本の迎撃可能高度は約500キロ)
  ▷ 4発同時発射に成功
  ▷ 着弾地点が正確

 

 このように北朝鮮のミサイルは、事前の発見が困難であり、迎撃が容易ではなく、かつ日本に着弾すれば多大な被害が生じます。しかも放置すれば今後さらに技術開発が進められると考えられます。問題を先送りにすれば、そのぶんだけ脅威が増すことになるのです。(最新の北朝鮮情勢については、オピニオン「北朝鮮問題について」でご確認下さい)

 続いて、国内から浸透する共産主義の脅威「文化共産主義」についてご説明します。

Ⅱ.文化共産主義の脅威
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オピニオン 「北朝鮮問題について」