共産主義の排他性と暴力性

 

 共産主義は、一見すると自由や平等を目指し、理想を実現しようとする思想のように見えるかもしれません。しかし実際は全く違います。その本質は排他性と暴力性にあるのです。

 

 カールマルクスは生涯をかけてたくさんの本を書きました。その一つに「共産党宣言」という本があります 。その中に、次の有名なくだりがあります。

 「共産主義者は、これまでのすべての社会秩序を暴力的に転覆にすることによってのみ、自己の目的が達せられることを公然と宣言する。支配階級よ、共産主義革命の前におののくがよい」

 なんとも恐ろしい文章ですね。とても平和を追求する人が書いたとは思えません。

 

 マルクスが唱えた共産主義社会とは、資本家が一人もいてはならない社会です。決して「いろいろな考え方の一つとして共同経営もある」というような穏やかなものではありません。そしてマルクスはその社会を実現するには、社会を「暴力的に転覆する」以外にないと断言しました。反対するものは許さない。むしろ暴力を用いてでも排除する。人殺しさえいとわない。それがマルクスが訴えた内容でした。

 

 

 実はマルクスは書籍の中で、共産主義が理想とする社会の在り方についてはほとんど説明しませんでした。では何を書いたかというと、大半は、「なぜ暴力革命が必要なのか」という内容です。この理由を示すために、マルクスは人生の大半を費やしました。

 

 ですから共産主義が広がることは、すなわち暴力や殺人が広がることを意味します。決して自由や平等が広がることではありません。事実、これまでの共産主義による犠牲者は、世界で1億人を超えています 。中国や北朝鮮では、更なる犠牲者が日々、増え続けているのです。

 皆さんは、世界史に残る悪や虐殺といえば、ナチズムや世界大戦などをイメージするのではないでしょうか。確かにそれらの悲劇は二度と繰り返してはなりません。しかしナチズムによる犠牲者(約2500万人)、第二次大戦の犠牲者(約8千万人)を足しても余りある犠牲者を出したのが共産主義の弊害です。そしてその共産主義が、今も日本の国内外に立ちはだかっています。

 

 続いて、このような暴力的な共産主義がなぜ世界に広がったのか、その理由を見てみましょう。

 

【第一章】共産主義とは何か 
(プロローグ) 
資本主義との比較
…共産主義が実現すると国家が消滅する 

共産主義の排他的暴力性
“暴力革命が唯一の選択肢だ!”と訴え続けたマルクス

共産主義の人間観
働かざる者食うべからず!? 人間の本質は労働か

共産主義の階級闘争史観
なぜ共産党の人は話が通じないのか

マルクスの怨念
神と社会への復讐を果たすまで闘争は終わらない

日本の「リベラル」とは、共産主義者である
…「左翼」とは呼ばれたくない人たち

 

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③共産主義の人間観