写真:日テレNEWS24より(2018年2月7日付)
国営メディアが正恩氏の「関係改善の意向」を発表
北朝鮮の国営メディアである朝鮮中央通信が、金正恩委員長が訪韓した妹の金与正氏ら代表団からの報告を受け、韓国による代表団への対応を高く評価するとともに、「和解と対話の温かい環境をさらに醸成することが重要だ」と述べたと伝えました。韓国に対して、関係改善の意向を強調して伝える狙いです。
北朝鮮は今回、平昌冬季五輪の直前に与正氏の派遣を急遽決定しました。また派遣団には、北朝鮮国内でナンバー2ともいわれる金永南最高人民会議常任委員長も加わりました。朝鮮戦争以降の訪韓代表団として最高位の顔ぶれです。北朝鮮は韓国を国家として認めておらず、極めて異例の対応といえます。
与正氏と永南氏は、2月10日に文在寅韓国大統領と会談し、「できるだけ早い時期」に訪朝するよう要請しました。また「最高尊厳」である正恩氏の、手書きの親書を手渡したともいいます。国際社会が北朝鮮に対して、対話の前提条件に「核ミサイル開発の放棄」を掲げているのを念頭に、「無条件の対話」を既成事実化させようとしているのです。
一方、同じ期間に韓国を訪れていたアメリカのペンス副大統領は、訪韓した安倍首相と長時間行動を共にしつつ、北朝鮮の要人らとは一切対話しませんでした。事実上の「無条件の対話」を拒否したかたちです。北朝鮮は、アメリカの断固とした態度を改めて認識したことでしょう。
北朝鮮が突如として韓国との関係改善を強調するようになったのは、国際社会の経済制裁によって窮地に立たされているからに他なりません。韓国に揺さぶりをかけ、国際包囲網を打破しようとしているのです。
安倍首相は訪韓中、文大統領との会談で、圧力を最大限にまで高める方針を改めて確認しました。無条件の対話から何も生み出されないことは、歴史が証明しています。北朝鮮が追い詰められている今だからこそ、韓国は日米と緊密に連携して対応すべきです。