「プロレタリアート独裁」放棄せぬ日本共産党

「思想新聞」4月1日号から【特別寄稿】の記事を紹介します。

 「プロレタリアート独裁」とは社会主義革命により国家権力を掌握した労働者階級がブルジョア階級の反革命を防ぐためにとる独裁的な政治形態を意味し、ソ連が共産党の一党支配を正当化する根拠としてきた。

 日本共産党が党規約2条で党の理論的基礎とするマルクス・レーニン主義(科学的社会主義)の核心である「プロレタリアート独裁」は、マルクスとレーニンにより次の通り規定される。

 すなわち、「資本主義社会と共産主義社会との過渡期の国家がプロレタリアート独裁である」(「ゴータ綱領批判」世界思想教養全集11巻、河出書房新社)、「プロレタリアートの独裁は抑圧者、搾取者、資本家の反抗を暴力で抑圧する。抑圧と暴力のあるところに自由も民主主義もない」(「国家と革命」レーニン全集25巻、大月書店)、「プロレタリアートの革命的独裁は直接に暴力に立脚し、どんな法律にも拘束されない権力である」(「プロレタリア革命と背教者カウツキー」同全集28巻)とされる。

自由も民主主義もない独裁

 レーニンは「強制なしで、また独裁なしで資本主義から社会主義に移ることができると考えるとしたら、それはこの上もなく馬鹿げたことであり、愚劣極まりない空想であろう」(「ソビエト権力の当面の任務」同全集27巻)とも述べる。

 さらに、レーニンは労働者階級による「階級独裁」のみならず、「個人独裁」の必要性も認め、「過酷なほど毅然とした権力を決然と擁護し、個人独裁を決然と擁護すればするほどソビエト権力を歪曲する官僚主義を根絶できる」(同)と述べる。レーニンの「個人独裁論」はソ連「スターリン独裁」の理論的根拠となり、中国「習近平独裁」にも理論的根拠を与える。

 このように、プロレタリアート(労働者階級)は、自己の政治的支配権を利用して、専制的、暴力的、超法規的にブルジョアジー(資本家階級)から一切の資本を収奪し、一切の生産手段を支配階級として組織されたプロレタリアートの手に集中し、生産諸力を急速に増大させるとされ、プロレタリアート独裁下では、レーニンの言う通り「自由も民主主義も存在しない」のは当然である。

 さて、日本共産党は党規約で「科学的社会主義」を党の理論的基礎とし、党綱領五-17で「社会主義をめざす権力」として「プロレタリアート独裁」を規定する。今年1月の第29回党大会決議でも、共産党は社会主義・共産主義社会の実現を目指す「革命政党」(赤旗24年1月19日)と宣言している。

 そもそも日共はマルクス・レーニン主義の核心である「プロレタリアート独裁」(一党独裁)と共に、「暴力革命」(敵の出方論)も放棄していない。

 共産党のイデオローグである不破哲三元議長は、「我が党は社会主義日本では労働者階級の権力すなわちプロレタリアート独裁が樹立されなければならない」(「人民的議会主義」、新日本出版社)と述べ、「我が党は革命への移行が最終的には敵の出方にかかるという立場をとっている」(同)と述べる。敵すなわち政権側の出方によっては暴力革命を否定しないということだ。

レーニン(左)と不破哲三元議長

共産党の憲法破壊の危険性

 かくして「共産党一党独裁」や「敵の出方論」は、日本国憲法が保障する集会、結社、言論、出版、表現の自由などにより、国民の多種多様な意見の存在を認め合い尊重し、日本国民の選挙を通じて政権交代を認める議会制民主主義に立脚する日本国憲法体制と著しく矛盾し対立することは明らかである。

 従って、今も社会主義・共産主義社会の実現を目指す「革命政党」と宣言し、「プロレタリアート独裁」(共産党一党独裁)と「暴力革命」(敵の出方論)を放棄しない共産党は、自由民主主義並びに議会制民主主義に立脚する現行憲法体制を破壊する危険性を否定できない。戦後、旧西ドイツで、マルクス・レーニン主義、プロレタリアート独裁を信奉するドイツ共産党は自由民主主義体制と矛盾対立するとの理由で違憲とされ非合法化されたことを教訓とすべきである。

(外交評論家・加藤成一)

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