改元を祝う共産党「党名を変更してはどうか」

 

 新天皇陛下のご即位を受け、共産党が「祝意」を表明した。HPには、志位和夫委員長の談話として、「象徴天皇として、新天皇が日本国憲法の精神を尊重し擁護することを期待します」との文章が掲載されている。一貫して天皇制を否定する共産党も、国民を挙げての祝賀ムードには水を差せないと考えたのだろう。ちなみにご即位を祝う一般参賀には、全国から14万人が集結した。批判すれば、大半の国民を敵に回すのは間違いない。

 

 しかし考えてみてほしい。共産党は歴史的に天皇制を厳しく批判してきた。戦後の象徴天皇制ですら、「民主主義の徹底に逆行する弱点」(共産党綱領)であると断言する。天皇制=日本の弱点と公言する政党は、共産党以外にはありえない。

 

 彼らが天皇制を否定するのは、天皇制と共産主義思想とが完全に相容れないからだ。いわば水と油である。

 

 共産主義思想の目的は、まずは労働者階級が資本主義体制を倒して権力を握り、その後に国家を消滅させるところにある。来るべき社会には国家権力は存在しない。それどころか宗教や道徳も存在しない。思想の根本に無神論があるからだ。

 

 天皇は、戦前の日本においては統治者だった。戦後は象徴となったが、その本質は祭祀である。祭祀とは、国家と国民の幸福と繁栄を祈る存在である。上皇陛下も、象徴天皇の役割を果たすべく、全身全霊を注いできたと述べられた。だから彼らの思想と天皇制とは相容れない。これが、彼らが天皇制を否定する最大の理由である。

 ご存知の方も多いだろうが、日本国憲法の第一章の章名は「天皇」だ。その意味では、天皇制を否定しつつ「憲法守れ」と叫ぶのは冗談としか思えないが、これが彼らの思想の核心である。天皇制を認めれば、共産党という党名が成り立たない。

 やはり共産党は、党名を変更すべきだ。国民の反応を慮ってご即位を祝賀する政党に、「共産党」を名乗る資格はない。少なくともマルクスは、雲の上でせせら笑っていることだろう。

 

党名変更は小沢氏の要請

 

 ここ数年、共産党に懐柔策を示してきたのは小沢一郎衆院議員である。共産党は、勢力を減らしているとはいえ全国で600万票以上を稼ぐ。小沢氏はここに目をつけ、野党共闘で安倍政権を打倒しようと考えた。その際に、最大のハードルとなるのが共産党の革命路線だ。そこで小沢氏は志位氏を説得し、過激な革命路線をひた隠すように呼びかけた。16年には、天皇ご臨席の国会開会式に共産党議員が69年ぶりに出席したが、これも小沢氏のアイディアである。「普通の政党」を演出し、共産党アレルギーを払拭しようというわけだ。

 小沢氏の狙いは見事に当たり、全国で野党共闘が進められた。今年4月の衆院補欠選挙では、沖縄3区で野党統一候補が自公候補に約1万7000票差で圧勝した。もちろん小沢氏も現地に入り、陣頭指揮を執っている。7月の参院選でも、同様に全国で野党共闘が実現すれば、与党が歴史的大敗を喫する可能性もある。小沢氏がどう動くのか。共産党がどう応じるのか。注目すべき点である。

 

 その小沢氏が今、志位氏に盛んに投げかけているのが党名変更だ。小沢氏は、「党名を変えれば野党第一党にもなれる」と言っているという。弱小政党の党首に甘んじる志位氏にとって、気分が悪いはずはないだろう。

 ただし全国に存在する共産党の核心的活動要員は、筋金入りの共産主義者である。駅頭で連日ビラをまき、普段から「アベ政治を許さない」というバッジをつけて歩いている。党名を変えれば彼らの求心力を失うのは必至だ。そうすれば党が壊滅しかねない。彼らの大半は高齢者だから、彼らに頼って未来が開けるわけではないが、少なくとも現状維持にはなるだろう。

 いずれにせよ、はっきりしていることは、日本が共産化する可能性は全くないということである。そのことは、志位氏も分かっているはずだ。だったら党名は変えるべきだ。共産主義を目指さない「共産党」など、それこそ冗談でしかないからだ。

 

思想新聞「体制共産主義に警戒を」5月15日号より(掲載のニュースは本紙にて)

5月15日号 北「飛翔体」は弾道ミサイルか 安倍氏「無条件で首脳会談を」 / 天皇ご即位祝う一般参賀14万人/ 主張 令和・日本の「外交戦略」構築せよ etc

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