再燃する「選択的夫婦別姓」論議

 

 中国湖北省武漢発の新型コロナウイルスをめぐり、日本で初めての感染者が出た(1月16日)との報道にもかかわらず、重要な政策論議もせずに、法的にも何ら問題するに値しない「桜を見る会」に延々と時間を費やす国会運営の体たらくに、国民は置き去り―。

 

 そんな印象の中での同月22日、国民民主党の玉木雄一郎代表は衆院代表質問で、「若い男性が交際中の女性から『姓を変えないといけないから結婚できない』と言われた」との「エピソード」を紹介し、「夫婦同姓が結婚の障害になっている」と主張し「選択的夫婦別姓」の導入を訴えた。

 

 その際、議員席から「だったら結婚しなくていい」というヤジがあったと、質問の途中で明らかにした。玉木氏は質問後、記者団に、ヤジは自民党の女性議員から出て「非常にショックだった。こういう自民党に任せていたから少子化が止まらなかった」と批判した。

 

 この出来事を受け、野党とマスコミは一斉に「犯人捜し」に躍起となり、結果的に「杉田水脈議員だ」と決めつけ本人にマイクを突きつける有様。だがそもそも、議場でヤジを飛ばすのは野党も同じことだ。口汚い罵詈雑言などお構いなしだ。それなのに与党の議員が発すると10倍ぐらい逆ギレするような有様なのだ。

 

 杉田議員の方は一昨年の「LGBT支援の度が過ぎる」とする『新潮45』への投稿論文をめぐりバッシングが起こって以降、言葉を選ぶようになったが、言うべきことを言う彼女の政治姿勢を支持し評価する向きは、実は少なくない。

 

 杉田議員は何もLGBTの人々を差別しようと教唆しているわけでは決してなく、性的マイノリティの人権を認めた上で、さらに過剰な保護は大多数の人々が普通にふる舞うことが「悪」にされてしまうことは、果たして社会にとって幸福なのか、という問題提起をしていたにすぎない。実際に、杉田議員の発言に共感したゲイの当事者たちいた。むしろ、ゲイのコミュニティの中では立憲や社民と共に政治的に声を上げて動く人々はむしろ少数派だという。

 

 杉田氏の問題提起は「ポリティカル・コレクトネス」に共通した課題だと言える。

 

 今回の「だったら結婚しなくていい」とのヤジは、杉田議員だろうが誰だろうと、結婚と少子化対策、そしてひいてはDVや児童虐待問題につながる「家族観」の問題として捉える視点が必要だろう。

 

 「そんなヤジを飛ばすから少子化が止まらない」と玉木代表は言う。だが本当にそうか。 事実はむしろ逆ではないのか。

 

 明治以来の伝統的な日本の夫婦同氏制度は、家族としての一体感を強め、子供を第一に考える家族愛の在り方こそ、維新期に来日した欧米人たちが「子供の楽園」と呼んだゆえんだと言える。

 

「伝統的家族観念の崩壊」によって失われていく日本の秩序

 

 そもそも江戸時代まで、庶民は氏(姓)を名乗れず、儒教的慣習から武士の妻は実家の氏を使い別氏だった。維新後、政府は明治5年に戸籍法を制定し、氏の使用を義務付けた。実はこの時、夫婦が同氏か別氏かで混乱し、同9年の「太政官布告」で武士同様に「夫婦別氏」と定めた。

 

 ところが大多数の国民はこれに従わず、同氏で申請。「家族の呼称は一つ」が国民感覚だったからだ。

 このため政府は同氏に改め、民法に夫婦同氏(姓)を明記した。夫婦同氏とは「ファミリーネーム」(家族の呼称)を一つにする日本人の国民性の顕現であり(その意味で、決して近代日本が西洋文化を「マネ」しただけとは言えない)、わが国の伝統的な家族観として今日まで受け継がれてきたのである。

 

 こうした伝統的家族観を変えるということは、結婚観ならびに戸籍制度も改廃の対象とされるということだ。

 「同姓」という「法の縛り(法的な紐帯)」がなければ、離婚がよりしやすくなり、一夫一婦制はさらに怪しくなる。「選択的夫婦別姓」の承認は、これまで「事実婚」「内縁関係」とされてきたものを、同性婚も含めた「重婚」「一夫多妻・一妻多夫」のような「ポリアモリー(複数愛)」「フリーセックス」社会へ道を開いてしまう可能性を踏まえて考える必要がある。

 思想新聞【文化共産主義の脅威】 3月15日号より(掲載のニュースは本紙にて)

3月15日号 【新型コロナウイルス】「非常事態宣言」の法的整備を / 「家庭の教育力」と児童虐待〜久保田信之修学院院長に聞く〜 / 主張「新型感染症はNBCテロ対策で臨め」

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