【防衛白書発表】厳しい周辺環境が明らかに

 

 令和元年版の防衛白書が発表された。

 同時にインターネット動画サイトのYOUTUBEに「概要説明動画」(2分45秒)がアップされた。昨年版(1分27秒)は海上自衛隊音楽隊の三宅由佳莉氏が「防衛白書とは何か」という観点で一般国民に語り掛けるものだったが、今回は男性のナレーターが日本の周辺状況や新しい防衛分野などを具体的に説明している。より関心のある国民を想定においたのだろう。

 普及を狙った昨年版の再生回数は6000回程度にとどまった。関心の薄い国民にまで広がったとはいいがたい。41秒の短縮版も同時にアップされたが、再生回数は4000回程度とさらに少ない。視聴する国民が限られることを念頭に、視聴者には、防衛政策の積極的転換の理解を求めたのだろう。国民の啓蒙に真摯に取り組む姿勢を評価したい。

 

 

 今回の白書で特に強調されているのが、わが国を取り巻く安全保障環境が一段と厳しくなっていることである。以下、具体的な内容を抜粋して紹介しよう。


 ・中国は核・ミサイル戦力、海上・航空戦力に加え、宇宙・サイバー・電磁波領域の能力を強化。既存の国際秩序とは相容れない独自の主張に基づき、力を背景とした一方的な現状変更を試みるとともに、東シナ海をはじめとする海空域において、軍事活動を拡大・活発化させている。その軍事動向は、安全保障上の強い懸念となっている。

 ・北朝鮮は米朝首脳会談後も大量破壊兵器の廃棄を行っていない。その軍事動向はわが国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっている。核兵器の小型化・弾道化を実現し、わが国全域を射程に収める弾道ミサイルを数百発保有し実戦配備し、発射台付き車両(TEL)や潜水艦を用いて、わが国を奇襲的に弾道ミサイル攻撃できる能力を保有している。

 ・ロシアは極東においても軍事活動を活発化させる傾向にある。わが国の領空を侵犯し、北方領土での軍拡、大規模演習等を行っている。核戦力の近代化、地上発射型の巡航ミサイル等の新型兵器の開発等を進めている。

 ・テクノロジーの進化が安全保障の在り方を根本的に変えようとしている。

 ・宇宙・サイバー・電磁波領域での新たな軍事技術、戦闘様相を一変させるゲーム・チェンジャー技術が開発されている。

 ・戦術的には、グレーゾーン事態の長期化、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にする「ハイブリッド戦」の手法が巧みに利用されている。

 ・もはや一国のみでの対応は困難な安全保障上の課題が顕在化している。


 

 防衛白書の発表に際して、メディアでは韓国の掲載順位がさがったことばかりが強調された。朝日新聞の「韓国の紹介順2→4番目に『降格』」(9月27日)などだ。読者の関心を引くと考えたのだろう。

 しかしそのこと自体は、日本の安全保障問題に直接関係する問題ではない。

 

 やはりメディアには「日本には戦争など起こりっこない」という根拠のない確信があるのではないか。いわゆる「平和的空想主義」である。だから目の前にある現実の脅威より、世間を騒がすニュースが見出しになるのだ。

 

 実際には、上述のように中朝露の軍事的脅威がかつてないほどに高まっている

 

 特に新分野における軍事技術の開発は目を見張るスピードで進んでいる

 先日もサウジアラビアの石油施設が爆撃用ドローンで攻撃されたばかりだ。中国では人工知能を搭載した大量の無人機による攻撃部隊がすでに創設されている。

 

 こうした中、日本の専守防衛や防衛費を国民総生産(GNP)比1%の枠内に抑制するという政策はいかにも滑稽だ。憲法9条もしかりである。

 

 

 軍事力の本質は戦争をするためではなく、起こさない(抑止する)ところにある。

 仮に戦争が起きた場合に通用しない戦力では抑止力として機能しない。メディアもこうした現実に目を向け、憲法改正と防衛政策の大胆な転換を真摯に議論すべきだ。

 

 今回の防衛白書の発表が、防衛政策転換の議論のよいきっかけとなることを願うばかりである。

 

 

 

 

 

 

 思想新聞 体制共産主義 【防衛白書発表】厳しい周辺環境が明らかに 10月15日号より(掲載のニュースは本紙にて)

10月15日号  中国軍事パレード 中台統一、米国介入阻止  / 大田区で安保セミナー 迎撃困難な北ミサイル / 主張 「大災害に備え憲法に緊急事態条項を」 etc

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