今こそ尖閣の実効支配を進めよ

 

 「海警法」を2月1日に施行した中国が、尖閣諸島周辺の領海への侵入を繰り返している

 

 2月21日には中国公船2隻が相次いで領海侵入し、日本漁船に接近する動きを見せた。

 幸い海上保安庁の巡視船が間に入り事なきを得たが、中国公船が日本漁船の活動を阻止する事態は国際社会に中国の領有権を誇示するものである。

 茂木敏充外相が海警法について、「国際法に反する形で適用されることがあってはならない」(1月29日)と弱気な発言をしたこともあってか(そもそも海警法は武力による問題解決を認めており、その時点で国際法違反だ)、中国側の横暴がエスカレートしている。

日本における「法の隙間」を狙われる可能性が大いにある

 

 

 尖閣をいかに守るべきか。極めて重要な問題である。

 

 佐藤正久参議院議員が言う通り、いざ中国側が非軍事組織により侵攻・上陸するというグレーゾーン事態が生じれば、日本側は法の隙間を突かれることになり、対応が難しい

 原則として海上保安庁が対応し、いざとなれば自衛隊も出動するが、相手が正規の軍隊でない以上防衛出動が発令されないため、警察と同じ範囲でしか武器使用権限が認められないからだ。相手方が特殊な装備を用いて巧みに優勢を拡大する中、日本側は武器対等の原則に反しないかを逐一確認しつつ必要最小限の対応をしなければならない。

 これでは勝負にならないのは明白だ。

 

 仮に中国側による尖閣諸島の実効支配を許し、それが長期間続けば北方領土や竹島と同様の状態になる。そうなれば奪取はほぼ不可能となる。

 

 もちろんわが国はそのような事態を想定し、自衛隊を中心に奪還作戦の訓練を積んでいる。国民が想像する以上に自衛隊の戦力は強力であり、奪還自体はさほど困難ではないだろう。

 

 しかし問題は、法の隙間をつかれたときにどうするのか、そして時の政府が果敢な判断をなしうるのかである。

 

 最近では尖閣諸島の実効支配を強化すべきとの声が強まっているが、政府に真摯に対応する気配はない

 

 平時にすら実効支配の強化を踏みとどまっているのに、有事に断固たる決断ができるのか。大いに疑問が残るところである。

 

今こそ「尖閣の実効支配の強化」国民的議論の盛り上げよ

 

 

 自衛隊が練度を充実させるのは大前提として、政治的に対応すべきことは二つある。

 

 一つは「領域警備法」を新たに制定し、自衛隊が警察権限として警備する

 いざとなれば瞬時に自衛権を発動、防衛出動に切り替えるようにするのである。政府内には慎重論も根強いから、国民の後押しが必要だ。

 

 もう一つは実効支配の強化だ。すでに尖閣諸島最大の島である魚釣島には魚釣島灯台がある。このような人工的施設をさらに増やせばよい。自衛隊員の常駐も必要だ。

 

 魚釣島灯台は1978年、日本の右翼団体である日本青年社が灯台を建設したものだ。灯台は尖閣諸島が国有化された2005年に日本政府に無償譲渡され、航路標識法に基づき海上保安庁が保守・管理を始めた。年に一回程度、同庁の職員がランプ交換等の保守点検を行っている。他の施設の建造が始まれば中国側が官民を挙げて総反発するのは必至だが、魚釣島灯台は問題なかったのに、他の施設を批判するのはおかしい。反発は政治的圧力に過ぎない。

 こうした心理戦に屈しない国民的理解が重要だ。

 

 実効支配の具体例として、無線局の設置、避難港や船溜まりの整備などがある。他にも遺骨収集及び慰霊祭の実施支援、生物実地調査、固定資産税に係る実地調査、自衛隊単独及び米軍との共同訓練を実施することなどが考えられる。いずれも国内外に日本の実効支配を印象付ける有効な手段である。

 

 確かにこれらの手段のうち一つでも行えば、中国国内では過激な反日デモや不買運動など、大規模な混乱が生じるだろう。中国に進出する日系企業は現在1万3600社ある。コロナ禍で9割以上の企業が前年比マイナスを記録しており、これ以上の弊害は避けたいのが本音だ。

 

 しかし時の政府がこうした事態を避けて穏当に対応しても、中国は共産党一党独裁政権でありそれを理解する相手ではない。

 

 むしろ事態は悪化するばかりである。国民的な議論が必要である。

 

 

 

 思想新聞【オピニオン・体制共産主義】今こそ尖閣の実効支配を進めよ(掲載のニュースは本紙にて)

3月15日号 中国は新疆ウイグル族「ジェノサイド」やめよ 北京冬季五輪、開催地変更の声 / 建国2681年を寿ぐ 日本の建国を祝う会 奉祝中央式典 /【主張】3・11の教訓 憲法に緊急事態条項を

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