漫画でウイグル人弾圧を告発 中共によるジェノサイドが浮き彫りに

 

清水ともみさんの中国共産党によるウイグル人権弾圧問題を当事者の証言をベースに描かれた漫画『私の身に起きたこと』(左)と新刊の『命がけの証言』(右)

 

◆清水氏が「命がけの証言」を出版 
 2019年8月末、漫画家・清水ともみさんがSNSのツイッター上に、中国によるウイグル人への弾圧を告発するノンフィクション漫画『「私の身に起きたこと」~とあるウイグル人女性の証言~』を投稿。ウイグル人による実際の証言に基づくこの作品は公開以来、わずか1カ月半で、8万6千にも及ぶ「リツイート」と「いいね」を集めるほどの話題となった。この漫画は公開して間もなく、有志らにより、英語、中国語、ウイグル語など世界14カ国語に翻訳され、ワシントンポスト、ガーディアン、ブルームバーグ、CNNなど多くの海外メディアによって紹介された。                                                                  折しも、米国務省が中国のウイグル人弾圧に対し「ジェノサイド」と認める声明を行い、過酷なウイグル弾圧政策は、もはや中国共産党が「内政干渉」として嘯くことはできない段階にまで世界的に認知されるようになった。                              そこで清水さんが新たなウイグルの人々の証言に基づく前著の続編にあたる『命がけの証言』を上梓した(WAC出版)。その衝撃の内容には、改めて共産主義を理念とする社会の非人道性・抑圧性を認識させるものとなっている。

 

 前作『「私の身に起きたこと」~とあるウイグル人女性の証言~』は、2018年秋に米議会で証言したウイグル人女性ミフリグル・トゥルソンさんの証言内容を元に描かれたものだ。

 

 トゥルソンさんの証言では、エジプトで結婚し3つ子を出産、幸せに暮らしていたが、新疆ウイグル自治区に住む祖父母に子供たちを見せに里帰りしたら、空港で突然、中国当局に拘束。まだ生後45日の子供たちと引き離され執拗な拷問を繰り返され、3つ子のうち一番大きく元気だった子は亡骸として返された(手術痕から臓器摘出の疑い)。子供2人と中国を脱出し救いの手を差し延べてくれたのが米国だった。

 

 続編の『命がけの証言』は、南モンゴル出身で日本に帰化した楊海英・静岡大教授との対談となっている序章、前著の前に書き上げてネット公開していた「その国の名を誰も言わない」を第1章とし、5人のウイグル人の証言から成る2~6章、最後に描き下ろしだという第7章は、日本に憧れ日本とのビジネスを手がけたが、志半ばで中国共産党に命を奪われてしまったウイグル人女性の物語だ。

 

 このほか、「コラム」として漫画としては登場しないウイグル人関係者の証言とそれを掲載したジャーナリストたちの書籍など紹介している。特に、河添恵子氏が自著で紹介し動画でも登場しインタビューしているウイグル人医師トフティ氏の共産党による「臓器摘出」の証言はおぞましい限りだ。ウイグルの女性たちは文字通り性奴隷とされ、強制的に避妊させられる。親たちが連行されれば、子供たちは引き離され、子供だけの収容所に送られる。

 

 特に「反政府民族」運動をしなくても、強制的に監視役がつき生活を共にさせられる。存在するはずの数百万人もの人々がカウントされず「いない」ことにされている。

 

 東トルキスタンと祖国名すら言えない状況は、ナチスの民族抹殺に匹敵する共産主義の「業」とも言えるだろう。

 

◆清水氏の作品「私の身に起きたこと」~とあるウイグル人女性の証言~はこちらからご覧いただけます。

作品を読む

 

 

 思想新聞【連載・活動】漫画でウイグル人弾圧を告発 中共によるジェノサイドが浮き彫りに  3月15日号より(掲載のニュースは本紙にて)

3月15日号 ミャンマー国軍側、続く武力制圧 「印・太平洋」の今後を左右 / 新春愛知大会に500人集結 環太平洋文明圏の構築を /【主張】中国の沖縄工作「孔子廟」を撤去せよ

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