中国国内で日本文化に共感する人を取締、始まる
韓国の文在寅政権は「親日精算」を掲げるが、すでに文氏の親分だった盧武鉉大統領の時代に「親日派財産没収法」が制定され、「日帝協力者」やその子孫が標的にされた。文政権下でも済州島では「日帝残滓清算条例」が可決され、日本時代の校長の写真や銅像を撤去し、親日派による校歌を改める「文化大革命」のような状況を呈していることが今夏報じられた。
だが、その「文革」の本家本元である中国共産党政権下でも、米中対立が深まる中で、日中関係に活路を見いだすべく中国が日本に秋波を送っているかに見える最中で、新たなる「反日版文革」が始動し始めた。
つまり7月28日、中国・安徽省准南市など6都市で併せて9人のいわゆる「精日分子」が身柄を拘束されたり、逮捕されていたことが明らかになった。
「精日分子」とは、日本文化に共感する人のこと、具体的には特に日本のアニメファンや、日本独特のコスプレ(マンガ・アニメやゲームの登場人物に扮する行為)などを好む人々に対する蔑称だ(「精神日本人」とも)。
逆に日本統治時代を経験した台湾では、その親日家の多い国柄から、「日本精神」という言葉が多く聞かれる。「日本の優れた伝統精神を評価し学ぼう」とするマインドだ。
1日で9人拘束、中央政府の指示か
だが中国では昨年春、王毅外相が旧日本軍の軍服のコスプレをした南京市在住の若者2人が逮捕され、「中国人の堕落者だ」と激怒し、「精日分子」が広く知れわたるようになった。
中国の習近平政権にとっては、日本のコスプレをし自ら日本人であるかのように振る舞うという行為は、過度に「日本崇拝=中国を侮辱」する行為に映り「罪」になる。特に、日本の軍服を着るのは「日本軍国主義」を崇拝し、「中華民族を憎む」ことになるかららしい。だが、1日で9人も多発的に逮捕・身柄拘束されることは明らかな中央政府の指示だろう。
安徽省淮南市警察当局は、若者が「精日」のマンガを制作し、国民の個人情報を窃盗した後、反中国当局の「精日団体」に提供した疑いがあると主張した。
准南市在住の22歳の女性漫画家、張寧さんは日本のアニメファンで、自らも日本のアニメを模写するうち、「豚の顔の中国人」を描くようになった。これがネット上では拡散し、一部の読者が「中国国民を侮辱した」と指摘し、警察が「中国の歴史や国内外の情勢を故意に歪曲している」との容疑で、さらには国民の個人情報を窃盗し、反中国当局の「精日団体」に提供した疑いがある、として逮捕された。
また、中国東北部の遼寧省大連市の警察は「中国を侮辱する漫画を拡散させた」などとし、36歳の男性の身柄を拘束。この男性は18年1月から、「中国侮辱」「反中」の漫画を描いてはネット上で発表したが、滞在した日本から帰国した際、大連空港で拘束された。警察当局は男性について「日本軍国主義思想を浸透させようとした精日分子である」と指摘している。
さらに、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)29日付は、中国メディア「澎湃新聞網」の報道を引用し伝えた。RFA澎湃新聞網の報道によれば、安徽省宿松県の警察当局は、「精日分子」4人が2万人以上の住民の個人情報を集め、「不法な機関と人物に売買し、反中国の精日集団に協力した」と公表。RFAは「当局は4人がどんな情報を盗んだのか、またどんな不法な機関に売ったのかに言及していない」と指摘した。
中国メディア『大紀元時報』では、在日中国人作家の劉彬氏の話を掲載、「過去2年間に日本を視察で訪れる中国政界と経済界の代表団が増えている。多くの人は日本に好印象を持っている」と話し、また中国当局は、「精日分子が日本の極右勢力と同じように歴史事実を歪め、中国を侮辱するような発言をしている」と批判を強めるが、劉氏は「日本の右翼団体の大半は中国共産党を強く非難しているだけで、中国文化を批判してはいない」と指摘。
折しも「表現の不自由」が話題だが、恐るべき不自由とは「文革」の再現を想起させる中国にこそ当てはまると言うべきである。
思想新聞 文化共産主義 中国で「精神日本人」が逮捕の衝撃 9月1日号より(掲載のニュースは本紙にて)
9月1日号 文政権の「正体」露わに / 「北のミサイル実験、容認する米」大阪府で安全保障セミナー / 主張 香港を「第二の天安門」にさせるな etc