中国共産党がキリスト教の地下活動を弾圧

中国共産党、中国キリスト教信徒らへ規制と圧迫

 

 中国で、キリスト教信者の数が急増しているという。中国政府によると、国内のキリスト教信者はカトリックとプロテスタントの合計で約4400万人。中国政府が認めない「地下教会」で活動する信者も加えると1億人に迫るともいわれる。

 世界のキリスト教人口は30億人程度である。特に欧州では少子高齢化による人口減少に加え、個人主義の拡大により教会に通うキリスト教人口が激減している。その中で、すでに1億人に達し、今後もさらに増え続けることが予測されている中国キリスト教の動向は、世界的に注目されている。

 

 急速な拡大の背景には、経済発展に取り残された農村や、都市への出稼ぎ労働者における社会不安がある。特に中国の農村では、いまだに医療体制などの社会インフラが貧弱であるのが現状である。そのため、病気の不安から来世信仰を理由に教会に駆け込む信者も多いという。その意味では、拡大の原因の一端は、格差解消に無責任な共産党政府にあるともいえるだろう。

 しかし中国共産党は、彼らの動向を強く警戒している。習近平国家主席は2017年10月の共産党大会で、「宗教は中国化の方向を堅持すべきだ」と述べた。党による管理をさらに強化するという意味だ。実際に、18年2月には団体登録手続きの厳格化や、無許可集会の罰則強化を柱とする規制強化が始まっている。

 

 北京市の海淀区では、教会のすぐ横に「党とともにしっかり歩め」という大きな看板が立てられた(9月4日付日本経済新聞)。建国70周年のスローガンであるが、その看板とともに、教会の周りは防護柵で囲まれ、出入りする信者には警察が一人ひとり手荷物検査を行うようになった。明らかな宗教迫害である。礼拝に参加する信者が武器を持ち寄る可能性は極めて低い。

 真の目的は、彼らに心理的圧迫を与えるところにあるのであろう。

表面上だけの「信仰の自由」

 

 中国には信教の自由は存在しない。

 党に従わなければ、公認の教会でも十字架を引きずり下ろしたり、党を称えるよう指導したりする。

 

 こうした党の管理を嫌い、信者の家庭に集まって信仰活動を続けるのが「地下教会」や「家庭教会」だ。公務員や軍関係者、企業経営者などは表立って信仰を持てないため、こうした地下教会に通うという。党はこうした動きも強く警戒しており、昨年12月には地下教会の牧師・信者ら100人超が一斉に拘束される事件が起きた。

 

 共産党がキリスト教を警戒するのは、単に勢力が拡大しているという理由だけではない。共産主義思想の本質が、無神論であるからだ。

 

 そもそも共産主義思想は、マルクスが宗教への憎悪を動機として体系化した思想である。

 「労働者の開放」という側面もないわけではないが、マルクスの真の動機は宗教を倒すところにあったのであり、労働者を神聖化したのは彼らを革命のために利用するために過ぎなかった。革命が起きて共産党一党独裁体制が敷かれた後に、労働者を恐怖政治で治めたのはこのためである。

 

 それゆえに、神が存在する思想を認めれば共産主義思想は理論的に否定される。そうすると、共産党一党独裁体制の正当性が覆されてしまう。それゆえに、彼らは宗教勢力の拡大を最も警戒するのである。

 中国は憲法で「信仰の自由」を認めているが、これは表面上のものに過ぎない。実際には、「宗教を利用して社会秩序を壊してはならない」という憲法の規定を利用し、党の介入を正当化する。

 

忘れてはいけない「同じ本質」の日本共産党

 

 この点は、日本共産党についても本質的には同じであるといえるだろう。

 彼らは綱領で信教の自由を認めているが、同時に共産主義革命をも目的とする。神なき思想による革命を掲げながら、信教の自由を論じる矛盾は中国共産党と全く同じだ。

 日本でも、共産党が政治的権力を握れば、宗教が否定され、人間の精神性が否定されることになるだろう。

 その意味で、彼らは単なる野党ではない。政権の行き過ぎを批判するために必要な存在なのではない。彼らの運動の背後には哲学がある。その哲学とは、人間の尊厳を否定する思想である。この脅威を国民はしっかりと認識すべきである。

 

 

 

 思想新聞 体制共産主義 中国でキリスト教「地下活動」拡大 共産党が激しく弾圧 9月15日号より(掲載のニュースは本紙にて)

9月15日号  中国建国70年、緊張高まる香港 / 「家庭教育支援法」制定急げ 名古屋でFWP推進議員セミナー / 主張 「虐待死防止を児相だけに任せるな」 etc

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